気まぐれ、我がまま、身勝手... 今の私にぴったりと当てはまる言葉だと思う。 物事を素直に受取らず、文句ばかり言って反発する 思いやりも愛情も感じられない。 自分のことばかりで人との距離を作って溝を深め 打ち解けようともせず、垣根を高くしている。
外に対してもそうなんだけど、 家庭にあっても、今の私は悪妻だと思う。 日記を書いて読み直すことで 自分の気持ちを整理したり反省したりしながら それでも行動が伴わないのは 自分の気持ちが半端なものだからだと思っている。
ただ、ここに至るまでの経緯が数年間にあって そのわだかまりが私の中から取り払われていないことが ひとつひとつの行動に疑問を投げかけているのも事実。 どうやって乗り切ればいいのかすら解らない状況で 自分の心ががどんどん荒んでいくのをただ悲しく思い悩むだけ。
過去を忘れるためにはどうすればいいのだろう。
先日、喧嘩をして口を聞かなかった日があった。 きっかけはささいなこと。 旦那さまの有休に彼が自転車で出かけようとしたところ 自転車の鍵が見当たらなかったらしく、そのイライラを バイト先から直接幼稚園に子供を迎えに行って帰宅した私に 責め立てる口調でいきなり投げ付けてきた。 「オレの自転車の鍵は何処へやってん!!」 玄関を開けた瞬間に、仁王立ちの彼が怒鳴った。 一瞬怒っている彼の状況が飲み込めずに 「はぁ?!」 あっけに取られた私。帰宅早々何のこと? こちらに何も身に覚えのないことなのに まるで私が悪いかのように責め立ててくる。
見当たらない鍵は、いつもの引き出しには入っておらず 自転車にもついていなかったらしい。 旦那さまの自転車に触れる事すらない私が 鍵を使うはずもなく、紛失した事態に思い当たるのは サトの先日の言葉だけだった。 「父さんの自転車と僕の自転車、同じ鍵が使えるんだよ」 全く別のお店で購入したものだったにもかかわらず ついていた鍵はメーカーが同じだったらしく それぞれの鍵でどちらの自転車も開閉が自由にできるということだった。 そこから察するに、自転車で毎日のようにお友達と遊びに出かけるサトが 何らかの理由で父親の自転車の鍵を持ち出したのだろうと推測がつく。 ただ、サトの自転車の鍵も引き出しの中には入っておらず 持ち出した鍵がどこにあるのかは サトの帰宅を待って聞かなければ解りようがなかった。 にもかかわらず、旦那さまの怒りの鉾先はこちらに向いたまま。 状況説明の後もただ頭ごなしに怒鳴り付けるばかりだった。
ないものをどうやって差し出せばいいの? 現状見当たらないことがすべて私のせい?
私ね、この頭ごなしに怒られる行為って大っ嫌いなのね。 いくら説明しても相手は怒り心頭で冷静に話を聞こうとはしてくれない。 散々怒鳴るだけ怒鳴って、本人は行っちゃうのよ。 それ以上釈明しようがないのに後を追って弁解するのも嫌だし。 「何でナイんや(▼皿▼メ)!!」 「何できっちり管理せぇへんねん!!」 「何で勝手に使わすんや!!」 「何で元に戻しとかんねん!!」 そんな捲し立てて怒鳴られてもねぇ... ずっと鍵見張ってたわけじゃないし。 関西弁って、ただでさえ聞く人を威嚇しているように聞こえるのに 状況さえわかっていない人に怒鳴り付けるんだもの。 怒鳴られる側はたまったものじゃない。
怒ったまま2階へ姿を消した旦那さまにムカムカしながら ちょうど帰宅して玄関の扉を開いたサトに 「事情をちゃんと説明して謝ってらっしゃい!」 と片付けていないことを叱った。
で、ふと思う。 わたしもキツイ口調で怒ってるなぁ。 日頃の自分を反省する一面だ(-.-;
この後、当日と翌日は旦那さまとまともに口も聞かなかったわけ。 相手は鍵のことでまだ怒ってたのかもしれないけど、 私としてはひたすら怒鳴り責められたことを 彼の口から謝ってもらうまでは許す気になれなかった。 「怒鳴って悪かった」と、それさえ言ってもらえれば 気持ちはもっと穏やかだったと思う。 ただ、今もってそれに対する謝罪の言葉はない。
これも現在の私の心に残る杭のひとつ。
こんな小さな出来事を引きずるほど 以前は気持ちも枯れていなかった。 消化しきれずに残ってしまうのは、 過去の旦那さまの行動に端を発する。
今をさかのぼること数年。宴会での出来事。 会社の飲み会は、飲酒運転をさせない為 泊まりで行ったり、送迎を家族に頼むことになる。
とあるお泊まり宴会があった後日、 会場で旦那さまたちが撮影した写真を手にする機会があった。 そこには酔っぱらった旦那さまの会社の人達が その会場に招かれたコンパニオンと乱れ絡む姿が写し出されていた。 コンパニオンに囲まれてデレデレする者、 カメラの前で堂々とキスをする者、 胸元に手を差し入れる者、服をめくり胸を覗き込む者、 下着丸見えの状態の女性を向い合せに抱きかかえる者等々。 見るに耐えかねる情けない写真ばかり数十枚。 ほとんどが妻帯者である。まったく情けない。 そこには当然、乱れた旦那さまの姿もあって それらの写真を笑ってみていられるのも最初だけだった。
「自分は何も疾しいことはしていないから 写真は堂々と見せられる」 変な事に威張っている旦那さまに白い目を送る私。 何が疾しくて何が疾しくないのか、 とても大きなはき違いをしていると思った。
