今までに最も売れたPCゲームがAirやFateである事実は驚くほど重要だ。 そして、オタク業界の主流はそれを理解していない、と感じる。
僕は同人あがりの漫画家はありえないと思っている。 なぜなら、彼らの多くは漫画を描けないからだ。 僕は同人ショップでバイトをしているが、そこに入荷してくる本に漫画なんてほとんど1%もない。 最近お気に入りの漫画の一つに「G戦場ヘブンズドア」というのがあるのだが、あれでいい台詞があった。 「ちょっとくらい絵が変わっても、わたしの漫画は変わんないよ」みたいな台詞だ。 つまり、漫画とはそういうものなのだ。 漫画を漫画として全体たらしめるもの。 それを身に付けていない漫画家に良い漫画が描けるはずがない。
僕はそれを身に付けようとしている。 もちろん、それは漫画に限ったことではない。 今はゲームの世界に身を投じようとしている。 組む原画家が変わっても、所属する会社が変わっても、あるいはゲーム業界を離れたとしても、変わることなく作品を生み出しつづけられるような、そんなライターに僕はなりたい。 つまり、それが僕の目指すオリジナリティーだ。 ストーリーを構築する能力を持っていれば、ゲームシナリオでも、小説でも、脚本でも、あらゆる分野で通用する。 逆に言うと、ジャンルやメディアが変わっただけで作品の品質が左右されるようでは、そこに個性などない。 ジャンルやメディアにかき消されるような脆弱な個性なんて必要ない。 だから、僕の目指す職業はコロコロと変わり、次々とバイクを乗り換える。 僕が僕である何かはそんなことでは変わりはしないはずなのだ。
じきに同人バブルは弾ける。 アニメ、ゲーム業界も危険だ。 なぜなら、これは日本社会全体に言えるのではないかと思っているのだが、「人材」が育っていないからだ。 僕が言っているのは会社が潰れただけで途方にくれる「作業員」のことではない。 状況に依存しきらない、自立した人材だ。 この国にはそういう意味での自己責任の認識が育っていない。 会社が潰れようが、業界が少々不況に陥ろうが、様々な手段で生き残る能力を持った、そういう「人材」の育成が必要なのだ。
そういう意味で、僕は自立した個性を持ったライターになりたいと思っている。
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