にゃんことごはん
ごはん



 15歳 猫にはやさしくできるのに女子には投げやり それも思春期?

ニャンがキッチンで「これぞ猫のなき方ですよ」てな感じの甘え声でにゃーにゃー鳴いていた。
ちょうどリュウと私は夕飯時で、猫たちにはその前にちゃんとご飯もあげて、ポンポンもしているのにニャンはにゃーにゃー。
かまってほしいのはみえみえなのだが、仕事が立て込んでいて疲れていた私はそのまま無視していた……ら、ご飯食べ中のリュウがやおら立ち上がり。
キッチンからニャンを抱いてやってきて、自分の隣の椅子に座らせ、片手でポンポンしながらご飯を食べ始めた。

「やさしいじゃない」と言うと、もぐもぐしながら頷くリュウ。
「その調子で、女子にもやさしくできない?」−−女子がうざいの、うるさいの、うっとおしいの、といつも文句を言っているものだから、そう言ってみると首を横に振る。
「似たようなものじゃない。女子も猫も」 はげしくブンブンと首を横に振るリュウ。爆笑したいのを堪える母……。
「女子と猫じゃ、違う?」 相変らず、無言のまま頷くリュウ。
先刻から一言も言葉を発しない所を見ると、照れ臭いのが一目瞭然。おかしいったらない。

そのうちきっと、猫みたいな女の子に振り回されたりするんだろうなぁ、と思いながら、隣の椅子から膝に乗ってきたニャンを抱えながらご飯を食べるリュウを横目で見て、ニヤニヤしてしまった母だった。

◆ここ数日、急に気温が下がり、あたたかい汁物の恋しい季節。
朝から、嬉しそうに豚汁やら、煮込みうどんやらを食べるリュウの姿に、ああ、夏も終わりだなぁとしみじみする。


2006年09月14日(木)



 ありがとう そしてバイバイ またいつか ほかにはなにも 言葉がでない

タイフーン娘あみっちこと、あみ。
2006年8月27日深夜。没。

食欲もなく黄疸も出ていたのに、ほんとうに眠るような穏やかな最後だった。

風邪をひいて鼻がガビガビで、やせ細ったあみっちと出会った11月の夜。
あれから6年。病気持ちだったから「長くはないかも」と言われ、覚悟はしていたつもりだったけれど。

私が中学生のとき、初めておこずかいで買ったスカーフ。西洋占星術の12宮を図案化した、いかにも70年代なそれ。
とてもお気に入りで、でも、さすがにこの年ではちょっと、というデザインに、捨てるに捨てられず引き出しで眠っていたのを引っ張り出して、あみっちの死出の衣装にした。
サイケ(死後)なスカーフは、あみっちによく似合っていた。

28日は朝から火葬の手配をして、獣医さんに報告して、リュウに伝えた。
サッカークラブのユースの応援に行くので朝はゆっくりだったのだけど、声をかけたら、「え?」と言ってとび起きた。出かける前にお別れしなさいね、と伝え、私は仕事があったので外出。
あみっちに触れることができたのをとても喜んでいたから、きっとその分、つらかっただろうと思う。居間に寝転ぶリュウの腹(私の脂肪腹とは違って、割れてて堅い)にのっかって眠るあみっちの姿に笑ったのも、もう思い出だ。
夕方、あみっちを火葬に。骨はしっかりして硬くて、キンと鳴った。まるで備長炭みたいだった。
帰宅したら、リュウが引きこもり姫のキラリンを除くニャン、ショー、練々に囲まれ、遊んでいた。意識的にはしゃいでいる様子がわかって、でも、私がわかっていることに気づくと、とても困惑する思春期のツッパリ心を尊重して、一緒にはしゃぐ。

29日。朝から仕事で出かけ、帰宅途中に食材の買い出しをした。
あみっちが好きだったカリを見つけ(食欲がなくなると、そのカリで釣ってご飯を食べさせていたのだ)、「あ、買わなくちゃ」と思ってから「あ、もういいんだ」と思った。
途端、泣きそうになってあわててその場を離れた。帰宅した途端、涙が溢れ、止まらなかった。
ジュリナのときも、ポッポのときもそうだったけれど。
喪失の実感は遅れてやってきて、そして長く長く気持ちのなかに居座る。

30日。あみっちが所かまわず(というか、あみっち的にはお気に入りの場所だったのだろうが)おしっこをするから、自衛のために敷いていたペットシーツ類を片付ける。そういえば、猫トイレの周りに新聞紙を敷き始めたのも、あみっちのおしっこ癖のせいだったっけ。
手間がかからなくなって喜ばしいはずなのに、やっぱり泣けてくる。
ポッポにはそういう意味での癖はなかったけれど、ジュリナの壁紙で爪を研ぐ癖も、生きていたころは「はぁ〜」とため息をついていたのに、ぼろぼろの壁紙を取り替える気には、いまだならない。

31日。明け方、よくあみっちが私のベッドのやってくるぐらいの時間帯。ふっとあみっちの気配を感じた。
目を開けてから「そうだった、もういないんだ」と思う。そして、そういえば、あみっちが脱走したときも、よくこんな時間に目を覚ましたな、と久しぶりに思い出した。
気がつくと、外から猫の声が聞こえている。あの声を聞いて、あみっちだ! と思って飛び起きて、探しに行ったんだっけ……。
もう、そんな心配をすることもないんだな。
ああ、こんなところにおしっこされてるとため息つきながら、掃除をすることもないんだな……なんだかな……。
また泣きそうになったので、とりあえず眠る。
起きたら、夏風邪をひいて発熱していた。

2006年08月31日(木)
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