ナナとワタシ
ナナとワタシ
INDEX前へ次へ


2004年08月31日(火) 転機予報

だるいよーだるいよー、と、弱虫なことを思いながら仕事しておりましたら。
ナナからメールが。

明日から新学期ですからね。
ワタシ心配で、今日も昼間ナナに「どう?元気?」とメールしたかったんですが、そのメールによって動揺させてもアレだな、なんて思ってメールをガマンしていたんですが。

やっぱりクヨクヨと悩んでしまっているのかしら。

なんて思いながら、メールをチェックしましたら。


今メール出来る?


はて?
電話じゃなくて、メールがいいの?
何かしら。


うん。


と返信。
それから5分後。 ナナからメール着信。


間違っていたらごめんね。
好きな人って、私?




え?


ええええええええええええ?




(脳内空白)



ど        どうしよう。


どうしたらいいんですか神様。
なんなんですかこのストレートな問いは。
この人はぐずぐずなワタシと違って、どうしてこんなにハッキリしてるんですか。


とりあえず、ナナがどんな意図で質問してきたのかわかりませんので、いったんはとぼけてみることに。


なに急に!


・・・・次のメールが来るまでに、手のひらにじっとりとイヤな汗をかくワタシ。
いつもは手のひらなんてさらさらなのに。
どうしてこんなにじっとりできるのかしら。


すごい長い時間が経ったように思ったのですが、実際は6分後に返信が来ました。


なんか気になって。
なんだよードキドキさせんなよー。
でも興味本位で聞いたんじゃないんだ。
眠くなんなくて色々考えてたら…そうなのかなと思って。



ナナはマジメに聞いているみたいですね。


どうしよう。



「そうだよ」と言ってしまっていいものなのか。

考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ。<実際頭の中でこの言葉がぐるぐるしていたワタシ。


わからない。
わからないんです。


何しろ今までさんざん、当のナナに対して「相手に負担をかけたくない。大事に思うからこそ、告白はできない」と言い続けてきたワタシです。
「そうだよ。好き☆」と伝えてしまうのは、なんだか矛盾です。

が、ここまできて、何をとぼける必要があるのか、という気もします。
かえって失礼だし、ワタシのグズグズにいつまでもつきあわせるのも失礼なんじゃないかという気もします。


どうしよう。<キリなく書けますコレ。


今の気持ちに、正直に返信しよう。



困ったな。

こんな返事では失礼なのはわかってるんだけど。

困った。




優柔不断もここに極まれり。

でもでも。
言い訳しちゃいますが、優柔不断だけが理由じゃないんです。
ナナの問いかけに甘えて、うかつに気持ちを伝えてしまって、先々迷惑になってしまったら、なんて考え・・・・やっぱ優柔不断ですねこりゃ。
だって、答えたも同じですよね、この返信。
なのに、ハッキリとは伝えていない。

卑怯かも。 ずるいかも。

でも、今の自分の精一杯、という自負はあります。

ナナはなんて思ったかな。
やっぱり「ずるい」と思うんだろうか。
返事くるのかな。

長い。
ナナからメールが来るまでの時間が、ものすごく長く感じられます。

約30分後に、ナナから着信。


困ったのはわかった。

もしそうだったなら…。私は嫌じゃないよ。
むしろ嬉しいよ。
ヤァッター!という嬉しさとはちょっと違うけど…。
ありがとうと言いたいし、そのことでなんだかいろんな話してきたのに、
とんちんかんな事を言ってた自分が妙に笑えるし、
それに今まで気付いてあげらんなくて、まずごめんね、と思う。
今いろんな事振り返って思うと、じょりぃの事とても愛しいと思いますよ。
可愛いとも思う。
そんな気持ちです。
とかいって「オメーじゃねーよ」だったらかなり笑ってしまいますが。

(ワタシの好きな人が)他の誰かだったとしても、そう思ってくれそうな気がするよ。



・・・・・・・・・・・・・・。


うっかり感動してしまいました。


と、軽やかに言っておりますが、ワタシが感じた感情というのは、言葉にできません。
ホントに今まで気付いてなかったのかよ!という驚きはさておき、この人はなんてやさしいんだろう、と。(思うのはワタシだけだと思いますが)

ワタシはやっぱりナナには全然かないません。
今までひとりで七転八倒して「気持ちを伝えたら迷惑になる!」と大騒ぎの独り相撲を取っていて、さもさも自分がイニシアチブを取っているようなつもりでいたことにも気付かされました。
ワタシが思っていたよりも、もっと大きな人だったのです、この人。(と思うのはワタシだけだと思いますが)

プライド高いのに。
ワタシが「好き」ときちんと伝えたわけではないのに、それを前提にしてこのようなメールをくれるのは、ナナにしてみてもけっこうな勇気がいったと思います。
たぶん、ワタシのためにプライドはさておき、このように言ってくれたのもなんとなくわかりました。

ごめん、ふがいなくて。
そして、ありがとう。


なんて返事しよう。
とりあえず、感謝の気持ちを伝えたい。
ワタシが感動したことを伝えたい。

たっぷり時間かかってしまいましたが、ナナに返信。


先日の電話の時も思って、さっきのメールでもつくづく思ったけど、
キミってものすごく優しくて、懐が深いと思う。
それに頭がいい。
私がどんなにキミを尊敬しているか、伝わらないであろうことが歯がゆいほどです。
そして、どうもありがとう。
気を使わせちゃったね。ごめんね。



・・・今読み返してみると、あんなに考えた割にはなんだかなーですが。

このあとしばらく返事がこなくて、もういいかげん遅い時間だし、眠くなって寝ちゃったのかな?眠れなくてメールしてきたんだから、まあそれはそれでよかったな、なんて思って。

ナナの携帯は家族中が見るので、「削除しておいてね」とメールしようと思ったら、着信。


今回の事ではまったく自然体です。本当に。
基本的に気を使うの苦手なんだよ。
だからそう気を使わないで(笑)。
今日は月が明るいね。
もうボチボチ寝てみます。おやすみ。



月?

と思って、外に出てみましたら、ホントに明るい。

ナナと音信不通だった10年ほどの間、月を見てはなぜかナナを思っていたものでした。
その月が、今日はこんなに明るくて、カタチもキレイで、輝いております。

できすぎ。

とひねくれたことを思いつつ、「ありがとう、月」と、なぜか月にも礼を言ってから(口には出しませんが)、家に戻って返信。


そうか(笑)。ありがとう。
今、月見てきたよ。
ホントに明るいね。

くどいようだけど、キミってやっぱ、スゴイ人だと思うな。
私はこんなに自分に誇りを持てたことはなかったように思うよ。
これって意味がわかんないかもだけど。
でもキミのおかげなので、どうしても言いたかった。

おやすみ。
あ、メール、削除しておいてね(笑)。



どうして自分に誇りが持てたのかと言えば。
ワタシがずっと愛している人が、ワタシが思っていたよりもっと器の大きい人で、しかもカムアウトに引き続き、実に上手にワタシを受け止めてくれて、「ワタシの好きになった人ってスゴイ」と思えることが自分に対しての自信と誇りになったのでございます。
他人から見たらアホくさいことでございますが。
本人にとっては、これくらいのことで、どうしてこんなに誇らしく思えるのかというくらい、誇らしい気持ちでございます。

そして、深い感謝の気持ちでいっぱいです。


なんにも状況は変わっていないのです。
驚くほどです。
ワタシはとにかく相変わらずナナを好きで、ナナはワタシに対して恋愛感情はなくて。
これからもそのままということです。

ただ、ナナはそのことを知りました。
そして、ワタシはそのことをナナが「嬉しいよ」と受け止めてくれることを知りました。


なんにも状況は変わらないのですが。
それでも、なにがどう、というのではないのだけれど、
ワタシたちは転機を上手に迎えることができました。
そして、ワタシはこれからもナナを追いかけていてもいいんです。 たぶん。


これ、すべて、ナナのおかげ。
今までエラそうに「ナナのため!」と踏ん張っていたワタシ、出番なし。
というか、相変わらず変な意味で自分を通す頑固さと優柔不断ぶりのみで終わってしまいました。


とにかく、今はシアワセでしょーがありません。
両想いになったわけでもないのに。
どうしてこんなに満ち足りた気持ちなのかしらワタシ。
ちょっと頭が弱いのかしら。<ありうる


それにしても。ナナめ。
「メールじゃ気持ちは伝わらないんだよ」「メールだと微妙なニュアンスが伝わらないから、やっぱりよくないね」なんて言ってたくせに。

こんな大事な話をメールで?


まあ、結果オーライということで。


2004年08月30日(月) プレゼントって難しい

今日ってば、ナナの誕生日だったんですよ。
おめでとうございます。ありがとうございます。

と、気づいたのが今日の日付になってから。

今年こそは何かプレゼントしたい! と、ついこのあいだまでは思っていたのに、気づけば当日。

しかも、実は誕生日が今日なのか明日なのかよく思い出せないアタクシ。
好きな人の誕生日くらい覚えられないんでしょうか。


とりあえず、「おめでとう」だけは言いたいなと思いまして。

思ったんですが。


恥ずかしい。
ベタだ。
なんだか「仲良しごっこ」風味で、イヤ。

と、また変なところで自意識過剰的にカッコつけるじょりぃが。

かといって、「おめでとう」くらいは言いたい。祝いたい。


ということで。
午前11時頃、いったんメールを打ちました。

誕生日おめでとう。 何かプレゼントしたいんだけど、欲しいものな

ここまで打って、陳腐! と却下。 削除。


誕生日って今日だっけ?


却下!

わからないならメールするなという感じでございます。
(でもホントにわからないので、余計にメールしづらかったのでございます)


結局、そのときはメール送信を断念。


午後、出かける用事があったので、ついでにプレゼントを買ってしまえーと意気込むじょりぃ。
何がいいかしら。

ホントはものすごいベッタベタに、でかい花束抱えて、ケーキ買って、ナナ家に乱入してハピバースデーツーユーを歌いたいんですよワタシは!
そのくらい、大祝いしたいんですよ!
だって好きな人の誕生日でしょ!
「!」が多いのは、自分のこういう、ホントはベタなところが、でんぐり返りしたいくらい恥ずかしいからなんですよ!

しかし。

花束はたぶんパパが買ってくるでしょう。(け)
それに花束って、なんだかキザっちくて、ナナに「ふ」と嘲笑されることでしょう。
(ナナは「花束のプレゼントって、自己満足以外のなにものでもないっつー感じ」と以前申しておりました)
ケーキは自分ちで用意するでしょう。(ナナの性格だと、自分の誕生日だから用意もお祝いもしないかもですが)
だいたい乱入してハピバースデーを歌おうと思っても、人様んちのことでございますでしょう。
そう考えると、ワタシったらベタ系の出番はないでしょう。


なーんてことを相変わらずぐーずぐーずと考えまして。

なんだろなー。ナナの欲しがりそうなものって。
物欲のない人なので。 こういうとき困ります。
音楽聴かないし。 趣味もないし。 画集とか写真集とかも興味なさそう。(つまんねー女だな)
ワタシとの接点といえば映画くらいですが、DVDプレゼントされて喜ぶタイプでもありませんし。

困った。

考えた結果候補にあがったものが。

・ちょいと素敵な日記帳
(自己セラピーのためにも、気持ちやその日にあったことを書けるといいかなというおせっかいな理由)

・万年筆
(上記と同じ理由と、オトナだから、良い万年筆1本持ってるのもいいかもと)

・インテリアとか家やガーデニングに関する写真メインのカッチョイイ本
(ナナが好きなので)


で、時間もないし、これら全部が揃っていそうで、かつ、これから向かう場所の途中にあるジョイフル○田へ。
なんだか色気のない店ですが。まあしょうがないや、当日だし。忙しいし。

ワタシの予定では、アート&クラフト系のものが揃っている館内に「じょりぃさん、あなたをお待ちしておりましたのよ」と言わんばかりに選ぶのに困るようなラインナップで、すべての品が揃っているかと思っていたのに。

まずですね。

日記帳が一冊もありません。
前来たときは、こじゃれたものが置いてあったのに。
ということで、日記帳却下。

同様に、カッチョイイ本もありませんでした。
ウエディングコーナーを充実させた分、オサレ本が減ったらしく。
このやろう。
ウエディングなんてワタシに縁のないスペースを拡大しないでください。

で、万年筆。
高いだろうなとは思ったのですが。

高っ。

ずっと前に、ワタシ、まりあからモンブランの万年筆をプレゼントしていただきまして。
すごく気に入ってましてね。
せっかく買うなら、ナナにもやっぱりモンブラン(お揃いだし☆)と思っていたのですが。

まりあ、ありがとう。
あんなに高いものだったのね。
ワタシじゃとても買えませんし、買ったところで考えてみたらナナが万年筆を使うとは思えませんでした。
あんな、メンテやインクの吸い上げやらが必要なモン、あのモノグサが喜ぶはずがありません。
だいたい、ああいう「モノ系的満足」って、けっこう男の感覚ですよね。

ということで、候補にあがっていたもの、ことごとく却下。


どうしよう。
と、指をくわえてぽつんとするじょりぃ。
時間もそんなにないし。
おまけにここはジョイフル○田。
アート&クラフト系のものと、業者が使うような建材やら、事務用品やらペット用品やら家庭用品やらしか置いてません。

網戸の網でも買っちゃおうかな☆

なんてヤケクソになって歩いておりましたら。

あ。

ワタシが前から興味津々だった、シルバークラフトのキットが。
自分で粘土こねて焼いて磨いて、銀製のアクセサリーやらがつくれちゃう、という、アレです。

つねづね、ナナってばセンスいいし器用なのに、それを発揮する機会をつくることをしなくてもったいないよなーと思っていたものですから。
なんだかこれっていいかもー、と思ったじょりぃ。

でも、ナナ、アクセサリーつけないしな。

とはいえ、自分でシルバーアクセサリー作るのって、けっこう楽しんでくれるかも。
別にアクセサリーじゃなくてもいいんだし。
珍妙なオブジェとかなら、喜んでつくりそうだし。

これなら家で楽しめるし、うまくすれば趣味にできるし。
「上手になれば、売って稼げるよ☆」と言えば乗り気になるかも。

それに、ナナが喜ばなくても、きっと長女ちゃんや次女ちゃんは、飽きるまでしばらくは楽しめることでしょう。
子供が喜べば、ナナも喜ぶし。


決定。


あげたきり使わなそうだったら、ワタシがもらっちゃえばいいや。欲しかったんだし。


このへんで、ナナにメール。

誕生日(だよね?)おめでと。
良い日になりそうですか?



