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2002年02月09日(土) 「め組の喧嘩」を見た!

 タイトルだけ知っていた『め組の喧嘩』をようやく観ることが叶いました。しかも、辰五郎親分を歌舞伎界のダーリン、坂東三津五郎で。

 『め組の喧嘩』というのは通称で『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』という明治23年(1890)、竹柴其水が書いた4幕の世話物。文化2年(1805)芝神神社で、め組の町火消と相撲取りとの間に実際に起こった喧嘩を題材にしたものらしい。「火事と喧嘩は江戸の花」というフレーズがなんだかそのまま凝縮された感じ?

 では、世話物ってどんな感じ?っていうことで、あらすじをGO!

 主な登場人物
め組(浜松町)辰五郎・・・・・・・・・・・・坂東三津五郎
辰五郎女房 お仲・・・・・・・・・・・・・・・中村時蔵
め組(露月町)亀右衛門・・・・・・・・・・坂東秀調
め組(芝井町)藤松・・・・・・・・・・・・・・尾上辰之助
角力(すもう)取り 四ツ車大八・・・・坂東彦三郎
角力取り 九竜山浪右衛門・・・・・・・市川團蔵
芝居小屋江戸座座元 喜太郎・・・・・片岡我當
数奇屋河岸親方 焚出しの喜三郎・・尾上菊五郎
(すでにややこしいわね・・・)

<序幕>
 品川宿は東海道からの江戸の入口、そこの遊郭島崎楼。新年明けて七日の宵。さる大名家の江戸留守居役が、お抱えの角力取り四ツ車たちを連れ遊びにきている。座敷は盛り上がり、角力甚句で歌い踊るうち、よろけて障子を倒す。それが隣座敷のめ組の藤松という若い衆に当たる。その詫びもなく、もとより騒がしく思っていた藤松は、侍の座敷というのも構わずタンカをきる。四ツ車はおさえようとするが、粋を売りものの鳶と腕っ節が売りの角力、喧嘩になってしまう。そこへ割って入ってくるのがめ組の頭、辰五郎。相手がお出入り屋敷の侍とわかり、荒立てたくはなかったので詫びを入れて引き下がる。ところが、身分の高下を問わない遊所で「屋敷の抱え角力と鳶人足とは一つにならない」と身分違いを取りざたされ、辰五郎の心中には遺恨が残る。

 気持を抑えきれない辰五郎は、品川に近い八ツ山下で帰りを待ち伏せた四ツ車を提灯を蹴飛ばし襲う。通りかかった籠かきの提灯も落とし、暗闇の中さぐりあいに。籠の客は辰五郎には兄貴格の鳶頭喜三郎。そのうち辰五郎はこの場を逃げるが、一本鎖の茛入れを落とし、拾った喜三郎にそれと知れる

<ニ幕>
 翌月、神明社では、架設の芝居小屋で「千本桜」が上演され大入り。辰五郎女房お仲が、息子とお供の鳶と通りかかる。と、小屋の中で喧嘩の様子、また組のものかと案じるお仲に、お供の鳶が今日は来ていないはずと言うので安心して帰る。が、小屋で悪酔いして暴れた職人をめ組の亀右衛門たちが小屋から出すと、四ツ車の弟分九竜山がとめ、逃がしてしまう。品川のほとぼりもさめないうちで、矛先が九竜山に。小屋から四ツ車も出てきている。通りかかった辰五郎は「角力に恥をかかされた」と聞き品川の分も含め決着をつけようといきりたつ。例の侍も来ており、角力が負ければ出入り差し止めと圧力をかけてくるが、両者、引くに引けぬ状態となる。そこへ、座元喜太郎が、騒ぎで興行が差し止めになっては困ると頼むので決着は、興行がすんでからと、座元に喧嘩を預ける形で、引き上げる。

<三幕>
 浜松町、辰五郎の家。翌日。角力と一触即発の時、昨夜も何も言わず、今朝も黙ってうちを出る辰五郎の後をつけていたお仲が先に戻る。そこへ辰五郎が普段は飲まぬ酒に酔ったフリをして帰ってくるお仲は後をつけた先、親方喜三郎のところで、品川と芝居小屋のことを知ってしまう。親方に「短気は出すな」と言われたにしても意気地がない辰五郎が歯がゆくて仕方がない。酔ってすぐ寝ようとする辰五郎を「鳶としてまといに対しても引っ込んで入られない」と詰め寄るが、辰五郎はとりあわない。門口で様子を聞いていた亀右衛門は、辰五郎の弱腰をなじり、お仲の言う事こそ本筋と藤松たちと命を捨てる覚悟だと明かす。
 それを「うるさくって寝られやしねえ」と酔い醒ましの水を飲む辰五郎だが、息子やお仲にもそれを飲ませる。「別れの水盃」と察したお仲は、愛想づかしを言い、離縁をせまる。お仲にしてみれば、自分たちに心残りなく行動して欲しいという気持からである。子供を連れ、出ていこうとするお仲に辰五郎は用意してあった去り状を渡す辰五郎は遺恨を晴らし、死ぬ気であった。親方のところには暇乞いに行ったのだった。酔ったフリをしていたのは、見物衆を巻き添えにしないために時間稼ぎをしていたのだ。互いの思いを知り、去り状はおませな子供が様子を見ていて破る。亀右衛門は若い衆がはやるのを止めに先に走る。辰五郎は、お仲が用意した白さやの短刀を腰に角力の打ち出し太鼓に促されるように家を出る。

