日記でもなく、手紙でもなく
DiaryINDEXpastwill


2002年04月08日(月) 嗚呼、銀行

 銀行名が一新して、もともとどこの銀行だったか、既にほとんどわからなくなっていたりする。

 <TOKYO STAR BANK>の支店の前を通る時に感じる、この銀行って?という何とも言えない感覚。どことなく違和感があったりする。特に、ロゴ・マークのデザインが、日本的な銀行と違うのだ。Starというくらいだから、星が描かれているはずなのだが、太陽のように見えるし、しかもその星の4分の1だけが大きく描かれている。4等分されたピザのひとかけらのようなデザイン。
 決して、悪く言っているつもりはない。日本離れしているデザイン。米国とか中南米あたりに行くと、当たり前に登場してきそうなデザイン、のような感じもするが、日本では数少ない。
 東京スター銀行なんていうくらいだから、極めてローカルな銀行のはずだが、結構目立つ。

 慌てて調べてみると、東京相和の営業を譲渡した銀行とあるが、親会社は米国の投資ファンドのローンスターとある。なるほどね。外資にたっぷりと輸血されて、今ここにある。

 太陽銀行と神戸銀行が太陽神戸銀行となり、太陽神戸銀行と三井銀行が一緒になってさくら銀行になった。協和銀行と埼玉銀行が一緒になってあさひ銀行になった。東京銀行と三菱銀行が一緒になり東京三菱銀行になった――ところまでは、徐々に変わっていったので、私にもよくわかっている。
 さて、消えたかに見えた三井の名前は、さくら銀行と住友銀行が一緒になることで、三井住友銀行になって復活してきた。おやおや。変な名前を付けるよりも、旧財閥名のついた銀行のほうが、何となく安心できる、というような人がまだ多いに違いない。三菱含め、とりあえず店名の中に、三大財閥名が表示される時代に戻ったが、一つだけ過去と違うのは、実際の店は三種類ではなく二種類だけになってしまっているということだ。

 第一勧業銀行と富士銀行、そして日本興業銀行の3行が合併してできた<みずほ銀行>。東海と三和の<UFJ>。新名称だけ表示されていると、もうよくわからない。その正体の解りづらさは、東京スター銀行とよい勝負をしている感じもする。
 それは今置いておくとしても、DKBと富士銀行というのは、一般の人々の貯蓄金額などでは、かつて覇を競い合い、支店数でもトップを争っていたような直接競合銀行同士だ。それが一緒になってしまった。
 別の視点で見れば、顧客の質が似ているところがあった、というようなことも言える。だから、合併統合すれば、ずっと効率化できる、という読みも十分できる。
 しかし、興銀になると、これは全く異質な存在。異質だから、確かにプラス・アルファになるとも言えるが、みずほ銀行の場合、生き残りのためには、異なった2つの作業を同時に進めていかなくてはならないという重要な課題を背負っている。 なかなか重い、まさに<黄金>の十字架。当然それは、大きな機会にもつながっているからに他ならない。

 みずほ銀行は、新銀行としてスタートを切った4月1日からATMでの混乱が、約1週間にも及んだ。本当はうまく乗り切ってほしかった。ただ、これを予想していた人も結構いたようだ。そういう人は、やっぱりねぇ、という顔をしながら話をする。

 ただ、問題の本質はATMトラブルということではないのかもしれない。むしろ、何を基準にしてサービスを考えるかというところに問題がなかっただろうか。まさに、顧客に対しての<ハート>の問題に行き当たる。
 思い起こせば、DKBも第一銀行と勧業銀行がいっしょになってできた銀行だし、DKBになるときに、ハートの銀行ということで、その親しみやすさを一気に獲得していったといういきさつもある。

 その気持ちはどこへ行ってしまったのだろう。ハートのマークが消えるとともに、トラブルが起こっていたのでは悲しい。新しい銀行が、他のサービス業の手本になる時代、その時こそもっと新しい時代になる。


riviera70fm |MAIL