よるの読書日記
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| 2003年02月06日(木) |
嘘千六百、針百六十万本 |
『天上の愛 地上の恋』11巻<加藤知子/白泉社> 最終刊です。いやー……。 悲しい終わりにはしてほしくないなと思っていたので、 うーん……。良かったと言うべきなのかな。 最後に見たルドルフ様の笑顔に胸が締めつけられるようです。 ハプスブルク皇太子であることがアイデンティティのようだった 彼にとって、自分を失うことがどれだけの恐怖だったことだろう。 であると同時に、皇太子という座にあることで受ける常人には 及びようもない重圧からの解放が、どれだけの救いになったか。 フィクションとは知りつつも、これからの二人が幸せで あることを祈りたいと思います。 作者本人が嘘千六百と言い切る作品ですが、おかげで オーストリア史とハプスブルク家には多少詳しくなったかな。 後世に名を残したがっていたコンラートがずいぶん理不尽な目に あったと思うけれど、きっとあの夫婦は子供や孫達に 彼のことを伝えていくでしょう。男の子が生まれたら彼の名を つけるとか。歴史は有名人だけのものじゃなくて、 無名の、でも勇気ある者達の人生が積み重なって できてきたものなのだと思わされました。
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