よるの読書日記
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2001年11月22日(木) 何か腑に落ちない

たまにインチキくさい物が読みたくなって、って失礼か、
じゃ胡散臭い物(←反省の色なし)をと言う事で
『世界の悪女・妖女事典』<中江克巳/東京堂出版>
をセレクトしてみました。中江さんごめんなさい。
どの辺が怪しげかと言うとまずサブタイトルが
「歴史を手玉にとった魔性の女たち」と来たもんだ。
さらに目次をめくると
「ポンパドゥール夫人――寵姫の座をつかんだスゴ腕」だの
「エロイーズ――灼熱の恋をした修道女」だとか、
もう色眼鏡で見てますって感じ。

登場人物は桐生操の『やんごとなき』シリーズ<角川文庫>や
永井路子の『歴史を騒がせた女たち 外国編』<文春文庫>を
読んだことある人なら知っているメンバーがほとんど。
て言うかもしかしたら参考にしてるんじゃないかなー、
確かめようないけど。

週刊誌のように見出しだけハデなのかと思いきや、
読み進めるうちに首を傾げること数限りなし。
予想以上にとんでもなかった。
私にとっての新事実は純度九十九%下半身事情でした(笑)。
イタリアの女傑カテリーナ・スフォルツァや
暴君ネロの母アグリッピナのスカートめくり話のような
どんな史伝や歴史小説でも絶対使うような
超スタンダードエピソードは別としても、
一応そう言うのって歴史の闇の部分だと思うのに、
強姦も近親相姦も姦通も思いっきり断定口調。

なのにこの本、結局最初から最後まで一冊も
参考文献を明示してない……(--;)。
「…だったという。」
って誰が言ったんだよって思うでしょー!?
前書きにたくさんの文献を参考にしました著者に感謝しますって
それだけ。明示しなさいな。ノンフィクションの基本なのでは…。

で、最後の著者略歴を見たら列記されている著作は全部日本史物。
中江さん新境地。
文章は平易で読みやすいし、素人目で見る限りは
極端な史実からの逸脱はない、と思う。まー各人の枕事情なんざ
明確な証拠がない限り否定もできない代わりに
肯定もできないのですが。ただ何て言うのかなー、
面白おかしく書かれていて確かに面白いのだけれど、これが
文献調べて読んで、膨大な労力をかけている(筈の)真っ当な
研究者の著作と図書館で並んでいるのは如何なもんでしょう……。
ジャンル分けとしてはわかるんだけど。


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