・・・・・返事のこなそうなメール。

と思ったら、10分ほどしてメールが。

ありがとう。
良い日になるといいけどね。



とりあえず、誕生日は間違えていなかったようで一安心。


用事を済ませ、7時近くになってから、ナナに電話してみることに。
食事中かもなぁ。 かけづらいなぁ。 でもかけちゃえ。

「もしもし?」と携帯にかけてみました。
「どしたの?」
「ジョイフル○田に寄ったついでに、プレゼント買ったのだよ」
「ああ。どうもありがとう」
「渡したいんだけど、ちょっと寄っても大丈夫かな? 一瞬」
「いいよ」
「じゃあ今から行くね」
「うん。わかった。ありがとう」

ナナ宅につきまして。
今日はこの後も用事があったので、子供たちに見つからないよう、ナナの携帯にもう一度かけて「外に出てきて」と頼みました。

そこまでしたのに、玄関から出てきたのは末子ちゃんでございました。
つづいてすぐにナナが。

「抱っこして☆」

と言ったのはもちろんナナじゃなくて末子ちゃんでございます。

よっこいしょ、と末子ちゃんを抱っこして、片手で「はい」とジョイフルの袋のままナナに渡しました。

「ありがとう。何これ?」

説明するじょりぃ。

「へえ。おもしろそうだねー。・・・粘土も入ってる?」
「うん。もしやってみておもしろければ、また粘土やらその他のオプションも買ってくるよ」
「指輪とかつくれるの?」
「うん。指輪がいちばん作りやすいかも。長女ちゃんとか、いいもの作りそうかなと思ってさ」

長女ちゃんは芸術的センスに長けているのです。独特のタッチのイラスト描きますし。

「うん。これなら次女もよろこびそう」
「火を使うから、次女ちゃんがやるときはママがついててあげてね」
「火を使うのか。 じゃ、末子はダメだね(笑)」

末子ちゃん、案の定プンスカしながら「できるよ!」と。

「火を使う以外のことなら末子ちゃんにもできるよね。 粘土こねさせてあげてよ」
「そうか。よかったね、末子(笑)」

この調子だと、ママは作らないかもなー。
でも、なんだか喜んでもらえたような手応えがありました。
やっぱり「for 子供」な匂いのするチョイスが功を奏したようです。


ああ。
先日ワタシのカムを上手に聞いてくれたナナが、今日は女神様のように見えます。

・・・って、 あれ?

そうだ。 ワタシ、カムアウトしたんだっけこの人に。


今まで忘れてたワタシものんきですが。
思い出した途端になんだか気恥ずかしくなったりして。

しかし、ホントに何も変わらないなぁ、カム前と後で。
ありがたいことです。


「寄って行ってよ」とナナ。
「寄りたいけど、このあとまだ約束があるんだ」 実はきょんとの外食なんですが。
「全然時間ないの? ちょっとだけでも」
「ありがとう。でも今日は時間がないので帰るよ。突然来ちゃって悪かったね」
「ううん。 ありがとう。わざわざ」


というわけで。
無事に初めての誕生日プレゼントも渡せました。


オチがないなー。
どーもスミマセン。




追記---------

掲示板のレスつけなどをしておりましたら、ナナからおやすみメールが来ました。

プレゼントが嬉しかったということと、家族の問題も回復に向かっているということ。
心配かけてゴメンということと、また遊びに来てねということです。

夢じゃないでしょうか。
というくらい、嬉しかったので追記してしまいましたが、オチのない日記がさらにつまらないものになったような気もします。
重ねてスミマセンねえ。


2004年08月28日(土) なりゆきで・2(ついにカムアウト)

前回の続きです。


ナナの声が暗い気がしたし、「うん」しか言ってもらえないので、不安になったじょりぃは饒舌に。

「中学高校の頃なんかは、異性愛者でなければ『変態』とか『異常』と言われている世の中だったから、
 とにかくそれを隠さなければということで必死だったんだ」
「うん」
「だから、ワタシの基本に、常に強烈な劣等感と自分の存在否定みたいなものがあってさ」
「うん」
「自分は不良品で、そのことが知られたらとにかく親をガッカリさせるしと」
「うん」
「今はそんなこと思ってないよ? 劣等感もないし」
「うん」
「前に話して心配をかけた『早く死ななきゃ、いなくならなきゃ』って思っていたというのは、
 その劣等感のせいだったんだ」
「うん」
「とにかく親に対して申し訳なくてさ。そればっかりが頭にあって」
「うん」
「親の中で『娘としてよくできたじょりぃ』の状態のまま、人生を終わりにしなければ
 ガッカリさせちゃうって、バカみたいだけど真剣に思ってて」
「うん」
「バレたら友達もみんな背を向けると思っててさ」
「うん」
「それでも『あのじょりぃがそうなのなら、それって悪くないのかも』って
 思ってもらえるかもということに僅かな望みをつないで、
 とにかくすごい人にならなくちゃって思って、勉強でもスポーツでも人より抜きんでるようにがんばってさ」
「うん」
「でも、親に話して、しかも受け入れてくれたので、
 ああ、申し訳ないって思わなくていいんだ、生きてていいんだ、って思えて、
 それからは人生がラクになったんだ」
「いつ話したの?」
「30のときかな?」
「そうだよね。20代のときに会ったときは、両親を憎んでいたように感じたもの(笑)」
「(笑)そうだったのか」

ワタシ、「カムアウトは軽やかに☆」と決心していたのに、ハナから重たい話をナナにぶつけております。
なんていうか、ナナに対しては、そのほうが誠実な態度に思えたのです。
そしてたぶん、ワタシはこの人に、今までのワタシの心の動きみたいなものをきっと話したかったのでしょうね。
陳腐でカッコ悪いんですが「(昔は)つらかったんだ」っていうことも、わかってほしかったんだと思います。
今までいろんなことを隠して話をわかりづらくさせていた分、いっそ伝えるならナナの中ですべてのパズルがカシャカシャとはまって行って欲しかったんだと思います。


「・・・・自分の話をべらべらと話して恥ずかしいけど、まあ、そういうことなんだよ」
「・・・・・・・・」

間が。 間がつらい。
お願い。
何か言って。



「なーーんだ(笑)」



たぶん、この人はこう言ってくれると思っていたんですが。
やっぱりこの一言を聞くまで怖くて、この一言を聞いて、やっと安心しました。
とりあえずじょりぃに一通りしゃべらせてやろう、ということで、ひたすら「うん」「うん」と聞いてくれていたんでしょうね。

「なーんだ、だよね(笑)」
「ていうかさ。  あたし、たぶんそうだろうなと思っていたよ」
「たぶんそうだろうなと思っているだろうなと思っていたよ」<「親友にカムアウト」にありがちな会話展開
「(笑)でも話さないからさ。 そのへんつっこんで聞いちゃいけないのかなと思ってた」
「ワタシは訊かれたら答えるつもりでいたんだけど」
「そうなの?(笑)」
「うん(笑)」
「でも、やっぱりあたしの勘違いかな?って思うこともあって、ハッキリ確信できなかったんだけど」
「ワタシが一生懸命、嘘ついていたからね。これからはキミに嘘つかなくていいかと思うと、本当に嬉しい」
「気が楽になった?」
「うん。すごく」


ホントに、すごくね。
おかげさまで。


「じゃあ、中学の頃から、その子に気持ちがバレたらどうしよう、って思ってたわけ?」

この時点で、既にナナ、「好きな人」を女性に絞ってますが。
ワタシ、その人のことについてはまだなんにも言ってないんですけどねえ。
今までさんざん「好きな男の子」「彼」と言っていたくせに。
現金なもんです。

「ていうより、周りのすべての人に対して『今日はバレるかも』『明日はバレるかも』って、毎日怯えながら生活していたんだ」
「・・・つらそうだ(笑)」


「ねえ、誰かに疑われたことはなかったの? 中学のときとか」とナナ。
「直接言われたことはないよ。 ただ、あなたにほら、理科準備室に呼び出されてさ・・・」
「ああ。 あたしの記憶にない事件ね(笑)」
「うん(笑)。あれが一番ビビったかな」
「あたし、ホントに覚えがないんだけどなー。あんなこと言ったかなぁ」
「夢じゃないよ。言っておくけど(笑)」
「うーーーーん・・・・・。
 あたしねえ、中学高校の頃・・・ていうか、今でもそうなんだけど、
 友達づきあいなんて、うわべだけの楽しいもので十分、て思ってたのね?」
「うん」
「あたしのこと理解してほしいなんて思わなかったし、
 中学の頃なんて、そもそも相手だってそこまで友達のこと思わないしさ」
「うん」
「でもね、じょりぃは違っていたのだよ」
「・・・・・」
「あたしに踏み込んできそうなものを、すごく感じて、イヤだった」

イヤだったそうです。

「そ、そうですか」 スミマセン。
「そのことに対して、警告したかったのかもしれない。とは思う」
「そう」
「だって、家の事情とか絶対に知られたくなかったし、
 とにかくあたしに関わってほしくなかったのよ、誰にも。
 なのに、じょりぃはあたしのことすごく心配してくれて、すごく思いやってくれて、
 おまけにおせっかいでさ」

おせっかいだそうです。

「おせっかいですか」
「(笑)だって、部活さぼってると、迎えに来たりしたじゃん」
「あれは部長に言われて迎えに行ってただけですが」
「まあとにかく、あたしを深く知ろうとしないでほしかったのだよ」
「そういう点では、当時のワタシたちは似ていたのかもしれないね。
 ワタシも、他人がワタシに深入りすることを恐れていたから。知られたくないことがあったからね」

昔をしみじみとしのぶふたりでありました。

が、話は現実の、ワタシができればしらばっくれたい部分へと向かいます。
ナナ、容赦ありません。

「なっちゃんやきょんさんは、じょりぃのそういうこと知っているの?」
「あー、 うん、 まあ」<歯切れ悪し
「じゃあ、今の今までひとりで抱え込んでいたわけじゃなかったんだね? ちょっと安心したよ」
「うん。それはないよ。 それに、ワタシとつきあうことになると、自然にそういうことは相手に知られるわけじゃん?」
「うん」
「そう言う意味でも、本当にひとりぼっち、ということでは全然なかったよ」
「そうか」


「ていうことはさ、じょりぃがつきあった女の子って、みんなやっぱりそうだったわけ?」とナナ。
「それが微妙なところでね。 みんな男性が好きな人ばかりなんだ。
 たまたま、ワタシのことは好きになってくれた、という感じかな」
「女子高の生徒が、カッコイイ先輩にきゃあ☆ってなっちゃうようなもん?」
「(ムッとしつつ)もっと真剣に思い合ってつきあってたけどね」
「そうか。失礼」
「でもさ」
「うん」
「結局、みんな男性を好きになる人だから、いつでもつきあうスタートから、既に別れが前提だったんだよ」
「うん」
「それはさびしかった」
「さびしいね」
「だからなんか、不安なのとさびしいのがイヤなのとでさ、ついふたまたみまたかけちゃったりして」
「ああ。でも楽しそうだなー(笑)」


「で、バレるのが何しろ怖かったからさ」とワタシ。
「うん」
「とにかく『彼氏』という存在はワタシには必要だったのね」
「うん」
「そういうわけで、『男切らしたことなかった』わけだ」
「なるほど」
「今はその必要もなくなったけどね。恥ずかしいコトじゃない、って思えるようになったから」
「じょりぃにとって、男の人って、それだけのための存在?」
「それがそうでもなくて。だから両方ってことなんだけど」
「そうか」


