ドラマ!ドラマ!ドラマ!
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何作目の阿佐ヶ谷スパイダースだろう。私の阿佐スパ歴はまだまだはじまったばかりなのである。しかし、この長塚圭史のつくりだす(もちろん、そのときの役者、スタッフ)世界の不思議・・・とでもいうのだろうか?正常でない何か、矛盾、不安、孤独・・・生きているこの世界に意味を求めること自体、意味ないんじゃないのかも?・・・っていうか、とりあえず、今ここで観てる世界の意味がわからなくたって、それってそっちが普通かも・・・でなくて、やっぱ、こういう世界って存在するし、知らないだけなの?・・・いや、世の中はそんなことだらけなのだ。自分が知っているつもりになっている世界以外は知らないし、その世界すら、知っているつもりになっているだけなのだから。
なんだか、居心地の悪さを感じたり、観たあと残ったり、追求したいわけじゃないけど、たとえば、長塚さんと知り合いとかだったとしてもよ、「ね、ところであれ、どういう意味だったの?」とかって聞きたいわけじゃない。(ありえないし、や、ありえたらすごいねー)この居心地の悪さのトリコとでもいうのだろうか・・・。まだまだ阿佐スパを観ていきたいかなぁ、なんて思いながら、この時点で「十字架」と前作の「日本の女」がちょっとごっちゃになったりならなかったり。ダメダメな私である。
今回の特典は、「猫のホテル」主催、千葉雅子を生で見ることが出来た事に尽きるだろう。彼女はすごい、もう、すげー、かっけー!とか、若者風に言っちゃう。なんていうんだろう、彼女は聡明でしかも笑いがわかって、ちょっと見、冷徹な学者っぽくも見えたり見えなかったりなルックスなんだけど、美人で、見るからにしてリスペクトしてしまうのだが、舞台の上で声を発すると、そのリスペクトには思いっきり拍車がかかるのである。今のところ、客演以外、東京地方でしかみることは叶わないが・・・。もう、それでいいです、っていうくらいである。
というのも、ストーリーの説明をしようものなら、えらいことになりそうであるから。んー、ほんと、再演あったら見てください、っていうくらい、複雑なの。加藤礼子(千葉)は口に出したくない事件から娘をもうける。その事件のこともあり礼子は諭吉(中山祐一朗)と結婚する。彼は不能なのである。礼子が生活を支えている、薬局でアルバイトをして。しかも、店長が彼女のファンなのをいいことに生理用品を万引きして仕事をあがるという。そしてそれを今は高校生になった娘に学校で売らせる。そんな生活が嫌になった娘は家を飛び出し、島村(伊達くん)とラブな関係になったことを自分に信じ込ませて、風俗で働くことにする。一方、諭吉は不能な自分が嫌で、ある薬に手を出すのだが、それが、幻覚が見えるというとんでもないしろもの。 娘の働く風俗っていうのは、その辺をしきる久世沼が妹(村岡希美)を無理矢理嫁がせた小松(政岡泰志)の店。妹には実はふがいないヤクザな宇野(三上市朗)がいたのに。宇野は弟分のマコヤ(富岡)と、礼子の家に世話になることになってしまう。何事もなく、何事もないはずのない日常がすぎていく。諭吉が手に入れようとしている薬はパク(加藤啓)が売人なんだけど、それを島村が横取りしたところから話が転び始める。また、礼子を崇拝する薬局の店長がえせ牧師となって風俗廃絶のためにKKKみたいな自警団をつくったり。小松が妻と宇野の仲をかんぐったり。まぁ、電話してるとこ見られたから仕方ないんだけど、その会話っていうのが、「あんた殺し屋にねらわれてるのよ、でも、勝手に死んだら許さない、絶対死ぬ前に、私に今から死ぬって連絡するのよ!」みたいな泣けるんだか、ごむたいなんだかな会話なんだけど・・・・。そして、いっきにいろんなことが壊れまわりはじめる。処女懐胎したと自分に思い込ませていた礼子に現実がつきささり、諭吉はますます幻覚にはまりこみ。娘は騙されているとも知らずに男に貢ぐ。そしてついに殺し屋(長塚)がたどり着く、礼子の家にいる宇野に。死に際に、仁義だからって電話をかけるのを手伝う殺し屋、といっても、地上数ミリを歩いているようなタイプの奴なんだが。そして宇野は自警団の投げ込んだ火炎瓶で火事になった風俗店で元の女、久世沼の妹に約束どおり電話で話す。そして死ぬ。マコヤも。その血の惨状で、キリストを信じたかった礼子の経典を見つける殺し屋。そして懺悔や報いについて知る。
やっとの思いで、娘を説得した礼子が戻った家には、3つの死体があった。あぁ、そう・・・十字架って、そういう意味だったんだ。君の体だったんだね。殺し屋くん。
個性的な俳優の中で、いったい何が描かれようとしているのか思考することは無駄ではない。でも、ただ受け入れる。それだけでも充分な、そんな阿佐ヶ谷スパイダース。ユニット的であるので、千葉女史以下、拙者ムニエルの加藤啓がみれたことも嬉しい。(みかいちさんはもう知ってたからねー)それよりも、「無名塾」出身とは言え、娘役の真木よう子、彼女はベテラン、超個性派の中ですごく光ってた。注目株です。かわいいし。前作「日本の女」よりも設定は煩雑であるが、完成度は高いのではないかと、私如きが言う。
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