みかんのつぶつぶ
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今朝も電話がかかってこないから、きっと眠っているのだろうと思っていた。 病室につくと、案の定眠っている姿にガッカリしたとたんに、ギョッとした。 尿の管が布団から出ているのだ。
茫然と立ち尽くす私にそっと 看護婦さんが声をかけてきた。 どうやら尿の出が悪くなってしまい、膀胱の形がわかるほど溜まっても出てこなくって 朝9時に急遽入れたということらしい。
夜は、尿意があって尿瓶をあてても出なくって それで1晩中苦しみ、ほとんど寝ていないという。
ああ・・・・・ とうとう一番嫌がっていた事態になってしまったのかと がっくりだ。
「死ぬ前には、身を軽くして逝くんだって」
母の言葉を思い出した。 父が亡くなってから、そんなことを話していたなぁと。
3日の日に浣腸をしてもらい、お腹が軽くなって良かったと喜びお風呂に入り、 それからだ・・・眠りに入ってしまったのは。
疲れたんだね。 言葉には出さないけど どうしても動かない左腕に、 絶望を感じていたよね。
仕事に戻りたいよね。 仕事が気になるよね。 忘れられたくなくて、 焦っていたよね。
頭の中が真っ白になるという経験。 初めてだ。
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