『日々の映像』

2009年02月28日(土) イラン「目には目を」の刑執行へ 

 報道・資料
1、女性失明事件の加害者に「目には目を」の刑執行へ イラン
2月20日12時24分配信 CNN.co.jp
2、目には目を、歯には歯を
http://www.actv.ne.jp/~yappi/tanosii-sekaisi/01_sensi&kodai/01-05_meniwameo.html

 「目には目を、歯には歯を」という言葉がある。
この言葉の語源は資料2の通りで要約すると次の通りである。
「メソポタミア(現在のイラク)に、最古の文明が花開きました。前1800年頃、この文字を使って書かれた全237条の法典が登場します。これが、「ハンムラビ法典」です。「目には目を」。あまりに強烈な印象を与えるこの言葉は、実は、ハンムラビ法典に由来しています。
ハンムラビ法典第196 条には次のように書かれています。
「もしある市民が、他の市民の目をつぶすならば、彼の目をつぶさなければならない」
また、第200条には、こうあります。
「もしある市民が、彼に対等の市民の歯を打ち折るならば、彼の歯を打ち折らなければならない」
「目には目を、歯には歯を」なのです。この、「同害復讐」の原則こそ、人類が初めて制定した法なのです。」

驚くべきことは、紀元前1800制定されたハンムラビ法典が現在も生きていることである。テヘラン(CNN) イランの裁判所で、女性の顔に酸をかけて失明させたとして有罪となった加害者が、イスラム法の「目には目を、歯には歯を」の原則に従い、同じ方法で失明させる刑罰を受けさせることが確定したという。女性の弁護士によれば、数週間以内に執行される見通しだという。

詳しくは報道1の通りであるが、イランでは古代の法典がイスラム法となって現代にも生きていることを知らねばならない。

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1、女性失明事件の加害者に「目には目を」の刑執行へ イラン
2月20日12時24分配信 CNN.co.jp

テヘラン(CNN) イランの裁判所で、女性の顔に酸をかけて失明させたとして有罪となった加害者が、イスラム法の「目には目を、歯には歯を」の原則に従い、同じ方法で失明させる刑罰を受けることが確定した。女性の弁護士によれば、数週間以内に執行される見通しだ。
被害を受けたのはアメネ・バハラミさん(31)。2002年、大学で電子工学を学んでいた24歳の時、同じ大学に通う当時19歳のマジド・モバヘディ受刑者に出会った。モバヘディ受刑者はバハラミさんに近づこうとしたが、拒否されるといやがらせを繰り返し、「結婚を承諾しなければ殺す」などと脅迫した。
2004年11月、勤務先の会社から帰宅しようとバス停へ向かっていたバハラミさんを同受刑者が襲い、顔に酸を浴びせた。バハラミさんは重傷を負って視力を失った。同受刑者は2週間後に自首して犯行を自供。2005年に有罪を言い渡され、以来収監されている。バハラミさんの弁護士によると、同受刑者に反省の色はみられず、「愛しているからやった」などと話しているという。
イランでは通常、被害者が加害者に「血の代償」と呼ばれる賠償金の支払いを求めることができるが、バハラミさんはその代わりに、モバヘディ受刑者の目に酸をかけて失明させる刑罰を要求。昨年末に地裁がこれを認める判決を下し、同受刑者が控訴していたが、高裁が今月、棄却を決めた。
一部の人権団体などからは「残酷すぎる」と批判の声が上がっているが、バハラミさんは「復しゅうが目的ではない。今後同じ思いをする人がないようにとの願いから決めたこと」と説明している。

最終更新:2月20日12時24分

目には目を、歯には歯を
http://www.actv.ne.jp/~yappi/tanosii-sekaisi/01_sensi&kodai/01-05_meniwameo.html

紀元前3500年頃、メソポタミア(現在のイラク)に、最古の文明が花開きました。 その担い手は、シュメール人といわれています。

彼らは、都市国家を作り、金属器を使い、世界最古の文字を発明しました。この文字は、粘土板にアシの茎を斜めに切ったもので刻まれ、その形状から楔形(くさびがた)文字と呼ばれています。

そして、前1800年頃、この文字を使って書かれた全237条の法典が登場します。これが、「ハンムラビ法典」です。ハンムラビとは、当時メソポタミアを支配していたバビロニア王国の国王の名です。

「目には目を」。あまりに強烈な印象を与えるこの言葉は、実は、ハンムラビ法典に由来しています。

ハンムラビ法典第196条には次のように書かれています。

「もしある市民が、他の市民の目をつぶすならば、彼の目をつぶさなければならない」

また、第200条には、こうあります。

「もしある市民が、彼に対等の市民の歯を打ち折るならば、彼の歯を打ち折らなければならない」

「目には目を、歯には歯を」なのです。この、「同害復讐」の原則こそ、人類が初めて制定した法なのです。

現在、西アジア一帯で広く使用されているイスラム法もまた、基本的にこうした、同刑罪の原則の上に成り立っています。もしかしたら、「目には目を、歯には歯を」の原則こそ、人間の本質にもっとも適した刑罰法なのかもしれません。この原則に従えば、人を殺した者は、当然、自分の死をもってその罪を償わなければならないことになります……。


2009年02月27日(金) 貿易統計:1月の輸出45%減


報道
1、貿易統計、外需の低迷響く 赤字が過去最大             
                    2009年2月25日 日経
2、貿易統計:1月輸出額45%減 赤字過去最大9526億円
                    毎日新聞 2009年2月25日 
3、解読:指標が示すマイナス成長 頼みの輸出「壊滅」 雇用、消費に波及                      毎日新聞 2009年1月25日 東京朝刊

 全体の流れは分かっているのであるが、「1月輸出額45%減」という報道に接すると日本の大不況を改めて思い知らされる。金融危機発生以来の輸出の減少率を見てみよう。
2008年11月 前年比 26.7%減
2008年12月 前年比 35.0%減
2009年1月  前年比 45.0%減

 1月は前年比の45%でほぼ半減しているのである。政府は余り刺激的な言葉を使うことを避けているようだが、大不況どころか、経済恐慌に突入しているといわねばならない。主力の自動車は以下の通り壊滅的な減少となっている。
自動車輸出全体 前年比  66.1%減、
自動車輸出対米 前年比  80.7%減、
自動車輸出対欧州前年比  69.7%減。

 半導体など電子部品は対世界で52.8%減だった。地域別でも、主力の米国、欧州、アジアすべてで、過去最大の減少率を更新。対米が52.9%減、対欧が47.4%減、対アジアも46,7%減と凄まじい。これからどのような影響が現れてくるのか、資料3の通り100万人を超える失業者が出ることだろう。

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1、貿易統計、外需の低迷響く 赤字が過去最大             
                      2009年2月25日  日経

 財務省が25日発表した貿易統計で、1月の貿易赤字が過去最大となった。2007年9月には1兆6087億円の輸出超で、過去最大の貿易黒字を記録していた。それからわずか1年あまりで、日本経済の外需環境は急速に厳しさを増した。
 07年9月の時点では好調だった米景気こそ陰りが出始めていたが、欧州や新興国がけん引。資源高もさほど深刻ではなかった。その後、米国発の金融危機の影響が欧州や新興国にも広がった。
 1月の貿易統計では特に基幹産業の自動車や半導体の輸出不振が鮮明だった。自動車の輸出額は前年同月に比べ66.1%減と昨年の半分以下になった。米欧だけでなく、期待されたアジアや中東、ロシアなど新興国向けも大幅に落ち込んでいる。半導体の輸出も52.8%減と昨年の半分の水準だ。円高の影響もあるが、輸出価格は全体で7.7%減にとどまり、実需の低迷がより足を引っ張っている。

2、貿易統計:1月輸出額45%減 赤字過去最大9526億円
毎日新聞 2009年2月25日 
 財務省が25日発表した1月の貿易統計(速報)によると、世界的な景気悪化の影響で、輸出額は前年同月比45・7%減の3兆4826億円となった。減少率は比較可能な統計のある80年以降の過去最大を3カ月連続で更新。原油価格の下落で輸入も減ったものの、輸出の減少が著しく貿易収支は9526億円の赤字となった。4カ月連続の貿易赤字で、赤字額も過去最大。輸出急減に歯止めがかからない状態だ。
 輸出の減少率は、昨年11月(26・7%減)、12月(35・0%減)からさらに加速し、ほぼ半減の状態。輸出額は99年1月以来の低水準となった。主力の自動車は66・1%減、対米は80・7%減、対欧州は69・7%減。半導体など電子部品は対世界で52・8%減だった。地域別でも、主力の米国、欧州、アジアすべてで、過去最大の減少率を更新。対米が52・9%減、対欧が47・4%減、対アジアも46・7%減となった。
 輸入は、原油輸入価格が1バレル=43・2ドルまで下がったため、31・7%減の4兆4352億円となったが、輸出の落ち込みが上回った。貿易収支は対米黒字が75・3%減、対欧が92・3%減と急減し、対アジアは06年1月以来3年ぶりに赤字に転じた。【清水憲司】

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3、解読:指標が示すマイナス成長 頼みの輸出「壊滅」 雇用、消費に波及                   毎日新聞 2009年1月25日 東京朝刊

 世界的な金融・経済危機が深まり、輸出頼みの成長を続けていた日本経済が深刻な不況に突入している。日銀は22日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で09年度の経済成長率をマイナス2%と予測、戦後最悪の落ち込みになるとの厳しい認識を示した。「輸出」「生産・雇用」「消費」の最新データから、景気の急激な悪化の背景と先行きを読み解いた。

 日本経済の成長の根源だった「輸出」が、世界的な金融・経済危機の直撃を受けて「壊滅的な状況」(欧州系証券)に陥っている。
 
財務省の貿易統計によると、昨年11、12月の輸出は2カ月連続で過去最大の減少率を記録。特に12月には、日本経済をけん引してきた半導体、デジタル家電などの電機製品や自動車の輸出が軒並み前年比半分近くに落ち込み、自動車や電機メーカーは未曽有の販売不振に追い込まれた。
 
日本経済は02年以降の景気拡大局面では、好調な輸出を起点に▽生産拡大▽雇用増▽個人消費下支え−−との好循環を続けていた。それが、輸出の急激な腰折れで逆回転し、企業の生産・雇用削減が加速、個人消費を冷え込ませる悪循環に入り込んだ。

 「極めてショッキングな内容だ」。22日に発表された昨年12月の輸出の極端な落ち込み方に、財務省幹部は先行き不安を隠せなかった。米地区連銀報告などによると、米国では消費者が新車や大型家電を買いたくても、金融危機の影響で思うようにローンが組めなくなり、販売不振で自動車ディーラーや家電量販店の破綻(はたん)が相次いでいる。

 日本製品への需要も急速にしぼみ、12月の日本の対米輸出は前年同月比36・9%減と激減。米国発の金融危機は全世界に広がっており、欧州向けが41・8%減、アジア向けも36・4%減と輸出は総崩れに。「ある地域の落ち込みを世界のどこかの販売増で埋め合わせるこれまでの戦略が成り立たない」(大手自動車メーカー幹部)危機に直面している。【清水憲司】

 ◇正社員も調整対象
 国内製造業の生産活動を示す「鉱工業生産指数」は11月、前月比8・5%低下と過去最大の落ち込みとなった。12月も9・0%以上の低下とみる市場関係者が多く、生産縮小は加速する一方だ。

 象徴的なのは、わずか1年前まで米国を中心とした海外での新車販売が好調で史上最高益を上げていたトヨタ自動車が09年3月期に大幅な営業赤字に陥る見込みになったこと。2〜4月の国内生産も前年より4〜5割減らす。トヨタのおひざ元の東海地方の経済について早川英男・日銀名古屋支店長は「ジェットコースターの下りの加速がついた局面」と指摘する。他の自動車メーカーに加え、シャープやソニーなど電機大手も軒並み液晶パネルやデジタル家電の大幅減産に追い込まれた。

