⊂煙草→8月。⊃
2001年08月31日(金)


あたしはふたつ、つまり2種類の煙草を持っている。
最近はほとんど吸うことは無いけど。
ひとつはメンソール。
salem。
もうひとつは普通の…て何ていうの?(笑)
PHILIP。

あたしに煙草を教えてくれたのは、いっこ上の先輩。
凄く慕ってた先輩。
中1の時、学校にも行かなくて、毎日ひとりきりの家で。
ずっとひとりで居た。
身体の中の時間が違ったから、誰とも(母親とも妹とも)会うことはない。
静かで壊れた毎日。
初めて吸った煙草は苦いだけだったけど、嫌じゃなかったし。
家の傍の(その頃は23時過ぎても自販機は使えた)自販機で。
夜中、深夜番組に飽きた頃に出向いて買ったのはしょっちゅうだった。
母親は小学校で保険医をしていて、不登校児の事をたくさん調べていた。
だけどあたしには…執濃いほど愚痴って来た上で(笑)御察し頂けると思いますが。
煙草を吸っていても、
「火事になるから隠れて吸うのだけは止めて」
と云うくらいで、他は何でもなかった。
だから、煙草を吸うことは悪いことじゃないし、そんなことどうでも構わなかった。

雪の日にベランダで吸う煙草は綺麗よ。
ささやかに赤くて、温い存在で、あたしをおかしくする。
冷えきった身体をその場所に落としてく。
ひとりきり行き場の無いあたしは真っ黒な鉄格子と今にも割れそうな板だけの歩き場。
靴下を履いて、学校用のコートを着て。
幾ら怒られても家の中には入らなかった。
ぽっけに煙草とライターだけ入れて、あたしは夜中までそこに在た。
とても愛していた家だった。

その家から離れることになった。
引っ越しが済んだ最期の夜、誰もいない間に家に誰も入れない、と思って。
家の鍵も、窓も、全部ガムテープでぐるぐる巻にした。
あたしが中3になる春の頃だったと思う。
考えが幼すぎて、今考えると笑えるけど。

すぐに過ぎる夜は朝が怖い。
あたしは眠らない分、毎日色んな歌を歌った。
ひとりで大好きなベランダ脚を放って。
鮮やかな青空を仰いだ。
カーテンは広がり、あたしは昼間の間、ずっと眠り続けた。
明るい場所は酷く怖かった。
だから黒い猫は死んだのかな。
ダンボールの中は土の中みたいに温かくて優しかった?
あたしは青空を何度も見たけれど、思えば今、それは只の傷になって。
あたしの腕を赤くする。
それしか出来ないあたしの腕は何も夢見ない。
ずっと眠り続けたあたしの代わりに、鮮やかな空を仰いだのは誰だったのだろう。


⊂水たまり⊃
2001年08月30日(木)


秋はね、大嫌い。

大嫌い。

どれ程かというと、両手で描いても持て余してしまうくらい。

大好きで、大切なものを連れて来て、僕は。

その闇に溺れた。

秋の中で静かに静かに眠った空と。

創られてゆくその鏡。

僕は溺れた。

空は泣いた?

嬉しいと思ってしまった。

繋がれた場所からなげられて、貴方は僕を迎えに来てくれた。

遠すぎたはずで、もう二度と逢うことは無いと思っていた悪魔。

だけど貴方は僕を傍に置いて、とても淋しくさせた。

凍り付くような足音は、耳から今でも離れなくて。

そして、勝手になげて。

僕が愛した場所は、今は誰のてのひらの中にある?

寒空の下のベランダはまるで、温かい監獄だった。

水銀灯に群がる虫達はそれきりで幸せそうな光の闇に。

我よとばかりに集まっては、ひとのてで道路に堕ちた。

さようなら。

そればかり、僕は心で優しく繰り返す。

けれど僕のあしもとに触れたカタカナの毎日は。

だれも助けてはくれなくて。

僕は迷い込んだその場所で、階段で、新聞紙を千切った部屋で。

今でもあたしの帰りを待ってるから。

僕はもう帰れないのに、この場所で朽ちるのに。

乾いてゆく言葉を殺した毎日の渦の中で。

その部屋へ、あたしに浚われたまま置き去りにした。

大切な約束さえ粗末にして、僕は。

ひとりにして、さびしいでしょう?

ごめんね。

だけど、僕に馳せられた貴方の言葉を、今も見付けている。

その道を通るたびに、泣き腫らした傷で僕を探している。

もう水たまりに溺れないで。

今年もこの季節はやって来て。

僕はまだ何処への道も選べないまま、ひとりきりで在るから。


⊂現実逃避。⊃
2001年08月27日(月)


いつも、逃げたくなる。
もう全部すてて。
完全には治ることのないものばかり、持ち合わせた身体が。
時々、ひどい軋みをあげる。
劣等ばかり紡いで。
此処まで来たけれど。
小さい頃から何とか折り合いをつけて。
いつも上手にやってきた筈なのに。
もう、前が見えなくなる。

ひとつは、生まれた時から一緒だった。
生まれて直ぐから、今でも手術を繰り返している。
だからあたしが生まれた時、きっと。
その瞬間から母親に嫌われたと思う。
気持ちが悪かったと思う。
あたしがそうなったのを、母親はあたしとばあちゃんの所為にした。
でもきっと悪いのはあたしで、そんなあたしに。
今でも報いを背負わすことに必死になっているあいつは。
もうハハオヤの顔を持ってないの。
只のコドモだわ、あんなの。

