ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2005年05月30日(月) 最後の掃除

5泊6日の自然学校に
下のコを送り出し
展示会前の最後の月曜日は
外回りの掃除に大量のゴミ片付け
入り口サッシのガラス磨き
今日は少し蒸し暑く
なんだかテンションが上がらないまま
ともかく黙々と働いた

途中でKさんがやってきて
ぐらついていた長い木の台の
脚を補強してくれ
解体中の家からもらった
古いフック付きプレートもふたつ
白い壁に焦げ茶の木が
いい感じに決まった

お昼用にうどんを煮ていると
Oさんがやってきた
採りたてのえんどう豆を持って来てくれたので
茹でずにそのまま炒めて
すり胡麻とお醤油で味付け
Oさん手作りのパンも加えて
いつも2人で食べているご飯が
いっそう美味しくなった

もう当日まで日がないので
あと用意するものはなにか
忘れないようにメモしながらチェック
それから
展示用に捨ててあったテーブルが欲しいと
Hさんが言い出し
それはなかった代わりに
古いソファが急遽運び込まれた

今後準備に割けるのは
金曜の夜と当日の朝ぐらい
それを考えると
今まで気にも留めていなかった場所が
汚れているのが気になり
疲れとせめぎ合いながらまた掃除
まったく
このぐらい自分の住処にも
熱意を傾けられたらいいのに



2005年05月27日(金) 必然への道筋

月末が近づいて
なかなかに売上げ好調のコウノピア
ふたり体勢になったため
わたしが週二日Hさんが三日
休館日の月曜日のほかに
火曜は売り場を休業としたのが
却っていいリズムを生んでいる

昨日は高額のシルクショールが
ふたつも同時に売れてびっくり
今日は出石の議員さん達がやってきて
いろいろお買い上げいただいた上に
頑張って下さいねとエールまで
豊岡市が合併したことで
コウノトリ放鳥への取り組みが
広く理解されるきっかけにもなっている

売り場に出ることと
それ以外の自分のやろうとしていることが
分裂しているような日々
けれどよく考えてみれば
ただひたすらに効率を目指してきた生活が
コウノトリを失うことに繋がったとすれば
まだ使えるものを大切に
時間と手を掛けることでお店を作り
リメイクをするというスタンスにも矛盾はない

お金を沢山いちどに使えば
大きく囲われたコウノトリの楽園を
手っ取り早くどおんと作ることだって
可能だったはず
今だって市民のなかには
自分達に関係ないコウノトリばかりに
お金を使っているという人もいる

決壊した円山川の堤防が
新たにコンクリート護岸されているのを見ると
フクザツな気持ちになる
緑におおわれた美しい川辺の景色は
もう二度と帰って来ない
けれどあの堤防が決壊しなければ
無事だっただろう命も二度と戻らない

何が無駄で
何が本当に必要なことなのか
ひとつひとつ失敗を重ねながら
繋がって行く時代のなかで
わたしも同じように生きている



2005年05月25日(水) セーラーカラー

展示用のレイアウトは
実際に箪笥などを配置しては
入り口から全体を確認
少し動かしては違いを比べる
というアナロギーなやり方で
月曜日に大まかなポイントが決まり
昨日は試着用スペースも作った

それはいいとして問題は製作
ペンダント作りのあと
途中だったスカートをひとつ仕上げ
次いで去年福井秀雄商店で買った
雨だれみたいな可愛い模様の着物で
巻きスカートを作る予定だったのだが
張りのある生地は予想以上に薄手なので
合わせるつもりの帯地に負けてしまう

悩みに悩んで
墨染めの反物で裏地をつけようと思い
どうせ絹を使うなら
表地から覗かせてしまおうと考えたとたん
同じ生地合わせのトップスを作って
セットアップにするのはどうよと
まるでジキルとハイドみたいに
自分の能力を省みない声がした

4枚を折り伏せ縫いで
繋いだスカートはそのままに
さくさくと型紙を作り
布を裁ち終わったのが夕べ
そして今日は
朝から掛かりっきりで
やっと肩と衿までが出来上がった

まさかここまで大変とは
恐るべしセーラーカラー
出来上がるまで
パーツがどんな風にあの衿になるのか
全く結びつかないまま
ひたすら細部を丁寧に
手縫い部分も慎重に慎重に

楽しむどころではなく
いつか終わりが来ることだけを信じ
なんだか長い一日だった
お陰で綺麗に出来たけれど
二度とチャレンジしたくない程
ややこしい作業だった

脇縫いがまだの見頃に
首を通して鏡で見ると
カラーの合わせ部分をもう少し細く
衿開きももっとあった方が
個人的には好きな感じ
それには型紙をどう直したらいいのか
ついつい考えている自分にはっとする



