米国発 金融危機関連情報

2009年06月03日(水) GMと取引の日本企業、債権回収不能の恐れ

1、GMと取引の日本企業、債権回収不能の恐れ相次ぐ
                  2009年6月2日  日経
2、GM向け売り掛け債権、一部回収不能の恐れ…国内3社 
  2009年6月2日 読売新聞
3、米政府、周到なシナリオ…GM破綻ショック緩和に全力
2009年6月2日  読売新聞

 GMが米連邦破産法11条の適用を申請したことを受け、取引先のスズキとタカタは2日、GMグループ向け債権に回収不能の恐れがあると発表した。スズキはGMグループ向けに294億円の債権を保有。タカタもGM本体に約7億円の売掛債権を持つという。

 報道2の通りスズキは、売掛け債権のほか、GM子会社とのカナダの合弁会社への出資金や債務保証など計612億円の回収ができない恐れがあるという。日を追ってGMの影響が明らかになってくるようだ。

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1、GMと取引の日本企業、債権回収不能の恐れ相次ぐ
              2009年6月2日  日経
 GMが米連邦破産法11条の適用を申請したことを受け、取引先のスズキとタカタは2日、GMグループ向け債権に回収不能の恐れがあると発表した。スズキはGMグループ向けに294億円の債権を保有。タカタもGM本体に約7億円の売掛債権を持つ。
 スズキはカナダにあるGM子会社との合弁会社やGMの関連会社に、貸付金や車両などの売掛債権が294億円ある。合弁会社への出資金や債務保証額を合わせると総額は716億円に及ぶ。破産法を申請したGM本体への債権はない。
 同日記者会見したスズキの鈴木修会長兼社長はGMグループ向け債権について「現時点では売掛金の遅延もない。全体としても債権確保の面で心配はしていない」と述べ、業績や事業への影響は限定的と強調した。(20:33)
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2、GM向け売り掛け債権、一部回収不能の恐れ…国内3社 
  2009年6月2日19時43分 読売新聞
 米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営破綻(はたん)の影響が、国内企業に出始めた。
 自動車大手のスズキといすゞ自動車、シートベルト大手のタカタは2日、GMグループ向け取引で、売り掛け債権などの一部が回収不能になる恐れがあると発表した。
 回収不能の恐れがある売り掛け債権は、スズキが約104億円、いすゞは約16億円、タカタは約26億円となっている。いすゞとタカタは債権のうち、GM本体との取引分について米政府の債権保証制度の利用を申請している。
 また、スズキは、売り掛け債権のほか、GM子会社とのカナダの合弁会社への出資金や債務保証など計612億円の回収ができない恐れがあるという。
 帝国データバンクによると、GMと取引がある国内102社に売り掛け債権が回収できない可能性があるという。アイシン精機やブリヂストンなど20社超の部品・素材メーカーは米政府の債権保証制度の利用を申請した。だが、全額が保証されない可能性もあり、中小企業に悪影響が広がる懸念もある。
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3、米政府、周到なシナリオ…GM破綻ショック緩和に全力
2009年6月2日03時09分 読売新聞
 約80年にわたり世界一の販売台数を誇った米ゼネラル・モーターズ(GM)が1日、経営破綻(はたん)に追い込まれた。今後は米連邦破産法の適用を受け、さらに米、カナダ両政府の支援のもとで再建を目指す。4月末に同法の適用を受けた米クライスラーはこの日、1か月という短期間で裁判所の管理から抜け出したが、規模が大きく多様な事業を展開するGMの再建は、平坦(へいたん)な道のりではなさそうだ。
 ◆「実験台」◆
 オバマ米大統領は30日に放映された米テレビインタビューで「(GM再建に)できれば政府は関与したくなかった」と述べた。
 米政府の自動車業界への支援は、時を追うごとに膨れあがってきた。GM本体への支援額は計約500億ドル(約4兆7500億円)に達し、クライスラーや関連金融会社、部品業界への支援もある。
 加えて米議会では、環境技術開発への支援強化、新車買い替え促進の助成などが議論されており、すべて合わせると1500億ドルを超える可能性が出てきた。
 海外からは一部で「特定業界への保護政策だ」との批判もあがりそうだ。それでも、オバマ政権がGMの一時国有化に踏み切らざるを得なかったのは、米経済への影響が大きいからだ。
 GMは北米事業の売上高が約861億ドルに上り、米国内の工場従業員だけで約6万1000人もの雇用の受け皿になっている。再建への道が開けずに清算となれば、回復の兆しが出ている米経済を再び奈落の底に落としかねず、オバマ政権にとって致命傷となる懸念もあった。
 米政府は、GM破綻の衝撃を和らげるために「周到なシナリオ」(関係者)を練った節がある。
 債権者の数が限られ、破綻処理が比較的単純と見られたクライスラーを1か月前に「実験台」として破綻させ、混乱の程度やGM破綻の際に必要な措置を見定めた。さらにGMが破綻する当日にクライスラーの「出口」を公に示す――。市場では、これらを米政府の必死の演出、とする見方がささやかれている。
 オバマ大統領は1日、裁判所の管理から事実上脱したクライスラーについて、「何万もの雇用が救われるだろう」と評価し、破産法適用の利点を強調した。