「きょんさんとは、一緒に暮らしてるわけじゃない?」 キタ------!!!!!!
「うん」
「それはさ、   どういうことで?」
「んー・・・・」
「ずっと好きな人っていうのは、きょんさんじゃないんでしょ?」
「違う」
「じょりぃに好きな人がいるっていうのは、きょんさん、知っているの?」
「知らない」
「なんで話さないの?」
「きょんに失礼だから」
「失礼ってことは、・・・・・どういうこと?」
「結婚してるようなもんだからね」<きょんとこのこともあらためてカムアウト
「結婚してるようなもんだから、浮気とかもなしね、ってことになってるの?」
「なってるの?っていうかさ・・・・やっぱりそういうもんでしょ?
 『結婚しようね☆』って言って一緒に暮らし始めたわけではないけど」
「そうか。そうだね」
「うん」
「好きな人が他にいるって、きょんさんが知ったらどうなるの?」
「いい気持ちはしないんじゃないの? 
 前に『もしもさー』って感じでそんな話をしたら『そりゃイヤだろうね』て言われたし」
「そうか。
 ・・・ねえ、あたしとこうしていつも電話したり出かけたりして、それはいやがらないの?」
「うん」
「どうしてかな?」
「のんきだからね、きょんは」
「そうか(笑)。いいね、きょんさん」
「うん」

「でもさ」とナナ。
「うん」
「それってずるくない?(笑)」
「何が?」
「きょんさんがいて、いわば結婚してるような状態で、その上その人のことも好きってことでしょ?」
「ずるいよね。 でも、気持ちは変えられないじゃん」
「うん。 でも、きょんさんにはそのことは言えず、そして生活を続けていくわけか」
「きょんのことも、とっても大切なんだ」
「うん。そうだよね」


「じょりぃとつきあった女の子たちってさ、今はどうしてるの?」
「みんなそれぞれ、結婚してシアワセにしているよ。今でもみんな友達だし」
「ふうん。 その人たちがじょりぃとの関係を漏らすことはないの?」
「ないね。みんな揃って、驚くくらい口が堅くて信頼できる人たちなんだ。いちばん怪しいのはワタシの口です(笑)」
「ははははは」
「結局こうやってカムアウトしちゃうとさ、聞いたほうはどうしたって、あの子とあの子とあの子あたり、
 どうだったんだろ?あやしいよな、とか思っちゃわない?」
「(笑)思っちゃうね」
「だから、ワタシとしてはもう自分に誇りを持てるしカムアウトはいつでも誰でもOKくらいの気持ちなんだけど、
 その子たちのプライバシーのこととか考えると、やはり今まで通りこそこそといろいろ隠しながら生きていっているんだけど」
「そうだね。難しいね」
「うん」


「好きになるタイプとかって、決まってるわけ?」 ナナ、こうなったからにはいろいろ訊きたいらしく。
「? どういうことかな?」
「男の子ならこんなタイプ・・・変なヤツとかさ(笑)。女の子ならこう、とか」
「ワタシなりの好みの基準というのはあるよね」
「あのさ」
「うん」
「男の子についてはそう思わないんだけど、じょりぃ、女の子についてはけっこう見た目に厳しくない?」
「・・・なぜわかる(笑)」
「じょりぃのまわりの人見てても思うし。
 それに、前から思ってたんだけど、きょんさんがちょっと太ってきたとか、
 口開けて寝てる姿がイヤだとか、心底イヤそうに話すからさ」
「うん(笑)」
「あたし、なんでそんなことが気になるんだろう、それって変じゃん?と思っていたわけだ」
「ははははは」
「あのねえ、あたし的に言わせてもらえば、
 例えばきれいな女の子見たりすると『きれいだな』っていう気持ちとともに
 『なんか気に入らない』って思ったりするのよ」

これはきょんもなっちゃんも同じみたいです。

「ふうん」
「で、友達とかがやせた、とかキレイになった、とかも、
 心のどこかで『悔しい』とか『おもしろくない』という思いがあるわけよ(笑)」
「そうなんだーーーーー」 
「逆にこの人太ったとか老けたとか思うとさ、『勝った』とか思ったり」
「そういう感覚はワタシにはないなあ」
「そうなんだよ。 じょりぃ、友達がキレイになった話とか、ホントに嬉しそうにするじゃん?」
「うん。嬉しい」
「単純に、女の人がきれいだと嬉しいみたいじゃん? 友達はルックスで選ぶ、とか言ってるしさ」
「うん」 <最低です
「そのへん、違うなあと、前から思ってたんだー。
 でもじょりぃ、あたしにはうるさいこと言わないよね。寛容だし」
「そうかもね」  どう捉えているのかしらそのへんについて。

同性の美しさに対する嫉妬。
これって、ヘテロ的リトマス試験紙として採用していいように思うのですが。
同性愛傾向が強いほど、単純に「ぽーっ(はあと)」になりそうですものね、美しい女性に接した場合。
いかがなものでしょうね。



もっともっといろんな話をしたのですが。
まあ、おおよそこんなカムアウトでした。

でも、とうとう「で、じゃあ、好きな人は女の子なの?」とか「誰なの?」という話はナナから出ませんでした。

たぶん、もう気づいたと思います。
何度言ったかわからないですねワタシ。
まだまだこの件については断言できませんけど。


そういえば、「その人の、どんなところが好きなの?」ということは訊かれました。

「どんなところって・・・・わからないなぁ」
「わかんないのかよ(笑)」
「ここが好き、とかここが嫌い、とか、そういう問題ではないのだよ」
「嫌いなところはないの?」
「あるんじゃないかな(笑)。嫌いというか、こういうところは困るよな、みたいなさ」
「わっかんないなー」
「理屈じゃないんだよ。
 その人が、たとえばワタシの親兄弟を殺しても、ワタシを殺しても、ワタシはその人が好きなのだよ」
「すごいねそれって」
「困ったものだよ」
「困ったものだね」
「あ、でも。 ビジュアル的にあまりにもぶっさいくになってしまったら、あっさり愛がなくなるかも」
「・・・・・なんだそりゃ(笑)。でもあなたならあり得ますね」



「少しは気が楽になった? 眠れそう?」とナナ。
「うん。すごく気が楽になったよ。キミに嘘つきぱなしだったのが、とにかく辛かったんだ」
「そっか」
「ものすごく重い荷物を降ろしたような感じだ」
「それはよかったね。 ていうか、あたし、気づいてはいたんだけどね」
「ワタシもそれに気づいてはいたんだけどね」 またお互い知ったかぶり合うふたり。


「パパには言わないでね」とワタシ。
「うん。 パパは・・・・・・・・・・・・」しばらく無言。
「パパは?」
「ううん(笑)。 パパには言わないよ」
「ふふふ」
「(苦笑)」

ナナが言いかけてやめた言葉の続きはわかってるんです。
「パパは、そういうことに理解がないから」ということです。
おまけに、ワタシとナナの関係を深読みしはじめて、やっかいなことになりそうです。
だからワタシも「パパには言わないでね」とお願いしたんですけどね。


「あのさ」とワタシ。
「ん?」
「ワタシがものすごくラクになったのはさ、結局親がワタシを受け入れて、
 愛情は変わらないということをきちんとわからせてくれたからなんだと思うんだ」
「うん」
「だからさ、世間一般的に見て、子供達がフツウでないと言われる状態になったとしても、
 ええと、愛し抜いてあげてね。 ワタシに言われるまでもないだろうけど」
「(笑)言われるまでもないね」
「うん。そう思ったんだけどさ」
「でもあたし、『何があっても味方だよ』みたいなことは、けっこう伝えているんだけどな」
「うん。でも、ワタシが親に勝手に心を閉ざしていたときは、そう言って貰っても
 『どうせワタシの本当の姿を知れば、そうも言っていられなくなるくせに』と思ったりして、疑ってかかったからさ」
「(笑)うん」
「要は、子供が追いつめられて、助けて!って必死になって手を伸ばしたときに、
 それをしっかり受け止めてくれればいいんじゃないかなと」
「なるほどね」


「なんかさー、じょりぃの話で気がそがれて、長女のことがちょっと頭から離れちゃったよー(笑)」
「ははははは。ゴメン」
「でも、いいみたい。 あたし、もう少しゆったりいくんだ。またくじけるかもしれないけど」
「うん」
「次女ちゃんと末子のことも、もっとちゃんとかまってやる時間をつくるんだ」
「うん」
「眠れそう?」
「うん」
「長女のことがすっかり落ち着いたら、ゆっくり出かけようよ。旅行に行こ?」
「うん」
「それまでは、あたしきっと出かけても楽しめないんだ」
「うん。きっとすぐに落ち着くよ」
「うん。そしたら泊まりで出かけようね」
「うん」

嬉しい。

カムアウトもしくは告白したら、もしかしたら泊まりで旅行なんて行ってもらえなくなるかも(警戒されて)・・・と危惧していたので、これはとても嬉しかったです。
旅行なんていつになるかさっぱりわからないけど、変わらずワタシと接してくれるみたいです。


自分のことでいっぱいいっぱいだったのに、ワタシの独り舞台的長話につきあってくれてありがとう、ナナ。

やっと、同じ言葉で話ができます。
今までできなかったのは、すべてワタシのせいだったんですけどね。


セクのカムアウトが済んだら、気持ちの告白なんてどーでもいーんじゃないかという気もしてきました。
不思議なものです。
また気が変わるんでしょうけどね。


というわけで。

カムアウトしたら、その先(告白とか、もっとワタシにかまって!とか)を望んでしまうんじゃないか、と心配していたワタシだったのですが、
逆に「セクだけでもわかってもらえてる」という安心感が生まれて、今までよりもゆったりとナナと向かい合えそうな気がしています。
とりあえず「好きな相手は男って決めつけるなようがあああああ!」という、勝手な一人怒りからは解放されますしね。

「わかってもらえないなら、それでいい」という気持ちが強いワタシなのですが、わかってもらえるということの満足感・充足感て、けっこう大きいものなんですね。


憑き物が落ちたような気分で、やさぐれもどうやら解除でございます。
ありがとう、ナナ。


2004年08月27日(金) なりゆきで・1(それは突然に)

本日、ナナと末子ちゃんとワタシの3人で、美術館へ行って参りました。

最初に室伏選手にハンマーぶつけていただきますが、どんなにやさぐれていても、ナナの顔を、気苦労でちょっとやせた首筋と鎖骨を見たら「ぽーーーーっ」となってしまいました。


がつーーーーん!!!!


じょりぃはハンマーに当たって死にました。
ここからは「新生じょりぃ(ただしやさぐれ続行)」がお伝えさせていただきます。


さて。

末子ちゃんは超ゴキゲン。
ナナは・・・・・玄関から出てきた顔が、もはや超フキゲン。

末子ちゃんはもう、当然!という感じで助手席に座りまして。
ナナは後部座席へ。

美術館自体はけっこう楽しめたのですが、ナナは最高にお疲れだったようで(長女ちゃんのことで精神的に)、行きも帰りも口をきかず寝てました。
ワタシと末子ちゃんのおしゃべりは弾んで(5歳児と違和感なく会話を楽しむじょりぃ。しかも、終始劣勢)、そのやりとりをうつらうつら聞いているらしいナナの「ふふっ」とか「ははっ」とかいうかすかな笑い声が、たまに後部座席から聞こえてくるくらい。

ちょっとさびしい。
というか、なんなのこれはいったい。

渋滞に巻き込まれながらナナ宅へ着くと、次女ちゃんがゲームをしながらお留守番しておりました。
本日、長女ちゃんはおばあちゃんの家へお泊まり。
パパはまだ帰ってきておりません。

お茶を飲んだり、子供達と遊んだりしていたのですが、子供ふたりがゲームに興じ始めた頃、ナナが「ねえ、じょりぃ」と。

「ん?」
「折り入って、じょりぃちゃんにお願いがあるんですけど・・・」

ナナがワタシに「ちゃん」づけするときは、たいてい無理な頼み事でございます。

「・・・折り入っちゃってるの?」 警戒するワタシ。
「うん。すごく折り入ってます」
「な、なに?」
「言いづらいんですけどぉ・・・・」

なに?その今までの中でも格別に重たそうな前フリは?

