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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
おばけ屋敷は嫌いです。 「あれ? 貴乃ちゃんだ」 「ほんとだ」 良介と綾名は草陰から二人を見た。 「一緒にいるのは同級生の野田君だよね」 「そうだね」 何かと貴乃が連れて来るので中等部でも面識があった。 「野田君、ごめんね。付き合わせちゃって」 「いいよ。僕も一度来てみたかったんだ」 二人が目の前を通り過ぎて行く。使い魔や式神が脅かし、さらに住職が招いた妖怪たちが脅しに入る。その度、貴乃が驚いたフリをして晴仁に抱きついていた。 「あー、なんだか白々しい」 綾乃がそう思って式神をけしかけるのをやめる。 『ありゃあ、お嬢さんが嫉妬しちゃってるよ』 良介に憑いている『魔』が言った。綾名には聞こえない。人間の根源的な悪であるこの『魔』は訳ありで良介の中に居候中である。 「そうなの?」 「そうよ! 自分の式神に驚かされてわめいちゃ世話ないわ! この分だと、きっと可奈ちゃんも......」 綾名の想像通り、可奈は秀介を連れて歩いて来た。 「うん、まさしく想像通りだね」 「あの小娘等〜!」 『ヤバい! 感情に任せれば式神が暴走するぜ』 「綾名、落ち着いて!」 しかしながら、幸い相手は可奈ちゃんだった。式神が暴走しようとも秀介に気づかれずに返した。 「どうしたの?」 可奈の行動に秀介が尋ねる。 「いいえ、ちょっと」 一方式神返しされた綾名は衝撃を受けて倒れてしまった。 「わっ! 綾名!?」 『簡易式神で良かったな。だからこの程度で済んだんだ』 「返ってきた式神食っただろ」 『まあね。お嬢さんの嫉妬が乗った式神、ごちそう様でした』 「もう......。綾名、綾名しっかりして」 「ううっ、今の何?」 「式神返しされちゃったんだよ」 「やだ、あたしったら......暴走させちゃった」 起き上がった綾名は気恥ずかしそうにしていた。 「久々に遊礼寺の肝試しが出来たよ。誘ってくれてありがとう」 「いいえ、どういたしまして。ところで部長って気が利く所ありますか?」 急にそう言われて秀介はピンと来なかった。ややして弟のことをきいていることに気づいた。 「利かない所もあるけれど、でも綾名ちゃんにだけは気を利かせるようにいつも言っているよ。まあ、そう言うのはいつも兄貴なんだけどね」 「そうですか。なら大丈夫かも」 「?」 「帰りましょうか?」 「ああ、そうだね。送ってくね」 「綾名さ、そんなに肝試しに行きたかったの?」 「違うわよ」 やや拗ねたように綾名は返事した。 「そっか......ああ、そうだこの間映画のチケット貰ったんだ。ホラーもの限定なんだけれど。良かったら明日行かない?」 「行く、行きたい!」 「じゃあ、今日はとにかく肝試し大会に精を出さなきゃね」 「そうだね。式神なくなっちゃったけど」 綾名が落ち着きを取り戻すと二人は全力で肝試しに来る人々を脅かした。綾名は式神がなくとも幽霊の姿をしていたので式神がなくとも脅かしていた。 そのため、その年の遊礼寺肝試し大会は最凶に怖かったという。
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