今までにホントの事を言った事がない男がいました。 彼は、<崩し>の名人でした。 崩しとは、世の中で言う金持ちや、国の仕事に携わっている人達の事を馬鹿にして、一般の人達を笑わすということです。 「天皇は毎晩ミルミルを飲むのを欠かさない」 というような、きっと嘘であろう事を言ったり、時には 「政治家はみんな国会議事堂で暮らしている」 などと、明らかに嘘である事もいいます。 しかし、例えばですが、天皇がこう言ったとしましょう 「崩しさんは昨晩のTVで私がミルミルを飲んでいると言っていましたが、あれは当たっています。」 馬鹿にされたのが悔しくて嘘を言ったのか、それともホントなのか、そう言ったとすると、崩しの男としては大変悔しい思いをする事になります。 そうたって、崩しと崩される側の戦いは日夜繰り広げられるのです。
―顔に生えている毛は、どこまでが髭なのか?―
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