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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
あっちゃ〜ってなもんです。 その夜は、エクレが作ってくれたシチューとパン屋から貰った売れ残りのパン、八郎がこっそり買って隠していた干し肉とチーズ(ドッツェに見つかれば食べられてしまう)、とっておきのビールが食卓に並んだ。 「ま、歓迎会ってところだ。酒は飲めるか?」 「え、ええ、まあ」 アレクのカップに注いで自分のカップにも注いだ。 「ドッツェはこっちな」 やはりエレクから貰った手作りの木いちごジュースをドッツェのカップに注ぐ。 「わー、かんぱーい!」 乾杯の習慣がないのかアレクは見よう見まねで二人に合わせた。 「こんなお酒は初めてです」 「そうか。俺の国にも似たのがあってな、もっと濃い味なんだけど、これはこれで美味いんだ」 ドッツェは大人しいと思っていたら早速干し肉に噛み付いていた。 「でも、本当に皆さんに良くしていただいて」 「まあ、とりあえずできることをやるんだ」 「でも、ハチさんが探偵業に向いているとは思えないけどね」 ドッツェはやっと噛み切った干し肉をくっちゃくっちゃと噛みながら、今度はパンにかぶりついている。 「私に出来ることと言ったら、占いくらいです。あ、いつ帰れるとかそういうのは占えません。失せ物を見つけることが得意なんですが」 「へえ、じゃあ俺の探偵事務所で働かね?」 「そうですね。私も一人よりは心強いから」 「ところで、今のところ、身体に変化はないか?」 「?」 「まあ、まだ出ないか」 「あの、何か?」 「アレクは何になるんだろうね?」 と、ドッツェ。シチューをすくって食べようとして、口から出した。熱かったらしい。 「もしかしたら、俺たちとは別世界から来たから、ならないかもしれない」 「? よくわかりませんが、コレおいしいですね」 アレクは先ほどからシチューを食べている。そしてチーズ。 「それが美味いのか?」 八郎もシチューを食べてみる。なるほど、エクレの作ったシチューにはクリームチーズも入っているようだ。 「俺、あんたが何になるかわかった気がする」 「え、何なに?」 「あのう、さっきからなんですか? なるとかならないとか」 その時、アレクの視界が急に広がった。しかし目線は低くテーブル板の裏が見える。 「あ、ネズミー!」 「そーいや、おもちゃのネズミが本物のネズミになる話があったなー」 八郎はアレクだったネズミに鏡を見せた。 「どうもな、異世界からここに来た人間は何かしらの動物になるようだよ」
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