2005年05月20日(金) ペンダント作り

今度の展示会に
リメイク服を何点出せそうかと
先日電話で話しをした後
それはともかく
天然石のアクセサリーが
またひとつも出来ていないことにも
ちょっとあせりを感じた

なので今週の売り場には
昨日は解き用の着物を
今日は石とワイアーを持参して
しこしこと作業を進めたのだった
石はどれも穴が開いていないので
落ちないような巻き方を工夫するうち
細いワイアーの線で
絵を描いているような気分になり
いくつ作っても飽きない

途中やってきたHさんに見せて
石の美しさを損なわずに
しかもワイアー自体も美しいような
微妙なバランスが難しいと話すと
次に作ろうとしている石を見て
ワイアーの掛け方のアイデアを
スケッチしてくれた

基本の線だけのそれを参考に
飾りを入れつつ作ってみると
これがまた今までになく繊細でいい感じ
出来上がったいくつかを
ずらっと机の上に並べると
それぞれに個性を持って
光にキラキラと反射する

水晶にローズクォーツにアメジスト
試しに胸の辺りにあててみたり
なんだかドキドキが止まらない
きちんと商品になって
ディスプレイされて
どんな人が試してくれるのか
楽しみはまだまだ続く



2005年05月17日(火) 工房城ヶ鼻の展示

「風着」という本を出している
真砂さんの服の展示を
和田山の工房城ヶ鼻に見に行った
ご主人の手による木工家具や
青竹を大胆にディスプレイに使ったスペースは
麻やアジアのシルクの服を
いっそう爽やかに演出していて
思いのほか点数があったのに
圧迫感をまるで感じさせない

服のデザインはシンプルなものが多く
選ばれた素材の良さが
ストレートに伝わってくる
薄物のトップスなら
衿ぐりの見返し部分だけではなく
見頃全体を二重に仕立ててあったり
ボトムスは上に布を重ねたりして
表布の肌触りをそのまま味わえる工夫がされている

布を贅沢に使っているぶん
お値段にも反映していて
本にも載っていた服など
予想をはるかに上回る金額がついていた
サイズはワンサイズだけれど
どれもゆったりめのMという感じ
他にも端布を使った巾着や
羽衣のようなストールなど小物もあった

ひととおり見させてもらったあと
お茶を頂きながら
工房のFさんとおしゃべり
今回の展示をすることになった経緯や
Fさんの柿渋染めについて
暖炉が素敵な
隣の部屋まで覗かせてもらい
ゆっくりした時間を過ごさせてもらった

本当は
ただ服を見ることだけが楽しみだったのに
実際に行ってみると
作り手としての自分と
スペースにお客様を迎える側の自分が
フクザツに交錯して
Fさんとの出会いから
思わぬちからをもらえた気がした



2005年05月16日(月) スペース着々

壁塗りが終わったので
今日はマスキングテープ剥がし
ぺりぺりと言う音とともに
くっきり黒い板のラインが現れて
白い壁とのコントラストが美しく
ペンキ塗りって
この最後の作業が最高に気持ちいい

その後
テープからもはみ出した塗料を
丁寧に雑巾で拭き
床の新聞を始末し
掃いて拭いて掃除機を掛けてスッキリ
和みの場所のコタツも片付け
拾ってきたテーブルを組み立て
椅子を並べると
また今までとは違った空間の出来上がり

本当は中庭に面した
その和みスペースにも
ペンキを塗りたいところだったが
時間的にも体力的にも無理と判断
なんてったって本番の6月4日まで
作業の月曜日はあと2回しかないのだ

トイレに続く隣の部屋は
未だに浸水後の泥が積もったままの状態
せめて少しでも目隠しをと
屏風を立ててみたものの
裏側を全部隠すにはほど遠く
床もモップ掛けが残っている

商品を展示するためのしつらえもまだだけど
そっちにエネルギー使いすぎると
先週のように疲れを残して
製作どころではなくなるので
連続作業はやめておく
明日は午後からお楽しみがあるし
いい刺激をもらって
次へのパワーにできるといいな



2005年05月13日(金) 魂の課題

火曜日に壁は塗り終わった
というか
重ね塗りして綺麗になってくると
完成度にこだわりが出て
キリがなくなるので打ち切り
この自然塗料は本当にオススメなので
来週壁画像をブログにアップしたら
購入サイトにもリンクの予定