<大詰め>
 神明町の普請場。火事場装束で集結している鳶のものたち。それを角力がのぞいたので猶予はならないと、はやるところへ亀右衛門、そして辰五郎が来、一同水杯を交わし、半鐘を鳴らして決死の殴り込みにかかる。繰り出した鳶と角力とが入り混じっての大乱闘。やがて辰五郎と四ツ車の一騎討ち。
あわや、というその時、かけつけ割って入る喜三郎。鳶の管轄、町奉行根岸肥前守の印のはっぴと角力を支配する寺社奉行松平右京之亮の印のはっぴと二枚着ているから、鳶も角力も手出しできない。神明町の自身番に町奉行、寺社奉行双方出張ってきたと聞いては喧嘩も続けられず、危険を顧みず仲裁に入った喜三郎に喧嘩を預け、双方神妙に名乗り出ることになる。

 読むのも面倒でした?時代劇みたいでしょ?これが目の前で繰り広げられます。序幕では、廓物ほど華やかな花魁などは出て来ないものの、お座敷遊びの様子が見られ。ニ幕では、宮地芝居の小屋のにぎやかな様が見られます。そして序幕、八ツ山下の場では、提灯の明かりがなければ真っ暗闇、今のように街灯もないですからね、それを少しライトを落として、下座音楽でここは暗闇の場ですっていうのを表現する太鼓の音がどーん、どーんと低く響く中、いわゆる「だんまり」という手法が見られます。客席からはもちろん、役者同士も見えてるのに、見えてない風に手さぐりでそろりそろりと動くのです。「だんまり」・・・色々な作品にポイントとして出てきます。そして三幕、浜松町の辰五郎内の場は、子役の達者ぶりと粋な江戸のおかみさん女形の気風の良さの見せ所。また、酔ったフリの親分の心情が、これはちょっとなんか隠してるな・・・ただの弱腰じゃないな、と見せるところなんか、一種、隠し事を心に秘めて演じることを「腹芸」というらしいですけど、そんなところがちょっとかいま見れるかな。これは「腹芸」とまで言わないかな・・・。ま、いかにも世話物という一幕です。
 そして大詰め、四幕目、これは、すごい、舞台重そう。鳶が45人で角力30人?見所は大勢!?ここだけで三場あるんだけど、喧嘩の勢いを消さないために暗転とかないわけで、普請場で揃った鳶たちが花道をどーっとかけぬけ、どーっと帰ってくると舞台は角力小屋。廻り舞台も使って小屋のこっちとあっちの喧嘩が流れるように見えるわけです。で、小屋の上に乗って瓦を投げて応戦する鳶たち、さすが鳶、はしごを使って応戦する鳶。ここの殺陣は、アクロバティックで迫力ありました。歌舞伎の殺陣は直接斬り合ったり殴りあったりしないんだけど、迫力ありますよ。衣装としては、鳶たちはみんな刺青シャツみたいの着てるし、角力たちは肉じゅばん着てて、それが見もの?

 結構、世話物といっても、色々な要素があって楽しめますね。ただ、私的に辰五郎が暗闇で待ち伏せするっていうのは、いただけないけど、あぁ、カッコいいだけの親分てわけじゃないのね・・・みたいながっかり感があったけど、人間的でそれが当時はよかったのかも。あと、ちょっと幕と幕の間とか、ビミョウなところが合わせきれてないっていうか、まさに間が悪い感じでおしかった。三津五郎さんもなんか、世話物なのに時代物みたいな声で、もったいない感じでした。でも鳶の親分、似合ってた。それに時蔵さんとのカップルは息もあってて絵面もよくて素敵。三津五郎さんのお弟子の三津右衛門(元みの虫さん)と八大くんが大詰めの喧嘩では、大活躍。もう一回見に行けるのなら、思わず、差し入れしたいくらいの活躍でしたね(三津五郎さんにもしたことないのに)。時代物もいいけど、世話物はええねぇ。


もっちゃん |M@IL( ^-^)_ヲタ""日常こんな劇場( ^-^)_旦""

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