日記でもなく、手紙でもなく
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2002年01月01日(火) 流通し始めた通貨ユーロ


 1月1日から、ヨーロッパは通貨ユーロが流通し始めた。ここまでくるのになんと30年かかったという。確かにECからEUという名称については、かなり以前から徐々に目になじんでいった感じがする。
 1990年頃、オランダに住む人が話をしていて今でもよく記憶していることがあって、簡単にヨーロッパというのは一つにならない、それぞれの国に歴史があり、文化があり、風俗習慣がかなり異なるのだから、どだいそれを一つにするのは無理だ、という。
 ただ、文化を一つにするのは無謀だが、市場経済的な側面から言えば、同じ市場の中でモノやサービスが流通していったほうが、市場効率は圧倒的に良くなり、そこに新しい競争が生まれ、大きなマーケットの中でビジネスをつくりだすこともできていく。グローバル化する経済の中で、ヨーロッパの通貨統合というのは、ドルのグローバル化に対しての、ヨーロッパ挙げてのカウンター攻撃でもある。
 
 かつてヨーロッパに行った折、とりあえず持っていくものはドルで持っていき、最初ロンドンでポンドに換え、次にポルトガルで換え、更にパリで換え、短い10日くらいの間に、3回も通貨交換したが、今なら大陸側だと通貨交換は1回位で済んでしまうことになる。ヨーロッパをあちこち短期間に回らざるを得ない旅行者などにとっては、この上なく便利になった。

 実は、今回の通貨統合は、経済統合を促進する手段として、採用された一つの手であるという。従って、当然国によっていろいろなところで価格差が明らかになってくる。ある高額商品の価格が、極めて安いところがあるとすると、それを求めて多くの人がそこへ買いに行くということになる。
 価格差が明らかになると、例えば<労働の対価>一つをとってみた場合、同じ仕事をしても、ペイの良いところと悪いところが出る。この価格差が歴然とすると、(言語の問題やそのエリアの物価等々は今考えないことにすると)ペイの良いところへ人が流れていくことになる。
流出したエリアでは、人口=市場が小さくなり、供給量が変わらないなら、需要が減ると価格が下がり、ペイは少し低くても、物価が安いので住みやすい、みたいなことになる。
老後はそのエリアに住む、みたいなことを考える人が増えたりすると、仕事が増えると同時に需要量が増えることにもなる。
 
 恐らくこのようなサイクルを徐々に繰り返しながら、ある程度安定し平準化が進行していくことになるのだろう。
 確かに通貨統合により、大きな経済圏が生まれてきたわけだが、決してこれからの道は平坦ではないだろう。言語・文化の違いにより、経済だけの統合では、予測できないことがらも多々生じてくるに違いない。
 その意味では、大いなる実験でもあるし、21世紀のヨーロッパを一つの市場として捉えた、まさに国家100年の計に近いようにも見えてくる。

 小泉さんの構造改革についても、本当はこれくらいの規模と視点からやってほしいと思うのは、僻みだろうか。


riviera70fm |MAIL