お腹の調子が悪く
修学旅行も危ぶんだ上のコは
なんとか無事に出かけて帰ってきた
前日には注射を打ち
薬は強いものに変えてもらい
食後のを食前に飲むという策で
むしろ便秘になったようだった

先生方の尽力もあって
出かけられたのは有難かったけれど
だからと言って
それでオッケーという訳ではないから
いろんな人の言葉に
ちょっとフクザツな気分を味わっている

今後
無理やりにでも学校に行かせれば
それで大丈夫なのか
病は気からというけれど
本人も意識できないところでの動きを
強制的に操作したからと言って
本当のところは何も変わらないと思える

目的は学校へ行くことよりも
自分の意志に基づいて行動するという
こころとからだの一致にあるのだから
今あせって目的を取り違えると
そのバランスを取り戻すことだけが
人生を通じてのテーマになってしまいそうだ

それが本当に
彼がこの世で担っていくべきことなのかどうか
あたり前の親のように
こうあって欲しいという希望よりも
子ども自身の中にあるだろうはずの
見えない魂が持っている課題を考える

こういうわたしのスタンスは
間違っているのかもしれない
もっと強くこうあるべきを打ち出せるのが
親なのかもしれないと迷いながら
わたしと繋がった縁の行く先を探っている



2005年05月09日(月) 壁塗り

満を持してのペンキ塗り
ネットでいろいろ調べて
新しく購入した自然素材のペンキは
嫌な臭いもほとんどなく
以前ホームセンターで買った
普通のペンキに比べると
本当にナチュラルな感じ

最初はそのまま使っていたけれど
粘度が意外と高いので
途中からは水で薄めて使った
乾いたあとの
マットでしっとりした感触がとても良く
探した甲斐があったというもの

ペンキの質はいいけれど
塗るわたしたちのテクはいまひとつ
ローラーでは塗れない際のところを
刷毛で塗ろうとすると
仕上がりが全く違ってしまう
キッチン用のスポンジの硬い面を使って
ぽんぽんと叩くように塗ることで解消した

3時まで作業し
小学校での説明会と
上のコの通院のために切り上げたが
素人仕事では
ひょっとしたら二度塗りでも
綺麗に出来上がらないかもしれない
期間に余裕がないので
急遽明日も作業することとなった



2005年05月07日(土) 負の遺産

移転して新しくなった
豊岡病院へ行った
お陰でうちからは随分遠くなり
移転の話が出だしたころ
無料バスを市街地と結ぶという案を
何かで読んだはずなのに
従来の路線バスが延びただけのようだった

移転前から入院している友人が
歯医者に通院するために外出し
ついでに迎えに来てくれた
入院患者が見舞い客を迎えになんて
ちょっと変だけど
もう大分よくなっているようで
後は週に二回ある処置の経過次第

山を切り崩して建った新病院は
どこもかしこもぴかぴかで
病室にはそれぞれ
洗面台とトイレがつき
最低でも4人部屋になっていた
仕切りのカーテンは爽やかな花柄で
窓からは山の緑が美しい

病室のほかに
見舞い客と歓談できる部屋があり
大きな画面のテレビや
電子レンジも備えられている
廊下にはリトグラフや絵が飾られ
シャワー室と洗髪専用の部屋
公衆電話も個室のものがあった

一階の一般外来の待ち合いホールに
旧病院から運ばれたと思われる
スチールの事務椅子が数個重ねてあって
新しいものに囲まれて
それだけが妙に異質だった
旧病院の中には今も
たくさんの棚やシンクなどが
そっくりそのまま残っている

病院の裏側には
まだ使えるテーブルなんかが
以前から雨ざらしになっていて
大きな建物はもちろん
そんなのをこれからどうするのかと
余計な心配をしてしまう

この田舎には
それなりの必然があって
新しく作られるものが溢れている
けれどその一方で
使われないまま朽ちていく
古い建物があちこちに残っている
そんなのを負の遺産にする前に
今できることはないんだろうか



2005年05月06日(金) 襦袢のブラウス

新たに購入した自然素材のペンキを
来週塗るためにマスキングをした
無駄口は少なく
せっせと充実した時間を終え
家に帰ってからは
モスリンの花柄襦袢を使った
ブラウスを仕上げた

さすがにトップスは
スカートのように
型紙なしでとは行かず
作りたい形が載っている本を見つけ
縫い代の始末などは
自分なりの応用を加えつつの製作

衿はバイアス仕上げで
そのまま続いた紐を結ぶデザイン
けれど襦袢の生地は
バイアスが取れるほど残っていないので
代わりにレースの麻生地を使い
紐は迷ったあげく
アジアンノットに使うような
銀糸の混じった色変わりのを
手縫いで留めつけた

