よるの読書日記
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『黒焦げ美人』<岩井志麻子/文藝春秋> 本を選ぶ時にタイトルって重要だと思いますが、それにしても この人のセンスってすごい。むごたらしくて華やかで過激で耽美だ。
一家の家計を支えられているのは美しい姉が金持ちの妾をしているから。 おかげで妹は女学校に通わせてもらっている。 姉の周りにはいつも男達がサロンのように集まっていたが、ある日、 彼女は焼死してしまう。 新聞は「黒焦げ美人」と囃し立て、生前の姉の噂まで取り沙汰する始末。 密かに慕っていた男が疑われ、ヒロインの苦しみは続く……。
苦労してて男の気持ちを知るのに長けてそうな姉が実は疎く、 世間知らずでおぼこの妹の方が実は状況がよく見えている、 という前半の描写が良かったです。その妹の目がだんだん「恋」という フィルターで曇っていく……この辺は面白かった。 終盤は観念的というかこじつけっぽいというか犯人の言い訳に なっちゃいます。ちょっと残念。
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