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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
別に千人千色でも万人万色でもいいかもしれない。 「......煙玉です」 男の好奇心の目に負けてベグゼッドはそれを一つ出した。 「糸を引くだけで煙が出る、おもちゃです」 「へー」 男はそれをつまんで、「くれ」と言った。 「いいけど、大したものじゃないですよ。煙も十秒くらいしか出ないし、一瞬だけ足止め出来るくらいです」 「いい、いい。こうゆうの好きなんだよ。もう一個もってない?」 ベグゼッドはそれをあと二つ出した。右のポケットに入っている分。ベグゼッドが暇つぶしに作った物だった。先のようなチンピラ相手から逃げるにはちょうどいいものだった。 「じゃあ、これだけあげます。三つって縁起がいいから」 男は嬉しそうにそれを三個受け取った。 「弟たちをからかってやろう」 悪意の無い笑みで言い男はベグゼッドと別れた。 「遅かったな、ベグゼッド」 公園のベンチはほとんど埋まっていた。それでも木陰が出来た涼しげな場所にカシスは座っていた。 「うん、ちょっとね」 「飲み物、買って来た?」 「はい」 ベグゼッドがカップを差し出す。一口飲んでカシスは顔をしかめた。 「これ、なんのジュースだ?」 「なんか、野菜系の」 「お前に飲み物はもう頼まないよ」 甘みより苦みが勝っているそれをカシスは顔をしかめて飲み続けた。
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