その先に
インドのグラスビースをぶら下げて
さあ出来上がり
なのだけれど
どうもわたしの好みではなかった
今風に脇にダーツが入り
袖山がきちんと盛り上がった型紙では
いかにも洋服って感じになるのだった

写真ではもう少し
ラフなシルエットだったのに
ハンガーに吊るしたそれからは
立体的にどんな雰囲気かが
いまいち見抜けなかったのだ

なるほど
昨年はチャイナ風のワンピースを
作り掛けて挫折していて
それも身体に沿うようなダーツがあり
なんとなく面白みに欠けたのを思い出した

やっぱり
和布に似合うのは
直線に近いストンとした形なんだ
それを念頭に入れて
次はなにを作ろうか



2005年05月04日(水) 稼ぐ日

いくら連休のコウノピアでも
まさかこんなに忙しくなろうとは
団体客はほとんどなく
家族連ればかりで
時間に余裕があると見えて
品定めもじっくりゆっくり

お昼までで
軽く3万円を超え
一度急いでトイレに行ったきり
お弁当を食べるタイミングもなく
お客さんが売り場にいなくなって
やっと食べ始めたのが一時すぎ

けれどお客さんは
こちらが食事していようが関係なく
選んだ品を持ってくる
途中何度も蓋を閉め
食べ終えたのはもう二時に近かった

一服したい
子ども達に電話を掛けなきゃ
最初はじりじりしていたけれど
午後はいよいよ余裕がなくなって
在庫を出すのも追いつかない
途中テンションが下がり
妙な精神状態になったのに気付き
こりゃまずいぞと誠心誠意勤めた

売上げの計算がややこしそうなので
5時ぴったりには商品に布掛けを終え
さあそれからが大変
商品から剥がした値札と
売上表とをにらめっこしつつ
何度計算しても合わない

これははまったなと思い
結局金庫のおつりだけを合わせて
行方の解らないお金は
後日計算し直すことにした
それを抜きにしても
ゆうに10万円は超える売上げ

ほとんどが千円以下の商品ばかりを
いったいいくつ袋に詰めたんだろう
ノンストップの9時〜5時
レジのないこの売り場で
ひとりで捌けるマックスは
次第にどんどんレベルアップ
随分逞しくなったものと思う

でもここに
自分の商品があったら
もっと充実するんだけどな



2005年05月03日(火) 泥大島が呼んだ着物

久美浜のフリーマーケット
Sさんが出店するというので
Nさんと一緒に出かけた
特に何かを買う予定はなかったのに
やっぱり古物には
ついつい視線が行ってしまう

古い薬瓶をふたつ買ったあと
着物があればとりあえず見
ひと回りしたのに
Sさんが見つからず電話
いちど通った場所なのに
その前あたりで
瓶に眼を奪われて迂回していたのだった

相変わらずSさんの品物は
値段もついていない
いろんなものが雑多にあって
もう着物は随分売れてしまったそう
ただであげるという中から一着選び
他にも値段を聞いたものは
すぐあげると言ってくれるので
遠慮なくいただいてしまった

ちょうど背中合わせのブースに
なんだかそそられる
地味な着物が下がっていて
思わず引き寄せられた
とても状態のいい男大島に混じって
木綿かと思うような
茶の細かい格子の着物が素敵だった

聞くと木綿ではなく正絹とのこと
ところどころ補修があり
スカートにはどうなのかと迷っているうち
Sさんの口添えもあって
5千円が4千円
4千円が3千円にまで下がってしまった

自分では値切るつもりもないのに
この成り行きにどうしても
買わなきゃ行けない気がしてきて
そういう買い方はまずいと
一旦諦めたのだった
結局最後には買うことにしたのだけど
どうしてそんなに惹かれたのかは
家に帰ってから判明

前回作ったスカートに使った
泥大島のハギレが
びっくりする程しっくりなじむ
あの組み合わせがひとつきりだったのが
残念でならなかったから
残りのハギレが
この着物を呼んでくれたのかもしれない

前回よりは素朴で
ちょっと野暮ったい位の雰囲気
むしろわたし的には
こちらの組み合わせの方が好みに近い
今回の着物の補修痕を隠した自分用と
綺麗なところだけを使った商品用と
うまく行けばふたつ作れるかもしれない

全ては解いてみてからだけど
そう描いただけで幸せが倍増してきて
つくづく買ってよかったと思うのだった


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