 自動車や電機メーカーは生産縮小に合わせて、期間従業員や派遣社員の削減を拡大している。ホンダは非正規従業員をゼロにする方針を打ち出したほか、ソニーも希望退職による正社員削減に踏み込むなど、雇用調整は正社員にも波及。11月の有効求人倍率(季節調整値)は0・76倍と、10カ月連続で前月を下回り、04年2月以来の低水準になった。工場の操業の一時停止などに伴う賃金カットも広がり、所得環境は急速に悪化している。

 生産縮小傾向に歯止めを掛けるには、輸出の回復が不可欠だが、その兆しはない。クレディ・スイス証券経済調査部は「09年の鉱工業生産は前年比20%減となる可能性があり、これだけで日本の実質成長率は4〜4・5%程度押し下げられる」と予想する。【平地修】

 ◇個人の財布、ひも固く
 企業の減産加速に伴う雇用・所得環境の悪化で、過去数年間、底堅く推移してきた個人消費にも底割れのシグナルが点灯している。
 08年12月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比9・4%減と、稼ぎ時の12月としては過去最悪の下げ幅を記録。主力の婦人服や宝飾など高額品の販売不振のためで、販売現場は「おせちなどの季節商品を除き、良いところが見当たらない」(高島屋)と嘆く。内閣府によると、消費者心理を示す消費者態度指数(一般世帯)は12月、前月比2・2ポイント低下の26・2となり、データ比較可能な82年6月以降の最低水準を3カ月連続で更新。消費者の節約志向を裏付けた。

 トヨタ関連の法人需要が激減した名古屋地区が地盤の松坂屋の12月の売上高は前年同月比13・5%減。特に、海外ブランド品は約25%も落ち込んだ。松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングの奥田務社長は「消費者の日常生活から離れた商品に(百貨店の品ぞろえが)偏り過ぎていた」と分析。売り上げ減に歯止めをかけようと、各社は衣料品を値下げするなど必死だが「一段の悪化も覚悟」(日本百貨店協会の平出昭二顧問)せざるを得ない状況は変わらない。

 スーパーの昨年12月の既存店売上高も2・8%減と低迷した。外食需要が減退し、自宅での食事が増えたため、食料品の売り上げは堅調だったが、値下げセールにもかかわらず衣料品は13・2%減に。百貨店より低価格帯の商品を扱うスーパー業界も消費不振の波に洗われていることが、今回の不況の深刻さを物語っている。【小倉祥徳】

 ◇内需に目を向けた戦略とるべきだった−−BNPパリバ証券、河野龍太郎・チーフエコノミスト
 米国の過剰消費がいつかは限界に達することは分かっていた。日本の製造業はもっと内需に目を向けた成長戦略を探るべきだったが、バブル的な輸出ブームに流れてしまった。04年3月まで続いた政府の多額の円売り・ドル買い介入や日銀の超低金利継続による「円安政策」も、日本経済の輸出依存体質を一層強めた。米国をはじめとした外需の落ち込みは年後半には止まるだろう。だが、バブルだった近年の輸出水準まで戻るとは考えられず、日本は国内の過剰設備・雇用の大幅な縮小を余儀なくされる。仮に08、09年度の2年間、2%のマイナス成長になれば、失業者数が100万人増加する可能性もある。
毎日新聞 2009年1月25日 東京朝刊




2009年02月26日(木) 「おくりびと」アカデミー賞外国語映画賞を受賞


報道
1、「おくりびと」外国語映画賞を受賞
                      2009年2月23日産経
2、社説:アカデミー賞 日本の文化発信力を証明した
                      毎日新聞 2009年2月24日
3、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎さん
                   2009年2月24日07時10分 読売新聞
4、社説:アカデミー賞、ダブル受賞が示す日本の実力
                     2月24日付・読売社説

 昨日アカデミーを受賞した「おくりびと」を妻と観賞してきた。
報道4の一部を引用したい。
「『おくりびと』は、死者を棺(ひつぎ)に入れて送り出す納棺師の男性が、仕事に戸惑いつつも生を見つめ直し、成長していく物語だ。十数年前から納棺師や死の問題に深い関心を抱いていた俳優の本木雅弘さんが映画化を提案して、主役も演じた。人間の「生と死」という普遍的なテーマに挑んだ作品が、国際舞台でも高く評価されたということだろう」

 ぜひ、皆さんから見て欲しい映画である。映画館は満員であった。引用した報道で多くが記述されているのでここでは説明を省略とします。


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1、「おくりびと」外国語映画賞を受賞
                      2009年2月23日産経
 
「おくりびと」がオスカー獲得! 映画界最大の祭典、第81回米アカデミー賞の授賞式が22日(日本時間23日)、ロサンゼルスのコダック・シアターで行われ、「おくりびと」が外国語映画賞を受賞した。また「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)が短編アニメーション賞を受賞。日本勢がオスカー2冠を達成した。日本勢のオスカー獲得は2003年に長編アニメーション賞を受賞した宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」以来、6年ぶり。アカデミー賞で日本映画が2冠を達成したのは54年ぶり。
 歴史的な瞬間だった。プレゼンターの英俳優、リーアム・ニーソン(56)から「外国語映画賞は…Departures」と紹介されると、滝田洋二郎監督(53)、主演の本木雅弘(43)や広末涼子(28)、余貴美子(52)の4人が立ち上がり、周囲から大きな拍手と歓声を浴びた。4人は壇上に上がり、オスカー像を受け取った滝田監督がマイクの前に。
 滝田監督は「アカデミー賞のみなさま、ありがとう。助けていただいた人に感謝します。ここに来られたのも映画のおかげ。私にとって、また新たな旅立ちです。再びここに戻ってくることを期待しています」と、「おくりびと」の英語タイトル「Departures」にちなんだ受賞スピーチで会場を沸かせた。本木や広末も満面の笑みで喜びをあらわにしていた。
 授賞式前、3人は会場前の500メートルのレッドカーペットを歩いた。大勢のスターたちに交じって滝田監督は「まだ夢の中にいるようです」。本木は「誰が来ているか見回してました。さっきアンソニー・ホプキンスさんがいた。すっかりミーハーです」と、周りを見回して興奮を抑えきれぬ様子。肩を大胆に露出したベージュ色のドレス姿の広末は「よく眠れていません。まだぼーっとしています」とこちらも大舞台に落ち着かない様子。ドレスを選んだ理由に「自然になれるかなと思って」と話し、「こちらの方がこの映画を受け入れてくれたことが満足で幸せ。現代劇で日本映画が認めてもらえるのはすごい進歩」と話していた。
 米アカデミー賞外国語映画賞には日本映画として山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」以来、5年ぶりのノミネートだった。時代劇ではなく現代劇での受賞は外国語映画賞の前身、名誉賞時代を含めても初めて。また日本映画の米アカデミー賞2冠は、1955年の第27回で「地獄門」(衣笠貞之助監督)が、名誉賞(現・外国語映画賞)と衣装賞を受賞して以来の快挙となった。
【評論家・垣井氏「分かりやすい映画」】
 「おくりびと」の受賞に映画評論家の垣井道弘氏は快挙について2つの理由があると分析した。
 まず「分かりやすい映画だったことが大きい。洋の東西を問わず、葬儀というセレモニーを扱ったという点ですんなり受け入れられた」。
 米国の映画界はこれまで、日本の実写映画について、時代劇は評価しても、ホラー以外の現代劇はさほど興味を持っていなかった。
 「葬儀での様式美を極限まで高めた『おくりびと』は時代劇にも通じるものがある。西洋からみるとよほど魅力的だったに違いない」
 今後、オスカーを狙う日本映画の選考基準が変化するとも。「今回は『つみきのいえ』の受賞で日本のアニメーション映画の水準の高さも改めて見せつけた。日本映画が再び世界で注目されるだろう」と期待を寄せていた。
ZAKZAK 2009/2/23

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2、社説:アカデミー賞 日本の文化発信力を証明した
毎日新聞 2009年2月24日
 世界が注目するアメリカ映画界の第81回アカデミー賞で、日本作品が二つの部門で受賞した。外国語映画賞の「おくりびと」と短編アニメーション賞の「つみきのいえ」だ。先行き不安が募る今、明るいニュースには違いない。だが、それだけにとどめず、私たちが目指すべきもう一つの底力「文化発信大国」の希望と自信につなげたい。
 「おくりびと」の主人公は失業で偶然、未知の納棺師の仕事に転じ、さまざまな死と向き合い、変わっていく。「つみきのいえ」は水面上昇に没していく街に積み木のように上へ建て増しして暮らす老人と失った家族への思いの物語だ。
 死生観や地球温暖化問題もにじませ、内面的な深いテーマを追う作品が言語文化や国を超えて心をとらえた。言葉や風習、価値観は異なっても、優れた映画には普遍的な発信力、コミュニケーション力がある。
 「おくりびと」は先に今年度の第63回毎日映画コンクールで日本映画大賞に選ばれ、「納棺師という職業に着目したアイデアが的確に生かされたうえに、監督、脚本、演技、撮影、音楽ほか、すべての部門で優れた成果をあげて、人生について深く考えさせる作品になった」と講評された。
 着目、計画、製作、仕上げまでさまざまな分野の才が織りなす総合芸術としての映画。その醍醐味(だいごみ)が端的に言い表されている。
 敗戦後間もなく、黒澤明監督の「羅生門」がベネチア国際映画祭でグランプリを取ったことは、湯川秀樹博士のノーベル物理学賞とともに日本人を励ました。今は時代状況は大きく異なるが、経済的豊かさとは別に、世界に認められ敬意を払われる文化的な力や豊かさは人々を元気づけ、創造的活動の動機付けになることに違いはない。
 新しい流れもある。
 かつて日本の文化は欧米に異国趣味でしか受け入れられないと考える人が少なくなかった。映画や文学はそんな古い意識の壁を努力して越えてきたが、近年あっさり越えているのは「クールジャパン」とも呼ばれる漫画、アニメ、音楽、ゲームソフト、ファッション、風俗など旧来の形にとらわれないアートだろう。
 映画も昨年、邦画が洋画を興行成績で上回り、元気だ。今回受賞の背景には日本映画復調の流れもある。
 今、危機的な経済行き詰まり状況の中で、従来の産業モデルの転換が説かれ、人生設計や生き方を見直す論議も高まっている。
 受賞2作はその意味でも時宜にかなっていたといえるが、こうした映画の元気さや若々しい文化を新たな国の力としてとらえ発展させることはできないだろうか。政府が一番その辺の感度が鈍いのではないか。
 今回の賞が発想を転換させるきっかけとなるよう期待したい。