「き、聞きづらい・・・」
「ううう・・・・やっぱりいいです」
「・・・・・・・・なに?」
「忙しいよね、今って」
「うん」 あっさり。
「じゃあいい」 何をめずらしくもじもじしてやがる。
「いいよ。言ってみて」
「・・・ディズニーランドに子供達を連れていきたいなあと」
「?」
「一緒に行けない? 今月中に」

えらく急ですね。

「今月中はちょっとなぁ・・・9月じゃダメ?」
「んーーーーー・・・・・無理ならそれでもいいです」

話をまとめるとこういうことです。

・長女ちゃんの気晴らしに、ディズニーランドか東武動物公園に連れていってやりたい。
・パパはたぶん行きたがらないだろうと思う。
・行けたとしても、パパは長女が好きな絶叫系マシンに一緒に乗れない。
・長女ひとりで乗ってもらえばいいのだろうけど、それもなんかかわいそう。


「・・・いいよ。行くよ」
「ホント?」
「でもアレだね。要は、運転手が欲しい。そして、パパが運転してくれるとしても、絶叫系に一緒に乗れる要員が欲しいと、そういうことだね?」 <ちょっと責め口調のワタシ
「・・・・ピンポン」 <バツが悪そうに正解チャイムを自ら奏でるナナ。


落胆。


ウソでもいいから、「じょりぃと一緒に行きたいんだよ」と言ってくれればいいのに。
ワタシをうまく丸め込んでくれればいいのに。
そんなストレートに、「使う」ためだけの理由を告げてくれなくてもいいのに。


もっとゆっくりしていくはずだったのですが、この件でやさぐれに拍車のかかったじょりぃは、皆の予想を裏切って早々に「帰る」と帰ってきてしまいましたとさ。
やさぐれた状態でパパに会いたくなかった、というのもありまして。
ただ、「夕飯だけは一緒に食べて?」とナナに引き留めていただき、しょんぼりしながら(誰も気づいてくれませんでしたが)ぼそぼそとご飯を食べて参りましたが。


おもしろくなーーーーーいのだ。


と、いつもならひとりでいじけて終わりなのですが、こういうことはちゃんと伝えておかないとけっこうしこりになることをぼちぼち学んで参りましたので、さっくりと「ひどい」とメールで伝えてみることに。
ナナは今、自分のことでいっぱいいっぱいですから、さすがにあまりキツイことは言いたくないじょりぃ。
ということで、メールは明るい感じでコーディネイトすることに☆


今日の、すごく言いだしづらそうだった(笑)話の件。

「絶叫系つきそい兼運転手というわけだね?」に、正直に「ピンポン」て答えるなよー。
「じょりぃと行きたいから」って、嘘でも言えばいいのに。
わかっていたこととはいえ、なんか「ああ、やっぱりね」とオチたぞ。
まあ、正直でいいのかもしれないけど。

今日は体調悪いのにつきあわせちゃって悪かったね。
それと、ごちそうさまでした。



しばらくしてから、ナナから返信。


ごめんね。
もう少し気持ちに余裕ができたら、心からそう誘えると思えるんだけど。
ちょっと話したいんだけど電話していい?



ここでも持ち上げてもらえませんでした。あらあら。
ということは、本気でワタシを「使おう」と思っていたのですね。


ちょっと経ってから、ナナから電話が。


「ごめんね」とナナ。
「(笑)いや、いいんだけど」
「・・・・・けど?」
「ホントに使う気だったんだね」
「・・・ゴメン」
「ていうか、今だって、適当な嘘ついて、ワタシを気持ちよくさせちゃえばいいのに」
「その余裕がないし。今回、じょりぃにその点でお願いしているのは本当だから」

がーーーーーーーーーーん。  なんて正直なヤツなんだ。


「他の人にならそういうお上手も言うだろうけど。変でしょ?今さら」

そうなんだけどーーーー。
ワタシに心を許してくれてるからっていうのは嬉しいんだけどーーー。
もうちょっとさあ、こう。ほら。  頼むよーーーー。


本当はネズミーランド大好きな義妹に頼めば、ふたつ返事でOKしてくれるし、ナナもそのほうが気が楽なんだけど、長女ちゃんが「義妹ちゃんじゃイヤ」と言ったらしく。
「じょりぃちゃんならどう?」と訊ねたら「じょりぃちゃんなら行きたい」と長女ちゃんがおっしゃったそうで。

いつものことですが、おまえはどうなんだよと。
ていうか、ナナはワタシのことなんてどうだっていいんでしょうけど。


このあと、ナナがカウンセリングを受けてきた話や長女ちゃんの話をまただーーーーーーーーーっと聞きまして。
カウンセリング行って、方向性が決まって、だいぶラクになったらしくてよかったのですが。
ええと、あの、そもそもの発端だった、ワタシの話はどこへ?

まあ、しかたないか。
今はしかたないや。

しばらく話をして、いくらか気持ちが落ち着いたのか、「じょりぃ、また眠れなくなったって言ってたよね? あたしの入眠剤、今日持たせてあげようとして忘れちゃった。まだ例のことで悩んでるの?」と、ワタシに話を振ってくれました。

例のこと、とは、ワタシの好きな人のことです。
ナナのことなんですが、ナナはそのことを(たぶん)知りません。
知っているとしても、知らないフリを決め込んでおります。

しかし、せっかくその話を振ってくれたというのに、相変わらず話のディテールになると言葉がむにゃむにゃしてしまうワタシ。
無理もないんですが。

せっかくナナが親身になってくれても、話が進みません。
これは申し訳ないし、なんだか失礼です。

と、とまどいながらも話は進み。

さきほどの長女ちゃんの話をしているときに「相手を思う気持ちというのは、口にしなくても絶対そのまま相手に伝わるものだと思う」と言い切ったナナだったんですが。
「なぜなら、あたしの父親は、そういうことは一切言わなかったし、ダメダメなところも多い人だったけど、父親があたしたち子供のことをどれほど大切にかわいがっていてくれたかは、あたしにはなんとなくわかっていた気がした」と。

ここでもその話がまた出て。
「じょりぃの気持ちは、相手には伝わってしまっていると思う。相手はわかっているよ」と。

対してワタシは「伝えなければ、思いなんて伝わるわけないよ」派。
「伝わるよ」とナナ。
「じゃあ、ワタシがキミに対してどう思っているのか、キミにはわかっているの?」 危ない橋を渡るワタシ。
「わかってるよ」

ぎょ! という怯えと一緒に「本当かよ?」という強気な抗議もわき起こるじょりぃ。

「へえ。 どんな風に?」
「すごく大切に思ってくれてる」
「確かにね。でもなぜわかるの?」
「(笑)そうでなければ、こんなにいつも夜遅くまで話に根気よくつきあってくれるわけないじゃん」
「そんなのさ、ワタシは誰に対してだってそうしているかもしれないじゃないか」
「そうじゃないって、前にじょりぃ言ってたじゃん」
「ほら。 ワタシが言ったからわかってるんじゃん」
「それだけじゃないよ。 じょりぃにとって、あたしは特別ってこともわかってる」

ぎょぎょぎょっ。

「と  特別って?」
「すごく特別に思ってくれてるでしょ? あたしのこと」
「・・・・・うん」
「ほら。伝わるじゃん」
「でも、わかってないよ」
「何がだよ(笑)」
「わかるわけないよ」
「わかってるよ」

お互い何がわかってなくて何がわかってるのかわかってなさそうですが。
あるいはナナにはわかっているのかもしれませんが、ワタシにはわかってることとわかってないことがわかりません。


そのうち、なりゆきでワタシが昔好きだった男の子の話になりまして。
じょりぃの男の趣味ってよくわかんない、と。
どうしてあんなのとかあんなのとかとつきあってたの?と。

失礼です。

と言えないくらい、確かに人間的に変なのばっかりだったんですが。

特にA君について、以前からしつこく訊いてくるナナ。

「あの子って、なんかいやらしい感じじゃなかった?」
「そういうところが好きだったのかも。 ていうか、あれでなかなか固いんだよ」
「そうかあ?」
「そうだよ。高校になってからも、ずっと彼女(ワタシのライバルだった女)ひとすじだったじゃん」
「そのことだけどさ、 あたし、まだA君がIとつきあってた頃にさ、家に連れ込まれて『俺とつきあえ』ってしつこくされたことがあったんだけど」
「え!!!!!」
「じょりぃがまだA君好きだった頃とシンクロしてたので、今まで言えなかったんだけど」
「あはははははははははは。 でもそーゆーヤツかも。Iとうまく行ってなかった頃だったのかな?」
「ていうか、単にあたしがかわいかったからだと思うんだけど」 <しゃあしゃあ

ちょっとショックでしたが。
ワタシもちょっと気が楽に。

実はワタシもナナに言えなくて悩んでいたことが。

中学のときにD君というすごい背が高くてカッコいい子がいたのですが、卒業式が終わってすぐ位の頃に、ワタシ、彼の家に遊びに行って(ちょっといいなと思っていたモノで、誘われるままに遊びに行ってしまった)、ちょっと、こう、なんていうんですか?昔で言うところの「B」をちょっとだけしちゃったことがあったんですが。

1年くらい前に、ナナが「実はあたし、中学の時D君のこと好きだったんだ」と聞かされたときは、「まままま、マズイ!」と心底びびったものだったのです。
ワタシもD君のことすごく好きだった、とかならまだいいんですが、単に好奇心のみ。
カッコいいのでちょいとね☆みたいなノリだったもので。
なんだか「知られたくない!ヤバイ!」とひとりで大慌てだったんですが。

が、これでおあいこ。
フィフティフィフティ。

ていうか、世間て狭いですね☆

とはいえ、このことをナナに伝えるつもりはさらさらないワタシですが。
なんだか肩の荷が降りました。

そのあと話の流れで、ワタシの幼い時代の男性関係についての話なんかも出て。
高校から7年くらいつきあってた彼とは、なんとなく「このまま結婚しちゃうんだろうか」とか思ってたんだけど、結局しなかったなあとか、そんな話。

で、そのような場面でも、やはりいろいろと枝葉が分かれてつっこまれたりすると、自分のセクシャリティゆえに「う」と話につまることなどが多々出て参りまして。


「ずっと好きな人」の話も含めて、ワタシ、そろそろ潮時かな、なんて思ったのです。
何かがワタシの背中を押しました。
ナナは今、長女ちゃんのことで頭がいっぱいですが、でもそんなときだからこそ、なんだかチャンスということもあるのかも、なんて。

ということで。


「ついでに話しておきたいことがあるんだけど」とワタシ。
「  何?」
「ううううううううん・・・・・ええと、こういう話が出たところでちょうどいいかなと・・・」
「え? 両方?」
「え!? 何? 両方って?」
「いや、そう聞こえたもんだったから。 なんて言ったの?」
「こういう話が出たところでちょうどいいかなと」
「ああ、ちょうどいいかな、が、両方いいかなって聞こえたみたい」

なんという先走りな勘違い。
ていうか、薄々気づいていたからそう聞こえてしまったのかしら。

「あはははははは」思わず笑うワタシ。
「?」
「両方といえば両方の話なんだけど。   ワタシ、男でも女でも、両方OKなんだ」

心臓バクバク。 になるかと思ったら、そうでもありませんでした。
「ついでに話しておきたいことがあるんだけど」と言い出す前のほうが、よほどアドレナリンが分泌されていたような。

「うん」
「どっちも好きになるの」
「うん」
「だから、好きな人とかつきあった人の話を男性限定で話されたりすると、それだけで勝手ながら心のシャッターが閉まっていくのだよ」
「うん」


ど、ど、どうして「うん」しか言ってくれないんでしょう。
しかも、なんか、心持ちナナの声が暗い気がするし。


これから長くなりそうなので、思わせぶりに次回へ続けてみてしまおうかしら。

つづく


2004年08月26日(木) まだ腐っているのかワタシ(腐敗臭)

5日くらい前だったでしょうか。
ナナを美術館に誘いました。
家から車で1〜2時間のところにある美術館なのですが、今やっている企画展示が、ワタシの仕事に関係のあるものだったので。
以前からナナに「じょりぃの仕事って、よくわからない」と言われ、ワタシも説明がめんどくさいのでしらばっくれていたのですが、それを見てもらっちゃえば話が早いな、と思ったからでした。

いつもなら「ナナの気晴らしに」というのが、まず前提としてあるわけなんですが。
今回は、「ワタシが見たくて」「ワタシの仕事内容を知って欲しくて」という、まったくもってワタシサイドの都合によりお誘い。
そのことは、ナナにも話してお誘いしたのであります。

で、それが明日なもんですから。
夜になって電話が来まして。

「もしもしー?じょりぃちゃーん?わたしー」 末子ちゃんからでした。
「やあやあ、こんばんは」
「明日さー、末子も行っていーい?」
「もちろんだよー。楽しみだなー」 子連れ、というのは最初から言われておりましたし。
「お人形も連れていっていーい?」
「うん」
「明日さー、何日の何時から?」
「うん?」
「んーと・・・・ママに代わるね?」
「うん」


「もしもし?」 ナナです。
「どうも」
「明日の時間なんだけどさ、1時でいい?」
「いいよ」
「で、長女はおばあちゃんちに泊まりでいなくて、次女ちゃんが水泳の検定なんだよ」
「うん」
「次女ちゃんひとりになっちゃうから、あまり時間が取れないんだけど」
「・・・・往復だけで、けっこう時間かかるけど」
「そっか」

子供のことでしかたないと頭ではわかっていても、急速にテンションが下がるワタシ。
ワタシも忙しいので、それなら別にいいや、という気持ちもあり。

「無理ならいいよ」とワタシ。
「無理ってことじゃないんだけど」
「でもなんか、気を使っちゃうし」
「行かないの?」
「ワタシは行くよ。見たいというか、見ておかなければいけない展示だと思っているので」
「そっか。   いつまでなの?もう終わっちゃうの?」
「9月5日まで」
「あたし、来月になってしまえば、午前中からゆっくり出かけられるんだけど」
「そう」
「それじゃダメ?」
「いいよ」 どうでも。

