つれづれ日記。
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2012年08月08日(水) 伊織の手紙−海より−(仮)・7

 なんでこんなことになってるんだろう。
「そろそろ観念したらどうだ?」
「冗談。ようやく体が温まってきたところなんだぜ?」
 台詞だけ聞けば果たし合いのようにも思える。だけど実際は海岸で繰り広げられるビーチバレー。
「いくぜ!」
「なんの!」
 しかも二人とものめり込んでいる。
「先生、止めなくて良かったんですか?」
「この方が健全でいいだろ?」
「本当。二人とも楽しそうですね」
 確かに端から見れば球技に熱中しているようにも見える。そしてあながち間違ってもない。
「ここは私と彼女に任せて君は羽をのばしてきなさい」
「せっかく海へきたんですもの。伊織ちゃんも楽しまなきゃ」
 ユリシーズがいてもいなくても海を楽しめるとは思えないけど。大人二人の心遣いに感謝して海岸を後にした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「イオリちゃんこっちこっち!」
 離れた海岸でニナちゃんが手招きする。近づくと満面の笑みで出迎えてくれた。
「イオリちゃんは海は初めて?」
「こっちに来るとき船には乗ったけど」
 白花(シラハナ)からこっちへ渡る時に船に乗って。途中で一騒動あったものの、なんとかここまでたどり着くことができた。そのことがきっかけになってできた代物は護身用にと今も肌身離さず持ち歩いている。
「イオリちゃんは泳げないの?」
「泳げるよ」
 白花(シラハナ)にも海はあった。もしものことがあったら大変だからとお父さんにみっちりしごかれていた。 






過去日記
2005年08月08日(月) 「EVER GREEN」8−0UP
2004年08月08日(日) 砂漠にまつわるエトセトラ(エジプト編)
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