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3、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎さん(53)=24日付「顔」
2009年2月24日07時10分 読売新聞
 「納棺師という題材だったので、映画の終わり方が最初は見えてこなかった。でも、今日、最高の終わり方ができました」
 昨年9月のモントリオール世界映画祭グランプリ受賞に始まり、日本国内の映画賞を総なめにした監督も、渡米後、授賞式に臨む前は「スピーチは考えていない。真っ白」。強敵ぞろいだった外国語映画賞レースに競り勝った理由を、「日本映画のスタッフ、キャストの素晴らしさ」と、謙虚に締めくくった。
 富山県高岡市出身。成人映画で監督デビューした後、1986年の「コミック雑誌なんかいらない!」で注目され、「病院へ行こう」「陰陽師」などの話題作を連発してきた。明るく快活な性格で、どの映画からもからっとした優しさがにじむ。
 妻の元女優・千多枝(ちたえ)さん(44)との間に3女がいる。長女の明依(めい)さん(19)によると、家では良きパパ。「おくりびと」を家族で一緒に見たとき、「自分の映画の解説はしないよ。言いたいことは、すべて映画の中に詰まってるからね」と話したという。
 世界的栄冠に輝いた後も、「これまで通り撮り続けたい」と誓った。(文化部 近藤孝)
(2009年2月24日07時10分 読売新聞
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4、社説:アカデミー賞、ダブル受賞が示す日本の実力
2月24日付・読売社説
 日本映画の実力が、また世界に示された。
 米アカデミー賞外国語映画部門で滝田洋二郎監督の「おくりびと」が、また短編アニメ部門で加藤久仁生監督の「つみきのいえ」がそれぞれ受賞を果たした。
 日本の映画作品では、2002年度に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が長編アニメ映画賞を受賞して以来のことだ。
 日本映画の外国語映画賞受賞は名誉賞と呼ばれていた時代の1955年度の「宮本武蔵」(稲垣浩監督)以来だ。短編アニメ映画賞は初の受賞である。
 今回のダブル受賞は、日本映画のさらなる活性化への弾みになるのではないか。
 「おくりびと」は、死者を棺(ひつぎ)に入れて送り出す納棺師の男性が、仕事に戸惑いつつも生を見つめ直し、成長していく物語だ。
 十数年前から納棺師や死の問題に深い関心を抱いていた俳優の本木雅弘さんが映画化を提案して、主役も演じた。
 人間の「生と死」という普遍的なテーマに挑んだ作品が、国際舞台でも高く評価されたということだろう。昨年のカンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞したフランス映画「クラス」などの有力作品を制して栄冠に輝いた。
 放送作家小山薫堂さんによる脚本も、今年度の読売文学賞で戯曲・シナリオ賞を受賞するほど秀逸な内容のものだった。
 「つみきのいえ」は、海面が上昇して水没する街で、積み木のように家を上に建て増ししていく老人を主人公にした12分の短編だ。繊細な手描きのタッチで老人の追憶の世界を叙情豊かに描いた。
 日本映画のこのところの健闘はめざましい。昨年1年間の邦画の興行収入は前年比22%増の1158億5900万円で、過去最高を記録した。宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」の大ヒットなどが後押ししたと見られる。
 一方で、今回のアカデミー賞を受賞した「つみきのいえ」のような短編アニメは、水準の高い芸術作品であっても上映機会はほとんどなく、採算が取れない。
 文化庁のメディア芸術祭などが発表の場となっているが、こうした上映の機会を広げていくことが望まれる。
 東京芸大大学院映像研究科には昨年、アニメーション専攻が設けられた。02年度アカデミー賞短編アニメ部門に作品をノミネートされた山村浩二さんらが教鞭(きょうべん)をとるが、こうした分野の人材育成もさらに進めていきたい。

2009年02月25日(水)  怒るというより悲しい風景だ。

 
 報道
1、社説:麻生内閣 「早く退陣を」が国民の声だ
                      毎日新聞 2009年2月23日
2、麻生内閣:支持11%…政権運営さらに窮地 本社世論調査
                      毎日新聞 2009年2月22日
3、社説:中川氏辞任 やはり麻生政権は末期的だ
                      毎日新聞 2009年2月18日
4、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ
                       2009年2月14日 毎日

 毎日新聞が実施した全国世論調査で麻生内閣の支持率は1月調査からさらに8ポイントも下落し、11%となった。とりわけ、政府・与党が深刻に受け止めなくてはならないのは、今回調査で麻生太郎首相は「今すぐ辞めるべきだ」と答えた人が39%もいることである。麻生内閣は既に国民からほとんど見放されているといっていい。

 報道の通り「経済状況が日増しに深刻になる中、国民の我慢も限界に近づいている。国民に信任された政権をつくるため、早急に衆院を解散し、総選挙を行うよう再度求めておく。それが国民のため」の政治」との指摘通りだと思う。麻生首相は何を言われても馬耳東風・・・怒るというより悲しい風景である。


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1、社説:麻生内閣 「早く退陣を」が国民の声だ
                  毎日新聞 2009年2月23日
 毎日新聞が21、22日に実施した全国世論調査で麻生内閣の支持率は1月調査からさらに8ポイントも下落し、11%となった。竹下登内閣、森喜朗内閣のいずれも末期に記録した9%に匹敵する低い数字である。
 とりわけ、政府・与党が深刻に受け止めなくてはならないのは、今回調査で麻生太郎首相は「今すぐ辞めるべきだ」と答えた人が39%、「来年度予算の成立まで続けるべきだ」と答えた人も同様に39%で、早期退陣を求める声が約8割に達した点だ。麻生内閣は既に国民からほとんど見放されているといっていい。
 理由は指摘するまでもなかろう。中川昭一前財務・金融担当相が「もうろう会見」で世界に醜態をさらし、しかも、盟友をかばいたかったのか、麻生首相の対応も後手に回った。
 今回の調査で中川氏を財務・金融担当相に任命したことに対し58%の人が「首相に責任がある」と答えたのは当然だ。多くの国民はこの醜態を通じ、「緊張感や危機感を著しく欠いた麻生内閣で大丈夫か」と不安を感じたことだろう。
 首相への不信感が強まるのは無理もない。「支持しない」と答えた73%の人たちのうち、44%が「首相の指導力に期待できないから」、31%が「首相の政策に期待できないから」と回答した。民主党の小沢一郎代表と麻生首相のどちらが首相にふさわしいかの質問では、小沢氏が前回と変わらず25%だったのに対し、首相は前回から半減してわずか8%だった。
 経済政策の目玉・定額給付金も依然、73%の人が「評価しない」と答えている。首相周辺は「実際に給付されれば評価は変わる」と期待するが、もはや政権が反転攻勢に転じるすべもあまり見当たらないというのが実情ではなかろうか。
 自民党内でも、公然と「麻生降ろし」が語られ始めている。麻生首相のもとでは衆院選は戦えない。よって再び首相交代を、ということのようだ。だが、「ポスト麻生」候補が簡単に見つからないというのもまた事実だ。このままでは国民不在の党内対立だけが漫然と続く可能性が大きい。これが国民にとっては最も不幸な展開である。
 自民党の支持率は前回と同じ20%の低水準で、29%となった民主党にさらに差を広げられた。有権者の信を問うことなく、首相交代を続け、支持率が下がると人ごとのように離反する自民党の無責任さにも国民は厳しい目を注いでいるはずだ。そもそも「自分の選挙が危ういから首相交代を」ということ自体、国民不在というべきだ。
 経済状況が日増しに深刻になる中、国民の我慢も限界に近づいている。国民に信任された政権をつくるため、早急に衆院を解散し、総選挙を行うよう再度求めておく。それが「国民のため」の政治である。
毎日新聞 2009年2月23日 0時06分
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2、麻生内閣:支持11%…政権運営さらに窮地 本社世論調査
毎日新聞 2009年2月22日
 毎日新聞は21、22両日、電話による全国世論調査を実施した。麻生内閣の支持率は1月の前回調査比8ポイント下落の11%で、現在と同じ質問形式にした1949年以降、89年3月の竹下登内閣、01年2月の森喜朗内閣の各9%に次ぐワースト3位の低水準となった。麻生太郎首相がいつまで政権を担当すべきかを尋ねた質問でも「今すぐ辞めるべきだ」との回答が39%に達し、首相の政権運営は一層窮地に陥った。
 不支持率は前回比8ポイント増の73%で、前回記録した01年2月の森内閣の75%に次ぐワースト2位を更新した。支持率は昨年9月の内閣発足直後には45%。その後は同10月に不支持率に逆転を許すなど調査のたびに下落し、当初の4分の1にまで落ち込んだ。
 不支持理由は「首相の指導力に期待できないから」が最多で前回比11ポイント増の44%。支持理由の「首相の指導力に期待できるから」も3ポイント減の9%で、首相の指導力を疑問視する世論がうかがえた。
 支持率下落に歯止めがかからないのは、中川昭一前財務・金融担当相の「もうろう会見」による引責辞任も要因とみられ、中川氏を閣僚に任命した首相の責任については「責任がある」が58%で、「責任はない」の37%を大きく上回った。
 「麻生首相と民主党の小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいか」との質問への回答は、麻生首相が前回比8ポイント減の8%。小沢代表は横ばいの25%で、差は17ポイントに広がった。
 政党支持率は自民党が前回と同じ20%、民主党が3ポイント増の29%。4回連続で民主党が自民党を上回った。「次の衆院選で自民党と民主党のどちらに勝ってほしいか」という質問への回答も自民党が5ポイント減の22%、民主党は1ポイント増の51%だった。
 政府・与党が政権浮揚の材料として期待する定額給付金に対しては、「評価する」が2ポイント減の20%、「評価しない」が1ポイント減の73%で、理解は広がっていないことを示した。
 首相の政権担当時期に関する回答は、「今すぐ辞めるべきだ」のほか、「来年度予算の成立まで続けるべきだ」39%、「夏ごろまで続けるべきだ」7%、「できるだけ長く続けるべきだ」8%だった。【坂口裕彦】
【関連記事】
毎日新聞 2009年2月22日
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3、社説:中川氏辞任 やはり麻生政権は末期的だ
毎日新聞 2009年2月18日
 中川昭一財務・金融担当相が17日辞任し、後任は与謝野馨経済財政担当相が兼務することになった。先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後、ろれつが回らない状態で記者会見する醜態を世界にさらした中川氏の責任は重い。辞任は当然だ。
 ただし、さらに驚かされたのは、この期に及んで中川氏が当初、09年度予算案と関連法案が衆院を通過した後に辞表を提出すると「条件」を付けたことだ。
 いったん辞任表明し、死に体となった担当相が今の深刻な経済危機を乗り切ることができないのは明らかなはずだ。中川氏は一転、夜になって辞表を提出したが、麻生太郎首相も「予算案通過後辞任」でよしと判断していたとすれば、その危機感の乏しさにあきれるほかない。
 中川氏は、もうろうとした状態だったG7後の会見は、飲酒ではなく体調不良が原因だったと改めて説明し、「健康管理の不注意で関係方面に多大な迷惑をおかけしたことをおわびしたい」と謝罪した。「予算案通過後辞任」というのは、自らの進退を引き換えに野党に速やかな予算審議をうながしたいと考えたのかもしれない。
 だが、世界同時不況が刻々と深刻化する中、他国の財務相らが中川氏を信頼して政策協調を持ちかけはしないだろう。一方、野党は17日昼に中川氏が辞任表明した後、問責決議案を参院に提出。今後、審議が滞るのが確実になり、やっと与党からも即時辞任を求める声が強まったのが実情だ。
 それにしてもお粗末だったのは麻生首相の対応だ。16日には「体調管理をしっかりして職務に専念を」と中川氏に続投を指示。17日も自ら動こうとした形跡は見当たらない。国民がどんな思いで今回の醜態を見つめていたか。なぜ深刻さに気付かないのか。
 中川氏の不安定な言動はかねて指摘されていた。それでも盟友だったからか、中川氏を起用した首相の任命責任はもちろんのこと、この間の対応も厳しく問われるのは確実だ。
 自民党執行部の中には「もうろう会見」の直後から「中川氏で乗り切れるか」との声もあったようだが、誰も責任を持って収拾に動かず、結局、辞任劇もしどろもどろとなった。既に指摘している通り、これはやはり政権末期の症状だ。
 危機管理能力の欠如も露呈したことで、国民の間にはますます「この政権で大丈夫か」との不安が募るだろう。与党内で語られている09年度予算案成立後の追加経済対策も国民のためというより、麻生政権の延命のためと映る人が多いだろう。
 今後、政権を立て直す材料は極めて乏しいと思われる。そんな閉塞(へいそく)感を打ち破るためにも早期の衆院解散・総選挙に踏み切り、政治をリセットすべきだ。再度、そう求めておく。
毎日新聞 2009年2月18日 0時07分

