世を忍ぶ仮の日記
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耳鼻咽喉科へ行って来た。 ご、誤解しないで欲しいんだ。 決して昨日「薬は飲まないでね、体に悪いからね」と言われてデヘーっとしすぎて風邪の申告をし忘れたとか、小声で風邪ですと言ってもつい笑顔になっちゃって薬下さいって言えなかったとか、そういうことじゃないんだ。 はうーん。医者が魅力的過ぎるって、罪。 学校近くの耳鼻咽喉科に行って来ようと思ったのは、次の日声楽のレッスンがあるのに喉が一番ヤバそうだったからだ。 かかりつけ耳鼻咽喉科の医師は喉フェチ。声楽と狂言をこよなく愛し、声帯を愛しすぎて気がついたらうちの学校の先生になっていたという強者。あんたいつの間に学校に入ったのよ。 吃驚して以来、その先生が単位に見えるようになった。 学生の頃の悪癖はまだ抜けない。 丁寧な診察なのだが、やっぱり鼻には興味無いらしく、適当にシャッと処置して、喉にうつる。 丁寧さ、5割増し。 君、考えてる事露骨過ぎだから。 も、面白すぎるから。 「明日の声楽のレッスン、なるべく受けたいんです」 キラン☆と光る医者の目。 私も勿論それを狙って言ったのだが、打てば響くその態度にもう、腹筋よじれそう。 しっかりと声帯の炎症を見るまで容赦無しに喉を開けさせ、炎症をしかと確認し、それを丹念に書き込む。 トドメの私の一言。 「ここのところ、ちょっと声楽のレッスンで痛めたりしたから……それもあるのかもしれない」 「何歌ってたの?」 打ったら響くなあホント。 ポン。 「トゥーランドットとかトスカとかつばめのドレッタとか、プッチーニを主に」 にへら〜と顔が緩む医師。 「ああ。あれって喉にきちゃう人っているんだよね。曲はいいんだけど」 「本当に。曲は良いんですけどね…」 ますます嬉しそうな医師。 ていうか面白いから、あんた。 結局、あんま歌わない方が治るの早いよ、という感じでしょんぼりしながら蒸気を当てるブースに行って、エステみたいに蒸気が出るところに顔を当ててひたすら息を吸い込んでいる間に、次の患者さんを診はじめる。 ……狂言の話で盛り上がっているつぽい? ハルオさんだかなんだか師匠の話でやたらと大盛り上がりをしはじめ。 私が喉に蒸気を当て終え、振り返ったそこには。 和の笛を構えて ピューっと気持ちよさそうに笛を鳴らしている医師の姿が! 私のあまりの「え?」という表情に、医師も私もお互い動揺しながら、私は診察室を後にした。 待合室では、「まただわ、困ったわねえ」という表情の受付の人と、素直に「何事?」という表情の人と、変に盛り上がりすぎて混みはじめた為「いいからはやく!」という表情の人が居た。 先生、人生、欲張りに楽しいのはとってもよいことだと思いますけど。 でも診察中にあんまり遊び過ぎちゃダメですよ。 ちなみに割と格好良かった(今は太った)んだが、若い頃からハゲてた。普段帽子被って分からないようにしている為、逆に帽子取られると誰だか分からない。
で保健室で眠った。
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