ヤグネットの毎日
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2002年05月29日(水) 小さく美しいまちの大きな挑戦

 北海道への会派視察二日目。宿泊先の小樽を早朝に出発。1両編成の普通・ワンマン列車にしばらくゆられると、左に「蝦夷富士」とよばれる羊蹄山とスキーヤーにはあまりに有名なニセコ・アンヌプリが出迎え。
 僕たちは、このニセコ町で「まちづくり基本条例」など、先進的な自治体運営について学んだ。
 ニセコ町では、就任した逢坂誠二町長(現在2期目)のもと、行政の透明性の確保をめざし、1)住民との情報の共有、2)住民参加の行政を柱にして、ユニークな取り組みをすすめている。
 住民との情報の共有ではどうか。まちづくり町民懇談会、まちづくりトーク、まちづくり懇談会、こんにちは(おばんです)町長室など、多様な手段で町民にあらゆる行政情報を提供し、町民からの意見を吸い上げる努力をすすめている。町長は、毎月平均3〜4回程度、直接町民のところに足を運んで町政の動き、自分の思いなどを語りかけているという。
 話を聞いて圧巻だったのは、「町民向け予算説明書」。毎年予算議会が終わると、役場の各担当者が町民向けにその年の予算の使われ方について、図表やグラフを駆使して、わかりやすくまとめたパンフレットを各戸に配るのである。たとえば、今年度のパンフレットの48ページには、「道路の整備」が説明されている。
 「本年度は、太田光枝さん宅地先から元町地域コミュニティセンター地先まで260メートルの歩道工事と道路工事をおこないます」との説明の下にわかりやすい地図も記載。しかも、この事業が北海道の事業としておこなわれるものであり町の負担がないことが、町民みんなにわかるように書かれてある。
 「町民みんながわかるように説明する。しかも、行政の仕事のすべての過程が透明にされていること」ーーこの考え方が、行政の仕事の全体に行き届いているのである。
 
 住民参加の行政という点でも、企画立案から実施にいたるすべての過程において、住民参加を位置づけている。その集大成が、まちの憲法ともいうべき、「まちづくり基本条例」の制定である。
 ともすると、行政は「上から民を見下し、施しを与えるもの」という考えや体質に侵されがちである。「施策」という言葉にも、そういうニュアンスが多分にこめられている。そして、権力の側が住民の権利をどこまで制限し義務を課すのか、という発想から様々な法律や条例はつくられてきた。
 ところが、ニセコ町では、発想が逆である。政策立案にかかる、あらゆる情報を町民と共有し、住民に説明することを行政側に義務づける。そして、町民に行政に参加する権利があることを、高らかに宣言したものが、この「まちづくり基本条例」なのである。こうしてこそ、「自分の頭で考え、行動する」ーー真の住民自治をすすめることができる。ここに、逢坂町長の思いが込められている。

 町長の思いは確実に、町民に浸透しつつある。町民との懇談も最初は、「抗議型、陳情型」の意見が多かった。ところが最近では、町民のほうから提案がされたり、行政をまきこんで、町民同士で活発なディスカッションが展開される、など変化しているという。

 羊蹄山が妙に高くみえた。行政マンがイキイキとしているのが印象的だった。小さく美しいまちの大きな挑戦、という自信と意欲がみなぎっている。21世紀の地方自治体のあり方を、自らの試行錯誤をともなう実践によって切り開いていくーー開拓者精神旺盛な北海道の人たちの意気込みにふれて、クラーク博士の「少年を大志を抱け」という言葉を思い出しながら、5月のさわやかな北の大地の空気を思いきり吸い込んだ。


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