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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
とある友人は「外国名は覚えづらい」とのたまうので、田中学院が読みやすいという。 「ねずみ」 (いるな) 彼は家に入るなりそう思った。 (一匹、二匹、三匹......たくさん) 「お待ちしてました。掃除屋さんですね」 玄関先で、いかにも高飛車そうな婦人が彼を迎え入れた。 「はい。僕が掃除屋の高橋です」 「そう。では、さっそくお願いするわ」 「わかりました。とりあえず、お困りなのは、ねずみですね」 「......! さすが、掃除人さん、入るなりわかるなんて」 「ええ、一応、プロですから」 高橋が依頼を受けたのは、市内でも有名な資産家の家の掃除だった。普段は使用人を雇って掃除をしているようなのだが年に何度かは掃除屋に依頼して掃除をするらしい。彼は初めてこの家の掃除をする事になる。深い意味はない。ただ単に担当だった掃除人が定年退職したからだった。 「ねずみには、コレだな」 彼はゴム手袋をはめて、リュックサックから瓶を取り出した。茶色の瓶でラベルには英語で何か書かれている。 「なんですの?」 「ねずみ殺しです」 「一体どんな薬品ですの?」 「ねずみ殺しです」 「薬品の名前は?」 「ねずみ殺しです」 「......市販されています?」 「いいえ。でも効果はすごいですよ。この薬品をねずみが触れるだけでイチコロですから。あ、人間もイチコロなんで気をつけてください」 「......」 婦人は思った。 (この人、大丈夫かしら) 「とりあえず、私たちはこの家を開けますので、その間に掃除をお願いします」 「ええ」 「二時間でよろしいのですよね?」 「ええ、充分です」
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