会えるか、と彼に週末の予定を聞いていたのだけれど、ずっと返事はなくて、痺れを切らして、水曜日までに予定がわからなかったら、友達に宿をお願いするから、とメールした。
翌日に、今回はかなり厳しいかも…と言われ、いつからいつまでいるのか聞かれた。
連休だから、その間。 金曜日の夜に着くから、そこでちょっとでも会えるときある?
とも聞いた。
返事は、かなり難しいと思うけど、調整してみるからちょっとお待ちを、というもので。
だけど結局、当日の夜まで返信はなかった。
腹が立って。
せめて、会えないなら会えないで一言言えよと。
もうふざけんな、そんな簡単な女じゃないし、とか思って。
その癖に、馬鹿って感情ぶつけるのがどうしてもできなくて、結果、
「駅に着いたよ。メール覚えてる? 断りの返事ぐらい、くれたら嬉しい。もうお前の最寄り駅まで行って張るぞ! ボケ!(意訳)」
って、メールした。
返信なし。
その勢いで本当に最寄り駅まで行って、
「最寄駅着いた。どうせ満喫に行くし、ここでそこはかとなく待ってる! どーでも良かったらスルーしてね! 都合つくときにまた!」
って、送った。
本当は「会う気がないならないって言えーーーーバカーーーーー!!!」とでも送りたかった。
だけど彼の色んな事情を考えて、それが彼の怠惰なのか事情なのかがわかりかねるから、そんなこと言えなかった。
都合つくときにまた、って、そのメールで終わっても不思議じゃないようにしたのは、また私からメールしたかったからだ。 疑問形にして、それで返事が来なかったら、次のメールがしにくいから。
それに、彼の負担にもなりたくなかった。
そして、彼の負担にならないことで、彼が私に会う可能性を1%でも増やしたかったからだ。
何やってんだか、と自分でも思う。
結局やけになって痛い目見たのは自分で、正直彼に顔向けできない事態になったりもして、今は会わせる顔がないっていうのに、一目だけでも会いたい訳で。
ここまでくると立派なバカだ。
そのメールを送った後、どうせ返事は来ないだろうから、きっと会えないだろうから、もうこのまま今度こそ行ったことのないところに行って、愚痴ってこようか、と駅まで足を進めた。
だけどそこで、思いとどまった。
私は待ってる、ってメールを送った。
万が一、万が一にでも彼が連絡をしてきた時に、その行動にたがわない自分でいたい。
無駄に終わったって今回はいい。そうする、って言ったんだから、そうしよう、と思った。
他の経験なんか、いくらでもその気になれば、時間を作って出来る。
今日はおとなしく満喫に行って、彼が好きだっていう漫画でも読もう。 そう思って、そこに行った。
入って、1時間半後。
「今何て言う満喫にいるの!?」
と彼からメール。
それだけで、ぶわっと泣いてしまった。
もう、彼が来ようがそうじゃなかろうが、これだけでいい、とさえ思った。
駅前の、○○ってとこ。と返信を送ると、30分後にまた、
「何号室よ!?」
と言われた。
部屋番号のことかな? と思いつつ、それをメール。
やり取りがいくつかあって。深夜1時近く。
彼から着信。
本当に、満喫まで来てくれて。
一緒のブースに移動して。 多少酔っぱらっている彼に、「いいよ、寝てて」と言うと。
黙って、抱き寄せられた。
その胸で。ぼろぼろとまた、泣くのかと思っていた。 けど、実際は。
安心して。幸せで。にやにやしちゃって。口元緩みっぱなしで。
涙なんて、引っ込んでしまった。
そうしていると、彼が寝た。 寝ているくせに、私が離れようとすると引き戻す。
普段、いつ寝てるのってぐらい寝ない人が、私といる時だとホント良く寝てて。
普段、睡眠大好きで良く寝る私が、彼と一緒だと、眠らない。 幸せな時間を、一分一秒でも噛み締めていたいから、勿体なくて。
逆だなあ、と思うと何だか可笑しくて。
だけどいい加減うとうとしてきて。
眠りそう、ぐらいの時に、満喫を出る時間が来た。
彼を、起こすと。