どうせ来月になったらなったで、また同じようなこと悩んで、同じようなことで子供に時間を振り回されるんでしょ。
期待してませんよ。


ワタシの気持ちがワタシ優先になっております。
ナナの立場であまりモノが考えられません。
相変わらず、自分を見失っているらしいワタシ。
どうやらやさぐれ続行中です。困ったモノです。ワガママ病ですこれは。


「じゃあ、来月にしようか」 とワタシ。
「うん。ゴメン。  でも、美術館は無理だとしても、明日、どこか出かけない?」
「いいけど」  けど、って、すごくイヤな言葉ですね。
「末子がじょりぃちゃんに会えるって、すごく楽しみにしちゃってるからさ」
「そう」 末子ちゃんのためですかそうですか。

「どうしようか」とナナ。
「どっちにしろ、時間取れないんでしょ? 何時から何時までなら大丈夫なの?」 <トゲトゲしてます
「うーんと・・・・(次女ちゃんのスケジュールやらをぶつぶつ言った後に)、5時・・5時半に家に帰れれば」
「ふうん」
「・・・てことは、美術館も行けるよね? 慌ただしくなく、展示も見られる?」
「そうだね。こぢんまりとした美術館だから、じっくり見てもそう時間はかからないと思うよ」
「行こ」
「いいの?」
「うん」

結局美術館に行くことに決定。


「じょりぃさ、明日は午前中、打ち合わせとか入っちゃってるの?」
「今のところないよ」 だって、空けておいたんだもの。
「午前中から来る? 家にいる分には、いくらでも時間大丈夫なんだけど」
「・・・・・・」 <今までなら小躍りして喜んでいるであろうに、なぜかフキゲン。
「末子が喜ぶからさ」

知るか。

ウソ。ウソだよ末子ちゃん。
ワタシもキミには会いたいの。
でも、最近ちょっと、身も心も疲れているのだよ。
それに忙しいもんだから、できれば仕事がしたいのだよ。

と、末子ちゃんの知らぬところで、言い訳を並べ立てるじょりぃ。


「ちょっと忙しいんだ。できれば仕事したい」
「そっか。 そうだよね」
「うん」
「夜は? 夜は打ち合わせ入ってる?」

随分熱心に誘ってくれてますが、理由はわかってますし。
素直に喜べません。

「今のところ入ってないよ」
「忙しいよね。 仕事したいよね」
「・・・・・・・・・」
「でも、できるだけ長い時間つきあってくれないかな。家にいる分には、ウチはいくらでも大丈夫なの」
「うん」
「末子が楽しみにしてるんだよ」

それはわかったから。
そこを強調すれば、ワタシが喜ぶと思っているのですか?(実はちょっと嬉しいですけど)
ていうか、ナナはただ単に末子ちゃんをガッカリさせたくないだけなんでしょうけど。

おまえはどうなんだよ!楽しみにしてくれてるのかよ!と言いたいところですが、ワタシの気持ちをちゃんと伝えてもいないのに、ここでそんな風にキレるのは、どう考えても間違えております。

「わかった」
「じょりぃの仕事に差し障りがないのなら、うちの都合考えないで、なるべくいてくれない?」
「うん」
「きっとまた末子の『帰らないでー』の泣きが入ると思うからさ(笑)、覚悟しておいてもらおうかな、と」


だからそれはわかったよ。 <耳から煙を噴きながら


「きっと末子の子守になっちゃって、申し訳ないんだけど」
「いえ、別に」   慣れてますから。


というわけで。
明日はデエトです。 なんて言えません。
正しい日本語を使わせていただくなら、明日は子守です。


こんな風に今は腐ってますが、末子ちゃんに会ってしまえば、ワタシもかわいくてしかたなくて、楽しい時間を過ごせてしまうのですが。


ナナ。
おまえのことは気に入らない。
「じょりぃのこと、いいように使ってるとか、思わないで」と今まで何度か言ってもらったけど、もう信じられません。


でも考えてみれば、今までだって同じようなパターンだったのに。
以前は「引き留めてもらえたわああい」だったものが、今は「けっ」となっているのはなんなんでしょうワタシ。


ナナが「じょりぃの恋愛を応援するモード」になってから(本人もう忘れてる気もしますが)、ワタシの心は腐りっぱなしです。
たぶん、それが決定打だったんです。
どのように決定打だったのかは、自分ではなんとなくわかっているのですが、ここではあえて書きません。
けっこうワタシなりにフクザツで、表現がめんどくさいので。


なーんて言ってて、明日顔を見てしまえばまた「へろり〜ん」とかなってる可能性も高いアタクシなわけですが。
考えてみたら、最後に会ってから3週間・・・ていうかひと月近く経ってるんですね。


「あたし、今ヒドイ顔してるんだ」と先日の電話で言っていたナナ。


あまりにもぶっさいくだったら、さらにテンションが下がる可能性も。

・・・それってもはや愛じゃない気がするなー。
とりあえず、盲目状態からは解除されてしまったのでしょうか。



自分の中で唯一信じられたものが揺らいでいるワタシ。



自分を見失っても仕方ないのかもー。
と、のんきに構えてみることにします。



明日「やっぱりかわいい、ラブ☆」めいた日記書いたりしたら、室伏選手にハンマーでも投げつけてもらおうと思います。


2004年08月22日(日) やさぐれ中

ナナのことは書きたくないのだー、と言った舌の根も乾かぬウチに書いているわけですが。
まあ、なんとなく。
スミマセンねえ。


-------------------


子供子供子供子供子供子供子供子供<×1000



・・・・という、ナナの電話につきあって、こんな時間でございます。
こんな時間というのは午前3時30分です。



ワタシじゃなくたっていいんでしょ。

話聞いてくれれば誰でもいいんでしょ。

泣ければあなたはスッキリなんでしょ。



という気持ちが根底にあるためか(ちょっとやさぐれてましてね。ふ)、いつもより理屈で言葉を返すワタシ。




ながなーーーーーーーーがと話をしたあと、ナナが言いました。

「なんか、じょりぃと話してると混乱する」


あっそ。
電話してこなきゃいいじゃん。


「難しいんだもん、じょりぃの話。わかるけど、わかんない。理解できるけど、どうしたらいいかわかんない」


あっそ。
ゴメンね。
全部ひらがなに直して話そうか? <すげえイヤな奴



「このあいだ、末子の幼稚園のお母さん仲間と話したときは、なんか、すごいだーーっと話してえーんて泣いたの」


あっそ。
いいね。
誰の前でも泣けて。
誰にでも心をぶちまけられて。



ワタシは「どうしたらいい?」「どう思う?」って訊かれるから、一生懸命考えて答えてるだけだよこんちくしょう。
混乱するとか言うな!



そのあとまた少し愚痴を聞いて。
話題はといえば、相変わらず長女ちゃんのことです。



長女ちゃんの現状と、ワタシの中学時代とシンクロする部分とかがたまにあって、そういうときに体験談として自分の話をちょろっとしようとしても、この人、「ワタシの」話はスルーするんですよ。
最後まで聞かずに、自分の話したいこと話しはじめちゃう。

ここからが大事なんだよっ、というところで、話をさらっていきます。
たぶん、頭がいっぱいいっぱいで、余裕がないせいだと思うんですが。
3度目にはワタシも頭にきまして。(<この人も今余裕がありません)

「キミ、ワタシの話は全然聞かないな」と。
「え。 聞いてるよ」
「さっきから、ワタシ個人の体験談とかは、全部途中でスルーしてるよ。
 言っておくけど、ワタシはワタシの話がしたくてしてるわけじゃないんだよ。
 今の話だって、長女ちゃんに対する自分の接し方が気がかりなら、
 そのときにワタシの母親がワタシになんて声かけたか気になると思うんだけど」

キツイ口調のワタシ。

「・・・ごめんなさい」
「いいよべつに。興味ないんだろうし」 ワタシの話なんて。
「そんなことないよ。ゴメン。  で、お母さんはなんて言ったの?」
「もう言いたくないよ。こんな風になってから」
「あたしは聞きたい。 教えてください」


話しづらいったらないですわ。こんな会話をした後に。
が、ここで教えないのも底意地が悪いので、仕方なく話しましたけど。




で、またしばらくぐちぐちと話したあと。



「ねえ。で、あたしはどうしたらいい?」とナナ。


混乱する、なんて言われたあとに、ワタシに何が言えましょう。



「(冷笑)どうしたらいいって?」
「どうしよう」
「わかんないよ、そんなの」
「え」
「ワタシとあなたは違う人間だし。 それに混乱するんだろ?」  

いつもの「でしょ」口調でなくなっているワタシ。男入ってきました。

「・・・でも、あたしはじょりぃの意見を頼りにしてるんだけど」
「最近、それに応えられる自信がないんだ。 キミがどうしたらいいかなんてわかんないよ、ワタシには」




無言。




「・・・そんな風に言われると   あたしはさびしい」 とナナ。
「こんな風に思わなきゃいけないなんて、ワタシもさびしいよ」



無言。



「ごめんなさい」とナナ。
「こちらこそ」事務的なワタシ。



「・・・あたし、じょりぃに『大丈夫だよ』って何度も何度も言って欲しかっただけかも」
「いつも言ってるじゃん」
「だから、今日も」
「そんなことでよければ何千回でも何万回でも言うけど?」
「今日のじょりぃは、いつもより難解なんだもん」
「あなたがそういうことを求めているのかと思ったんだけど」
「・・・・安心させてください」



やれやーれ。



「大丈夫だよ」
「・・・・・・・・」
「言われたから言ってるわけじゃないよ。大丈夫」
「・・・・ホントかな」
「いつだって言ってるだろー。絶対絶対絶対絶対大丈夫」


「あたし、じょりぃには、他の人と違って、いろんなことに答を出して欲しくて電話しちゃうの」
「・・・・・ふうん」
「そのくせ、最後には『大丈夫だから、心配いらないよ』って言って欲しいんだよ」
「言わなくても思ってるよ」
「でも、言って」
「わかった」
「あたしって勝手?」
「うん。勝手」 <正直
「じょりぃが言うように、わがままだよね」
「うん。わがままだ」 <正直
「もうあたしの話なんて、聞きたくないでしょ?」
「そんなことないよ」
「だって今日、怒ってる」
「違う。ワタシも今、精神状態があまり良くない。そのせいだよ。ゴメン」
「良くないのにつきあわせてゴメン」
「こっちこそゴメン」


ぺこぺこと謝りあったら、いくらか風通しがよくなりまして。


ナナも前向きになってきて。
「あたしのいいところ」を自分で列挙しはじめました。
よかった。
さっきまでは、ワタシの話が難しいとか理屈っぽいとか以前に、思考回路が狭く細くなってまったく思慮分別に欠けていたナナだったのです。



「ねえ、あたしのこと、呆れてるでしょ?」とナナ。
「呆れてないよ」
「じゃ、もういいかげんにしてくれよって思ってるでしょ?」
「思ってないよ」
「じゃ、怒ってる?」
「怒ってないよ」
「・・・あたし、もっと感情と頭が落ち着いたらまたじょりぃに電話するね」
「別にいいよ、いつでも」

まあ、どっちにしろ、ワタシでなくても話をぶつける相手はいるみたいですし。
ワタシ、ホントにすっかりやさぐれているんですよ。 心はチンピラ。


おまえの子供騒ぎには、もうつきあいきれーーーーーーーーーん、なのだー。
電話来ないなら来ないで、全然OK!('-^v) なのだー。



「ねえ、今は落ち着いて前向きで明るいけどさ、きっとまたクヨクヨするよあたし」とナナ。
「かもね」
「長女にいちいち口出すなって言うの、もっともなんだけどさ、口出したくなるよ」
「だろうね」
「そうしたらあたしはどうしたらいい?」
「長女ちゃんに言う前に、ワタシに言え」
「いいの?」
「いいよ」
「昼間でも?」
「昼間でも」
「つながらなかったら?」
「携帯にかけて」
「ホントにいいの?」
「いいよ」



もうつきあいきれーーーーーーーーん、なのだーーー。




なのに、言ってることと言ってることが違ってるワタシなのだー。
昼間にかけてこられたら、実は困るのだー。
でも思わず言ってしまったのだー。




しかし、確実にですね。




ワタシとナナの心の距離は、以前より開いております。




原因は、ワタシにあります。





ちょっと疲れているだけです、たぶん。
ひたすら穴を掘って、埋めて、また掘って、埋めて、という無意味な単純作業のような恋愛に。



イヤならやめりゃあいいのに。



・・・と言いつつ、今日も小さいながらも穴を掘って、また埋めたワタシであったわけです。
バカバカしいですが、スコップを放り出すにはまだもうちょっと時間がかかりそうです。
ずっと握ってたから、スコップが手から放れない気もしますし。


やれやれ。なのだー。





-------追記-------


こうやってやさぐれたことを書いたからといって、ワタシが即どうこうしようとか考えているわけではありません。
すぐあきらめたり進んだりするつもりもないです。
焦ってもいないのです。不思議なくらい。
心やさしいかたにまた余計なご心配をかけてしまってはアレなので、念のための追記でございます。


