「The Things」 相手の顔が見えなくて 毎晩不安な僕だ 相手なんてそもそもいるの? タチツテト ナニヌネノ
「アザラシ騒動」 最近何かと話題のアゴヒゲアザラシのタマちゃんではあるが、ある海岸では以前、タマちゃんと同じ種のアザラシを保護したそうである。 そのアザラシが保護されたのは大分の<鳩浦海岸>であるらしい。 そしてつけられた名が<ポッポちゃん>。 と言う事は、もし、黒柳徹子に保護されていたら<トットちゃん>と名づけられるのだろうか?とつい考えてしまう。 そしてまさかこんな事はないとは思うが、万が一、黒柳徹子が誰かに保護されたらどうなるのだろうか? やっぱり黒柳徹子のままなのだろうか?
「審査員」 何かと忙しい審査員がいる。 その審査員は今の季節には毎年紅葉(こうよう)の度合を調べている。 「いやぁ、この季節は忙しくって大変だよ。」 そう一人の審査員は言った。 全国で四人しかいないこの審査員達は、もう一人ばかり人手が欲しいそうである。 今ならまだ間に合うかもしれないのでぜひ興味のある方は応募してみてはどうか?
一昨日、島根に住んでいる紅葉審査員から一本の電話が僕のところに入った。 「大変です!」 その第一声の声の大きさに僕はビクッとした。 「色が・・・」 「色が?」 「色がないんです。」 「そんな馬鹿な!」 僕はすぐに彼が一昨日担当した地域に飛んで行った。 ずばり、色のない葉に彩られた・・・いや、色がないのだから、枝ばかりが目立つ葉の落ちきった季節外れのようなもみじの木がそこら中に広がっていた。 その木々は太陽の光に照らされてきらきらと光っていた。 色のない葉の数々に、太陽の光りは様々な方向から差し込んでいた。 それはふしぎな光景だった。 冬の景色に似合うようなそれらの木々は、秋の日の晴れた空の下、きらきらとした光の粉をまぶされたようだった。 そんな光景を僕はカメラに撮った。 それから、審査員は僕の判断を仰いだ後、ペイントマスターと呼ばれる男を呼んだ 。 ちなみに僕は、審査員の事を以前、<ジャッジメント>と呼んでいた。 しかし、審査員の男はその呼び名が気に入らなかったらしく、<グレイト ジャッジメント>と呼び直してみても同じ事だったので仕方なく<審査員>と呼んでいる次第だ。 規定では<ジャッジメント>と呼ばなければならないので初め僕は困ったが、仕方がないので彼の事を呼ぶ時には「審査員」と普通の声で言った後に(ジャッジメント)と心の中で呼びかける事にしている。 そうしないと心が痛むのだ。
ペイントマスターは僕が相当衝撃を受けたその光景に見とれることもなく、すぐさま作業に取り掛かった。 二分もたたないうち、一本のもみじの木は燃えるような色のものになった。 さすが、プロの仕事だなと思った。 数時間後には見渡す限りに通常の秋の季節に似合ったいちょうの風景が広がっていた。 むしろ赤すぎるくらいの真っ赤なもみじの葉に仕上がったが、赤い分には許されるのでそれはそれでいいのである。 そしてそんな赤い風景を見ている時になって思った事がある。 さっきまでの色のないもみじの風景が広がっていた時には気付かなかったが、どうやらこの辺りの街一帯は、人が通りを歩いているにもかかわらず異様なくらいに静かであることを。 数日後、きらきらとしたその風景の写真を現像してみると、そこには光の粒の一つ一つに人の顔をした表情がぼんやりと写っていた。
さらに数日後、例の<審査員>としか呼ばせてくれない審査員は僕に辞職届を出しにきた。 「私ははっきりと分かってしまいました。」 僕はその言葉に慎重になった。 「どういう事かね?」 「将来、全国の紅葉の木の葉からは完全に色が消えてしまうでしょう。」 「・・・」 「もうこれ以上色の抜けていく紅葉に関わっていたくはありません。」 「・・・」 「私まで・・・」 「私まで?」 「私の中のものまで消えていきそうなんですよ。」 その紅葉審査員は、静かに後ろに向き直し、僕の事務所から出ていった。 その後ろ姿をみた瞬間、僕は絶対それの審査員にはなりたくないと誓った。 そして僕は今日、植木職人になる為の修行を積む事を決意した。
―END―
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