薄目を開けて、それから甘えるようにくっついてきた。
うわ、この人甘えてるよ、これも珍しいな〜、と思いながら。
よしよし、と頭を撫でたり、肩や腰にぽんぽんと触れたり。
抱き締められたまま、
「会えて嬉しい」と言ったら、ぎゅっ。
「ありがとね」でまたぎゅっ。
「めっちゃ幸せ」で、もっとぎゅっとされた。
何度も起こしたのに、目を閉じて抱き締めてきて起きなかったくせして。
何度も抱き締められるから、私は彼にキスしたいのを必死でこらえてて、
「もう、スイッチ入るからやめて…!」
と実は入ってから言ったら、めっちゃあっさり「出るぞ」って言われた。 そのまんま何事も無かったように支度して、お店を出た。
肩すかしもいいところ。
それから、駅まで送ってくれて。
次の電車までの時間に。帰って欲しくなくて。
そりゃ! 切り札! とばかりに、
「前の人が同棲した」
と切り出した。
「あー。お前、負けたんだもんな」
と追い打ちをかける彼。私が、そうされても大丈夫なの知ってて、事情も分かってるから、私を鮮やかに責める。
「元彼? 元旦?」
なんて聞くから、別れてないよと答える。
ああ、前の人も「もしかして、別れたとか?」なんて聞いてたな。
これってきっと、願望なんだよな。
そんな風に思いながら。
実は来月、彼の地元でのイベントに、私は行く。
で、彼も行く。そんな訳で、彼のツイッターに時々登場する、彼の犬が見たい、と言ってみた。
却下されるかな、と思っていたら。
「あー。見れるんじゃね?」
と、言われた。
それは、彼の、実家に行ける、ってことで。
それだけで、嬉しくて。ご機嫌になってしまった。
それから、
「こっちのスイッチ入ったらやめるし。やめてよね、もう」
と満喫でのことを言ったら。
「相手がそうなったら、もういいの。それまでの過程が楽しいの。俺結婚不適合者だから」
と言われた。
あ、同じ台詞前の人も言ってたなあ。
恋愛はゲームだとか、落とすまでの過程が楽しくて、手に入ったら興味が失せるとか。
まあそう言ってても、本気になったら、結局全然違うし。
同じタイプなら、お前も変わるぜ? などと根拠の無い自信を胸に抱きながら、
「まあ別にいいけど」
なんて嘯いた。
それから、「まあ、私もドSを探してるとこだし。中々居ないんだよね〜」とか言ったら。
それまで立ち止まって話してたのに、「あっそう」なんて興味ない返答の割には、彼の行動は、足を動かして駅の改札に向かっていた。
むっとして、聞きたくないってことなのかな、と行動から推察。 可愛いやつめ。なんて思って。
行動を、見るんだ。と自分に言い聞かせる。
それから、確認するように、
「会いたくないなら、会わなくていいからね?」
と聞いた。
「はぁ? 何言ってんのお前」
とマジマジと私を見る彼。
「何って、言葉通りの意味だよ」と言うと。
「会いたくないなら、この駅の近所に家があるんだし、帰ってるわ。誰がこんな夜中に、満喫まで行くんだよ」
と、言われた。
行動を見る。
見る、と。
夜中の、別々の飲み会2件からの、翌日に仕事控えながらの、満喫。
うーん。普通の人なら愛情あり、って判断できるけど、何せこの人だしなあ。
遠距離だし、そんな相手が自分の近所まで来た挙句に待ってるとか言われたら、申し訳なくて会っちゃったりしないかしら。
なんて、私はまだ懐疑的。
だけど、どんな状況かはともかく、私と、会ってくれた。
抱き締めてくれた。
それでいいと、思えた。
のくせして、キスが無かったなあと思ったりしている。
やっぱ、もう私にはそんな気分にはならないのかな、とか。
分からない。だけど、抱きしめられて、ああ何かやっぱりお互い好き合ってるんじゃないのこれ、とか思った。
その私の何となくの直感が、気のせいや勘違いじゃないというラッキーが、起きないかななんて思いながら、過ごす2月。
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