2004年08月20日(金) no title



考えないように考えないようにと
一生懸命考えているのだー。








つらいのだー。








ワタシが言ってるんじゃありません。
この人が言ってるんです。





  楽しそうですね。









でもホントはそんなにつらくないのだー。






でも今はナナのことを書く気にならないのだー。









って、この人が言ってるんですよ。









間違えました。この人です。









はじめちゃん、助けて。


2004年08月09日(月) ひたすら愛を応援されるワタシ

昨日の晩、ナナからメールがきました。
「元気になった? まださびしいの?」てな具合です。

おかげさまで単純じょりぃは、ナナの電話のおかげですっかり元気になりましたので。
その旨お伝えしました。

それっきり音沙汰なかったので、仕事していたんですが。
3時頃、そろそろ寝ようかと、最終のメールチェックをしてみましたら。

ナナの携帯からメールが届いておりました。
すんごい長いメール。
携帯でこれ打ったのか。

ヒマだな。 <どうしてもこういうことを言ってしまうワタシはプリチー。

何事かいな。と思って読んでみましたら。


・・・・・・・・・・・・・。


まず思ったこと。


よ、よ、よ、読みづらい・・・・。

頭に思い浮かんだことを、文の組立を考えず打ち込んでいったような。(携帯だとついそうなりますが)
おまけに「句読点?めんどくせえ」てな感じで、どこが文節の区切りになるのかよくわかりません。
さすがはナナ。マイペース。

そして、肝心の内容は。


ビミョウ。


さすがのモラル欠如で人非人なじょりぃも、この長文をそのまま掲載するのはためらわれますので(載せても解読できないと思いますし。文章めちゃめちゃすぎ)、箇条書きにしてみます。


・相手に気持ちは伝えた方がいいと思う。
 ・・・またそうやってあおるんだから。

・その際に、気持ちを押しつけず、ただ伝えるということで。
 簡単に言うな。

・じょりぃの気持ちは、相手になんとなく伝わっていると思う。
 なぜわかる。どういう意味だ。

・だから、相手に確信させてあげたほうがいいと思う。
 もしかして、自分のことだってわかってて、白黒ハッキリさせたいだけなんじゃないですかね。

・ただ、相手も生活があるわけだから、そもそも期待するのは間違ってる。
 わかってますよ!

・じょりぃは今の時点で、相手に対して何かをかなり要求している。
 うるせえ。

・漠然と思われている今の状態だと、相手はどうしていいんだか分からず、
 接しにくくなっている部分があるのではないか。

 どうして言わないことで、相手がどうしていいんだか分からなくなるのか、ワタシにはわからなかったりします。
 放っておけばいいだけのことじゃないですか。と思うあたり、何か欠けているらしい自分。

・相手との発展を求めているのなら、自分の想いをもっと知ってもらいたいなら、
 じょりぃの気持ちが確実に伝わっていないと、発展も関係もそれこそなくなるんじゃないの?

 お、お、脅しですか?

・伝えてから先が、じょりぃの思い描くものでなかったとしても、
 それはそれでじょりぃにとって新しい道が見つかると思うんだけど。

 簡単に言うな。

・あたしは何も詳しいことわからずに言ってるからあてにはならないだろうけど。
 いえ。大いにあてにはなりますけど。

・でも気持ちは伝えた方が吉と出ると思う。
 え? ホント?

・それが相手にとってどう出るかはともかく。 なんだー。
 あたしはじょりぃ優先ということで、そんな風に考えてみた。
 ありがとうございます。

・ じょりぃ優先で考えてるから、「言いたくない」でも、もちろんいいと思うけど。
 じゃあ言わない。

・で、あたしの文章でも意味わかった?
 かろうじて。(このラスト一行、笑えました)


・・・・・てな具合です。
まだ考えててくれてたのか、という感謝の気持ちとともに、実に複雑な心境のじょりぃです。


で、以下がワタシの返信です。


・キミの言ってることはすべてもっともなんだけど。

・確かに私は相手にいろいろと要求しているかもしれないけど、それは私の問題であって、相手にぶつけるべきものではないと思う。

・という心構えが根っこにあることはあるんだけど、やはり落ち込んだりしてしまうわけですが。

・相手に気持ちを伝えたいのは山々だけど、
 今の時点でもそうやって自分の気持ちを完全に制御できないでいるわけで。

・「気持ちを伝えない」というのは、私にとって大事なストッパーという気が。

・気持ちを伝える、というステップを終了したら、「じゃあ次は」ときっと思ってしまう。

・だとしたら、やっぱり私は、今のこの位置に踏みとどまっていなければいけないのではないかなと。

・動いた方がラクに決まってるけど、それは相手のことを尊重していることにはならない気がするし。
 相手は私の気持ちを確信したところで、なんのメリットもない。負担が増えるだけなんじゃないか。

・相手がもし私の気持ちに気づいていたとしても、
 今の時点なら「めんどくせえ」と放っておけばいいだけの話。
 結果、私は落ち込んだりするかもしれないけど、それも今の状態でいれば相手には関係のない話だし。

・要は、「伝えてしまったら、そのあとの自分の気持ちや行動に自信が持てなくて怖い」ということ。

・でも、「伝えた方がいいと思うよ」と言ってもらえたのは、なんだか嬉しかった。
 私の感情を優先していいものであれば、私も伝えたいから、なんとなく安心した。

・上記は今まで思っていた考えだから、またよく考えてみる。ありがとう。




夜になって、またナナがメールをくれました。
子供達のことを悩まなくて済んでるかしら。
ワタシ、お役に立てているのかしらもしかして。


・読んだよ。いつも同じになっちゃうね。
 まったくね。

・でも「考えてみるよ」は前向きだね。その調子だがんばれ。
 はあ、どうも・・・。

・その人と共に前進できるかは分からないけど、じょりぃにとって一歩前進できればいいと思ってる。
 ナナ、だんだん「おかあさんモード」に。

・相手が負担を感じても、じょりぃが楽になるならいいじゃん。
 いいのかなあ?

・その後、好きじゃないと思っちゃっても、それなら晴れて恋愛解禁じゃん。
 そうですか。け。

・好きでいたいならそれはそれで楽しそうだし。
 そうですね。

・せっかく遺伝子レベルの人と出会えたんだから、気持ち伝えないともったいないよ。
 もったいないオバケが出ますか?

・なかなかそう一人の人に思いこめる人もいないし。
 思いこまれる人もなかなかいないと思いますよ?

・でも、遺伝子に組み込まれてるって、一般的にそうなの?
 違うだろーーーーーー?! いつものナナになってきました。

・だとすると、先祖代々同じようなタイプが好きってことなの?
 ・・・・マジメに言ってるらしいです。

・とにかく応援してるよ。
 ビミョウ。



・・・・告白タイムがいよいよカウントダウンなんでしょうか。
なんだかもう、告白する前から結果が見えているようで、とてもじゃないけどする気になれません。
なんとなく「あたしがハッキリ知りたいの! 白黒ハッキリさせたいの! とっとと言え! ・・・あ、でも、期待はしないでね。言うのは勝手だけど、気持ちは押しつけないでね」と言われているような気が。
ナナがホントに「じょりぃの好きな人が誰だかわからない」と思っているなら、また話は違いますが。

なんだかひっかかります。

純粋に、ワタシの心配してくれてるだけかもしれませんけど。


とにかく。

ちょっと自分のスタンスを見直さなければならないようです。
さて、どうしたものか。


2004年08月08日(日) あたしに話して

ゆうべ。11時半を回ったところで、ナナからメール着信。

「この前はごめんね。今夜仕事が大丈夫なら映画を観に行かない?」と。

今からですか奥さん。
上映時間を調べてみたら、次の回は2時半からです。

ナナに電話しまして。
「次、2時半だよ」と伝えましたら「じゃあ無理だね」と。
そしてこの人ったら、ケロっとしてます。
「落ち着いたよーおかげさまで。えへへ」とか言ってます。

まあいいんですけどね。
ワタシホントにやつあたりだけされたんだなこりゃ。

その電話で少し話をしたんですが。
まだ子供達も起きているらしく、込み入った話はできそうにありません。
なので、早々に電話を切りました。


なーーーーーんか、 おもしろくないのっ。


と思っていたら、1時ちょっと前にナナから電話。
「子供達が寝たから、話ができるよ」と。

ちょっとだけゴキゲンがなおるじょりぃ。

で、いつものように、子供の話メインでだらだらと話しまして。
すっかりいつものナナに戻っていましたが。
それでも相変わらず頭の中は子供のことでいっぱい。

しかも、前回のナナワタラストでおどおどさせてくださった「ゆっくり話を聞きたい」という話というのは、結局子供とワタシに共通する不安材料についてだったのでした。

「なんだ。 話がしたいというのは、子供がらみのことだったのか」とワタシ。
「え」
「(無言)」
「  違うよっ」 <めずらしく慌ててます。
「ふうん」
「そりゃ子供のことだったけどさ、じょりぃのことも心配だったからだよ」
「いやいいんだよ別に(乾笑」

ばかやろうびくびくおどおどさせやがって。
って、ワタシが勝手におどおどしていただけだったんですが。

そのうち、テンション低めのワタシを気遣ったのか、ワタシのことに話を振るナナ。

「何かあったの? 元気ないよね、ずっと」
「なにも。 あえて言うなら、『心が人肌恋しい』って感じかな(笑)。カラダが求めてるわけじゃないよ念のため」
「あはははははは。でもなんとなくわかるよ。 なんだ、さびしいのか」
「別に」
「さびしいって言うのがカッコ悪いと思ってるんでしょ?」
「まあね」
「言えよ」
「言ったよ」 言ってないけど。
「例の好きな人の問題?」
「んー。 そうかも」
「相変わらずなの?」
「んー」

このあいだ、「じょりぃの好きな人はわかった」めいたことを言われたので。
この話題については今までにも増して話がしづらいじょりぃ。

だったのですが。

「じょりぃの好きなのが誰で、現在どんなつきあいなのかもわからないと、あたしも役に立ちようがないよなー」とナナ。

はい?

「・・・・このあいだ、わかったって言ってなかった?」
「あたしが? 言ってないよ」

はい?

「言ったじゃん」
「え」
「忘れたのか」
「それ、じょりぃの夢とかじゃなくて?(笑)」


殺す。


「キミは日頃、ワタシの話はまったく聞いていないのかね」 中年紳士風口調のじょりぃ。
「聞いてるよっ。ちゃんと。 あたし、そんなこと言ったかなあ」
「ワタシがウソをついているのだとしたらわかるって言ったんだよ」 

ワタシが寝言を言っていると思われると悔しいので、どうせ忘れているのなら「おまえちゃんと言ったんだよ!」という立証だけはしておきたいじょりぃ。
どうせ覚えちゃいないんですから、そう危ない橋でもないでしょう。

と思ったら。

「ああ」とナナ。 「言った言った」
「思い出してくれたのなら、この話はもういいよ」 自分の都合で話を仕切るワタシ。
「そのあとあたし、メールしたよね?」

やば。
橋が危なくなってきました。

「そうだったかな」
「じょりぃの好きな人って、男の人なの?って訊いた気がする」

ぎくっ。
思い出さなくてもいいことを今さら思い出さないでください。
今までころっとワタシの重大問題なんて忘れていたくせに。
ていうか、ワタシまたカマかけに引っかかったのでしょうか。

「で、それには答えてもらえなくてー・・・」
「そうだったかな」<どこまでもとぼけるワタシ
「・・・でも、あたしが『この人かな?』って思った人じゃないのかもー、と、最後には思ったんだよ。だからやっぱりわからないや」

誰だと思ったんですかアナタ。 脱力。

「ねえ、きょんさんにもなっちゃんにも、その人の話ってしてないんでしょう?」
「うん」
「なんで? ふたりともすごくじょりぃのことわかってて、好きでいてくれて、ずっと一緒にいるのに?」
「だからできないということもあるのだよ」
「どうしてあたしには話してくれるの?」
「どうしてかな」
「ネットのお友達とかにも話さないの?」
「話す」
「そのへんの感覚、あたしにはわからないな」
「ワタシのことを知らないし、ワタシの生活とは関わらない人たちだから、話しやすいんだよ」
「あたしに話さないことも話してる?」
「うん」
「・・・そうすると、ラクになるの?」
「うん」
「その人の名前は実名で話すの?」

ぎく。

「ううん。 仮名(笑)」
「ええと・・・・『よしお君』とか?」
「わはははははははははよしお」  なんでよしお?
「なんて名前で話してるの?」
「言いたくない。よしおでいいよ


