よるの読書日記
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2001年08月29日(水) 哀しい性

「光の帝国」<恩田陸/集英社文庫>

長寿や予知、芸術など、常人とは違う
素晴らしい才能を持つ常野一族を描いた作品です。
巻頭の「大きな引き出し」は、暗記力を持つ春田一家の物語。
「虫干し」って発想が面白いですね。
情報を吸収していくと飽和状態になるので、
それを並び替え、取り出しやすいように七〜十日眠る。
ハードディスクのデフラグみたいなもん?

そして表題作の「光の帝国」は、
戦時中に常野の子供達を襲った哀しい物語。
もしものすごい能力を持つ者がいると知ったら
利用してやろうと考える大馬鹿野郎がいても不思議じゃない。
頑是無い子供に何てことするんだ!
と勝手に日本軍を恨む私。小説だってば。
でもここで出て来るような特殊部隊の連中が、
実験と称して外国で、罪もない人々を
苦しめたことは事実なんだよね。
あー、許せん。哀しい。

ところで惚れこんだ作品のあとがきに
次回作の構想とか書かれると
早く書いてくれー!!と、身悶えしたくなります。
あの、寡作で遅筆な新井素子さんなんか頭の中に
千年分架空王朝の興亡が入ってるらしいのよ。
やめてー、書けないなら言わないで〜!!





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