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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
「お兄ちゃん、着いたよ」 森の中でも開けた場所だった。小さな湖があり、そこには女性が佇んでいた。 「お帰り。誰を連れてきたの?」 「ただいま。困っている人だよ」 「そうね。あなたはそういう人しか連れてこないからね。で、旅の方でよろしいのかしら? この子がご迷惑をかけなかったかしら?」 「いえ、全然。とても助かりました」 素直に伝えた。確かに妖魔にあのまま気力を奪われ続けていたら、本当に行き倒れになるところだったのだから。 「そう、良かった。あなたはとても誠実な方のようだから良かったわ。この子の魔法を悪用したりすれば、どうなるかわかりますよね?」 「俺の勘はあまりかかわるなって言っています」 先ほどからひしひしと訴えている。本当なら逃げ出しているところだ。 「いい勘を持っているね、お兄さん」 少年はやっぱりやわらかな笑顔で言っている。しかし最初のころよりもわずかに嫌な影がある。 「でもね、もう逃げられないから」
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