![]() |
明日さへ見まく 欲しき君かも(獅子鷲) |
||
| Past : Will | 2005年10月21日(金) | ||
![]() |
注)いきなりベッドの上です。 艶やかな膜を張るように潤んでいた岳の瞳から、とうとうぽろりと涙がこぼれた。走は涙を唇で辿ると、部屋に戻ってから初めて言葉を口にした。 「ね…そんなにイヤ?」 「え…?」 走は、岳に覆い被さるように屈めていた体を起こすと、岳の両肩の横に手を置き上から覗き込むように見詰めた。 普段から、思いの丈を表情に込めて表すことが殆どである走の目が、傷付いたように、だが怒りを交えて岳に注がれていた。 「いつもヤだしか言わないじゃん。本当に嫌…?」 岳は言葉を失った。まさか、走が、そんな風に思い悩むなんて考えもしなかった。 …自分が、今迄知らず走を傷付けていた? 「最近ずっと、オルグが出て忙しくて、二人っきりになんてなれなかったし。久しぶりに抱き合ってもイヤしか言わないじゃない。…夢中になってるのは、俺だけ?」 何て答えたらいいのかわからない。そんなことはない、自分だってずっと走に会いたかったのに。 「…イエローは、好きなひとに触れたくないの?」 そう言って、走は岳に掠めるようなキスをした。 「ちがっ・・・」 恥ずかしくって、与えられる快感が自分には余りにも過剰で、ついイヤだと言ってしまう。でもそれをどうやって説明すればいいのだろう。 いつもと違う表情の走は、酔っているのだろうか、それともそれだけ怒っているのだろうか。 「じゃあもっと、気持ちイイことシてあげる」 そう言うと、走は体の向きを変え岳の上半身に覆い被さり動きを封じると、腰掛けた側からは反対の太腿を抱きかかえいきなり岳自身を口に含んだ。 「ちょ…ッや…だ…っ!」 今しがた否定したばかりの言葉が叫ばれる。試されるかのように、突然与えられる激しい愛撫。 「ひゃ…っ、ッレッド…っ」 走は岳自身を深く銜え込むと、狭い口内で刺激を与える為軽く歯を立てながら舌で舐った。先端では舌先でわざと敏感な部分を強く舐る。 「ああっん!!ぁっ、ぁっ、ぁ…っ!やだ!」 押さえつけるように抱かれた膝頭がふるふると痙攣し、足の指先がシーツを掴む。 「ッレッド…!ヤダ!こういう…の、俺、やッ…」 岳はしゃくり上げるように嗚咽をこぼしながら、走のシャツを掴み乱れた呼吸の間で必死に言葉を綴った。 「こんな…の…!こんな、カッコ…で、こんな風…っにされるの、やだ…ッ」 その白い片腕で両目を覆うように顔を隠すと、岳はそのまま涙が止まらなくなってしまった。 だってこんな風にいいようにされて。 いやらしく、すべてに反応してしまう自分の体が恥ずかしい。 自分だけイかされて、明かりの下そんな様子を見詰められるのはもっと堪らない。 走は体を起こすと額に口付け、岳の肩に顔をうずめて暫く動かなかった。 「ごめん…」 そう言うと走は乱れていたジャケットを脱いで、その下に来ていたTシャツを脱ぐと、下着ごとジーンズを脱いだ。抱き起こされた岳は、身に着けていた衣類をすべてベッドの下に落とした走に、今度は中途半端に身に纏っている自身が恥ずかしくなってしまった。 そんな岳の服に、ゆっくりと走が手を掛ける。ブラックジーンズを引き下ろすと、膝裏を掴んでゆっくりと片足ずつ持ち上げ引き抜いた。足先に触れる走の指に、それだけでも岳は感じてしまう。促がされ、両手をゆるりと上げるとTシャツも脱がされた。 先程と同じ、重ねるだけの、優しい、だけど激しいキス。思わずまた涙が零れるのを堪え切れず、岳は自分から舌を絡めた。 「レッド、好き、だ…」 深く、深く唇を合わせる。 「けど…俺、女みてぇ」 「お前に抱かれて…、あんな、風に、なるなんっ…て…」 息も出来ないようなディープキスの間に、今迄言葉にしなかった思いを吐き続ける。 そんな岳の頭を抱え込み深く口腔をむさぼると、走が耳元で、いつもと違う、深い声音で囁いた。 「ばか。…おかしいのは、俺の方」 走はそう言うと、岳の手を握り自身に添わせた。掌で感じたこのとない走自身の熱に触れ、岳は驚きと戸惑いで顔に血が上るのを感じる。 「イエローは、触られたら感じて当たり前のトコロ、弄られてんだからしょうがないの」 岳の肩を抱き寄せ、顔が見えない位置で走が続けた。 「俺は…男のお前にこんな風に欲情してんの。…やっぱりおかしい?怖いか?」 レッドが自分に欲情している。 そんなこと岳は考えたこともなかった。 入れる前から、レッドも感じているのだろうか? 「イエロー…の手で、シて?」 走はそう言うと、岳の手の上からゆっくりと自身を扱き始めた。 それまでも十分熱くて硬かった走のソレが、ますます熱を持ってその存在感を増す。 「ふ…っ、うっ、」 普段は余り聞くことのない走の濡れた呼吸に、岳は、急激に自身にも熱が溜まるのを感じた。いつもは痛いくらいに投げ掛けられる視線が伏せられ、黒い睫の下で、走の瞳も熱を抱いている。 端整ながら、どこか野性味を帯びた顔立ちは、同じ男なのにどこか惹かれてしまう。 岳は、思わず走に口付けた。いつものようには目を閉じず、額を擦り合せるように何度も口付ける。掌の中でどくどくと脈打つ存在が、自分の耳元を掠める呼吸と重なり、何時の間にか、自分から手を動かしていた。 重ねられる掌と、自分の掌の中の走自身、どちらからも熱い熱が伝わり愛しさが込み上げる。 理由なんて、ない。ただ、体を重ねたい。 ----------------------------------------- 久々リハビリ。この前と後にもシチュエーションがあるんですがちょん切ってみました。 というか、うちの獅子鷲が色呼びでスルのは初めてではなかろうか。 かなり初々しい感じですね。ガオ時代ということは、まだ二人23と24か?(笑) タイトルは、万葉集より橘文成の歌。 前日(おととい)も 昨日も今日も 見つれども 明日さへ見まく 欲しき君かも 獣医鷲ちゃん好きなんだね…(病) |
||
Index |
|||