「その人はさ、じょりぃのキモチを知っているの?」
「わかんない」
「ねえ、でもさ。 そんなに好きなら、やっぱりその思いをちゃんと伝えるべきだと思うよ」
「なんのために?」
「もしじょりぃのキモチに薄々気づいているとしてもさ、その人だって、ちゃんと言ってもらわないと、自分はどうしていいのかわからないかもしれないじゃん。もうちょっとじょりぃのキモチに応えたいとか、もし思っていたとしても」
「知ったところでどうにもできないじゃないですか」
「相手もとまどっているかもしれないよ?」
「でもさ」
「うん」
「知らなければ、とまどうくらいで済むじゃん」
「うん」
「知ってしまえば、相手もワタシにある程度気を使うだろう」
「・・・・・・もし相手もじょりぃのこと好きだったら?」
「(笑)ちょっと考えられないけど。 もしそうなら、なおさら伝えてはいけないよね」
「どうして?」
「状況的にやっかいでしょ? 相手には家庭もあることだし」
「そうだね」
「今の状態なら、ワタシだけ上がったり下がったりしてればいいのに、わざわざ相手を巻き込む必要はないよね」
「・・・・じょりぃ、やさしいんじゃん」
「ワタシはやさしいんだよ」

今頃気づいたか。<調子に乗りすぎ

この時点でもう4時を回っています。
ナナはいじけ気味のワタシにつきあって、こういうワタシ寄りの話をしてくれているんだろうなと思い、「もう寝なきゃね」と何度か振ってみるものの、ぐずぐずと話を続けるナナ。
話を聞きたいと思ってくれているのかな。なんか悪いな。

「あたしは恋愛の回路って、もう閉じてしまっているからなー。 あたしに話してもつまんないでしょ」とナナ。
「閉じてるんだ(笑)」
「もともと、じょりぃみたいに人を好きになったことないみたい」
「でも、好きにならないわけじゃないんでしょ?」
「うん。 ていうか、恋してる雰囲気は味わいたくて、一生懸命きゃぴきゃぴ『好き!』って思ってた」
「(笑)」
「ねえ、その人のどういうところがそんなに好きなの?」  げっ。
「それがよくわからないんだ」 <本心
「なんだそれ(笑)。 そんなに好きってことは、欠点のない、パーフェクトな人なの?」
「いや。 欠点だらけ(笑)」 <失礼です
「あはははははははははははははは」 
「なんていうか、もう、その人への気持ちが、遺伝子に刷り込まれていたんじゃないかという感じなんだよね」
「運命の人なんだ」
「うん。 結ばれることのない、運命の人だ(笑)」
「(笑)かなしいねー。 じゃあさ、初めて会ったとき、どう感じたの? びかびかっとか、輝いて見えた?」
「いや。 初めて会ったときは、なんとも思わなかった」
「なんだそれ(笑)。それでホントに刷り込みなのかよ」

ははははは、と笑って。

「でもさ、相手の本当の姿を見るにつけ、きっとキモチは冷めていくんだろうね」とナナ。
「そうはならないと思うけど」
「きっとそうなるよ。『思ってたよりバカだ』とか言っちゃってさ」 決めつけてます。
「ははは。言いそうだけど。そうなっちゃうのかな」


「その人を見てるときってさ、どんな風に見えるの?」
「? どういうこと?」
「もう、すっごくすっごくステキに見えちゃうわけ?(笑)」
「うん。こう、マンガとかじゃないけど、紗がかかって、キラキラして見える(笑)」
「きゃはははははは。そのときって、じょりぃ、どんな顔してその人のこと見てるんだろうね」
「うっとり」
「うっとりってどんな表情?」
「にひゃ〜っとして、幸せそうなのではないかな」
「いつだって幸せそうじゃん。いつもそんな顔してるじゃん(笑)」

だからその意味を考えろ。
と言いたいところですが、ワタシはたいてい「じょりぃさんはいつも幸せそうねー」と呆れられるので、あまり意味がないかも。

「あたしもさ、誰かをそんな風に好きになってみたいな」とナナ。
「恋愛の回路は閉じているんでしょ?」
「ていうか、閉じようとしているんだよ。結婚してれば、みんなそうなんじゃないの?」

おや?
以前は「あたしは今後絶対恋愛しない」と言い切ってた人なのに。

と、伝えてみましたら。

「そう言ったかもね。 でも、変わったかも」
「変わったのか」
「うん。 好きになってしまうかも」
「そう。 よくないね」 <いったいワタシはどうしたいのか。
「だから押さえるんだろうけど。 でも今までみたいな、自分でも気づかないくらいに押さえ込んでた感じはなくなってる」
「ふうん」

恋愛ジャンキーと一緒にいると、うつるんでしょうか。

「ねえ、やっぱりキモチを伝えてみたら?」とナナ。
「相手の迷惑になるのはイヤなんだってば」
「そっか。家庭を大事にする人なんだっけね」
「うん」
「でもそうだよね。そういう人のがいいよね」
「うん」
「なんかさ、向こうもじょりぃのコト好きだとして、家庭を放ってじょりぃに夢中になってしまったら、引いちゃわない?」
「引くね(笑)」
「そういう、家庭を大事にするその人が好きなんだもんね」
「うん」


「あたしがもし誰かに好きになられて、あたしも好きになってしまったとしたら」
「うん」
「『いや、いや』って、相手を拒んでしまうと思う」

なんかいやらしい。

「いや、いやって、それって、かえって相手をそそっていまいそうな気がするんですが」
「カラダを求められて拒んでいるわけではないですから(笑)。それに、実際にそんなことは口に出さないけどさ」
「うん」
「相手のことが好きでも、好きってそぶりは絶対見せないと思う」
「好きでも?」
「うん。 好きでも(笑)」
「絶対?」
「うん。絶対」

もしまぐれに奇跡がかかって、ナナもワタシのことを好きになったとしても、拒まれることが判明いたしました。


「もう寝ないとね」とワタシ。5時になっちゃいます。
「うん」
「じゃ・・・・」 「あのさ」

今度はなんだ。

「はい?」
「仕事のこととかは、なっちゃんとかきょんさんに話せるんでしょ?」
「うん」
「そのほかのいろんなことも、話せる相手がいるんでしょ?」
「うん」
「じゃあさ、好きな人の話は、あたしに話して」
「え」
「あたしはじょりぃほど恋愛経験も豊富ではないし、役に立てないと思うけど」
「そんな風に思ったことはないよ」
「好きな人のことで落ち込んだり、さびしくなったりしたら、とりあえずあたしにグチってよ」
「・・・・・・・」
「じょりぃの性格だと、さびしいって言いづらいのはわかるけどさ」
「うん」
「言えばいいじゃん(笑)」
「    ありがとう」
「メールしてよ。さびしいって」
「家族中が見るあなたの携帯にそんなメールを送れません」

ワタシもかわいげがないですけど。 でも正直な気持ちです。

「・・・・ごめんなさい」 あら素直。
「いえ。 あの、いいんですけど」
「でも長女はもう見ることないし。自分の携帯持ったからさ」
「うん」
「パパに見られないように、あたしいつも携帯を携帯するようにしてるんだよ最近(笑)。寝るときもふとんに持って行ってるし」
「そう」
「パパも見ないけど。めったに」
「うん」
「あ、でも次女ちゃんとは兼用だからな」
「やっぱり無理だ(笑)」
「じゃあ、暗号を決めておけばいいんじゃない?」
「暗号?」
「だから、その手の話がしたくなったら、うーーんと・・・『おなかすいた』とか送ってくれれば(笑)」
「わははははははは。 でも、次女ちゃんやさしいから、それ見たら『次女がチャーハンつくってあげるよ!』とか返信してくれちゃいそう」
「ママー、じょりぃちゃん、おなかすいてるんだって、かわいそー、なんてね(笑)」
「はははははは」
「空メールでもいいから。何も書かないで送ってくれればいいじゃん」
「・・・ありがとう」
「あたしもこの調子だから、いつも自分のことでいっぱいいっぱいだけど。それでも、じょりぃからその手のメールが来たときは、そのときの自分なりに、一生懸命対処するからさ」
「うん」
「だからちゃんと、教えて。さびしい気持ちのときは」
「うん。ありがとう」


このあと電話を切ったのですが。


なんだかおかしなことになってしまいました。

ワタシはナナのことでさびしくなったり落ち込んだりしたとき、ナナにその相手が誰だかわからないように、ナナに力になってもらうわけですか。

む、む、難しい。


でも、一生懸命、ワタシの力になってくれようとしているのは、すごく感じました。
嬉しかったです。

というわけで、おどおど病は治癒いたしました。
単純でスミマセン。


2004年08月05日(木) やっぱりダメなワタシ

体調がすこぶる悪かった本日のワタシ。
ろくに食事をとらなかったせいもあったのかもしれませんが。
7時過ぎた頃から、貧血のような症状が。
頭がスカスカします。 脳みそがどこかに行ってしまったんでしょうか。
逆に四肢は鉛のように重く。

動けん。


と思っていたんですが、きょんが作ってくれた夕飯を食べたら、元気回復。
やっぱり腹減ってただけみたいですね。くす。

しかしまあ、今日は念のため早寝をしましょう。


なーんて思って、2時まで仕事をしてそろそろ寝ましょうと思ったところで。

携帯にメール着信。
ナナからです。


長女のことがもう不安で眠れない。
その事で頭がいっぱいでつらいんだけど。



あちゃー。
またか。

眠れないというのは、久々の大波です。
ナナが「つらい」なんて言うなんて、つらそうです。
すぐに返信。


少し話す?
電話しようか?



早寝をあきらめて、ナナにおつきあいする体勢に。

が、来たメールは


いい。


きっぱり断られてしまいました。あらら。さびしいですね。


そのあと何往復かメールしまして。
そのうち「こんなにこっちが心配してるのにと思うと、長女のことが許せない」と、物騒なメールが。
さらに「(自分に)余裕がまったくないんだよ。もう投げ出したい」と。

あらあらと思いながら、返信。


そりゃしかたないよ。子供ってそんなもんだよね?
ねえ、電話にしない? 都合悪いの?



何度も言いますが、ワタシ、携帯メールってキライなんですよ。
おまけに、携帯メールだと言葉をはしょりがちですから、誤解が生じたりするとイヤだなとも。
なので電話にしようよと提案したんですが。


電話はいいよ。
ごめん、話したくない。



しょぼん。

でもまあ、ワタシもそういうときってありますし。

しょんぼりとどうしたものかなと思っていたら、またもやメール受信。


こんなメール送っておいて本当に申し訳ないけど話したくないんだよ。
ごめんね。



しょぼん。 いいんですよ。


うん。わかった。
長女ちゃんの気持ち優先で、少し様子を見るわけにはいかないの?



メールなんで、電話と違って黙り込んでるわけにはいかないから、何か考えて送らなきゃ、と無理矢理ご提案したのがいけなかったんです。
次の返信ではナナがキレました。


なにが優先?
私はいつも優先にしてきたし、自分なりに一生懸命やってきたよ。
もういいよ。



があああああああああん。


お、怒ってる。

最後の「もういいよ」は、ワタシに言ってるんですよね?やっぱり。
「もう優先しなくてもいいよ」のいいよじゃないですよね。


しょぼーーーーーーん。


どうしよう。

しかし、正直なところを言わせてもらえば、ナナはナナの思い描く長女ちゃんになってほしくて七転八倒してるフシもあるんですよ。
ていうか、「あたしのように、あたしの母のようになってほしくない」と切望しているのです。
んなこと思う必要ないんだってば、と、何度言ってもダメ。
そして、そのことをいつもなら自覚しているんです。
が、今日は余裕がないと宣言されていたのでした。
ワタシが無神経だった。

どうしよう。

と考えていたら、もともと調子のよくなかった胃が、キリキリと痛み出しました。
く、苦しい。

なんて返信しよう。
あまりへりくだりすぎても、たぶんナナが自己嫌悪になるでしょう。
考えろ考えろ考えろ。

返信。


それはわかってるけどさ。
なんていうか、お互いの感情や見解はなかなか一致しないからなぁという意味で。
ごめん。無神経だったね。



しばらく待ってもナナからの返事はなく。
あーあ。
せっかくワタシを頼って(?)くれたのに、台無しにしてしまった。
バカだな、ワタシ。ダメだな、ワタシ。

としょんぼりしていたら、メール着信。


やつあたりをしてごめんね。
いつも心配してくれてありがとう。



・・・・・許してくれたのかな。

でもこのあと、なんて送ったらいいんだろう。
弱った。
キリキリキリキリキリ。<胃の音

さんざん考えて送信。


いえ。
なんか、力になれなくて。


この次に「なかなか気持ちがわかってあげられなくてゴメンね」と送ろうかと思ったんですが、
「気持ちをわかってあげる」って、なんかおこがましいかなと悩むじょりぃ。

キリキリと悩んだ結果、違う言葉で同じことを伝えようかなと思い

私にも子供がいればよかったね。


で送信。

・・・・・後から、最後の一行が、もしかしてイヤミと受け取られてしまうかなと、また胃がキリキリ。



返事が来ません。


しばらく待っても来ないので、「・・・寝たのかな。」と再度送ってみましたが。


それっきりです。


ナナをガッカリさせてしまったかも。
今頃ひとりで泣いているのかも。
さっきまでの悩みに、自己嫌悪を追加してしまったかも。


最低です。ワタシ。


ほぼ1時間待ったけど、メールが来ないので、胃の痛みと戦いながらそろそろベッドに向かうことにします。

一応、寝ることだけ伝えておこう。
また逆効果かもしれないけど。


そろそろ寝るね。
なんか、ゴメン。

長女ちゃんはとびきりいいこだし、キミもいいママだよ。
私は母親としてのキミがとても好きです。
今こう言っても気休めとかお世辞に聞こえちゃうかもしれないけど。
本心だよ。
おやすみ。




