よるの読書日記
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『早く昔になればいい』<久世光彦/新潮文庫> 戦後すぐの富山が舞台です。場所まで特定できてしまいそうで怖い。 あ、でも延期さんと話していてもお互いの考える場所に 相当距離があったので、本当に当時の市内を知ってる人でないと たぶん無理でしょう。よくよく考えたら市町村合併だって 戦後何回もやってる筈なので、「市の南部」と言っても 現在のそれを差すとは限らないだろうし。 あと、富山平野って見事に真っ平らなので、名のつくほど 長い坂って市内では記憶にないや私。もしかしたら久世さんの 創作かも。なのであんまり場所について考えなくてもいいみたいです。 でも考えちゃった。富山が舞台の文芸作品って少ないから。 宮本の輝ちゃん位だ、書いてくれるのは。
赤い銘仙を来たしーちゃん、好きと言われれば誰にでも身体を開く しーちゃん。少年期の記憶は熱く生々しく、現代は過去を求めれば 求めるほど幻想小説のように空々しくなっていく、という不思議な 小説です。無邪気で淫らで残酷な記憶。 みんなのものであると言うことは、誰のものでもないと言うことだ。
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