よるの読書日記
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| 2002年03月15日(金) |
きっと出世の“鬼”だった!? |
『鬼』<高橋克彦/講談社文庫> 陰陽師ブームですねぇ。毎週テレビ出てたりして すっかり陽に当たりまくってるけど。 なんかこうちやほやされてると違うだろ。 嫌いじゃない、いやこの手の本はかなり読んでるほうだと 自負する私でさえ引いてしまいそうです。 でも面白そうだとやっぱり買っちゃう(笑)。
時は平安、怨霊に人々が恐れおののいていた頃。 御存知安倍晴明ほかちょっとその手の本を読んだ人なら 聞いたことある人達大集合の豪華短編集。 老獪な師匠とまだフレッシュな晴明の取り合わせが 結構良かった。その後にもっと老獪になった晴明が 出てくるあたり短編集の妙。
千年前って言うと、仮に百年に四世代が交代するとして四十世代。 私達と違う考え、異なるライフスタイルが存在してても 当たり前なんですよね。 親と子でさえ世代間の断絶があったりするのだから。 だったら例えばもののけ姫の世界で人と神が近かったように、 かつては鬼と人とが交わっていた時代があったんじゃないか。 それは今より生と死が隣り合わせにあったからか。 闇は闇のまま人工の光がはびこらない世界だったからか。 ――ううむ。
祟りだの何だの現代人なら笑い飛ばしてしまうか 暇つぶしにしかならないかもしれないけど、 人の恨みや妬みの怖さを昔の人の方が 理解していた、ということなのでは。 菅原道真さんなんか流罪なんですけどね。 大陸だったらたぶん宦官にされたり断頭台行きよ。 これで怨霊になって暴れ回って千年先まで名前が残るんだから、 相当プライドの高い人だったんだろうなぁ。 (あ、作品中には怨霊としてしか菅原さんは出てきません)
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