米国発 金融危機関連情報

2009年07月24日(金) 米国の住宅価額更に下落を続ける?

資料

1、FRB議長「住宅価格、下げ止まりと言えず」 上院で証言
                 2009年7月22日  日経
2、米住宅、本当の危機は2011年以降?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20061122/114226/
3、米国経済統計・住宅着工件数
http://info.hd-station.net/data/us/house.pdf

 米国に住宅の概要を記述したい。
2003年〜2006年の3年間は年間算で180万件を超える住宅の建設があった。
サブプライムローンを使ってのムリな建設が続いたのである。2008年以降住宅バベル崩壊で、年間算で100万件前後落ちる。ここに金融危機が加わり2009年は年間算で50万件前後となっている。

 ここから果たして上昇に転ずるのか。既存の住宅価額はFRB議長の証言の通り「下げ止まりと言えず」なのである。資料2によれば米住宅、本当の危機は2011年以降であるとも指摘である。

バーナンキ議長の思考も「返済能力のある借り手に対し、銀行が融資を拡大するよう促す」と証言するあたりバブル時代そのままである。国民に借金をさせて需要を起こし景気を回復させようとの思考だ。可笑しいと思わないのだろうか。

「米住宅、本当の危機は2011年以降」のリポートの中で注目すべき記述があった。「リタイヤしたベビーブーマーたち(日本の団塊の世代)が「ダウンサイジング(小さく安い住宅への住み替え)」を始めれば、住宅価格にとっては強い下落圧力が加わりかねない」大きな住宅の売りが多くなれば、住宅価格の下落圧力となる。日本も同じような現象化があるのだ。
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FRB議長「住宅価格、下げ止まりと言えず」 上院で証言
 2009年7月22日  日経

 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は22日、上院銀行委員会の公聴会で証言し、米景気後退の引き金になった住宅市場の状況について「価格下落が終わったとは言えない」と述べた。議長は前日の下院での証言で米経済に安定化の兆しがみられると指摘したが、景気の先行きには依然として慎重な見方を維持している。
 議長は「過去6カ月間に住宅の空室率は上がり、賃貸料は下がった」と指摘。資産価値の目減りに加え、雇用情勢が悪化していることから家計は引き続き消費に慎重になっていると分析した。
 企業や家計への貸し渋りが解消していないとの指摘には「返済能力のある借り手に対し、銀行が融資を拡大するよう促す」と強調。消費者・自動車ローンなどから組成した資産担保証券(ABS)をFRBが買い取って家計への融資を後押しする新融資制度など、異例の資金供給策について「必要なら期限を延長する」と述べた。 (09:31)

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2、米住宅、本当の危機は2011年以降?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20061122/114226/

 「住宅市場の調整はまだ続くが、最悪期は脱し来年半ばにも底入れか」――こうした見方が米国のエコノミストたちの間では少しずつ増え始めている。全米企業エコノミスト協会がこのほど公表した定例アンケート調査によれば、住宅セクターの底入れ時期の予想は「来年半ば」との回答が4割強を占め、「2008年以降」との回答はわずか1割にとどまった。グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)前議長も、最近の講演で「住宅市場はまだ底を打ったとは言えないが、最悪期は過ぎたようだ」との見方を示したと報じられている。
ベビーブーム世代退職で住宅価格は長期低迷?
 しかし、仮に今後短期的に底入れが見られたとしても、米国の住宅市場にとっての本当の危機はむしろその後に訪れる可能性がある。そしてそれは長期にわたって住宅市場に吹き続ける逆風となるかもしれない。
 主因はベビーブーム世代の退職に伴う住宅需要の減少だ。1946〜64年生まれのベビーブーム世代は、67年頃から労働市場に参入を始め、以降40年近くにわたって米国の人口構成や住宅市場のダイナミズムに大きな影響を与えてきた。今後彼らは退職を迎え、貯蓄を取り崩す世代になる。リタイヤしたベビーブーマーたちが「ダウンサイジング(小さく安い住宅への住み替え)」を始めれば、住宅価格にとっては強い下落圧力が加わりかねない。
 こうした人口要因による住宅市場への影響に関して、昨年秋、FRBのエコノミストが興味深い論文を発表した。
 同論文は、労働力人口が全人口に占める割合の推移を基に、ベビーブーム世代の労働市場からの退出が住宅価格や金利にどのような影響を与えるかを、理論モデルとシミュレーションによって分析している。
 それによると、住宅価格はベビーブーム世代の退職が始まる2008年から2011年にかけて頭打ちとなり、その後は長期間にわたって下落を続けることになる(図1)。2030年代後半にはピーク比で3割もの下落がもたらされるという、何とも暗いシナリオだ。
 実は、ベビーブーマーの存在が住宅価格に影響を与えるとの見方はかつてもあった。代表例はグレゴリー・マンキュー前大統領経済諮問委員会委員長(現ハーバード大学教授)らが1988年に発表した論文だ。
 80年代の住宅ブームがピークを迎えつつあった当時、同論文は、90年代に入るとベビーブーマーがおおむね世帯形成期を終えることから住宅需要が低迷し、1990年代〜2000年代の20年近くにわたって住宅価格は大幅な下落を余儀なくされるとの見通しを提示し、エコノミストの間で大きな議論を呼んだ。

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石田ふたみ [MAIL]

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