・・・肝心なときに、いつも役に立たないな。ワタシ。
ゴメンね、ナナ。





<追記>-----------------------------------------------------


朝起きたら、ナナからメールが来ていました。

おやすみなさい。ありがとう。

ほっ。 もう怒ってないのかな。
ナナが(子供以外に)怒るなんてめったにないので、ゆうべはビビリましたよ。

あとでゆっくりと聞きたい事があるのでまたメールします。




え。

な、なに?  聞きたいことって。
なんか怖い気がしちゃうのは気のせい気のせい気のせい。

たぶんたいした話じゃないんでしょうけど。
最後に重ためのメールを送ってしまっただけに、自分で勝手にビビるじょりぃ。


ああ。
朝から胃が痛い。 キリキリキリキリキリ。


2004年08月03日(火) 久々にいじけ虫始動

昨日の夜。
ナナから電話がきました。
長女ちゃんのことで悩んでおりました。
根気強く話を聞きました。
ワタシにありがちな「とっとと解決策を提示してしまう」というせっかちもやらかさずに、ナナが自発的に納得した答を出せるまでつきあいました。
「つきあいました」とか、偉そうに言ってますが、結局のところそれがワタシのヨロコビなわけですので、勝手につきあったというのが正しいんですが。

3時間ほど話して、少し前向きになれた様子のナナ。
「そろそろ寝なきゃね」なんて頃になってから「明日の夜、映画に行かない?」と誘っていただきまして。

「えっ。 大丈夫なの?」
「うん。 ちょっと時間が読めないんだけど」
「いいよ。いつでも。電話ちょうだい」
「わかった」

わあい。
明日の夜はデエトだー。


で、今日ですよ。

今日ったら、タイミング悪くきょんの仕事が休み。
あうー、と思いながらも、朝のうちに「今日、夜、ナナと出かけてくる」と告白。
「あ・・・・ふうん。そう。 わかった」

ちょっとおもしろくなさそうです。

なっちゃんにも、「今日、いつもより1時間早く切り上げていい?」とおうかがい。
「いいよー。でもどうして? 具合悪いの?」
「ええと、映画にでも行って来ようかなーなんて」もごもご。
「ふうん」

不審そうです。

仕事をしまして。


5時ちょっと前にきょんが「あたしちょっと出かけてくるね」と外出。
なっちゃんがそれを見て「あれ? 映画って、きょんさんと行くんじゃないの?」と。
「んーーー・・・・・ナナとちょっと」
「ふうん」

ビミョウ。

という、緊迫した日中を(勝手に)過ごし、ナナからの電話を待つじょりぃ。

7時からの映画は間に合わなそうかな、なんて思っていたらメール着信。

ゴメン。今みんなでカラオケ来てるんだけど、まだ帰れそうにないや。食事は一緒にできなそうです。

子供サービスにカラオケに行ったらしいです。お疲れさまです。

「了解」と返信。


そのうちきょんが帰ってきまして。

「あれ? まだいたの?」
「・・・・・うん」
「またすっぽかし?」 またってところがポイントですが。
「いや。 まだ時間が読めないみたい」
「あーあー。断っちゃえばぁ?」
「うん」<適当な返事

9時になってもまだ連絡が来ません。

「じょりぃ、ごはん食べたの?」ときょん。
「・・・・いらない」 ここ何日か、胃の調子が悪いんです。
「ナナと食べるの?」
「ううん」
「なんか食べなよー」
「・・・・・・」

このころから、だんだんワタシのココロにブルーが入って参ります。

9時15分頃、やっとメールが。

ごめん。もう大丈夫。今からだと映画無理だね。家にくる?

映画、また行けないのか・・・・。
と思いつつも、そんなこと言ってもしょうがないので

うん。出かけたいならドライブとかでもいいよ。そっちの都合で。どうする? パパは家にいるの?

と返信。

最後の「パパは家にいるの?」が気になるところでございますが。
テンションが下がってきていたワタシとしては、パパの長話につきあわされるのは勘弁してほしかったのです。正直なところ。

うん。いるよ。 じゃあとにかく、うちにくる?

わかった。


ここでなぜかきょんにグチる、勝手なじょりぃ。

「パパが家にいるんだってさ」
「げ」
「ちょっとおっくう」
「断っちゃえばー? あなた具合だって良くないんでしょ?」
「・・・・・行ってくる」
「ナナ、またなんか悩んでるの?」
「うん。みたい」
「もう。気を付けてよー?」


やっとナナの家へ。


末子ちゃんはもう寝てまして。
次女ちゃんが嬉しそうに、庭まで出迎えてくれました。
嬉しい。
最近、次女ちゃん、じょりぃちゃん離れしちゃったかな?とさびしく思っていたんですが、どうも末子ちゃんに遠慮していたらしく。
ホッといたしました。 ていうか、そう考えると、いつもゴメンね、次女ちゃん。
長女ちゃんも、「じょりぃちゃんに勉強みてほしい」と、めずらしく素直に教科書持ってきたりして。
よしよし。 じょりぃちゃんバカだけど、わかるふりして教えてあげるからね。<すげえ迷惑な先生

ナナも表情がやわらかくなってまして。
よかった。
きっと、昨日の件はだいぶ吹っ切れたに違いない。

パパも物陰からいたずらするというサービス付きでお出迎えしてくれました。
棒でお尻をつつかれました。 エッチ☆

本日のナナはゆったりしています。
よかったよかった。

が。

頭はまだ「子供子供子供子供子供子供」モードらしく。

ワタシ、ビミョウに放置?

されてるわけでもないのですが、なんていうんですか。
「ワタシ、今日、かえっておじゃまでした?」という気がしてしまう、いじけんぼぶりを発揮するじょりぃ。
もう既に、ナナ宅に着いた時点で、ワタシったらココロがブルーになってたもんですから。
いじけていじけて物事を解釈してしまっているらしく。

どうも浮上できず。

それでも、子供達がまだ起きていたときは、にこにこ楽しそうにしていられたのですが、子供達が寝てしまってからは、顔はにこにこしているものの、もはやすっかりブルー。

ナナは相変わらず子供の話ばっかり。
それでも今日は楽しそうに話しているので、心配はしなくて済むんですが。

ワタシ、何しにきたんだろ。
映画見るわけでもない、出かけるわけでもない、ナナも元気なら、来ることなかったんだなあ。
一日中、きょんやなっちゃんの顔色うかがってたりして。
ワタシったら相変わらず不毛。無駄。独り相撲。

さらにおまけに。

パパが気を使ったのかなんなのか、子供達が寝たとたん、リビングにやってきまして。
たぶん「じょりぃちゃんをおもてなししなくちゃな」と思ってくれたんだと思うんですが。(ていうか、そう思いたい)

相変わらず、ワタシの前で夫婦間のスキンシップを繰り広げてくれます。
ナナの膝をさわさわしたりといった、ささいなことばかりなんですけどね。(ささいじゃねえよ<心の声)
パパがナナに触れるたびに、すっとふたりから視線を外してテレビを見るワタシ。
ココロの調子がいいときなら、かえって意地悪くじろじろ見る、とか裏技も使えるんですが。
ワタシ今日、疲れてるんですよ。勘弁してくださいませ。

「じょりぃがウソをついているんだとしたら、じょりぃの好きな人が誰だかわかる」と言い切ったナナですから。(参照)
おそらくワタシに気を使って、ワタシの前でべたべたするパパにべたべた仕返すこともできず。
なんだか居心地悪そう。
すみませんねえ気を使わせちゃって。

しかし。
そんなべたべたよりなにより。

こういうこと言うのって、美しくないのでカッコつけじょりぃとしては言いたくないのですが。
でも言っちゃうんですが。


パパの話って、つまんない。


いい人なんですけどね。
いい人なら話もおもしろいかといえば、なかなかそうもいかないわけでして。
しかも     自慢話が多いし。


というわけで、すっかり疲れ切ってしまったワタシは、12時になったところで「そろそろ帰るね」と。
正味1時間半の滞在でございます。

「もう?」とナナ。
「仕事あるの?」とパパ。
「ええ。 ちょっとだけ(にっこり)」

立ち上がったところで
「じゃ、あたし、古紙回収出して来ちゃおうっと。ついでにセブン行って来る」とナナ。
「これから? 危ないよ」とワタシ。
「大丈夫だよ。ね?パパ」
「まあ、大丈夫だろな」

車まで行きまして。

「ひとりで大丈夫? 一緒に行こうか?」とワタシ。

もしかして、ワタシとふたりの時間をつくってくれるために、ナナがわざわざ用事をつくったのかな、なんて思ったのです。

「ん? 全然平気だけど。 どっちでもいいよ」


・・・・・・違ったみたい。


この時点で、かなり自暴自棄と書いてヤケクソ&ステバチなじょりぃ。

自分の車に乗り込みまして。
ちらっとナナを見ましたら、こちらを見て「あれ?」て顔をしているようにも見えたんですが。

きっとまた気のせい。思いこみ。妄想。

「おじゃましました。おやすみなさい」と、見送りしてくれたパパに告げ。

ぶおおおおおおおおおおおおおおおんナナのバカーーーーーーーーーーーーー(たなびく涙)

と、車を走らせました。



2分ほど走ったところで、携帯が鳴りまして。ナナからでした。

「今日、どうしたの?」
「何が?」
「元気ないように見えたから」

な・ら・も・っ・と・早・く・そ・う・言・っ・て、・少・し・は・や・さ・し・く・しやがれこのやろう。

「別に」
「そうかな? 元気なかったよ」
「そうかもね。 まあ、そんな日もあるってことで」
「もうすっかり帰り道?」
「?どういう意味?」
「一緒にお茶でもと思って外に出たのにさ。 さっさと帰っちゃうから」

な・ら・も・っ・と・早・く・そ・う・言・・・・って、くどいのでやめておきます。

「セブン一緒に行こうか?って聞いたときに、『どっちでもいい』とか言ったから、ふうん、どっちでもいいんならいいやと思って」
「そうなんだ。 セブンは別につきあわせる必要ないと思ったから」
「ふうん」
「どこかでお茶する?」
「・・・・・・・・・・・」もう素直になれないワタシ。
「といっても、うちの近所では、もうこの時間にお茶できるところがなかったりするんだけど(笑)」
「はははははははははははは(乾)」
「はは」
「だから、さっき一緒の車で出ればよかったんじゃん」 責め口調のワタシ。
「そうか。 そうだね」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・で、じゃあ、どうしようか。もう戻ってくるのイヤ?」とナナ。
「・・・・・・・・・キミ、眠そうだったし、今日は寝た方がいいよ」

素直じゃなくなってるというのもありましたが、実際ナナはとても眠そうだったので、ワタシが元気ないからという理由でつきあわせるのはイヤだったんです。

「眠そうだった?(笑)」
「うん。 今日は帰るよ」
「そっか。   ゴメンね、今日は」
「いえ。 こちらこそ」
「(笑)映画、ちゃんと行こうね」 何回目だよおい。
「うん」<あてにしてない風


家につきまして。
きょんはリビングで寝てましたが、寝ぼけつつも「おかえり」と。
ちょっとお腹がすいたので、ワタシはビールを飲みました。

10分ほどして、ナナからメール。「もう着いた?」と。

「ついたよ」と返信。 したら、電話が。


「ゴメンね、今日は」とナナ。 なぜ謝る。
「こっちこそ」
「どうして元気ないの?」
「表情だけ元気なかっただけみたい」
「疲れてるのかな」
「そんなでもないけど。 たまたま、顔が。(笑)」
「・・・・・・・・・」
「ゴメンゴメン」
「生理前?」
「ううん。 まだ。なんでもないはず」

無言の多い電話を少しした後に「じゃ、もう寝ようかな」とナナ。
「うん」
「映画、行こうね」   行く気はあるみたいですね。
「うん」
「昼間突然誘っても無理なんでしょ?」
「うん」
「10日以降なら、末子がプール始まるので、ちょっと時間が取れそうなんだけど」
「10日から何日か、なっちゃんがお盆休みになるから、いつもよりは時間が取れるかも」
「じゃ、誘うから」
「うん」

なんだか気を使わせちゃったかな。 ごめんなさい。

とりあえず、そんな風にあやふやな約束をして電話を切りました。


いつもは平気なフリをしているのに。
ナナのシアワセ最優先、とかエラそうなことを言っているのに。


たまーに、とてつもなくさびしいようなかなしいようないじけたような気持ちになって、このようにナナを困らせてしまうワタシ。


感情が表に出てしまった。
「気づいてよ!」って、きっとアピールしていたんです。
いやらしいな。ワタシ。


ごめんね、ナナ。



でも今日はどうにもこうにもだったのですよ。
許して。


じょりぃ |HomePage