よるの読書日記
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| 2003年05月09日(金) |
わからんでもないが結論としては |
『光の雨』<立松和平/新潮社> 連合赤軍事件をモデルにしたお話です。事件から 数十年後、釈放され孤独に生きる老人が死を前に知り合った若者達に 銃を盗み、世間から隔絶された環境に逃亡したことで 銃に支配され、仲間同士で「総括」という名のリンチ殺人が 繰り返されていった当時を語る、という設定。 私は生まれる前なんで、どうしてもオウムを連想してしまうんだけど、 社会から逸脱した行為を繰り返して結果社会らから排斥される 小集団はお風呂に入らず武器や兵器を持ちたがりリンチ殺人が 横行する、ってお約束でもあるんでしょうか……。
読んでみて、かなりこれは事実に近い物語なのではないかなーと 感じました。山中で響く「総括せよ!」の声。 次は誰の、何が批判されるのか。拒否すれば次は自分が、 との思いから仲間を殴る者達。また批判の先鋒に立つ男の秘めた小心。 正直、それでも当事者達の心境の理解はできないしわかりたくないのが 本音です。ただなんとなく「彼らの心の闇に迫る」とか言うほどの ものでもなく、妊婦リンチしておいて子供は革命の子だから 助けたいみたいな幼稚さがあったりして、どこかで エスカレートしたものの本当に彼らが凶悪そのものだったのか、 というと違うのかも、とは思いました。 ナチスドイツ、大日本帝国、北朝鮮民主主義人民共和国。 ヒステリックで独裁的なリーダーとその愚かな命令に 従わざるをえないその他の事例はたくさんある。 んー、でもあさま山荘はいかんだろう。それに尽きる。
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