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言の葉
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2002年07月24日(水) 陽炎の向こう側。。



それは一歩足を踏み出すのも億劫になるくらい
暑さがまとわりつくような午後の一時

ぼんやりと歩いていると
アスファルトからゆらゆらと陽炎が立ち上って
急にあたりの風景が微妙にずれてきたような感覚におちいった

前方から歩いてくる一人の女性
なんとなく見覚えある姿態だなって
意識を集中することもなく
漫然と構えていて
陽炎からその女性が浮き出てきた瞬間
ドキッと心臓が鳴った

15年も前に別れた彼女だ
別れ話の中で泣きながら叫んだ
「二人で過ごした記憶は忘れられても、
 この体が忘れてくれない!」

別れるのはボクの身勝手だったのかもしれない
でも
彼女と暮らすはずの
この先の数十年に絶望感を感じるような言葉を
いわれてしまったのも事実だったから
ボクは黙って聞いているしかなかった

そんな物思いふけっていると
目の前から歩いてきた昔の彼女は
何事もなくボクとすれ違う
その瞬間ボクの顔の前を通り過ぎる
ほんの少しだけ涼しげな風

思わず振り返ってしまったら
そこにいたのは
似ても似つかぬ知らない女性だった

全ては陽炎が呼び寄せた
魔の瞬間のなせるわざだったのか







おやすみなさい。。






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