かなり頭にきていたものの、その時はそれでも無理矢理気持ちを治めた。
それからまた後の宴会場。 会場が隣市だったこともあって、旦那さまを車で送って行った。 宴会が終わる時刻、店の近くに車を止めて旦那さまの出て来るのを待つ。 約束した時間を1時間もまわってようやく出て来た。 送迎は全然苦にならないけれど、約束した時間より あきらかに延びていることをわかっていながら この間に旦那さまから電話が入ったのは終わる20分程前に一度だけ。 夜も遅い時刻だというのに、子供達だけ家に置いておくわけにもいかず 総出でお迎えに上がっている状態でだ。 宴会の席を外れにくいのは知ってる。 中途退席が難しければ、せめて約束の時間に どれくらい延びそうか連絡をしてくるのがマナーだと思う。 いつ終わるかも知れない状況ではこちらも動くわけにはいかず ただただ車の中で待っているしかない。
宴会も終わり、かなり出来上がって出て来た人達の中から 旦那さまが現われる。と、後を追ってきた同僚が 車に乗り込む旦那さま越しに私に何か話しかけてきた。 「ご主人ね〜じつは...」 『うわ〜〜〜〜っ、いい! いいっ!!余計なこと言ったらアカンて』 畳み掛けるように大きな声で叫ぶとドアを閉めて 「早く行け行け」 と、ハンドルを握る私に指示を飛ばす。 (ははぁ〜ン、何かマズイことしてきたな) 酔った人間の口の軽さからだいたい言いたいことの察しはつく。 コンパニオンも来ていた宴会で、想像できることは 例の写真のような内容かも。ま、そこまではいかなくても大体解る。
これも待たされた挙げ句のことゆえかなり頭にきていたものの、 その時も何とか自分をなだめて気持ちを治めた。
それからまた後。 家族揃ってTDLに旅行に行った時のこと。 宿泊するホテルでカマをかけて聞き出したことがあった。 前々から聞きたかったこと。 宴会のコンパニオンに「悪さ」したことがあるか否か。 答は『YES』 頬にではあったがキスをしたことがある、とのこと。 この日は「絶対に怒らない」を条件に提示していたため あえてからかう程度で茶化して話を終えたのだけれど、 後日、旅行から帰宅した我が家で 家事と育児に追われる自分の姿を鏡で見て思った。 「必死になってるのは私だけなんだ」と。 家族のため、家のためと残業残業で頑張ってくれている旦那さまに 育児をほとんど手伝ってもらえずにいた日常でそれでも仕方ないかなぁと、 淋しい気持ちのまま背中を見送っていた毎日。 苦しくても淋しくてもはけ口もなく、ボロボロになってる自分も 家族のためなんだと考えればまだ大丈夫だと思っていたのに 主婦として孤立して必死になっていても 外で旦那さまはそんな風に振る舞えるのだと思ったら とたんに今いる自分がとても悔しくなった。
仕事の憂さを晴らすため、職場の人との懇親を深めるために 催される宴会はあえて「必要」なものだと思っている。 けれどそこへきて、酒の席だから酔った勢いだからと 招び入れたコンパニオンの胸に触れたり 抱きかかえたりキスをしたりすることが許されるのはオカシイと思う。 ハメを外したとか、気の緩みがあったとか、 後輩も盛り立てるためだったと言い訳をしたところで どんなささいなことでも大きな裏切り行為だと思った。 あの日からしばらくは子供を前にしていても 悲しくて悲しくて毎日泣いて過ごした。 どうしても笑顔が作れなくて、そんな日々をとても辛いと思った。
何かしていても あぁ、あの人は軽い気持ちで家族を裏切れる人なんだなぁと どんどん気持ちが悪い方へ悪い方へと傾いてしまって 心の亀裂は塞がることはなくなっていった。 一生懸命になっても無駄、彼のためにすることは無意味だと 愛情をそそいでも、簡単に手のひらを返されるのだと 心の片隅にいつも残る大きな傷になった。
そんなことがあって、信頼ができなくなり 「終わりにして欲しい」と伝えたこともある。 もちろんその時にはきちんと話をして 結論を出したから今にがあるのだけれど。
真の信頼を回復するには至っていない。 納得ではなく、信用ではなく 諦めに近い気持ちが心のほんの片隅のどこかにある。 裏切った行為に関しては今もって許すことができない私。
心から忘れ去る事ができたら今彼に抱く 何でこんなことまで私がしなきゃならないのという疑問も 解消されるのだと思う。 過去を消す方法を教えて欲しい。 優しさとか思いやりとか、心からの愛情をもう一度思い出してみたい。 もうあの日の悲しみに流されて消えてしまった感情を 本当はちゃんと育んで行きたい。
私がいけないことなの? 大切にすれば大切にされるの? 裏切られた傷はどうやって癒すの? 傷ついた心でどうやって愛すの?
今の自分を私は好きになれない。 でも今の自分を修正するすべを私は知らない。 笑ってやり過ごせる程、強い心じゃなかった。 何年も引きずって、何年もわだかまって 笑えるようになった今も、心は乾いている。
本当は見つめて欲しいだけ。 本当は愛して欲しいだけ。 でもどうすればいいのかわからないだけ。
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