昨日、「ブラック・レイン」を半分まで観た。 最後まで見ていたかったのだけれど… そうしたら、昨日の夜には凄い夢が見られたかもしれない。 少し残念だ!ということで、それは今晩に持ち越しとなるか? そして今日、残りの半分を見た。
「ブラック・レイン」…リドリー・スコット監督作品。 この映画はハリウッド映画ではあるが、舞台はシカゴと大阪である。 しかも最初の20分以降から舞台は日本に移るので、日本人の俳優が多く出演している。 そのメンバーたるものの、なかなか見られない豪華な顔ぶれであり、 特に主演の2人の共演は、今となっては色んな意味で考えられないことである。
マイケル・ダグラス扮する主人公の刑事と、凸凹なコンビとして活躍する刑事役に<高倉健>。 人間の闇の部分だけを身に纏い、仁義も誇りもない態度で暗躍するヤクザ役に<松田優作>。 高倉健も、人間味がよく滲み出たキャラクターをうまく演じていたが、 何といっても、この映画では<松田優作>の存在が圧倒的である。
その気迫たるや、凄まじいものがある。 しかし、よくあるサイコ的なキャラクターとは一味違う。
口数少なく、不気味に微笑む松田演じる<佐藤>。 彼は、ブラック・レインの降りしきる中に生まれた。 <ブラック・レイン>…第二次世界大戦の空襲後の燃える火が呼んだ、黒い雨のことである。 その雨によって日本は自分達を見失い始め、そして佐藤は、そんな時代が産み落とした歪められた肖像なのである。 そして皮肉にも、そんな佐藤をマイケル・ダグラス扮するアメリカ人が追う事になる。
この映画に出演した松田は、これを遺作としてこの世から去っていった。 まさに、燃え尽きるような想いを抱きながら、この映画のフィルムに<佐藤>という人物を焼き付けた彼。 今更こんなことを言っても仕方ないが、彼はもっともっと世界で活躍できる、世界に存在を知らしめる事の出来る、数少ない俳優であったと思う。 それは、この映画を観ればおのずと分かる。 しかも、彼の演技の幅は、他作品と比べれば広いように思う。
と、こんな風に僕が思うのは、彼が伝説の人となっているからというのもあるだろう。 亡くなった人というのは美化されるものである。 しかし、僕は、彼は伝説の人となるのに相応しい人物であったと思う。
彼の色んな逸話を聞く限り、そしてこの「ブラック・レイン」を観た限り、もちろん本当は実際に会って話してみないと分からない所は多いだろうけども、紛れもない<スター>であったことは間違いない。
スターというのは、いつだって1人歩きしているものである。 彼が亡くなった今でも、僕の中にはスターとしての彼がいるのだ。
…とはいうものの、一番演技的に大変だったのは、たぶんマイケル・ダグラスだったと思う(笑)。
−完−
ついしんのランチ ・ピクニック キリマンジャロ・ブレンド(コーヒー/200ml) ・持参のオニギリ3つ
|