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4、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ
                     2009年2月14日 毎日
 小泉純一郎元首相が郵政民営化に関する麻生太郎首相の発言を公然と批判し、2兆円に上る定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の再可決にも異議を唱えた。「麻生首相では次期衆院選は戦えない」と言っているのに等しい発言で、今後、同調者が増える可能性がある。麻生政権はいよいよ末期症状を呈し始めたといえるだろう。
 小泉氏が麻生首相の発言を「怒るというよりも笑っちゃう」などとあからさまに批判したのは、麻生首相をはじめとする最近の郵政民営化見直しの動きが、小泉政治を真っ向から否定するものと映ったからだと思われる。
 今期で引退を表明している元首相の発言が、これまでの政権批判の中で最も大きな衝撃として報じられていること自体が今の自民党の活力のなさや実力者不在を物語る事態だ。それでも小泉氏の批判には一定の説得力があると受け止められているのはなぜか。
 「私は民営化に賛成ではなかった」に始まる首相の発言があまりにお粗末であり、自民党議員のみならず、国民の多くも「この経済危機の中、麻生首相で大丈夫か」と大きな不安を感じているからだろう。
 小泉発言のもう一つの大きなポイントは補正予算関連法案が参院で否決された後の衆院での再可決に強い疑問を呈したことだ。
 小泉発言の場となった12日の会合には18人が出席。衆院本会議で与党から何人が造反するかは速断できないが、再可決できず、目玉政策の定額給付金が実現不能となれば、たちまち麻生政権は窮地に陥る。今回の会合での発言で自民党内の倒閣運動は初めて具体的に顕在化したとも言える。首相の苦しさはここにある。
 首相はどうするのか。
 再三指摘している通り、衆院の3分の2を占める今の与党勢力は、郵政民営化を争点にした05年の衆院選で得たものであり、民営化を根本から見直し、自らの政策を遂行したいと思うなら、衆院解散で信を問い直すのが筋だ。
 だが、麻生首相自らの言動が批判を招き、支持率は上向く気配がない。このため、解散は、ただひたすら先送りされる状況になっている。一方、自民党内では仮に補正予算関連法案を成立させても、今後、総裁選を前倒しし、衆院選前に首相を交代させようとの動きが強まるだろう。
 国民が一番迷惑なのは、こうした党内抗争だけが、ぐずぐずと続くことだ。政治空白とは、まさにそれを指すのだ。
 経済状況が日に日に深刻になる中、国民の信任を得た首相にしか思い切った経済政策は断行できない。首相が交代するにせよ、しないにせよ、当面必要な経済対策を実行したうえで、早期に衆院解散・総選挙を行うことだ。改めてそれを指摘しておく。












2009年02月24日(火) 食品小売業の廃棄食糧は58万トン(販売量の22%を捨てている)

報 道
1、セブンイレブンに公取委調査 値引き不当制限の疑い
                     2009年2月22日  日経
2、セブン−イレブン:値引き制限 コンビニ商法に逆風 加盟店の負担重く                        毎日新聞 2009年2月21日
3、社説 セブンイレブン 「もったいない」も考えて
                     2009年2月22日 新潟日報 


 日本の消費文化には異常な面が多くある。その多くは食品小売業が引き起こしている。報道4のとおり、農林水産省が公表した「食品ロス」の調査によると、06年度の食品関連事業者からの廃棄量は94トンなのだ。このうち、食品小売業で58万トンが捨てられている。この58万トンとは実に小売店などで販売される全体の22%に当たるという凄まじさなのだ。

 58万トンを捨てる主力はコンビニである。その食品を捨てる代表選手がセブンイレブンなのである。夕方に売れ残った生鮮品や総菜を値引きするスーパーが多いなか、セブンイレブンを含む大半のコンビニが原則的に値引き処分をしていない。「定価販売」を守ることで厚い粗利益を確保するという事業モデルなのだ。ただし、賞味期限の越えた食品は廃棄処分するのである。

 セブン―イレブン・ジャパンがフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し消費期限の近づいた弁当などを値引き販売しないよう不当制限をした疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けている。公正取引委員会の判断がどうなるかは分からないが、売れ残り食品を廃棄することは、社会の支持を受けられないだろう。消費期限ぎりぎりの商品を50%引きに販売して廃棄する食品はゼロに近づくと思う。

 セブン―イレブン・ジャパンのビジネスモデルは、大不況の社会環境では通用しないと思う。セブン―イレブン・ジャパンの理念が正しいと思うのであれば、廃棄する食品の数量と金額を公表すべきだ。廃棄する数量と金額分を消費者に負担させているという視点が欠落している。

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1、セブンイレブンに公取委調査 値引き不当制限の疑い
                         2009年2月22日  日経
 セブン―イレブン・ジャパンがフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し消費期限の近づいた弁当などを値引き販売しないよう不当制限した疑いがあるとして、公正取引委員会が同社を立ち入り検査した。処分が出るかどうかは未定だが、販売不振の一部加盟店で値下げで売り切る動きが出てくる可能性がある。
 夕方に売れ残った生鮮品や総菜を値引きするスーパーと違い、セブンイレブンを含む大半のコンビニが原則、値引き処分をしていない。24時間営業の便利さを強みに「定価販売」を守ることで厚い粗利益を確保し、本部と加盟店が分け合う独特の事業モデルだ。(07:00)

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セブン−イレブン:値引き制限調査 コンビニ商法に逆風 加盟店の負担重く                       毎日新聞 2009年2月21日
 ◇商品廃棄損失、加盟店の負担重く
 コンビニ最大手セブン−イレブン・ジャパンが、公正取引委員会の調査を受けている加盟店の値引き販売制限は、「業界では半ば慣行化している」と指摘されている。値引き販売をいったん容認すれば、値下げ競争などに発展し、好業績を続ける各社の収益に打撃となりかねないためだ。ただ、値引き販売をできずに商品を廃棄した場合の損失は加盟店の重荷となっており、各社は今後、廃棄損失の負担問題などで新たな対応を迫られそうだ。【小倉祥徳、望月麻紀】
 今回問題となったのは、賞味・消費期限切れで売れ残る可能性のある弁当やサンドイッチなどの販売方法。売れ残った場合、原価分の損失は加盟店が負担する仕組みになっており、加盟店側は損失を少なくするため値引きしてでも売りたいのが本音だ。コンビニの既存店ベースの売り上げは07年まで8年連続で前年割れし、廃棄損失に対する加盟店の負担感は年々増していた。
 20日会見したセブンの顧問弁護士は「消費者は価格ではなく、新鮮な商品の提供をコンビニに求めている」と強調。値引き合戦になれば本部だけでなく加盟店の収益も圧迫し、「コンビニのビジネスモデルが崩壊する」(国内証券アナリスト)との指摘もあり、各社が値下げ販売するのはバレンタイン商戦で売れ残ったチョコレートなど一部商品にとどまっているのが実態だ。
 コンビニ業界では、たばこ自販機用成人識別カード「タスポ」を持たない喫煙者がたばこを買うため来店する「タスポ効果」で販売好調が続くが、効果は一時的との見方も根強い。深刻な景気後退で消費不振が日用品にも及ぶ中、コンビニ本部と加盟店の双方が経営を安定化させる手だてが求められている。
 小売業界に詳しい清水倫典・キャピタル・パートナーズ証券調査部長は「本部が廃棄に伴う損失の一部を負担するのも手法の一つ」と指摘する。売れ残り食品の廃棄は環境面からの批判も多いだけに、廃棄そのものを少なくするための対応策も求められそうだ。
【関連記事】

毎日新聞 2009年2月21日 東京朝刊

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3、社説 セブンイレブン 「もったいない」も考えて
                     2009年2月22日  新潟日報
 コンビニエンスストア最大手セブン−イレブン・ジャパンに独禁法違反の疑いがあるとして公正取引委員会が調査を進めている。
 フランチャイズの加盟店が、消費期限の迫った弁当などを値引き販売していたことに対し、フランチャイズ本部が「優越的地位」を利用してやめさせようとしたという。公取委が二〇〇二年に例示した本部と加盟店間の指針に抵触する。
 フランチャイズは加盟店に特定の商号での営業権を認める一方、加盟店がその使用料などを支払う仕組みだ。
 だが加盟店は独立した事業者であり、値引きについて本部がとやかく言う筋合いのものでは本来ない。
 スーパーなどでは、売れ残りそうな食品の割引は当たり前のように行われている。売れ残りを少なくして売り上げをできるだけ増やすためだ。
 フランチャイズ加盟店の気持ちも同じだろう。廃棄しても商品の原価は支払わねばならない。捨てるくらいなら、安く消費者に買ってもらった方がいいに決まっている。
 それなのに値引き販売をした加盟店には「契約違反」までちらつかせ、定価販売を守らせようとしていた。
 そんな加盟店からの相談を受け、公取委は昨年秋からセブン−イレブン本部などから、事情を聴いていたという。本部側は公取委の調査に全面的に協力するとしている。
 問題は、なぜ加盟店を押さえつけるようにしてまで値引きを防ぐかだ。スーパーのように割引する時間帯に客が訪れるようになると、定価で買う客が少なくなる可能性がある。
 コンビニは近い所に多くの店が立地する。その利便性が値下げ競争を加速させかねない。値引きしない商品の売れ残る量が増え、その結果として全体の収益をも圧迫する。そんな理由から、他のコンビニでも値引きを実質的に禁じているとみられている。
 消費者が安い品物を求めるのは当然で、不況下にあってはなおさら値下げは大歓迎だろう。公取委の調査を機に、コンビニ業界は消費者本位の経営について知恵を絞ってほしい。
 捨てられる食材が多いことにも目を向けていきたい。農林水産省が昨年八月に公表した「食品ロス」の調査によると、〇六年度の食品関連事業者からの廃棄量は九十四万トンだ。
 このうち、食品小売業では五十八万トンが捨てられている。小売店などで販売される全体の22%に上る。実に四分の一近くが廃棄されている現状を私たちも考える必要がある。
 食べ物を大切にする。この当たり前のことがなおざりにされていないか。コンビニ経営の在り方だけで、今回の問題を片付けてはならない。


2009年02月23日(月) 無能力社員の整理

資 料
インフルエンザのように蔓延するのか? 大企業の“正社員切り”
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0902/12/news100.html

 経営者の立場で物事を考える時期もあったので、世間では活字にならない現実を記述しよう。大企業で正社員の首切りが始まっている。平時なら出来ないが、この社会情勢であれば、一方的に正社員を解雇しても世論の批判を浴びることは少ない。よって、正社員切りの背景に、この際だから「無能力社員を一掃しよう」という動きがあるのだ。会社の諸活動を実質的に支える人材は、整理の対象になることは絶対にないのである。

 これが現実なのである。よって、常に自分を磨くことを忘れてはならないのだ。私は今年4月で満70歳になる。人生の先輩として一言言わせて貰えば「人生のトータルに価値観の中に『自身の向上』を明確に意識し行動して人はリストラの対象には入らない」という現実を深く認識すべきである。

大企業のリストラの一部を引用しよう。

・ソニー   国内外で約8000人もの正社員を削減する 
・NEC    正社員1万人以上削減する。
・日産    世界のグループ従業員の1割弱に当たる2万人。国内の内訳は
   正社員 4000人、非正規社員8000人の削減。
・三井金属  国内で約550人の正社員を減らす。

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2009年02月22日(日) 2008年人口2万9811人の減少



報道
1 ,<人口動態>08年死亡数、戦後最高に 高齢化進展で
                 2月20日18時58分配信 毎日新聞
2、2008年生まれ、前年比微増=出生率、1.36前後に−厚労省統計
                 2月20日19時19分配信 時事通信
3、仏の出生率、2.02に上昇=少子化対策が奏功
                    2月13日 時事通信


高齢者の死亡が3年ほど前の予測より多い。
厚生労働省は08年の人口動態統計(速報値)を発表した。

死亡数  115万3266人   前年比3万3774人の増
出生数  112万3455人   前年比2518人上回った
差し引き  2万9811人の減少

まもなく、1年で10万人以上の人口減の時代が始まる。日本に少子化の問題が大きく取り上げられてから10年以上の歳月が流れるが、決定的な対策が立てられないまま今日に至っている。20年後の日本は介護保険(現在7兆円余り)のみで20兆円が必要な社会になる。健康保険の国民負担は30兆円が変わらないとしても、介護保険と50兆円もの高額負担の社会となる。もはや、道路を作っている時ではないのである。

