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September 〜 其之弐 院試に向けて - 2002年09月28日(土)

7月末、受験の準備に入った。期間は8月の一ヶ月間。

幸運にも工学系専門試験は工学系学科出身者のみとなり、
それ以外の者は小論文に差し替えられた。
正直なところ一ヶ月で工学部の専門を一から始めて
試験レベルにまで引き上げるのは厳しい話である。
たまにそういう壁を乗り越えて合格する人もいるが、
その気なら2,3ヶ月かそれ以上前から準備が必要なのだ。

試験科目は数学(1時間)、英語(1時間)、小論文(3時間)となった。

問題は数学。
数学科出身なんだから数学くらい軽く解けるだろうというのは
間違いである。オレにとって。(小声)
数学科の数学と工学部の数学は別物なのだ。
同じ単元を履修していてもその内容はかなり異なる。

試験範囲とそれに対するオレの評価は以下の通り。

・線形代数学・・・必修なのに落として留年しかけた。(苦)
・微分積分学・・・問題の種類にもよるが可もなく不可ばかり。(汗)
・微分方程式・・・Picard逐次近似なんとかって単語が思い浮かぶだけ。(忘)
・ベクトル解析・・・Hessianって単語が思い浮かぶだけ。(無知)

後ろの2つがどう見ても心もとないのは担当教官がカリキュラムを
間違えたせいもある。単元を取り違えた挙げ句、
15回のうち7,8回だけの講義とレポートで浮いたからだ。
残りの大部分はオレの不勉強なのだが。

要するアレだ。全部一からやり直せと。

工学部の数学をやるにゃ何を勉強したらいいか同期に尋ねたら、
この4冊をやりゃ受かると言われた。

「演習 線形代数学」
「演習 微分積分学」
「演習 微分方程式」
「演習 ベクトル解析」

・・・そのまんまやんけ。
つーか、4冊並べたらすごい厚さだな、これ。
そりゃ全部やったらどごさでも受がるべや。

「4冊か。一ヶ月あるから一週間で一殺、もとい一冊でいいよな?」
「いや、過去問もやらんといけんけぇ、十日で二冊くらいやらんといけんよ。」

オイ。
Tシャツにハーフパンツにサンダルの涼しげな格好して
全身から汗が吹き出るようなことをサラッとぬかすな。
ただでさえうだるように暑い夏なのに。
でも迷ってても仕方ない。
時間もないことだし、今はこの広島県人を信じるしかないべ。
やるか。

8月は図書館が24時間営業になる。半強制的に。
夏休み中なので午後5時で閉まるのだが、一度退館させられたあとに、
各研究室に備えられたカードキーで無理矢理侵入して朝まで居座るからだ。
職員もあきれ果てる夏の風物詩である。
なんで図書館かというと一応冷房(かなり弱め)は入るし、
調べたいときに蔵書はあるし、それ以外に気を散らすものは何もない、
あと朝から夜は19時半まで学食が開いてるからだ。
24時間勉強するだけあってヤツらの気合いの入り方は尋常でない。
腱鞘炎を起こして右手に湿布しながらやっているヤツがいるほどだ。

「マズイ、出遅れたな。」
そんな後悔してる暇があったら問題を解けってさ。

オレは図書館が苦手なので、とある計算機室を借りて(もちろん無断使用)勉強した。
激しく冷房が効く部屋で快適だったし、しょっちゅう屋上に出ては夕陽や街の灯りを眺めていた。
昼出勤、夜中帰宅という生活サイクルの中で、たまに同期とバッティングセンターに行ったり、
ファミレスに行ったりしながら、8月を終えた。

よく集中したと思う。オレにしては。
量もこなしたし、結構満足の行く一ヶ月だった。

「これで落ちても得るものはあるよ。」

そう語りかける自分は逃げとか妥協とは違うと思うが、
それで納得しない人がいることの存在に支えられて
さらに一歩を踏み出す力を得た。



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