ふたつめは、矯正。
歯の矯正。
もう7年以上、ひと月に一度、歯医者に通う。
持久力のないあたしには、それがどれほどにも苦痛で。
学校からも歯医者までは近くて(徒歩5分くらい)、何の苦労も無い筈なのに。
夏休みとなると、家からバスで1時間。
眠る時間からお風呂に入る時間から、全部1時間早で考えなきゃいけない。
そんなのいつもやってられなくなる。
…それが駄目なトコロなんだろうけどね(焦)。

みっつめは病院。
ほんの最近行き始めた、総合病院の精神科。
先生とお話する時に、本当の事は余り云ってないと思う。
あたしもあたしの本当がどれかよく分からない。
処方された薬の連れてくる眠気が酷く嫌なもので。
ほんの何度かしか飲んでないし。
あたしと入れ代わりに親達もあの部屋で先生とお話をする。
その時の全てがイヤ。
思い出したくないほどイヤ。
けれどあたしが治るまで続けられるんだわ。
もう慣れた嫌がらせのように、ずっと。

それはもっとずっと在って。
それをすべて挙げて、バランスよく。
全部を綺麗にあたしの中で並べられたなら。
もっと上手に、普通のひとみたいに。
うまく生きれるのに。
あたしの奥で絡まる劣等の糸は、毎日赤く千切れ続けて。
あたしでさえそれを、病院の先生みたく。
面倒でどうしようもなくて…後がつかえて。
投げ出してしまいそうになる。
固くて解けない、ぜんぶ。

それを放棄したら、あたしはどうなるだろう。
またあの時みたいに、壊れて笑えなくも泣けなくもなってしまうだろうか。
ベランダから身を乗り出して、枝に刺さるあたしの身体を想うのだろうか。
放られた空の奥で、あたしはどこに逝けたのかな。


⊂復活⊃
2001年08月24日(金)

サボっていた理由…本当は、自分の作ってきたペースに呑まれたから。
あたしは、マイペースな方だよ、どっちかっていうと。
バイト先のマネージャーにもそう云われてたし。
その上、頑固だから質悪い(苦笑)。
だから本当は、毎日書く、ってこと正直云ってやっぱり無理してた…かな。
今更こんなこと云って、言い訳になるけれど。
嘘は、一度も書かなかった。
それがこの日記を書いていく意味のひとつだったから。
確かだよ、信じてね。
だけど怠けたのは事実…自分で自分に約束していたはずなのに、悔しいと思う。
これからはまた、またいつもみたいに頑張るから。
どうぞ宜しくお願いします…。



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傾れるように靡いた赤の、鮮やかな朝は。

気の紛れる程に騒がれた雑路の上に擦り堕ちた。

見付かってしまわないように、っそっと息を潜めて。

つらなる空に、投げ出した羽根は。

づっと言葉を選び続けた。

僕の想いが拙すぎて、きっと傷付けてしまった。

目隠し鬼の涸れる頃、またひとりで闇を手探る。

同じ道、ふたつ凪ぎ、擦りかわる、僕のみち。

逃げた季節に追いつけない、降り解いてて。

とおくまで走って。

走って、また。

戻り来るこの場所に安心して。

温かくて。

鮮やかな闇に溺れられるのなら。

きっと僕は探してしまう。

終わらせないのは、知ってしまったてのひらの。

その感触が求めゆく世界。


⊂久し振り〜★⊃
2001年08月17日(金)

本当はね、いっそ久し振りだから書くの明日にしようと思ったの。
どうせあと5分で明日なんだけど…(笑)
それならちょうど1ヵ月の間隔が開くと思って。
でもそれじゃ土曜日だから今日書くのよ。
あたしの日記はいつも週末お休みにしてたから。

1ヵ月間、はっきり云ってサボってました。
病名もはっきりしてから、先週先々週は結構安定してたんだけど。
今週は全っ然です。
駄目駄目です。

夏休みには終りにしてやる、とか云ってて。
実行しようと思ってた日は8/20だったり。
御薬で眠くなるの嫌いなの。
だけどその御薬は先生にも必ず飲みなさいって云われてて。
もうひとつの方は只の眠剤だけど、こっちのは鬱系の薬で。
いっぱい出してくれたけど、飲んでないから要る人にあげたいくらいだよ(笑)。
ちゃんと学校に行ける自信もないし、ひとの中で居れる自信もない。
五感に何か突くものがあれば、それきり過去に捕われてばかりいる。
今日も、ちゃんと覚えていたし。
たぶん明日は今日よりも酷くなってるはずだから。
懐かしいのは嬉しいけれど、そんなに傍に在たら。
あたしが大好きだった毎日が、いま、隣に在るべきではない思い出が。
足を浚うから何処にも行けなくて。

あたしはいつまでも、その場所にいる。

毎日殺されてきたあたしをあたしは大好きで。
寒い12月には、いつも部屋に入れなかった。

ベランダから見える月は、今も変わらなくて。
日々深くなるたび狂って逝く。

あたしはもう此処には在ないのよ。



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由弥 [御手紙]