年金暮らしでは新刊書を買うのもままならないから若いときに買いためた本を読んでいる。いま読み返しているのは「世界名作の旅」(朝日新聞社刊)。作品の舞台になった場所や作者にゆかりのある土地を訪ねて名作の魅力に迫ろうという趣向。たとえば「風とともに去りぬ」の舞台になったジョージア州のアトランタの土は赤色らしい。「赤土の耕地が彼女のものだという以上に、彼女は赤土の耕地そのものであった」と作品の一節を引用して「作者(ミッチェル)が主人公にスカーレット(深紅)という名をあたえたのは決して偶然ではない」と作者(細川洋一)観察する。気楽に読める世界文学案内だ。
|