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1、<人口動態>08年死亡数、戦後最高に 高齢化進展で
2月20日18時58分配信 毎日新聞

 厚生労働省は20日、08年の人口動態統計(速報値)を公表した。出生数は112万3455人で07年を2518人上回ったが、高齢化によって死亡数は3万3774人増え、戦後最高(ただし、戦中戦後の混乱で44〜46年はデータがない)の115万3266人に達した。出生数から死亡数を差し引いた人口の「自然増加数」はマイナス2万9811人。人口減は2年連続で、初めて減少に転じた05年を含め3度目となった。

 戦後、死亡数が最高だったのは47年(113万8238人)。その後70年代までは減少傾向が続いた。しかし、高齢化の進展で80年代から増え始め、03年には100万人を突破。08年はついに47年を1万5028人上回った。

 一方、08年の出生数がかろうじて前年より増えたのは、厚労省は08年がうるう年で例年より1日多かったことが影響したからとみている。出産期の女性人口は減り続けており、今後も出生数は減少する見通しだ。ただ、08年に限ると、出産期の女性が減る中で出生数が増えたため、1人の女性が一生に産む子どもの数に当たる「合計特殊出生率」は、前年の1.34からやや上昇するとみられる。

 人口動態統計の速報値は日本在住の外国人などを含めた数値。厚労省は日本人の動向を集計したデータを6月に公表する。
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2、2008年生まれ、前年比微増=出生率、1.36前後に−厚労省統計
2月20日19時19分配信 時事通信

 厚生労働省は20日、2008年の人口動態統計の速報値を公表した。日本に住む日本人と外国人、海外に住む日本人を合わせた年間の出生数は前年比2518人(0.2%)増の112万3455人と2年ぶりに増加。1人の女性が生涯に産む子供数の推計値である合計特殊出生率は、07年の1.34から1.36前後に上昇する見通し。
 ただ、同省は「08年がうるう年でなければ、出生数は減少していただろう」と分析。死亡数は前年比3万3774人(3.0%)増の115万3266人となり、死亡が出生を2万9811人上回った。 
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3、仏の出生率、2.02に上昇=少子化対策が奏功
                   2月13日 時事通信
 【パリ13日時事】仏国立統計経済研究所(INSEE)は13日、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率が同国で2008年に2.02(推定値)になったと発表した。07年に比べ0.04ポイント上昇し、06年以来2年ぶりに大台となる2.00以上を回復した。(2009/01/14-06:04


2009年02月21日(土)  日本の農業政策は枝葉のみ

報道と資料
1、減反参加の農家、所得補償を拡充 農水省検討
                    2009年2月20日日経
2、自民党:減反交付金の増額要求
                    2009年2月20日 毎日
3、【食糧安保を問う】(4)「飼料米」と「耕作放棄地」
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200901300152a.nwc
5、「兼業農家」が日本を滅ぼす
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090218/186539/

報道1の通り「減反参加の農家、所得補償を拡充」という報道があったので、
日本の農業問題の一端を記述したい。何時も思うことであるが、農業対策に対する行政の提示は、「減反参加の農家の所得補償を拡充」というように実に枝葉のテーマのみであると思う。

 根本問題は、農家に課せられる土地改良費の負担という根本的な「農地の保有コスト」の問題なのである。これがあるために少しでも立地条件が悪いと農地の買い手がなく膨大な「耕作放棄地」が生まれているのである。以下の数字が分かる人いましたら教えて欲しい。
全国の土地改良区の借入残高・・・財投資金
支払っている金利・・・・・・・・高くて公表できないだろう
                
町が出来る立地があると税金で道路が出来る。米作には水路が生命線である。この水路を土地改良区が、財投資金を借りて作ったのである。この借入の返済と金利が大きく農家の負担となっているのである。

この負担金が1反あたり〇〇〇〇円となって農家への請求となる。減反分にも土地改良費の負担がくるのである。農地を保有するコストを解決するのが政策の基本ではないかと思う。何回もここで書いたが、全国の土地改良区の借入残高を税金で100%補填すべきだ。

 5町歩以上の農地を保有している農家は、集落で1〜2軒である。このような大農でも農閑期にはタクシーの運転手をするなどの兼業農家となっている。ここまで農家を追い込んだのは政治の責任だ。

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1、減反参加の農家、所得補償を拡充 農水省検討
                    2009年2月20日  日経
 農林水産省は生産調整(減反)などのコメ政策を見直すのにあわせ、生産調整に参加する農家の所得補償を拡充する検討に入った。現在の所得対策である「水田・畑作経営所得安定対策」を拡充したり、新しい交付金を設けたりすることを検討する。ただ財務省は必要な財源の増加に慎重で、政府内の調整が難航する可能性もある。
 農水省は5年に1度の農政の基本計画の見直しに着手している。石破茂農相は4月にも農政改革の方向性を示す考えで、所得対策の見直しも盛り込む見通しだ。
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2、自民党:減反交付金の増額要求
                2009年2月20日 毎日
 自民党は19日、コメの生産調整(減反)に協力した農家への交付金増額を柱とする米価安定策を政府に求める方針を決めた。3月中にまとめる農政改革案に盛り込み、09年度の補正予算への費用計上を政府に働きかける。増額を求めるのは、主食用米に代えて飼料用、米粉用のコメなどを生産した農家への交付金。
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3、石破農相:減反など農政改革論議スタート 審議会に諮問
毎日新聞 2009年1月27日
 石破茂農相は27日、食料・農業・農村政策審議会(農相の諮問機関、会長・林良博東大大学院教授)に、食料・農業・農村基本計画の見直しを諮問した。今後約1年かけて議論し、10年度以降の農政の指針となる新計画を来年3月ごろ閣議決定する。食料供給基盤の強化や食の安全・安心などが主な検討項目だが、コメの生産調整(減反)の廃止を含めた見直しなど、与党や農業団体の反発が強い課題もあり、論議は曲折が予想される。
 また、政府は27日、河村建夫官房長官や石破農相ら6閣僚で構成する農政改革関係閣僚会合を設置。石破農相が新設の農政改革担当相を兼務し、政府一体で農政改革に取り組む体制を整えた。閣僚会合は今春までに一定の方向性を打ち出し、基本計画の見直し論議にも反映させる。
 今回の基本計画見直しは、世界的な穀物需給の逼迫(ひっぱく)や食品の安全性をめぐる不安の高まりなどを受け、持続可能な国内農業の基盤をどう確立するかが課題。07年度で40%と低迷する食料自給率(カロリーベース)について、新たな目標を掲げるかどうかも焦点となる。不況で職を失った人々の農林水産業への就業を促し、高齢化などに悩む農山村を活性化することもテーマだ。
 凍結状態に陥っている世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は、今年後半に再開される見通しで、農産物の関税引き下げなど更なる貿易自由化への備えが問われる。最低輸入義務(ミニマム・アクセス)として毎年約77万トンのコメを輸入する一方、国内の水田の4割に減反を強いる政策も限界感は明らか。何らかの見直しが必至だが、「やり方次第で米価が暴落する」(農協関係者)との懸念もあり、衆院選を控えた与党や農業団体は警戒を強めている。石破農相は27日の会見で「政府全体として強い推進力で(農政改革に)当たりたい」と決意を述べたが、調整は難航しそうだ。【行友弥】
 ◇食料・農業・農村基本計画
 旧農業基本法(1961年制定)に代わって99年に施行された食料・農業・農村基本法に基づく政府の農政運営の指針。計画の対象期間は10年間程度、5年ごとに見直す。05年3月に閣議決定された現行計画は、食料自給率を45%(07年度で40%)に高める目標などを掲げている。
毎日新聞 2009年1月27日 19時47分


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4、【食糧安保を問う】(4)「飼料米」と「耕作放棄地」
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200901300152a.nwc


 政府は今年に入ってコメの生産調整(減反)政策の見直しなど、農政改革に向けた検討に乗り出した。日本の水田は全体面積の6割の利用にとどまっており、耕作放棄地は埼玉県の広さに匹敵する。食料自給率を向上するために減反政策を見直して農業基盤の強化につなげる狙いがある。その減反見直しの一つの受け皿として、期待されるのが「飼料米」づくりだ。
 日本の食料自給率は40%だが、畜産向けの飼料自給率は25%程度と低く、その多くを輸入飼料に依存している。このため、飼料米づくりは、眠っている農地の有効利用だけでなく、畜産飼料の自給率向上や有事の際の食用転用など、食糧安全保障の観点からも貢献度が高いとされている。
◇   ◇
 「豚の飼料は米国はトウモロコシだが、カナダでは大麦を使っている。日本がコメを活用するのは理にかなっている」
 飼料米を使ったブランド豚の生産・加工から販売まで手がける平田牧場(山形県酒田市)の新田嘉七社長は、食料自給率向上につながる国産飼料米づくりの重要性をこう訴える。
 飼料米で育てられた豚は脂身が白くてつややかなほか、不飽和脂肪酸が増えて口溶けが良くなるという。また、地元産のコメがエサとして使われているため、安全でおいしいブランドを確立できる。
 年間20万頭の豚を生産する平田牧場では周辺農家と契約し、飼料米を買い取っている。新田社長は「今年から飼育仕上げ期のエサの全部を飼料米5%(配合)に高め、来年は10%にできる量を確保する。減反を減らして水田を有効活用したい」と話す。
◇   ◇
 飼料用米の作付面積は、平成16年度の44ヘクタールが今年度計画では1405ヘクタールまで増えた。平田牧場やポークランド(秋田県)など先進的な畜産業者が、ブランド向上のため、飼料米を契約栽培している効果だ。
 飼料米は主食用のコメより価格が安く、生産者にとってはうまみが少ない。来年度予算が成立すれば、10アール当たり5万円の交付金が支給され、試算では農家の収入は同8万円程度になるが、それでも主食用米の13万円に比べれば安い。
 平田牧場は飼料米を一定価格で買い上げ、飼料米農家を支援している。「非遺伝子組み換えの飼料だけを選び出して輸入することが難しくなっており、飼料米のコストは相対的に低くなりつつある」(新田社長)という。
 飼料用トウモロコシの年間輸入量は1200万トンあり、10年後に飼料米の作付面積を4万ヘクタール、収穫量を約26万トン(19年度実績は292ヘクタール、約1500トン)にする農水省の計画でも、食料自給率を高める効果は0・1%分にすぎない。
 ただ、今の日本に求められるのは、自給率という数値目標ではなく、輸入も含めた多様な食糧調達を進める安全保障戦略だ。それが農業の構造改革を促し、輸出競争力を併せ持った強い農業への転換につながる。(食糧問題取材班)=おわり

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5、「兼業農家」が日本を滅ぼす
減反政策は諸悪の根源、コメを作って米価を下げよ
2009年2月20日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090218/186539/




2009年02月20日(金) HIV感染、6年連続で最多 08年、発症者は3年連続

報道
1、HIV感染、6年連続で最多 08年、発症者は3年連続
                      2009年2月19日 日経
2、2、HIV:国内新規感染者、昨年速報1113人−−6年連続過去最多
                      毎日新聞 2009年2月19日 
3、HIV感染の基礎知識
         http://api-net.jfap.or.jp/mhw/document/doc_03_03_03.htm
4、図解 世界のHIV感染
         http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2260.html

 今日は一般社会の問題を取り上げた。久しぶりのHIV感染の記述である。
世界的には人類を脅かす脅威でないかと思う。資料4の世界のHIV感染の通り南アフリカ及びその周辺国では、成人の感染率が15−28%に達しているのである。これはもはや壊滅的な数字である。

  国内で2008年に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)の感染者数は1113人、エイズを発症した人は432人でともに過去最高だったという。新規の感染者、患者数の合計は1545人。性交渉による感染が1329人で、大多数を占めている。資料3に掲げた通り最低限のHIV感染の基礎知識を持つべきである。

