気まぐれ日記
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2006年11月04日(土) 予想外

 先日、オープン前のペットショップからハガキが来た。なんでうちがジュニア(わんこ)を飼っているのを知っているんだろう(しかも名前まで)、と思っていたら近所のペットショップ(利用した事がある)から、『前の従業員が顧客リストを持ち出した』というような詫び状が来た。
 姉妹店なのかな? と思っていたけれど、こんなことだったとは......。




 
 そして、もう誰がリースリーズなのか分かっていた。
 「イザリア、君の中にリースリーズがいる」
 「えっ?」
 「全く、うまい事を考えたもんだよ、彼女は。俺たちはあとを追っていたとばかり思っていたのに......。そして、人間に寄生しているんだもんな」
 それが、彼女が人間とされるゆえんだろう。
 「よく、分かったわね」
 イザリアが姿を変えて行く。しばらくすると小柄な少女が目の前に立っている。リューもウォルティアも驚いている。
 「あーあ、バレちゃしょうがないわね」
 「あんたは、思い出を糧にする魔族なんだろ?」
 記憶とか、感情とか、そういう形のないものを糧に出来るのは魔族くらいだ。
 「そうよ。それらが私の糧。そして、こうして人間に取り憑てでしか生きて行けないの。この姿だって、もとはリースリーズって名前の盗族の娘だったわ」
 「じゃあ、あんたの本来の名前は何だ?」
 「忘れちゃった、そんなの」
 「元のリースリーズはどこだ?」
 「死んだわ。運悪く足を踏み外して谷の底に真っ逆さま。その前にその近くの人間に取り付いて、この体に会ったの。後は糧を得るだけだもの」
 「俺は、あんたが盗んだものを返して欲しいんだが」
 「ま、バレちゃーしょうがない。返してあげるわ」
 彼女は手を胸の中に入れた。そこから髪飾り、女神の涙、勲章、時計の針が現れる。テーブルにそれらが並んだ。
 「それからイザリアから離れろ」
 「私は人間に取り憑かないと生きられないのよ」
 「なら、俺に憑けよ。その子は将来有望な医者になるんだからな」
 「そう言ってくれる人間、初めてだわ」
 少女の姿が、またイザリアに変わって行く。そして、俺は何かが入ってくるような感覚がした。
 『悪くないわね』
 リースリーズの声が頭の中に聞こえる。
 「だろ?」
 見ると、イザリアが倒れていてウォルティアが様子を見ている。ややすると彼女は気がついたようで自分で立ち上がった。
 「レイム君、私......」
 「ま、気にするなよ。相手が悪いだけだ。それより、髪飾りが戻った事だし、ジョウロフェンツァに戻ろう」
 彼女はテーブルの髪飾りを手に取った。戻ったというのに浮かない顔だった。
 「なんでだろ? これを見てもお母さんを感じない」
 それが、思い出を奪ったという事だった。
 『本当なら、抜け殻はすぐに捨てるんだけどね』
 そんなリースリーズの声が聞こえた。
 


草うららか |MAIL

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