世を忍ぶ仮の日記
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2005年06月13日(月) 古書といふ魔物

何を旅先でも魘されているのか一時間しか眠れず、しかしもう既に苦悩しながら書く作業が出来る体力も精神力も使い果たしてしまって、朝までぼんやりするしかない。
少し仮眠を取っておこうと日が昇ってからうとうとし、目が覚めたらチェックアウト30分前だった。
目覚まし機能できうちんの声を入れておいたのだが、一分間彼に言われ続けてしまってそれでも爆睡していたらしい。それよりも頼りになるのが体内時計のようだ(うそー!>自分)。
まだ食べていない北海の食べ物は無いだろうかと昼食で「にしん」を発見する。
にしんは私の中で勝手に絶滅危惧種に認定されており(数の子食べてるのにアホだな)にしんという魚を見たことが無かったのだ。
うきうき頼んでみたら、余りにも普通過ぎる味の大きな魚が出てくる。
「にしん。普通だ……」
にしんファンタジーを勝手に抱き、にしんの味にファンタスティックなものを想像していた私はショックのあまり友人にメールを送ったら「ああ。私は普通すぎるから食べないよ」と返信された。
度肝を抜く大きさのにしんでしたが、気にせず食べました。海は違えど海育ち、骨の多い魚でもちゃっちゃと骨をどけて食べられます。
ジンギスカン食べ忘れたけど、まあいいや。もろこしも食べ忘れたけど、まあいいや。
……よくなーい! いつかリベンジ!
今日も天気良く、パソコンもロッカーに入れてしまい、もうこれ以上悩んでは何もかもが破壊衝動に向かってしまう(7000字程度をデリートしてしまうな)と、リフレッシュしようと散歩に出かけました。
北大に行こうかな、と思う。その前に、ご当地ならではの古書店を探している。
「大学あるところに古書店あり」
確信を持って歩くと、本当に素敵な古書店を発見。錯乱して佐藤さんにメールを送ってみたり。
昔神保町で見たとある有名な初版本が、相場よりも200円安い、良心的な古書店。大きな大学の近くにあるのもあり、ジャンルは問わずに色んな本が、丁度良い配置で置かれている。
嗚呼、私が見てみたかったのは、これに近いのかも知れない……!! ジャスト「これが!」というのは怖いですから。一時間以上上から下まで何を見ていたのか覚えていないくらいに夢中で古書の海に浸りました。
いけない! これは海では無く沼なのだ。底なしの恐ろしい古書の魔界。
北海道の古書店はアイヌ文化の本が充実しまくっていて、恐ろしいです。
手、手をつけたらいかんよ? 明らかに量が多すぎて気付けば危険な世界にいるよ?


