よるの読書日記
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2002年01月20日(日) 死の予感

『家族アート』<伊藤比呂美/岩波書店>
私は独身ですが妊娠・育児エッセイが結構好きで機会があると
読んでおります。著者との出会いともそれでした。
選んで読んでるわけではありませんが私が今まで読んだことのあるのは
母性をあまり強調しない人のが多い。
そのせいか過去に中絶した話とかよく出てきます。

うーむ。前回の話とかぶりますが二股だの不倫だの中絶だの、
お世辞にも自慢できないようなことを繰り返す
実際目の前にいたら絶対嫌いなタイプの人が、
これまた虐待だのレイプだの心中未遂だの、
普通絶対隠しておきたいようなことを大っぴらに
打ち明けてしまう心理を理解したいとは思わない。

でもそれに惹きつけられてしまうのは、彼らがそれを文学として
ちゃんと昇華させていて、尚且つ自分の中のどこかに
同じ業を感じるからなのかもしれません。
私達の遺伝子の一つ一つは祖先の交歓、姦淫、憎悪を経て、
子殺しや間引きを潜り抜けてきたのだから。

おっと、なんだか未熟な文学論みたいになってしまいました。
未熟な読書感想文に戻さねば。
夫と私、三才の娘から成る家族と、居候や友人、隣人らとの
一見普通で、でも奇妙な生活。家族というアートを築いている
著者は、詩人だけあってコトバに力があります。
自分の事を昔だったら難産で命を落としただろう、
きっと子宮が命取りになって死ぬだろう――みたいな記述があって。
男性にはわからないかもしれませんが(わかられてもちょっとイヤだが)
そのリアルさに読んでて貧血起こしそうになりました(^_^;)。

私はたぶん頭が命取りだと思います。
馬鹿やって死ぬと言う意味ではなく、いやそれもあるかもしれないけど、
遺伝的にヤバイのと体質的に頭痛持ちなのと。
どっちに転んでも危ない気がします。
人間ですからいつかは死にますがせめていつか
「よるの育児日記」が完結するまでは生きたいなぁ。
てことは死ねないな、ふっ。


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