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おおみち礼治のてくてく日記 DiaryINDEX|past|will
なんかだりー、という日が続いていて、仕事が進まない。
進まないではすまないので、今日はしょぼしょぼする目をこすりながら、お仕事。 下腹部の不快感と口の中のできもの、だるさ。 シャントの傷口が赤くなってニキビのようにぽっこり膨らんでいる。血管が薄くなってきたんじゃなかろうか……と心配になって、透析病院にタメの技師がいるんだが、彼に聞いてみた。 「なんか、出てきそうだもんね」 「シャントからは、血がぷしゅーってでますんで」 「なんか、ここも色が変わってますよね」 だって。 あのなー。透析後、いつもある疲労感と頭痛と動悸が、よけいにひどくなってしまった。 それをみて、「あ、大丈夫? 血圧測りますね」という。 この人は、病気をしたことがないのかも知れない。 医療者としては、適当なことは言えないのはそうだろうけれども、わしは、大丈夫ですよ、といって欲しかったんだが、まるでそういう気持ちが分からないらしい。 ……昔さ、シャントがダメになってシャルドンを作ろうということになり、何の説明もなく奴ら(笑)は、がちゃがちゃと用具の準備を始め(この無機質な金属で出来た道具たちの怖さったら)、おれのパンツをめくってぶっとい針をかざすのだね。 いったいなにをされるのかと不安でいっぱいで、泣きそうな顔で看護婦や医師や、むき出しになった自分の足を見ていたら、医師が「それどこじゃないって? なはははは」と笑うのですよ。その意味が分かったのは、一年後だった。つまり奴は――透析をするために必要な血量を得るために、足の付け根から、その奥にある静脈にカテーテルを入れる(シャルドン)のだけれど、針を刺すのに邪魔にならないように看護婦さんがパンツをめくって股間を抑えていることをいったのだった。 この人たちは、本当に自分が患者に何をしているのか分からないんだなぁ、と思う。わしはまさにそれどころではなく、マスクをし、鉛筆の芯くらいありそうな針をかかげてへらへら笑う医師を前に、不安と恐怖でいっぱいだったのだ。 針を刺すとき……たとえば、採血を擬音で表現すると、チクッとかプチッという程度だと思う。この時はゴリゴリゴリッっていったもんな。 医師は病気のことを知っている。 だが、それだけだ。人間を知らない。もし、本当に自分が人(患者)にしていることの意味がわかったら、医師など(恐ろしくて)やっていられないのではないか。自分が患者に普段していることを自分がやる立場になったらどうか、よく考えてもらいたいものですな。
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