正気を取り戻して、外の空気を吸い、北大構内に入る。
白詰草やタンポポが咲き、新緑も眩しい校舎。芝生の上に寝ころんだりしながらテキストを開く大学生達。ベンチでパソコンを広げている、先生ぽい人達。
構内に川が流れているような大学の奥まで歩き倒して見学してみたいと思ったところで、いきなり捻挫が悪化。
い、痛いです。
どこで休むかってそれは図書館です。
まるで少女漫画の絵に出てくるかのような、理想の図書館館内と自習スペースに驚きつつ、中に入れてもらって速効本を選んで読んだり、しかめ面で勉強したりしてました。
何やってんだろ……。ベトベンの四和音がどうのこうのって……難しいようえーんえーん。ちなみに友人とベトベンの話をしていたら、友人は「あいつマジでダメだな」と、まるでシャツが半分だけ出ているマダオに向かって言う口調で言った。いつベトベンと知り合いになったんだ、お前。確かにマジでダメなオヤジだった臭するけどねえ。
足の痛みがやや引いたので即刻古書店へ引き返す。
3階にまた別のタイプの古書店があって、拘りがあってとても良かったし、品揃えの趣味も私が読みたい本と似通ってはいたのですが。
古書店店主が本を愛しすぎるあまりに、値段が妥当とは思えない高さだったので買うのやめました。どうも好みが似ているらしく、欲しい本に限ってちょっと高値設定なんだよね…(苦笑)。新古本までが、ハトロン紙に包まれているからといって高いのはなあ…。白本じゃなくて、黒本でもなく灰本ぽいのまでが高いのがなあ。まあ、全部初版なので、初版好きにはたまらないかもしれないんだけど……、売る気が無さそう……。独占欲強いなあ(にんまり)。
古書店店主、そんなに売りたく無いならばずっとハトロン紙に包む作業に勤しんで目録作りに勤しめばいい(というような古書店も好きなのですよね……結局はね……)。
やっぱり一階が好きだああああ! と時間が無くなってきているにも拘わらず再度舐めるように古書店に居座る。ちゃんと生原稿も飾ってあるし、記念切符も飾ってあるし、アイヌ関係も充実しまくっているし値段はガラスケースに入っている類以外は良心的かつ雑本も捨てずに安値で売るところも愛します。
私が、一冊の『江戸年中行事』という題名の本に惹かれて、箱から出そうと頑張ったのだが、意固地な本が出てきてくれず苦しんでいたら、お店の人が二人がかりで(笑)出してくれる。
大正時代に書かれた、うっかり木版刷りじゃないのかという味のある文語体と口語体の混じった江戸文化の紹介の本。
た、たたたたたまんない……! ハトロン紙に包まれた箱入り娘もとい箱入り本でめっちゃ綺麗だし、大正時代の本なのに「御意見書」(←今でいうとノベルス等に挟まれているアンケートハガキ?)みたいな紙までが大切に保管されている。
欲しい。欲しいけれど4500円。買えなくは無い。だがしかしこれを買ってしまったら、私は古書の魔物に魅せられ、身を滅ぼしていく道を辿ってしまうのだろう。
此処に、線が引かれている。私にはこの線を越える勇気が無い(勇気じゃなくて金だよ。金と置き場所だよ)。
10分以上本棚の前で懊悩し、諦めて箱に収め直していると涙が出てきた。
旦那がいる相手に惚れたはいいが自分に自信が無くて相手に手を出せない男、といったところか……。
1150円で2冊買って(うち1冊が50円だったし)、未練たらしくカウンターの横に置いてあった北海道の古書連盟(ニマリ)の目録200円を思わず手に取ってしまったら
「どうぞ。ごらんになって下さい」
と優しいおばさんに言っていただいたので、ガン読み。
余りにも吸い込まれていた姿が哀れだったのか、200円も払えずにお返ししようと思ったら
「どうぞ。差し上げますから」
と。頂いてしまったよ目録を! 
浮かれていいですか?


夕方にまた友人と待ち合わせ場所で一人、目録をニマニマニヤニヤ悦に浸った顔で読みふけってしまった。
友人は既にこんな私に慣れているのか
「ああ、良かったね」みたいなあしらいで、有り難いです。あと、楽譜有り難う。
もう今日にはお別れなので、なんだか寂しくなってしまい、しゃべる話が我ながらブツブツと途切れては意味不明になってみたり、変に会話を繋げようとしてしまったり、ぎこちなくなってしまう。昨日は会わなかった間を全く感じさせない時間の流れだったのに、別れが伴うといきなり自分で自分が分からなくなってしまう。
空港から見える、電車からの北海道の風景は、どこまでも山が見えなくて、圧迫感が無い、良い景色だなとしんみりした。
何処も住むとなれば別なのであろうが。ええ。
空港着いてうっかり浮かれ過ぎてしまい自分用のお土産で死にそうになりました。
西洋風とまではいかなくとも、せめて荷物を上に上げられなくて苦しんでいる人を助けるだけの心は持っていて欲しいな。
私だって、非力だけど、辛そうな人を見かけたら手伝おうとするよ?(メイビメイビメイビ)


ああ、良い古書との出会いをした……(悦)。
原稿頑張るぞー! おーう!(目録に資料が一杯あったの…・照れ)


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