よるの読書日記
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たまにインチキくさい物が読みたくなって、って失礼か、 じゃ胡散臭い物(←反省の色なし)をと言う事で 『世界の悪女・妖女事典』<中江克巳/東京堂出版> をセレクトしてみました。中江さんごめんなさい。 どの辺が怪しげかと言うとまずサブタイトルが 「歴史を手玉にとった魔性の女たち」と来たもんだ。 さらに目次をめくると 「ポンパドゥール夫人――寵姫の座をつかんだスゴ腕」だの 「エロイーズ――灼熱の恋をした修道女」だとか、 もう色眼鏡で見てますって感じ。
登場人物は桐生操の『やんごとなき』シリーズ<角川文庫>や 永井路子の『歴史を騒がせた女たち 外国編』<文春文庫>を 読んだことある人なら知っているメンバーがほとんど。 て言うかもしかしたら参考にしてるんじゃないかなー、 確かめようないけど。
週刊誌のように見出しだけハデなのかと思いきや、 読み進めるうちに首を傾げること数限りなし。 予想以上にとんでもなかった。 私にとっての新事実は純度九十九%下半身事情でした(笑)。 イタリアの女傑カテリーナ・スフォルツァや 暴君ネロの母アグリッピナのスカートめくり話のような どんな史伝や歴史小説でも絶対使うような 超スタンダードエピソードは別としても、 一応そう言うのって歴史の闇の部分だと思うのに、 強姦も近親相姦も姦通も思いっきり断定口調。
なのにこの本、結局最初から最後まで一冊も 参考文献を明示してない……(--;)。 「…だったという。」 って誰が言ったんだよって思うでしょー!? 前書きにたくさんの文献を参考にしました著者に感謝しますって それだけ。明示しなさいな。ノンフィクションの基本なのでは…。
で、最後の著者略歴を見たら列記されている著作は全部日本史物。 中江さん新境地。 文章は平易で読みやすいし、素人目で見る限りは 極端な史実からの逸脱はない、と思う。まー各人の枕事情なんざ 明確な証拠がない限り否定もできない代わりに 肯定もできないのですが。ただ何て言うのかなー、 面白おかしく書かれていて確かに面白いのだけれど、これが 文献調べて読んで、膨大な労力をかけている(筈の)真っ当な 研究者の著作と図書館で並んでいるのは如何なもんでしょう……。 ジャンル分けとしてはわかるんだけど。
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