ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2005年04月29日(金) 展示会のチラシ

売り場にて
6月用のチラシを作らねばと思い出し
コピーの裏紙に鉛筆で下書き
わら半紙で刷るつもりなので
もちろん写真なぞ載せられず
せめて商品名だけでもとひねり出した

リネンのバッグ
天然石のアクセサリー
和布あしらいのTシャツ
絽のアロハ
泥大島や博多帯を使ったスカート
その中には
まだ試作品の段階のものもあり
実際は間に合うのかどうかスリル満点

夕方
Kさんがやってきて
あと少しで完成の絽のアロハを見せてくれた
撫子柄の涼しげな水色で
ウエストをシェイプしたかたちが
とても女性らしい
けれど製作には相当苦労したようだった

わたしも
次作はトップスをと思うけれど
袖付けや衿の始末を考えると
なかなか取り掛かるのに勇気が出ない
使う布も作りたい形も決まっているのに
もう一本スカートを縫って
勢いをつけてからにしようとかずるずる

チラシはKさんが
原稿をもとに文字の部分だけ
パソコンで作ってきてくれることになり
無理のない範囲でお願いした
さてさてあと一ヶ月
既に地域の情報誌にも掲載され
いよいよという感じになってきたぞ



2005年04月27日(水) 命の責任

ブログに手を入れて
ネットショップとリンクさせた
とうから借りていながら
画像を日常的に撮るというのが
わたしの中にはなく
毎週月曜日にわくわく館へ出かけては
またデジカメを忘れているのに気付く

けれどやっぱり
今がとても楽しく貴重な日々なので
文字だけでなく
別のかたちで残しておきたい
毎日の小さなあれこれが
少しずつ積み重なっていくように
画像を載せられたらと思う

それにはどうしても
お店を作るという
解り易いくくりが必要で
決してそこが到達点ではないのに
まだ見ぬ未来から
今を振り返っているような
複眼を持たなければならない

それは時にちょっとつらくて
自分を縛ることでもある
同じように
6月というお尻を決めた展示も
自分を追い込む要素になっている
こんな風に何かを課すことを
今まで極力避けてきたわたしだったのに

春はなんだか忙しく
子ども達の学校のことだけで
ついつい提出書類も忘れそうになる
授業参観に家庭訪問
これからそれぞれの旅行の説明会もある
おまけにふたりとも体調を崩して
病院通いと眼が廻りそうなほど

やっと成人して就職したと思ったのに
自分の子どもが
あの電車を運転していた当人だとしたらどうだろう
たくさんの人が亡くなったことに
思いを馳せたあとで
ふと運転手の母に自分を重ねている

子どもが自立しても
一生親であることは変わらない
まるで最初からひとりで生きてきたように
いつか親なんか忘れて
自由に歩いて欲しいと思う
けれどその子が何らかの責を問われるなら
本人以上にわたしも背負うことになるだろう

それを思えば
自ら何かを課すことなんて
贅沢な余興に過ぎない
けれどそれができるようになったのも
何よりも重い命を産みだしたことの
お陰なのかもしれない



2005年04月25日(月) 家具のリメイク

わくわく館で作業の日
まずは昨日買ってきた古物を
一緒に行けなかった
Hさんに披露しつつ
ラッピングしておいた銀の杯を
プレゼントした

それを見つけたとき
繊細な仕上げと
杯というアイテムから
これはわたしよりも
彼女が持っている方が
相応しい気がしたのだった

木箱の蓋を開ける手つきからも
大切なものを見る様子が窺えて
感想の言葉ひとつひとつが
やっぱりあげてよかったと
こちらもシアワセな気分になれた

そのあと
わたしは壁のやすり掛け
Hさんは台所仕事をし
午後になってKさんがやってきた
売り場をやめた彼女に
先週ふたりで選んだ着物をプレゼント

それを仔細に見ながら
とても喜んでくれて
感想の言葉ひとつひとつがまた嬉しい
選んだときのあれこれを話しながら
一緒に買ったそれぞれの着物も
また披露しなきゃなんて思う

それから
またそれぞれ作業に戻り
Kさんは
うちから運び込んだ古い箪笥2段に
ステインと柿渋を塗ってくれた
3段に分かれた一番下の部分は
既にKさんの家にもらわれて
とても素敵に仕上がっている

