天下無敵な過ごし方
ああ、今日も今日だねぇ。
ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
2001年11月30日(金) おやじな神様を見る

なんて書くとファンに殺されるかも?
もちろん、あたくしのファンではなく、
ギターの神様、エリック・クラプトン氏のファンに。

高校時代からの友人・礼ちゃんに誘われて、
クラプトンの日本公演にいった。
武道館で行われるライブに行くのは 生まれて初めて。
クラプトンは嫌いではないが、ファンと言うほどには程遠く、
CDは 友人から買ったのが1枚。
ライブに行く前に 耳に穴が開くほど聴いた なんてことはしない。

おりしも、(後で知ったのだが)この日、
ジョージ・ハリスンが亡くなったらしい。
(あたし以外の皆が知っていたらしい。礼ちゃんは 会場で教えてあげたじゃんと云っていたが記憶にない・・・)
でも あるいは だから 
「レイラ」は2バージョン歌った。

最初は 座って演奏していた。
この前行ったクワトロのライブより、演奏者は若いのだが、
聴衆者がちょっと年令が上。
なので(なのか?)皆 座って聴いていた。
多分、聞き入っていた。

で、あたくしはというと、
アリーナ席の端っこではあるが3列目の
席の数メートル前はでっかいスピーカーがあって、
そこから ズンズン響く音が心地よく

寝入った。

多分 30分ほど。

まったく贅沢な子守唄♪

がしかし、寝入ったぐらいで驚いてはいけない。
このライブで、まったくもって、
もっと贅沢極まりない光景を目撃した。

それは、2回目のレイラ(ロックバージョンとでもいうのだろうか?)
初めて会場が総立ち(開始後約1時間20分ほど経過)になった後、
礼ちゃんが「世界で一番好きな曲」だと告白してくれた、
“Wonderful Tonight” が演奏された時だった。
スローなナンバーだったので、一旦は総立ちになった客も
おケツを席に落ち着かせ、また「聞き入りモード」になった。

どんな時にもところにも 熱烈なファンは存在する。
彼等はまさにそうだった。
最初から立ち上がり、リズムに合わせて体を揺らせ、手を叩き、
全身で「エリック・クラプトン」を楽しんでいた。
で、その彼等、
男性2人、女性1人。
どうやら 友人とカップル、あるいは友人同士とそのうち1人のコイビト
という組み合わせらしい。
彼等の席は あたくしの席の真横の列。
クラプトンの真ん前。数メートル離れた位置の。

礼ちゃんが「世界で一番好きな曲」をクラプトンが演奏してる時、
彼等のうち、カップル男性が女性を後ろから抱きかかえるように寄り添い、
二人は曲に合わせて抱き合ったまま、体を揺らしていた。
曲に合わせて。

彼等とクラプトンとの間に障害物になるような
聴衆は立っていない。
数メートル前では「ギターの神様」と言われた男が
自分たちの為にラブソング(なのか?)を歌っている!!
あたくしの目には 正にそのように見えた。

なんたる贅沢!

こんな事を個人的に頼むのだったら
いったいどれぐらいのドルがいるのだろう?
なーんてことを考えてしまった。




あんた一体何を見に行ったのさ?
そう言われてもしょうがない。
ライブの間、もちろんそのもの自体も楽しんだのだが、
周りの環境−−−クラプトン達の頭上10m上にいるライトマンたちや、
3階の客席後方に照らし出される クルクルとしたライトや、
恍惚状態で聞き入っている元ギター少年?の中年スーツ形の会社員達を
見るのもすごく楽しかったのだ。
でも正直言って
クラプトンは 
うらびれたバーで バーボンロックをちびちび啜りながら
聴いてみたい と思った。

その音の温度を確かめられるぐらい近い距離で。



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