たまには勉強しているところを披露してみましょう。
御飯は口に入ってモグモグかんで(咀嚼)飲み込み(嚥下)やすい形になり、 食道から胃に送られるわけだけど、胃と食道の間には噴門ていう締まってるところがあるので食べ物が胃に入ったら逆流しないという仕組みになっている。そして、胃は空の時はしわしわにしぼんでいるが、物が入ると2リットルくらいまでふくらむといわれている。
少しずつ進行していく体が線維化する病の人。 それは胃まで達し、かつ食道が潰瘍だらけという状態で口から食べられない状態だった。噴門も線維化し閉じない為、胃の容量を超えると逆流して嘔吐となる。栄養状態改善のために、胃までチューブを入れて液体化したものをそこから摂取した。痛々しいほどに努力家なその人は「口から食べる事をあきらめたくない」といい、口からの水分摂取量を伸ばした。それは、20分置きに水分を10ミリリットルずつ飲むといった根気の必要な作業だった。計算すればわかるだろう。1時間で30ml12時間で360mlだ。 毎日増減するグラム単位の体重に一喜一憂し必死だった。胃にチューブをいれた状態で帰宅を誰もが疑わなかった。 しかし、本人の諦めない気力が全てを変えた。主治医に質問し、自己管理ノートをベッド頭元において都度記載する。起床時間、服薬内容時間、排泄の時間回数、摂取したものとカロリー、体重、 体温血圧脈拍、訪室した人時間、見舞、気付いたこと。。頭の下がる想いだった。一日も欠かさずもう何十年もそうしているそうだった。 自分の体が時間の経過とともにいうことをきかなくなる。そんな恐怖と対峙していた。並の精神力でなせるわざじゃない。やせ細り、表情もままならないがいつも明るく笑っていた。その姿勢が関係者の心をとらえて離さなかった。みんなが励まされていた。みんなが協力したいと想い、主治医に断固訴えた。「あんなに頑張ってるんだからチャレンジくらいさしたげてもええんちゃいますの!センセは自分が大事なんですか。」応援団ににらまれて逃げ場を失ったセンセはたじたじしていた。そして口から摂取にトライする運びになった。 ゼリーのほうが飲めるかもしれないとの事で、ゼリーから摂取する事になった。その人は全身で喜び、嬉しそうにみんなに礼を言っていた。 その日の帰宅途中、ごっそり待ち受ける記録物(毎朝チェックされて、OKでないと実習に行けない=単位がもらえない=国家試験受けれない)に溜息しながらも、あちこち寄れるだけのスーパーやコンビニに寄り道した。 より少量でよりおいしくよりカロリーの取れるものを探す為だった。 結論、ウィダーインゼリーのエネルギーと、朝バナナが近いくらいカロリーがある。それ以上のものは市販品では見つからなかった。 翌朝、記録物のおかげで(寄り道するとその分睡眠が減る)目の下を真っ黒にしつつ、高カロリーゼリーの話にすっかり盛り上がった。 頑張って頑張って1日2本まで飲めるようになった。ババロアのような高カロリーの食事が出されるようになったが、ふとした時に「どんなんかあんたも知っとかなあかんで、ちょっと食べてみ。そしたらちょっとでもかせげるわ♪」と口にした事があった。 (「それじゃあ、意味ないじゃん。」心の中でそう思った)
摂取カロリーは必ず質問を受ける事柄で、本人の心情としては少しでも成果が上がっている事をアピールする必要があるのだ そしてそうする事で、自分にも言い聞かせているのだ「そう、大丈夫だ」と どんなに気丈にしていても食べれてうれしいと口にしていても、葛藤のさなかにいつもいる プライドがあるから、弱音を吐けない吐かない 口にするとそこで自分が崩れてしまいそうだから・・・ そう心中を察すると何も言えなかった
「自分が死んだら検体に出す。こんなにしんどかったんだって知ってほしいから。」 病でしんどいのに、気丈でいるのもまたしんどい 周りに協力してもらえる自分でいるのもしんどい しんどいだらけだ でも、逃げ出せるわけでもない 忘れたように暮らせるわけでもない それが本人の現実だ
結果、口から食べるという本人の希望通りの状態での帰宅となった。
自分を叱咤激励してこれからも生きていくのだろう それが自分が自分であることの証明なのだろう
切ない程に美しい魂 私は、ひとときでも弱音を吐いてもらえるようになろう
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