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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
失敗したけどね。 田中学院 休学中 高崎麻代。 倉庫は主に運動会や学芸会などで使われる大道具を閉まっている。普段はカギが掛けられて入れないようになっていた。良介はあらかじめカギを借りていたのでそこを開ける。 「普通、こういうところのカギってしまっているよね。なんで、高崎さんは入れたの?」 貴乃が尋ねる。 「……なんでだろう?」 そう考えると不思議だ。良介はそれまで気づかなかった。 「何らかの理由で開いていたから?」 倉庫を開け、懐中電灯で照らす。中は寒く湿っている。 「なんで、冬休みの前日にここに入ったの?」 再び貴乃の問い。二人は答えることはできなかった。 「……来るわ!」 可奈の声であたりの雰囲気が変わった。後ろには麻代の半透明の姿がある。 「クリスマスの夜に、誰にも見られないところで一夜をすごすと思いがかなうんだって」 麻代の姿が話しかける。 「高崎さん!?」 話しかけてくるのは初めてだった。姿を確認できても彼女は消えていなくなる。 「それで、思いはかなったの?」 と、可奈。 「うん。だって良介くんが来てくれたもの」 「じゃあ、戻れるかしら?」 麻代の姿が消えていく。そして、その足元にはかわいらしいメモが落ちていた。 そのメモには先ほど麻代が言った内容が書かれている。 「子どもの字だ」 懐中電灯でメモを照らして見る。きっと麻代を困らせようとした子たちが、これを麻代に渡したのだ。そして騙された麻代はよりによってこの倉庫を選び、閉じ込められた。 「『都市伝説』?」 「部長?」 「『魔』が言っている。『都市伝説』というのがいるらしい。変に世の中の理を弄って、理解を超えることをするって」 「それって、都合のいい話ってこと?」 可奈が呆れたように言った。 去年まではなぜ麻代は解放されなかったのか。毎年冬休みは必ずしも同じ日に始まるわけではない。学校行事、都合上などの理由や、土日にかかればずれることになる。今日は、冬休み前日のクリスマスだった。実に、6年ぶりのことだった。
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