よるの読書日記
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2003年06月25日(水) 美化 純化 風化

『早く昔になればいい』<久世光彦/新潮文庫>
戦後すぐの富山が舞台です。場所まで特定できてしまいそうで怖い。
あ、でも延期さんと話していてもお互いの考える場所に
相当距離があったので、本当に当時の市内を知ってる人でないと
たぶん無理でしょう。よくよく考えたら市町村合併だって
戦後何回もやってる筈なので、「市の南部」と言っても
現在のそれを差すとは限らないだろうし。
あと、富山平野って見事に真っ平らなので、名のつくほど
長い坂って市内では記憶にないや私。もしかしたら久世さんの
創作かも。なのであんまり場所について考えなくてもいいみたいです。
でも考えちゃった。富山が舞台の文芸作品って少ないから。
宮本の輝ちゃん位だ、書いてくれるのは。

赤い銘仙を来たしーちゃん、好きと言われれば誰にでも身体を開く
しーちゃん。少年期の記憶は熱く生々しく、現代は過去を求めれば
求めるほど幻想小説のように空々しくなっていく、という不思議な
小説です。無邪気で淫らで残酷な記憶。
みんなのものであると言うことは、誰のものでもないと言うことだ。


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