残りもあげたいぐらいだったけれど
お店で使うことになり
ついでに以前運び込んだ
タイル貼りの台も化粧直ししてくれる予定
もとはただのものばかりが
大切に扱ってくれる人の手によって
どんどん新しく生まれ変わっていく



2005年04月24日(日) ものづくりの高み

着物リメイクのお店へのお誘いで
久しぶりにお出かけ気分
他にも
陶器の展示会ふたつを眺め
古物をゆっくり物色したり
お豆腐料理を食べたりと
盛り沢山の一日だった

古物は
雑多な中に何が埋もれているか
発掘する行為そのものが楽しく
今のものは
その置かれている空間の雰囲気も
ともに味わいながら眺めるのが楽しい

いかにも人の手で作られたものを見るとき
繊細さや緻密に工夫をこらした技に惹かれる
シンプルであればあるほど
ごまかしは利かないから
丁寧な技は必ず伝わってくる
それは古いものにも
新しいものにも共通している

6月の展示会のために製作中のものを
それぞれが持ち寄っていて
お互いに自分にはない個性の
手作りを見せ合いながら
悩みのポイントや
工夫なんかを交換しあった

行った先で出合ったものはもちろん
こんな誰かの製作の過程を共有できることが
とても刺激になる
どんな素敵な空間や
雑多なものに紛れても
負けずに立ってくれるようなものを
作れるようになりたい



2005年04月22日(金) 再会

菊丸の命日
飾ってある写真の中のキクは
今も使っている大きな座卓に
顔だけを乗せてふにゃあっとしている
まだ若くて
死期が近づいた頃とは
長い毛の色も全く違う
もっともそれは死んでから気付いたこと

いつもは自転車で行く距離の用事を
出かけようとしたら自転車がなかった
さっき出かけてくると行った上のコが
自分のじゃなく
かごつきのを乗る用事があったのかと
仕方なく歩いた

細い路地を抜け
いつもとは違う目線での徒歩は
知らないうちに
キクとの散歩を思い出させる
ほんの取るに足らない小さな偶然の時間が
今日持てたことの不思議

元は母屋として使っていたのだろうか
今は農家の道具置きになっている古い家
車道からも離れて
小さな庭の緑が美しい
こんな場所に住んで
やつとゆっくり日なたぼっこができたら

また
選びようがなかった人生を考えている
いつか
きっといつか
そんな風に暮らせるように出会いたい



2005年04月20日(水) ハトマメ

それはハトが食べるもの〜♪
なんか知らないけど
朝起きたときから
ハトマメが頭の中で流れ続ける
今日はわたしの誕生日

蚊絣の男着物を
どんなスカートにしようか
悩みに悩んで
古い大島を組み合わせることに決定
星型模様を細長く裁って
蚊絣の縫い合わせ部分を
大島のリボンで隠すように

朝からミシンを掛け始め
5幅分の縫い合わせを
全部折伏せ縫いで仕上げ
大島を4本つけたところでもう5時間
あと一本と
丈を長くするために
裾にも大島をと思うけれど
根気が続かずブレイク

今回の生地合わせは
ちょっと法曹の衣装みたいな雰囲気で
本当はギャザーもタックも入れない方が
良質感が伝わってくる
ただ生地が薄地なので
すとんとした仕上げだと
形に負けてしまうのだった

2着とも
よく着込まれた着物だったので
このスカートを作った残りは
ほとんどハギレでしか利用できないだろう
残念だけど
今の手持ちの中では
ベストの組み合わせだと思う

越してきた時から
眺めていた着物
どう表現するかのアイデアは
あの頃よりはるかに広がった
もっとツールを獲得したらきっと
より多くの可能性から選べるのだろうけど

ハトマメを食べた外人は
英語で説明されてもやっぱり
ハトマメを食べたかもしれないしね



2005年04月18日(月) 最初の桜

わくわく館の中庭に手を入れた
4方の部屋の窓に囲まれて
いろんな緑が雑多に植えてあるそこの
真ん中辺りに砂利の小山があって
それをどうにかしなければというのが
Hさんの一番の気がかりなのだ

