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2002年09月25日(水) 男が身体を売る理由★その壱拾壱★
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昨日の客は、
俺が家出中と知ると、
自分の家に来ないかと誘った。
俺は、客に依存するのだけは絶対にイヤだった。
それを弱みに、セックスを求められることも明白だった。
そして。
ここまで来て俺にはまだ。
プライドが残っていたのだ。
しかし。
例え、こんなに散々な目にあっても。
俺は、『家』に帰りたかった。
その日の夜、
俺達はホテルから出ると、
彼の店に行った。
店?
そう。
彼の、いや、彼の母親が開いていた、
小さな帽子屋に。
ハゲオヤジが被る様な帽子を売る店だった。
中に入ると、湿った、古くさい空気が俺を包んだ。
奧に入ると、畳の部屋があった。
「ここ使っていいから」
そして、彼は帰っていった。
とりあえず、俺は。
ようやく、寝床を確保できたと。
少しだけ。
そう、少しだけ。
ホッとした。
奇遇にも、
彼の店は、俺の通う学校のある駅にあった。
通い慣れた、近くの吉牛に向かう。
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