日々是修行也
BBS









登場する人物・団体・店名等はすべて架空のもので、仮に存在していたとしても単なる偶然です。 また、暴力・犯罪・性的描写も個人の思い込みによる勝手な想像です。

2004年09月21日(火) * 葉子のトルコ旅行記

私は従姉妹2人と職場が同じのケイコを誘ってフィアンセの住むトルコを訪問することにした。(4泊5日の日程)
フィアンセのムスタファに会うのは半年振りだけど、今回は女性4人大所帯での訪問なので前回の様に2人きりの時間を楽しむ余裕は無く、旅行前からツアコンを覚悟する。

今回の目的は、従姉妹に私のフィアンセ・ムフタファとトルコという国を十分理解してもらいたいというのと、数ヶ月前一方的に婚約破棄され落ち込んでいたケイコを勇気付ける事だった。

女4人が降り立ったイスタンブール空港には休暇を取って駆けつけてくれたフィアンセのムスタファ(テレビ局勤務)と彼の知人ムダイ(旅行会社勤務)が居た。

ジャンレノを若くした感じのムダイとは以前から面識があり、ムスタファの親友ということで人間的には嫌いなタイプなのだが・・・それなりの対応を続けている。

ムダイの「是非、日本人の彼女が欲しい」という願いを聞き入れ、私の知人のユキを紹介している。(まだ、お互いに面識は無いが、写真とメールアドレスの交換は既に済ませてあり半年近くのメールフレンド状態だ)


イスタンブールに2泊、カッパドキアとイズミールにそれぞれ1泊計4泊の旅行が始まった。(移動は小型のミニバン)

今回ムダイが一緒に行くことを直前まで知らされていなかった私は、旅行開始早々から機嫌が悪かった。何故なら、一緒に連れて行った3人の女性は皆トルコ語ばかりか英語も解らず、日本語オンリーの人々だ。

流暢な日本語を話すムスタファと女4人の楽しい5人旅が出来ると楽しみにしていた旅行だったのに・・・。


にもかかわらずトルコ語以外、片言の英語しか話せないムダイが参加することで移動の車内は日本語が堂々と使えなくなってしまった。


案の定、車内の雰囲気は盛り上がるのだが、会話が盛り上がらない・・・。英語と多少のトルコ語が理解できる私はまだしも、他の女性3人にとって自由な雰囲気で話が出来ない事は非常に辛い。


美味しい料理と景色には大いに魅せられ、自由行動では十分トルコを満喫した一行だったが、、、


そして最悪だったのは、旅行の途中でムダイが職場の同僚であるケイコにチョッカイを出し始めた事だ。 旅の初めに、「貴方には既にユキを紹介してあるのだから、ケイコに手出ししたらダメよ」と念押ししておいたにも関わらず・・・。
「ユキは可愛くて素敵な女性だけど、ケイコも素敵だ。 どちらも好きだし、今はケイコが身近にいるんだからケイコとも仲良くなりたい。その上でどちらか選びたい・・・」と言い出す始末。


まぁ、良くある自分勝手な意見だけど抜け抜けと言い放つところがトルコ人気質なのか!?・・・しかし、ケイコもユキも私の大切な友人だ。好き勝手な事はさせられない、、、


結局ムダイはケイコにアプローチしまくり日程の中盤、エーゲ海沿岸の街イズミールのホテルに我々一行が宿泊する頃にはケイコにこっそりブローチをプレゼントするにまでなった。


ケイコにしてみれば傷心を癒す為に訪れた異国で言語も通じない男からいきなり積極的にアプローチされ、さぞや鬱陶しいだろうと思い・・・「ゴメンね、ムダイには私とムスタファの両方から忠告したんだけど。迷惑じゃない?」と声をかけたのは、イズミールのグランド メルキュールホテルにあるバーラウンジでの事。


ところが、彼女の返事は「うーん、私もまんざらじゃないわ。彼に興味もあるし」・・・と、、


ケイコの予想外の言葉に一瞬唖然としたが、
(私としてみれば、言葉もロクに通じない二人が数日間でそこまで好きになれるのが不思議でならなかった)


バーラウンジから内線電話を使い、シングルルームで休んでいたムダイを呼び出し、ケイコと2人きりの時間を作ってあげる。

片言の英語とボディーランゲージで延々とコミュニケーションを続ける二人を残して部屋に戻ったのは深夜の12時頃。

ようやくフィアンセのムスタファと共に過ごせる唯一の一夜であったが、部屋に戻った私は長旅の疲れと気苦労から、そのままベッドに倒れこむようにして眠りについた。

そして、ムスタファに揺り起こされたのは翌朝、朝食の準備が整ってからだった。

朝食を摂りにビュッフェ・レストラン行くと、既にケイコが1人でクロワッサンを口に運んでいた。

彼女と視線が合った瞬間、ケイコとムダイが昨夜結ばれた事を直感する。


確認しないでは居られない性格の私は、帰路の機内で彼女に尋ねた、


「あの後、何かいいことあったの?」


「う、うん。 まぁね」   とケイコ



彼女が惚れてしまったのなら仕方ないけど、浮気性のムダイが本気で彼女の事を愛しているのか甚だ疑わしい。

それは帰国して1ヶ月余り経つがケイコの頻繁なメールに比べてムダイからの返事は殆んど無い事からも伺える。


甘いマスクの異国の青年は身振り手振りを合わせて情熱的に愛を語る、それを素直に受け止めて恋に落ちる女性達。


よくある話と言ってしまえば確かにそうかも知れないけど、、、、一歩さがって冷静に見れば、彼が彼女に好意以上の感情を抱いていたとは思えない。


恋に落ちる事が必ずしも幸福であるとは限らないけど、恋に落ちる事が出来ないのはもっと不幸な事なのかも知れない。

そうやって幾度も傷つく恋愛を経験しても、毎回胸を熱くしてしまう人は一生そうゆう恋愛をするんだろうなぁ、、。

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