中庭には水道がないので
台所から長いホースをひっぱって
ザルに入れた砂利を洗っては
犬走りのコンクリを埋めていく作業
Hさんが掘る係りで
わたしが洗う係り
一緒に作業しているうちに
その場で自然と役割分担が決まるようになった

けれど
その半端じゃない量に
大仕事の予感がひしひし
次第に口数も少なくなり
腰は痛くなり
別の作業でブレイクを入れないと
とても続かないのだった

なのでわたしは
朝のうちいつもの家具捨て場で拾ってきた
椅子やテーブルを洗い
Hさんは
延び放題のバラを剪定
それからお昼を作って食べながら
途中まで掘った庭を眺めた

ちょうどあの掘った辺り
あそこに桜の木を植えようよ
ほんとだよねいいよねえ
まるでもうそこに
枝を広げた桜の木が見えるようだけど
苗木を植えても
すぐ花が開くとは限らない

でも
春になるたびに
初めての桜を待つのも悪くない



2005年04月16日(土) 平等な一日

疲れているからと早寝したのに
3時に目が覚め次は5時
昨日から夢ばかり見て
その内容もあまりよくない
無意識からのメッセージでもなんでもなく
現実と絡まった浅い夢

ひとつは週2日どこかへ
勤めるための面接
大勢が集まっていて
かなり感触はよかったものの
提出用紙に必要事項を記入して間違え
上に別の紙を貼って書き直そうとしたら
用紙がどこかへ紛れて見つからない

あせって探す一方で
ここが決まっても
今の生活にこれ以上の何かを加えるのは
到底無理な気がしていて
だからこそ紛失したのだとも思えた
安定収入をプラスするためとは言え
それはわたしの課題を
先送りするだけなのだった

もうひとつは近未来の設定で
何故か状況が悪くなり
人質を連れて逃げようとしている夢
あまりに直接的すぎて嫌になる
それで逃げたらどうなのか
どうして逃げなきゃいけないのか
なんの理屈もわからない

窓越しに朝陽が昇る
誰にも平等に与えられたいちにちが始まる
ともかく今日は売り場が待っている
頑張ろう
子ども達のお昼には
なにを作って行こうかな



2005年04月11日(月) 白い壁

店舗の壁
もともとは石膏ボードの上に
紙のクロスが貼ってあり
薄汚れも混じって
全体的に茶色い感じだった
随分前に釘やピンの穴を
補修用パテで埋めた後
なんだかんだと用事が先行し
白が点在する壁が気になりつつ日が過ぎた

もうこのままでもいいんじゃない
なんて言うHさんに
既にこの壁に慣れているんだとゾッとした
今日は絶対ペンキ塗りと決め
まずパテにやすりをかけようとしたら
下のクロスまで剥がれてしまったので
そのまま上から塗りはじめた

けれど
パテにペンキが乗ると粘度が増し
もろもろとパテごと剥がれてくる
そのままある程度塗ってはみたものの
仕上がりは美しくない
クロスが薄くなっても
やっぱりやすりは掛けるべしを学ぶ

量販店で試しに買った
2リットル弱はあっという間
このぶんだと
全部塗り終えるには
容量の大きいのを買わないと相当割高になる
調べると同じ色の大きいのはないことが判明
計画立てているようで
まるで行き当たりばったりなのが
こんなところにも

でも今日塗った
ちょっとクリームがかった白は
少しツヤありだったせいで感触いまいち
ツヤなしの白なら大きいのがあるから
次はそれに変更かも
ペンキの前で
さんざ色に悩んだのも意味なかったな



2005年04月08日(金) 彩雲

5時ギリギリになって
お買い上げのお客さん
さて帰ろうとメールをチェックすると
ネギ忘れるな!
の文字に笑った
帰り道途中にあるHさんちに寄って
約束どおりネギをもらった

木曜日の朝にはまだだったのに
帰りには桜が一気に開いていて
そんな話から
花見きぶんが盛り上がった
去年は結局計画しながらも
なんとなく流れてしまったので
今年はとりあえずふたりで
昼間にちょこっとでも出かけたい

わくわくの日の月曜日
天気がよかったら作業の合間に出ようか
それはそれとしても
やっぱり夜にお酒飲みたいよね
話しながら少し歩き
景色の広がる辺りで
離れた場所の桜を眺めた