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1、HIV感染、6年連続で最多 08年、発症者は3年連続
                      2009年2月19日 日経
 国内で2008年に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)の感染者数は1113人、エイズを発症した人は432人でともに過去最高だったことが18日、厚生労働省エイズ動向委員会のまとめで分かった。感染者は6年連続、発症者は3年連続の増加となった。
 新規の感染者、患者数の合計は1545人。性交渉による感染が1329人で、大多数を占めた。男女別では男性が1442人、女性が103人だった。年齢別にみると、30代が559人で最多。20代が377人、50代が283人と続いた。
 感染者や患者数が伸び続ける一方、保健所などで検査を受ける人も増加している。08年に抗体検査を受けた人は17万7156人で、前年より約2万3000人多かった。エイズ動向委員会は「早期治療、感染拡大防止のため、保健所などの検査や相談の機会を積極的に利用してほしい」とコメントした。(18日 20:34)

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2、HIV:国内新規感染者、昨年速報1113人−−6年連続過去最多
 厚生労働省エイズ動向委員会は18日、08年の国内の新規エイズウイルス(HIV)感染者報告数(速報値)を1113人と発表した。6年連続で過去最多を更新した。
 新規感染者のうち、1049人(94%)が男性。感染経路は、同性間の性的接触が約7割、異性間が約2割で他は不明など。年齢別では、20代が約3割、30代が約4割を占めているが、40代以上が前年より増加した。
 一方、08年の新規エイズ患者数(速報値)も432人で過去最多。患者数は05年に前年を下回ったが、その後は増加している。07年は速報値では前年を下回ったものの、確定値で上回った。【佐藤浩】
毎日新聞 2009年2月19日 東京朝刊





2009年02月19日(木) 粗鋼生産前年同月比37.8%減のショック

1、1月の粗鋼生産637万トン、減少率は過去最大の37.8%
                   2009年2月18日  日経
2、粗鋼生産:37.8%減 過去最大の落ち込み
                   毎日新聞 2009年2月18日

 昨日書いたようにGDPが120兆円(21%)近く減少する趨勢なのだから、粗鋼生産前年同月比37.8%減は驚く必要もないのだか、数字で示されるとその深刻さを改めて思い知らされる。
日本鉄鋼連盟が18日まとめた1月の粗鋼生産量は637万トンと、前年同月から37.8%減少した。前年実績を下回るのは4カ月連続で、減少幅は過去最大だった

2008年12月前年同月比 27.8%減
2009年1月前年同月比  37.8%減

品種別の減少をメモしよう。
1、造船などに使われる厚板が2.5%増の115万トンと堅調だった
2、自動車や家電など幅広い用途で使われる広幅帯鋼が50.4%減の206万トンと半減。
3、自動車の車体などに使われる亜鉛めっき鋼板も50.3%減の66万トンと大きく落ち込んだ。
 上記の通り家電と自動車の生産は半減している現実を直視しなければならない。

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1、1月の粗鋼生産637万トン、減少率は過去最大の37.8%
                          2009年2月18日  日経
 日本鉄鋼連盟が18日まとめた1月の粗鋼生産量は637万トンと、前年同月から37.8%減少した。前年実績を下回るのは4カ月連続で、減少幅は過去最大だった2008年12月の27.8%から、さらに10ポイント悪化した。生産量でも1969年2月(577万トン)以来の低水準だった。
 品種別では最大の生産量を占める広幅帯鋼が前年同月比50.4%減の206万トンで、4カ月連続で前年同月より減少した。厚板は同2.5%増の115万トンと4カ月連続で増加しているが、H形鋼や大形形鋼などほぼすべての品種で前年実績を下回っており、減少幅も大きい。(14:43)

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2、粗鋼生産:37.8%減 過去最大の落ち込み
              毎日新聞 2009年2月18日
 日本鉄鋼連盟が18日に発表した1月の粗鋼生産量は、前年同月比37.8%減の637万トンで、記録が残る1949年以降で過去最大の減少率となった。これまで過去最大は昨年12月の27.9%減だったが、一気に約10ポイントも悪化。生産量ベースでも、69年2月(577万トン)以来の低水準だった。
 昨秋以降の金融危機の深刻化を受け、最大の受注先である自動車メーカーが減産を拡大しているのが主因。1月中旬から、JFEスチールが西日本製鉄所倉敷地区の高炉1基を一時休止したことも響いた。
 品種別では、造船などに使われる厚板が2.5%増の115万トンと堅調だったが、最大の生産量を占め、自動車や家電など幅広い用途で使われる広幅帯鋼が50.4%減の206万トンと半減。自動車の車体などに使われる亜鉛めっき鋼板も50.3%減の66万トンと大きく落ち込んだ。
 同連盟は「2月以降も高炉の改修や一時休止が予定されており、引き続き厳しい生産状態が続く」と見ている。【森有正】
【関連記事】
粗鋼生産:27.9%減、過去最大幅…12月前年比
粗鋼生産量:前年比27%減、過去最大幅−−08年12月





2009年02月18日(水) GDPが121兆円(560兆円―439兆円)も縮小する情勢


報道
1─3月期GDP、前例ない2四半期連続2けたマイナスか
                     2009年 02月 16日 16:43 JST


リーマン破たんの国内の報道は2008年 09月 16日であった。
http://ameblo.jp/syougai3/entry-10194217782.html
米国の金融機関への信用の崩壊で大変なことになると認識、9月18日から「米国発 金融危機関連情報」と題して、1日休むことなく記述を続けてきた。最近になった金融危機の巨大な負の津波が明らかになってきている。

昨日は10−12の実質GDPのことを書いた。報道によれば1−3月のGDPは10%減となるようだ。分かりやすく説明すると次のようになるとの予想なのだ。
 7−9月GDP  560兆円
10−12月GDP 489兆円     (560兆円−71兆円)前期比12.7%マイナス
1−3月  GDP 439兆円     (489兆円―50兆円) 前期比10%マイナス

 上記の通りGDPの規模が121兆円(560兆円―439兆円)も縮小するのである。金融危機が発生してから5ヵ月も経ってから、「戦後最大の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)などというコメントを見ると笑止千万である。戦後経験してことにない大恐慌に突入しているのだ。未だに僅かの補正予算が成立していないのだからどうにもならない。

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1─3月期GDP、前例ない2四半期連続2けたマイナスか
2009年 02月 16日 16:43 JST
[東京 16日 ロイター] 16日発表された2008年10―12月期実質国内総生産(GDP)1次速報の結果を踏まえ、2009年1─3月期のGDPを民間調査機関が試算したところ、マイナス10%前後との結果が多かった。

 GDPが2四半期連続で2けたマイナスになるという前例のない事態に直面する可能性が急浮上してきた。

<第1次オイルショック時を上回る危機>

 10─12月期GDPは前期比年率マイナス12.7%と、第一次オイルショック時の1974年1─3月期(同13.1%)に次ぐ史上2番目の悪化となった。しかし実際には「戦後最大の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)となる可能性が高まっている。

 74年当時は、同年4─6月期、7─9月期には、それぞれ年率プラス2.9%、プラス5.2%と、増加に転じたが、今回は、2009年1─3月期も10─12月期並みのマイナス成長が予想されるためだ。

 各種の景気先行指標をみても「景気の底は見えない」(農林中金総研の南武志主任研究員)状況だ。景気動向指数CI(コンポジット・インデックス)も、12月の先行指数は前月差2.0ポイント低下と悪化が続き、底打ちの気配はない。

<今後は消費悪化・在庫調整がGDP押し下げに寄与か>

 1─3月期GDPも、10─12月期から目立った改善がみられず、10%前後のマイナスになるとの予想が大勢だが、その目安となっているのは、経済産業省の見通しを元に算出した1─3月期鉱工業生産が前期比マイナス20%程度の大幅悪化となりそうなためだ。過去最大となった10─12月期の同マイナス12.0%をさらに大きく上回る低下幅だ。

 日本総研では、1─3月期GDPを前期比年率マイナス18%と予想しているが、同社によれば、鉱工業生産の減少だけでGDPは前期比4%減少、さらに生産活動低下で、非製造業の活動にもマイナスの影響が波及することが要因という。

 また消費や在庫も今後景気の足を引っ張るとみられている。10─12月期GDPの低下は、圧倒的に外需悪化に依存するところが大きかったが、アール・ビー・エス証券の西岡純子チーフエコノミストは、1─3月期あたりから、GDPの最大項目である消費の悪化が本格化すると予想した。長期化する所得低迷に加えて、雇用の悪化がこのところ顕著になっているためという。

 10─12月期は、在庫増加がGDP押し上げに寄与したが、みずほ証券の飯塚尚己シニアエコノミストは「積みあがった在庫の調整圧力が、1─3月期GDPに対してネガティブに働く」と予想した。同氏は1─3月期GDPを前期比年率マイナス5.8%とみているが、今後出てくる1月以後の統計をみれば「下方修正含みとなりそう」と述べた。

 一方、1─3月期は10─12月期よりも、マイナス幅がやや縮小する可能性があるとの指摘もある。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎シニアエコノミストは、内需の冷え込みで1─3月期以後は輸入が減少、その分、GDP押し下げ圧力が弱まると予想した。

 エコノミストによる1─3月期GDPの現時点での予想は以下の通り(50音順): 

           (前期比年率)

RBS証券         マイナス10%前後

第一生命経済研     10─12月期上回る落ち込みも

大和証券SMBC     10─12月期と同程度かそれ以上のマイナス  

ドイツ証券         マイナス9.8%

ニッセイ基礎研      マイナス10%前後 

日興シティG証券     2けたのマイナス

日本総研          マイナス18%

農林中金総研       10%近いマイナス

バークレイズ・キャピタル マイナス9.8%

みずほ証券         マイナス5.8%

(ロイター日本語ニュース 児玉 成夫記者  編集 宮崎 大)

2009年02月17日(火) 10―12月期の実質GDP、年率12.7%減 外需の急減が直撃


報道
1、10―12月期の実質GDP、年率12.7%減 外需の急減が直撃 
                  2009年2月16日 日経
2、GDP:年率12.7%減、落ち込み深刻 10〜12月期
                  毎日新聞 2009年2月16日 
3、GDP年率12・7%減、35年ぶり大幅ダウン
                  2009年2月16日 毎日新聞
 
 予想されていたことであるが、示されるとことの重大性がわかる。日本の実質国内総生産(GDP)は、2008年7月〜9月で560兆円であった。
http://rank.nikkei.co.jp/keiki/gdp.cfm

 これが10―12月期の実質GDPでは、年率12.7%減になったという。単純に説明すれば、総生産が以下の通り減少するのだ。
560兆円×0.127=71兆円

 経済規模が71兆円の縮小する中で、企業は生き残りをかけた戦いの渦中にある。このGDPの縮小の渦に巻き込まれる勤労者が大量にでるという社会環境である。

2008年9月18日のリーマンの破綻
http://ameblo.jp/syougai3/entry-10194217782.html
から、毎日「米国発金融危機関連情報」を書いてきたので記憶に鮮明に残っているが、消費が劇的の減少を始めたのは11月からなのである。よって、1−3月のGDPは、10−12月より更に落ち込むことが予想される。

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1、10―12月期の実質GDP、年率12.7%減 外需の急減が直撃 
                  2009年2月16日 日経

 内閣府が16日朝発表した2008年10―12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減だった。マイナス成長は3四半期連続。世界的な景気悪化により輸出が急減したほか、内需も苦戦した。落ち込み幅は過去最大の1974年1―3月期(年率13.1%減)に迫り、米欧と比べても低迷ぶりが際立った。
 落ち込みが目立ったのは外需で、輸出は前期比13.9%減少した。控除項目の輸入は2.9%増え、外需全体の成長率への寄与度はマイナス3.0%と重しになった。
 内需も0.3%減と低迷した。景況感の悪化により企業の投資意欲が落ち込み、内需の柱の1つである設備投資は5.3%減少。住宅投資は5.7%増と健闘したが、もう一方の柱である個人消費も0.4%減少した。民間在庫の寄与度はプラス0.4%で、GDP成長率のうち内需の寄与度はマイナス0.3%だった。
 生活実感に近い名目GDP成長率は前期比で1.7%減、年率換算で6.6%減少した。原油価格の下落や円高・ドル安によって輸入デフレーターが急落したため、総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比プラス0.9%に上昇。輸入品目の動きを除いた「国内需要デフレーター」はプラス0.4%だった。〔NQN〕
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2、GDP:年率12.7%減、落ち込み深刻 10〜12月期
                    毎日新聞 2009年2月16日 

