| 2011年03月12日(土) |
東日本大震災に向けて、佐野さんからメッセージが寄せられた |
それを「希望」と名づけよう 佐野元春
街が揺れた夜、君はひとり無断で、 市営プールに潜りこみ、身体を水に浸した
そして暗がりの中、瞑想した
人は時に、光に水に、雨に風に、感謝し、 人は時に、光に水に、雨に風に、屈服する
この闇の向こうに震えるのは 誰か、嘆きの声
同胞の不在は確かに不可解だ
それはそうだ しかしどうだろう
君は偽善の涙など流さないと誓ってくれ 決まりきったお悔やみなど無用だと言ってくれ
夜が明けて、そこにいつもどおりの太陽が照り、 草木は首をもたげ、 鳥たちは空を往く
あぁ、美しくも残酷なクリシェ!
一方で、 君の身体の細胞ひとつひとつに染みいる光はどうだ 傷だらけではあるが依然雄々しいその筋肉はどうだ
そうさ、君は同胞の不在を気にかけているんだろうが、
たとえば、 偶然にも生き残った君の生を讃えてみてはどうだ? たとえば、 生き残ったことへの幸運を噛みしめてみてはどうだ?
不謹慎だとわめく偽善者を後に残し 君が光を放つことで、友を弔うんだ
それを「希望」と名づけていいんだよ
余震は続く
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