わくわく館の中庭に
桜の木を植えようか
毎年そこでお花見ができるように
でも10年も経ったら
もうあの場所いっぱいになっちゃうかな
花はやっぱり桜だけど
なにかシンボルになるような木を植えたいね

ふと
そらが気になった
沈んで行く太陽のずうっと左に
ひとかたまりに光る場所があり
よく見るとそこだけ虹色になっている
見てあそこ
ああっ彩雲だよよく見つけたねえ
生まれて初めて
わたしも

誰かに教えたいけど
角度が違えばもう見えない
そう言っている間にも
虹色は少し薄くなって行く
なにかいいことあるかな
あるよきっと
まるで少女みたいに弾むわたし達だった



2005年04月07日(木) 他力

コウノピアの売り場にいると
Sさんから電話
いつもめちゃくちゃ忙しそうなのに
平日の昼間になんて珍しい
何かと思ったら
いつからお店をするのかと言う

6月の手作り雑貨展の話しをし
先日Sさんが提案してくれた
レンタルボックスよりも
もっと大きいスペース貸しのことを
詳しく聞いてみた

例えば
今他所でSさんが借りているのは
畳二畳分で月4千円
申し込みが早かったので安いが
借りたタイミングで金額が違うそう
置いたものが売れたときに
その他に手数料として
販売価格の2割を取られるとのこと

ボックスにしても
月いくらのレンタル料だけにするのか
手数料も取るのか
いろいろ方法があって迷っていると告げると
手数料は絶対取らないと
やって行けないだろうとの意見

もしやるのなら
他にも借りたい友達を
紹介してくれるそうだった
ともかく一度ゆっくり
詳しい話をしようと約束した

ただ安く利用できさえすればいい
というのではなく
こんな風に
現実的なアドバイスをもらえるのは
本当に有難い
わたしが必要としている場所を
誰かが求めてくれるお陰で
道はどんどんクリアになってくる



2005年04月05日(火) もとい6月

4月に入ってからの
この開放感はどうだろう
長いこと
自分の生まれたこの月が
ぼおっと暖かいこの季節が
あまり好きではなかった

けれどこの地に来て
今年ほど春を焦がれたことがない位
いつまでもその気配は遠く
冷たい空気が満ちていた
ようやく今日は
本当に気持ちのいい
春らしい陽差しに包まれた

ひたすら耐える3月
突破口が訪れる4月
そんなリズムを
これまで何度か感じてきた
好きになれなかった頃は
たぶんまだ眠ったままで
自分をどう使っていいのか解らずにいた

臆病で慣れた場所にずっと居たい
それはわたしの感情が求める部分
けれど表現欲求は
それとは真反対の向こう見ずな突撃タイプ
安心できる場所を見つけて
そこで新しいことを試して行けるなら
両方が満足するのだった

昨日
大家さんとお話をして
展示会の9日間の家賃を考えてもらった
思いがけず寸志で構わないとのお返事に
一層気を引き締めた
日程は少し余裕を取って
6月の頭からとなった

何かを変えようとして
一向に変わらないことがある一方で
こんな風に
着実に整って行くこともある
自力と他力が繋がって
やっと一本の道筋が見えてくる



2005年04月02日(土) 自力

なんだか濃い日々を過ごしている
引きずっている売り場は新たに
一年間で契約を結んだ
そしてこの地に来て5年目に突入
一向に何も変わっていないような日々だけど
もうあせる必要はないと思える

モノを作って売る
ただそれだけのことに
全てが集約されて
あんなに思っていた
早くお店をという気持ちが
どこかへ飛んでしまった

何か思いついてはうまく行かないこと
結局それは
怠け者の自分をそのままにして
誰かのちからを充てにしていたせい
まず本当に作りたいものを作ろう
それができたとき
もっとわたしは自由になれる

ミシンを踏みながら
やっぱり相変わらず解きながら
作り易い方向に流れてしまいそうなのを
何度も堪える
自分の不器用さは受け容れるけれど
そこに留まっていては何も変わらない

心残りのないように
精一杯努力しよう
伝わらなかったら
またその時に考えればいい


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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