新1000円冊にもなるということで密かにブームなこの御方。 何を隠そう今回の集中講義の主人公でいらっしゃる。 大学に入った折に何冊かの(いわゆる)名作を購入したまま、 未読であった内の1冊『にごりえ・たけくらべ』(新潮文庫)も 漸く日の目を見るわけで、そっと胸を撫で下ろす次第である。
今日の講義では一葉の生い立ちを辿るところからスタート。 裕福な家庭で育ったお嬢様が実家の没落から突然の生活苦に見舞われ、 家族を養うため一攫千金を夢見て、小説を書こうと決意する。 その後、半井桃水との出会いと別れを経験した一葉は、 当時の文壇の第一人者であった紅葉の文体を継承し得る実力を持つ 類稀なる女流作家として、文壇に颯爽と登場するわけである。
しかし、今回軽く触れた初期作品、 『闇桜』『たま襷』『五月雨』『別れ霜』の四作品は 私達が知っている一葉作品とはかけ離れていて実にびっくり。 近代女流作家の代表者とも言える一葉だって、決して最初から 完璧であったわけではないのだな、とその人間臭さに惚れ直す。
夜、今回の集中講義の客員教授の歓迎会。 やはり、先生との飲み会というのは緊張して参るのであるが、 話し上手な方ということもあって、その博識さに驚く。 このお方、その筋ではかなり有名な研究者であるらしく、 T甫女史の卒論はかなりこのお方の論文に傾倒しているらしい。 自分が読んでいた論文の書き手と対面するなんて、本当に貴重な体験。
|