 ◆技術力◆
 GMは、販売台数で3分の2以下にまで、経営の身の丈を縮める。
 「新GM」は「シボレー」「キャデラック」「ビュイック」「GMC」の4ブランドや、採算の取れる事業、資産だけを引き継ぐ。生産拠点や販売網は大幅に減り、6万1000人の工場従業員は、10年末までに4万人に減らす計画だ。
 政府の支援もあり、新GMの負債は170億ドル程度と、現在の5分の1程度の規模に圧縮される。財務の健全性は、海外の競合メーカーをやや上回る水準だ。
 ただ、再建の行方には影もさす。一つは、米政府とGMが「事前準備」のとりまとめを急ぐあまり、全米自動車労働組合(UAW)に譲歩を重ねたことだ。
 例えば、小型車は当初、生産コストの安い中国や韓国からの輸入を目指していたが、31日発表の再建計画では、米国内の休止工場で生産することに変更され、閉鎖工場の数は16から14に減った。人件費に関しても、手当などが削られた一方、基本給や年金支給額などはほとんど手つかずだ。
 「雇用維持を迫るUAWの圧力に屈した」との見方が出ており、GMを破綻に追い込んだ一因ともされる高コスト体質が解消されるか疑問符が付く。
 また、自動車メーカーの競争力回復には商品力を高めることが不可欠だ。現時点で、GMが魅力ある小型車や環境対応車の開発技術をどこから導入するのかは不透明で、再建への道筋は十分に描き切れていない。(ニューヨーク 池松洋、ワシントン 矢田俊彦)
          ◇
 二階経済産業相は1日、GMの破綻に伴い日本の中小企業などの経営が悪化した場合には、政府系金融機関を通じた資金繰り支援を検討する考えを示した。
 帝国データバンクによると、GM破綻により日本の102社が売掛金の回収ができないなど不良債権を抱える可能性がある。このうち年間売上高が100億円未満の中小企業が52社ある。
 経産省は「早い段階から(GM破綻が)起こりうることを承知していただけに、大きな混乱はない」(二階経産相)との基本認識だが、今後、中小企業への影響の広がりを注視する考えだ。
 日本の自動車業界には、GMの再建過程で失業者が一時的に増えたり消費者心理が悪化したりすることの悪影響を心配する声がある。米国では日米の複数のブランドを扱う販売会社が多い。GMやクライスラーは不採算店舗との契約打ち切りを進めており、米販売会社の倒産が相次げば、日本車の販売にも影響が及びかねない。
 また、トヨタ自動車は、取引のある米系部品会社が連鎖破綻した場合に備え、北米工場で約2か月分の自動車部品を積み増した。特に経営が厳しいとされる米部品会社約40社の動向も点検し、「必要があれば資金支援などを行うため、数百億円を準備した」という。ホンダも北米工場で部品在庫を増やした。


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石田ふたみ [MAIL]

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