世界残酷物語

第二次世界大戦中のある日のこと。
ビルマのベンガル湾においてイギリス軍が
日本軍約千人をおびきよせる作戦を行っていた。
その夜イギリス軍はすさまじい悲鳴を耳にする。
おびき寄せられた日本軍の負傷者の血に反応した大量のワニが
日本軍の将兵を襲い始めたのである。しかもこの地方のワニは
イリエワニといって世界で最も恐ろしいとされているワニである。
それが群れを成して襲い掛かってきたのである。
対する日本軍は終戦が半年後に近付いている時期であり
まともに戦える状態ではなく、負傷者を抱えていることもあって
身動きなど取れようも無い。
朝になってイギリス兵が現場に行くと生存者は20人ほどしかいなかった。
野生動物による大量殺人の最大の記録ともいえるこの事件だが、
では、この事件で一番残酷な行いをしたのはワニであろうか?
この時のイギリス兵の心情を書いたものを目にしたことは無いが
果たしてどのような気持ちでこの悲鳴を聞いていたのか?
そこに戦争の持つ狂気というものが浮かび上がってくるのではないだろうか。
2005年01月26日(水)

Dag Soliloquize / tsuyo