 内閣府が16日発表した08年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は、前期(7〜9月期)比3.3%減、これが1年間続いた場合(年率換算)で12.7%減と3四半期連続で減少した。2けたマイナスは、第1次石油危機時の74年1〜3月期(3.4%減、年率13.1%減)以来、戦後2度目。深刻な金融危機と世界景気悪化で輸出が戦後最大の落ち込みとなり、個人消費も減少。内外需の総崩れが鮮明となった。09年1〜3月期も大幅なマイナス成長の見通しで、日本経済は戦後最悪の不況に陥ろうとしている。
 実質GDPの3四半期連続の減少はIT(情報技術)バブル崩壊後の01年4〜6月期から10〜12月期以来、7年ぶり。08年の実質GDP成長率は0.7%減となり、99年(0.1%減)以来、9年ぶりのマイナス成長となった。
 10〜12月期は、輸出が前期比13.9%減と2四半期ぶりに減少に転じ、減少幅は75年1〜3月期(9.7%減)を上回った。自動車、電子部品、建設機械などを中心に米国、欧州連合(EU)、アジア向けがすべて大幅に減少した。外需依存で輸出との連動性が高まっている設備投資は5.3%減と4四半期連続の減少で、マイナス幅は加速度的に拡大している。
 昨年夏にかけ、急激な物価高で打撃を受けた個人消費は、物価上昇が一服した昨秋以降も、実質賃金の減少や雇用不安の追い打ちで0.4%減とマイナスに転じた。自動車、家電、航空旅客輸送、衣服などの落ち込みが大きかった。輸出から輸入を差し引いた外需寄与度は、輸出の記録的減少によりマイナス3.0%と過去最悪に、内需寄与度もマイナス0.3%だった。
 物価変動の影響を含み、生活実感に近い名目GDPは前期比1.7%減(年率換算6.6%減)で、98年1〜3月期(2.0%減、年率換算7.7%減)に次ぐ、過去2番目のマイナス幅となった。【尾村洋介】

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3、GDP年率12・7%減、35年ぶり大幅ダウン
2009年2月16日 毎日新聞
 日本経済が戦後最悪とも言える深刻な不況に直面していることが裏付けられた。
 内閣府が16日発表した2008年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比3・3%減(年率換算12・7%減)と、大幅なマイナス成長となった。第1次石油危機の影響を受けた1974年1〜3月期(年率換算13・1%減)以来、約35年ぶりの水準で戦後ワースト2位となった。
 実質GDPのマイナスは、4〜6月期から3四半期連続だ。マイナス幅は、国内の不良債権問題により日本が金融危機に陥った98年1〜3月期(7・5%減)をはるかに上回る。
 08年10〜12月期は、米国が年率3・8%減、ユーロ圏も5・7%減とマイナス成長を記録している。米国発の金融危機をきっかけに、日米欧が同時不況に陥る中でも、日本のマイナス幅は際立って大きい。
 最大の要因は、輸出の大幅な落ち込みだ。自動車や半導体などを中心に、7〜9月期と比べて13・9%も減少した。昨年9月に米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)した「リーマン・ショック」以降、欧米だけでなく新興国でも消費が急速に冷え込み、海外市場が縮小している。
 輸出の減少に伴い、企業は生産活動を大幅に縮小するとともに、設備投資を前期と比べて5・3%減らした。さらに人件費を抑制する動きを強めたため、GDPの5割以上を占める個人消費も0・4%減となった。
 一方、物価の動きを反映し、企業や家計の実感に近い名目GDPは、前期比1・7%減(年率換算6・6%減)となり、4四半期連続のマイナス成長となった。
 先行きの見通しも暗い。企業の生産活動は09年1〜3月期も大幅に鈍化することが予想されている。実質GDPが、史上初の4四半期連続マイナス成長となる可能性は濃厚だ。
 08年度の経済成長率は過去最悪だった98年度のマイナス1・5%を大幅に下回り2%台半ばまで下落する見通しだ。民間研究機関のほとんどが09年度も含め2年連続のマイナス成長になると予想している。
 また、08年(1〜12月)の実質GDPはマイナス0・7%と、9年ぶりにマイナスとなった。
(2009年2月16日13時06分 読売新聞)
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2009年02月16日(月) 農家に所得保障へ 年間400万〜500万円:新潟県

報道
1、県:コメ農家に所得保障 最高年額500万円、09年度試行へ /新潟                毎日新聞 2009年2月15日 地方版
2、新潟県が農家に所得保障へ 年間400万〜500万円
2009.2.14 16:19 産経新聞

新潟県は新年度から5年間、モデル地区の農家に400万〜500万円の年間所得を保障する制度を試行する。米価が長期下落傾向にある中で農家の所得を安定的に保障することで、新規就農者の増加につなげるのが狙いだ。泉田裕彦知事は「米価の下落に応じて支払う国の価格補償政策では農業は先細りになる一方だ」と訴え、実証実験の成果をもとに、国に所得保障制度への転換を働きかけていくという。これから農業を目指す人は、上記報道の詳細を把握することを薦めたい。

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1、県:コメ農家に所得保障 最高年額500万円、09年度試行へ /新潟                毎日新聞 2009年2月15日 地方版

 県はコメ農家の経営安定や耕作放棄地の解消などを目的として、最高年500万円をめどとする所得保障制度を試行する方針を固めた。09年度からモデル事業として二つの集落を公募、5年間の試行期間を経て成果を検証する計画だ。
 県によると、生産規模10ヘクタールの稲作農家が年間労働1800〜2000時間で年収400万〜500万円という、他産業並みの収入が得られることを所得保障ラインとして設定。達しなかった分を県が補う。
 現行の国の制度でも米価下落による減収の9割が補てんされるものの、下落が続くと減収が埋めきれなくなることが課題となっていた。
 また、耕作放棄地の減少を目指し、米粉用や加工用など、主食用ではないコメを作る場合、5%を上乗せして助成する。
 銘柄や1反あたり収穫量の地域平均から収入額を算出する方針。県の担当者は「販売努力などで所得保障ラインを上回った場合、農家の努力が反映される制度となる」と説明する。
 モデル事業は20〜30ヘクタール規模の集落2地区で行う予定で、09年度予算案に1300万円を計上する。【渡辺暢】

2、新潟県が農家に所得保障へ 年間400万〜500万円
2009.2.14 16:19 産経新聞
 全国有数の米どころ、新潟県は新年度から5年間、モデル地区の農家に400万〜500万円の年間所得を保障する制度を試行する。米価が長期下落傾向にある中で農家の所得を安定的に保障することで、新規就農者の増加につなげるのが狙いだ。泉田裕彦知事は「米価の下落に応じて支払う国の価格補償政策では農業は先細りになる一方だ」と訴え、実証実験の成果をもとに、国に所得保障制度への転換を働きかけていく。
 新潟県が参考としたのが、農家の生産奨励と所得保障を切り離した欧州連合(EU)のデカップリング政策だ。「新潟版所得保障モデル事業」では、水田作付面積20〜30ヘクタールの集落を県内から公募し、学識者で構成する第三者委員会が2地区を選定する。10ヘクタール経営の場合はサラリーマン並みの年間1800〜2000時間労働で、地域の平均所得に準じた400万〜500万円を保障する。農家の意欲を損なわないよう、高品質米を作って収益を上げた農家にも一律で支給する。
 ただ、主食用米の消費は右肩下がりが続いているため、新たな消費拡大策としてパンやめんに使われる米粉の生産を奨励。米粉を作る農家には所得を5%上乗せする。
 併せて県は、耕作条件が厳しく高齢化が著しい中山間地版の所得保障制度も試行する。作物に高い付加価値をつけるため、スーパーの仕入れ担当者ら販売ノウハウを持った新規就農者を公募し、新年度から3年間、年間500万円(3年目は300万円)の所得を保障。販売面から中山間地農業を支援する。このほか、農家の子弟に年間300万円を保障するなど、複数のプランを試す。
 5年間の総予算額は約1億円を見込む。所得保障制度の創設を公約に掲げ、昨年10月の知事選に再選された泉田知事は「昨年は中国産毒ギョーザ事件をはじめ、食に対する不安がかつてないほど高まった。所得を保障することで農業の魅力を高め、食糧自給率を上げることが、食の安全保障を守るうえで大事だ」と話している。



2009年02月15日(日) 小泉発言 もはや政権末期の症状だ


報道
1、社説:小泉発言―あきれる自民の右往左往
                        2009年2月14日  朝日
2、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ
                        2009年2月14日 毎日
3、社説1 首相の政権基盤を痛撃した小泉発言
                        2009年2月14日 日経

 大失業時代を迎えようとしている時に、郵政民営化の賛成・反対でうつつを抜かしている場合ではない。最近の首相の発言でため息が出るのは私だけではないだろう。ここでは毎日新聞の社説の一部を引用するに留めたい。

「小泉純一郎元首相が郵政民営化に関する麻生太郎首相の発言を公然と批判し、2兆円に上る定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の再可決にも異議を唱えた。「麻生首相では次期衆院選は戦えない」と言っているのに等しい発言で、今後、同調者が増える可能性がある。麻生政権はいよいよ末期症状を呈し始めたといえるだろう。小泉氏が麻生首相の発言を「怒るというよりも笑っちゃう」などとあからさまに批判したのは、麻生首相をはじめとする最近の郵政民営化見直しの動きに、小泉政治を真っ向から否定するものと映ったからだと思われる。」

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1、社説:小泉発言―あきれる自民の右往左往
                       2009年2月14日  朝日
 「怒るというよりね、笑っちゃうくらい、ただただあきれている」。このところ表舞台から姿を消していた小泉元首相が、せきを切ったように麻生首相への激しい批判をぶつけた。
 小泉氏がやり玉にあげたのはまず、郵政民営化をめぐる首相の一連の発言である。反対だったと言ったかと思えば、賛成したと言い、分社化の見直しに触れた直後に、見直しの中身を言う立場にないと退き……。
 この発言にあきれているのは小泉氏だけではない。4年前の郵政総選挙で得た議席があるからこそ、衆院の再議決で野党をかろうじて抑え込んでいるのに、そのおおもとの大義を首相自らがぐらつかせるとは。国民もそこに厳しい目を向けていることは14%にまで落ち込んだ内閣支持率で明らかだ。
 小泉氏は衆院再議決にも疑問を投げかけた。「定額給付金は(衆院の)3分の2を使ってでも成立させねばならない法案だとは思わない」
 野党優位の参院は近く、定額給付金を含む第2次補正予算の関連法案を否決する。政府与党は衆院での再議決で成立させる構えだが、党内にいぜん大きな影響力のある小泉氏が再議決に背を向けるとすれば、動揺は必至だ。
 小泉氏は「政治に一番大切なのは信頼感だ。首相の発言を信じられなければ選挙は戦えない」とも述べた。倒閣宣言ともとられかねない言葉だ。
 自民党内は大揺れだ。首相はきのう「私に対しての叱咤(しった)激励だと感じました」と述べたが、この4カ月余の麻生政権の迷走に不満を募らせていた議員の間には、閉塞(へいそく)感を打ち破ってくれたという安堵(あんど)の空気も広がっている。
 深刻化する不況、下落し続ける内閣支持率。麻生首相のままではとても総選挙は戦えないという思いは強まるのに、「反麻生」の旗はだれもあげようとしない。そんな焦りの中に、小泉氏が絶妙の一石を投げ込んだ形だ。
 だが、そもそも麻生氏を重用し、首相の座をうかがえるところまで押し上げたのは小泉元首相その人である。定額給付金に疑問があるならもっと早く声をあげるべきではなかったか。
 今回の小泉発言で、結果として自民党に国民の耳目が集まったのは間違いない。得意の短い発言で流れをつくる「小泉劇場」の再現を狙っているとすれば、それは引退を表明した元首相がやるべきことではあるまい。
 いや、小泉氏が本気で首相に政策転換を促すというのなら、定額給付金をめぐる衆院再議決では言葉通り「反対」の行動をとるべきだ。
 情けないのは、麻生政権に批判や不満があるのに、正面から主張しようとしない自民党の議員たちだ。福田前首相にも、自ら公約した道路特定財源の一般財源化が骨抜きになったことを、どう思っているのか聞いてみたい。

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2、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ
                     2009年2月14日 毎日
 小泉純一郎元首相が郵政民営化に関する麻生太郎首相の発言を公然と批判し、2兆円に上る定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の再可決にも異議を唱えた。「麻生首相では次期衆院選は戦えない」と言っているのに等しい発言で、今後、同調者が増える可能性がある。麻生政権はいよいよ末期症状を呈し始めたといえるだろう。
 小泉氏が麻生首相の発言を「怒るというよりも笑っちゃう」などとあからさまに批判したのは、麻生首相をはじめとする最近の郵政民営化見直しの動きが、小泉政治を真っ向から否定するものと映ったからだと思われる。
 今期で引退を表明している元首相の発言が、これまでの政権批判の中で最も大きな衝撃として報じられていること自体が今の自民党の活力のなさや実力者不在を物語る事態だ。それでも小泉氏の批判には一定の説得力があると受け止められているのはなぜか。
 「私は民営化に賛成ではなかった」に始まる首相の発言があまりにお粗末であり、自民党議員のみならず、国民の多くも「この経済危機の中、麻生首相で大丈夫か」と大きな不安を感じているからだろう。
 小泉発言のもう一つの大きなポイントは補正予算関連法案が参院で否決された後の衆院での再可決に強い疑問を呈したことだ。
 小泉発言の場となった12日の会合には18人が出席。衆院本会議で与党から何人が造反するかは速断できないが、再可決できず、目玉政策の定額給付金が実現不能となれば、たちまち麻生政権は窮地に陥る。今回の会合での発言で自民党内の倒閣運動は初めて具体的に顕在化したとも言える。首相の苦しさはここにある。
 首相はどうするのか。
 再三指摘している通り、衆院の3分の2を占める今の与党勢力は、郵政民営化を争点にした05年の衆院選で得たものであり、民営化を根本から見直し、自らの政策を遂行したいと思うなら、衆院解散で信を問い直すのが筋だ。
 だが、麻生首相自らの言動が批判を招き、支持率は上向く気配がない。このため、解散は、ただひたすら先送りされる状況になっている。一方、自民党内では仮に補正予算関連法案を成立させても、今後、総裁選を前倒しし、衆院選前に首相を交代させようとの動きが強まるだろう。
 国民が一番迷惑なのは、こうした党内抗争だけが、ぐずぐずと続くことだ。政治空白とは、まさにそれを指すのだ。
 経済状況が日に日に深刻になる中、国民の信任を得た首相にしか思い切った経済政策は断行できない。首相が交代するにせよ、しないにせよ、当面必要な経済対策を実行したうえで、早期に衆院解散・総選挙を行うことだ。改めてそれを指摘しておく。
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小泉元首相:厳しく政権批判 郵政見直し「あきれた」
毎日新聞 2009年2月14日 0時22分

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3、社説1 首相の政権基盤を痛撃した小泉発言(2/14)
                        2009年2月14日 日経
 小泉純一郎元首相の発言が、低支持率にあえぐ麻生太郎首相の政権基盤を痛撃した。

 小泉氏は12日、郵政民営化に関する首相の一連の発言を「怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている」と厳しく批判したうえで「首相の発言に信頼がなければ選挙を戦えない」と強調した。

 参院で審議中の定額給付金の関連法案についても「3分の2を使ってでも(衆院再可決で)成立させなければならない法案だとは思わない」と述べ、衆院の再可決で造反する可能性を示唆した。首相経験者が現職の首相をこれほど非難するのは、極めて異例のことである。

 首相は当初、国会答弁で小泉内閣の総務相当時には郵政民営化には賛成ではなかったと述べたが、批判を受けて「民営化した方がいいと最終的には思った」などと答弁を修正した。郵政民営化の根幹の4分社化の見直しにも言及し、民営化推進派議員の強い反発を招いた。

 小泉氏はこれまで沈黙を守ってきたが、自らの最大の実績である郵政民営化を巡って迷走する首相に、堪忍袋の緒を切らした格好だ。

 首相の責任は重い。4分社化に疑問を示す一方で「内容についてこうしろああしろという立場にない」と語るなど、あいまいな点も多い。信念なき軽率な発言が、自民党内の混乱に拍車をかけている。

 2005年の衆院選では、郵政民営化を訴えた小泉自民党が大勝した。公明党と合わせ衆院で3分の2を超える議席が麻生政権を支えている。一連の首相発言は、05年の郵政選挙の結果の正統性を疑わせることにもなりかねない。

 私たちは09年度予算案と関連法案を早期に成立させたうえで、衆院を解散するよう求めてきた。郵政民営化の見直しに踏み込むなら、なおさら民意を問う覚悟が要る。

 衆院選の環境を整えるには、まず今年度第2次補正予算の財源の裏づけとなる関連法案を早く成立させる必要がある。自民党から16人が反対に回れば、再可決はできない。小泉発言をきっかけに、自民党内で定額給付金への慎重論が再燃する可能性が出てきた。定額給付金にかかわる部分は撤回して、関連法案成立を目指す柔軟姿勢があってもいい。

 今年の秋までに必ず衆院選があるという状況で、来年度予算と関連法案成立後の衆院解散のタイミングを逃せば、自民党内で「麻生おろし」の動きが一気に強まる公算が大きい。解散か総辞職か。麻生政権は重大な岐路に差しかかりつつある。



2009年02月14日(土) リンカーン生誕200年でのオバマ大統領の演説


報道
米大統領、未来に向けた結束を呼びかけ
                    2009年2月13日 日本テレビ

「尊敬する人を持つ」これが人生の根幹だと思う。三流の人生しか送れない人に共通していることは「尊敬する人物」を持っていないことのように思う。オバマ大統領は奴隷解放宣言で知られるリンカーンを敬愛している。

オバマ大統領は12日、ワシントンで行われた人種差別撤廃を訴えた第16代のアブラハム・リンカーン元大統領の生誕200年を祝う式典で演説を行い、一つのアメリカを目指して、未来に向けた結束を呼びかけた。

 南北戦争で分断された当時のアメリカを一つにまとめ、人種差別の撤廃を訴えたリンカーン元大統領の銅像が見守る中で、オバマ大統領は演説をした。
その演説を引用したい。
「色々な意味で、私の人生を可能にした。この並外れた人物に特別な感謝の念を抱く。我々を『南と北』、『白人と黒人』で分断した内戦のさなかでさえ、リンカーン元大統領が決して忘れなかったことがある。それは、我々は心の底で一つの国であり、一つの人民だということだった。曲げられたとしても、断ち切ることのできないアメリカ人というきずなだった」
 
「この並外れた人物に特別な感謝の念を抱く」という下りがオバマ大統領の人格が滲んでいるところではないかと思う。

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米大統領、未来に向けた結束を呼びかけ<2/13 8:27>

                     2009年2月13日 日本テレビ
 アメリカ・オバマ大統領は12日、ワシントンで行われた人種差別撤廃を訴えた第16代のアブラハム・リンカーン元大統領の生誕200年を祝う式典で演説を行い、一つのアメリカを目指して、未来に向けた結束を呼びかけた。
 リンカーン元大統領について、オバマ大統領は就任式の宣誓でも同じ聖書を使用するなど、深く敬愛していることで知られている。
 南北戦争で分断された当時のアメリカを一つにまとめ、人種差別の撤廃を訴えたリンカーン元大統領の銅像が見守る中で、オバマ大統領は「色々な意味で、私の人生を可能にした。この並外れた人物に特別な感謝の念を抱く。我々を『南と北』、『白人と黒人』で分断した内戦のさなかでさえ、リンカーン元大統領が決して忘れなかったことがある。それは、我々は心の底で一つの国であり、一つの人民だということだった。曲げられたとしても、断ち切ることのできないアメリカ人というきずなだった」と述べた上で、経済危機のさなかにある今、新たな結束を国民に呼びかけた。
 オバマ大統領は同日夜、リンカーンの地元の中西部イリノイ州の州都スプリングフィールドでも演説し、経済危機など米国が直面する課題について「共に犠牲と責任を分かち合う一つの国家だけが解決できる」と訴えた。
 




2009年02月13日(金) パイオニアが薄型テレビ撤退、1万人削減へ

パイオニアが薄型テレビ撤退、1万人削減へ

報道
1、パイオニアが薄型テレビ撤退、1万人削減へ
2009.2.12 22:産経新聞
2、パイオニア:「薄型」撤退、消耗戦に見切り 構造転換へ
毎日新聞 2009年2月12日
3、パイオニア株式会社の概要

 日本の電機メーカーの国際競争力の根源は、国内の熾烈な競争から生まれたと思う。それだけに退場を余儀なくされる企業が出るのは当然である。パイオニアは12日、平成22年3月までに薄型テレビ事業から撤退し、国内外で正社員6000人を含む計1万人の人員削減を実施すると発表した。連結での従業員数が42000名の企業が1万名の人員の削減であるから、まさに企業の存続の可否まで問われる事業縮小である。

 報道1の一部を引用したい「高い技術力で国内初のテレビを開発した日本ビクターも昨年、国内市場から事実上撤退。今年は欧米でも事業を大幅縮小する。「世界初」の新製品で市場を切り開いてきたパイオニアとビクターのテレビ事業からの撤退は、技術だけでは生き残れない競争の厳しさを物語る。」この部門に働く人にとっては会社が突然なくなるに等しい出来事である。しかし、このような事例は今後数多く出るのではないかと思う。
 
 パイオニアの小谷進社長は12日の会見の言葉を引用しよう。
「われわれが先駆けとなってきたプラズマテレビから撤退するのは断腸の思いだ。再び当社が光を放つときまで、構造改革を敢然と進めなければならない」と。企業のサバイバルが激しく展開されると捕らえる必要があるのだ。
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1、パイオニアが薄型テレビ撤退、1万人削減へ
2009.2.12 22:産経新聞
 パイオニアは12日、平成22年3月までに薄型テレビ事業から撤退し、国内外で正社員6000人を含む計1万人の人員削減を実施すると発表した。薄型テレビは色彩を鮮やかにみせる独自技術を打ち出したが、年間出荷台数は約30万台にとどまり、大手が1000万台を超える規模で争うレースから脱落した。今後はカーエレクトロニクス事業に軸足を移して経営再建を図るが、歴史的な自動車販売の低迷でカーエレ部門の収益力も弱まっており、再生に向けた前途は険しい。
 パイオニアは21年3月期の連結業績見通しを下方修正し、売上高が従来予想から1400億円減の5600億円(前期比28%減)、営業損益が690億円の赤字(従来予想は170億円の赤字)、最終損益も1300億円の赤字(同780億円の赤字)になると発表した。最終赤字幅は過去最大になる。
 小谷進社長は12日の会見で「われわれが先駆けとなってきたプラズマテレビから撤退するのは断腸の思いだ。再び当社が光を放つときまで、構造改革を敢然と進めなければならない」と話した。
 AV(音響・映像)機器メーカーとして技術に定評があるパイオニアにあって、小谷社長は昨年11月の社長就任前からテレビ事業の改善策を担当してきた。それだけに撤退は同社の置かれた深刻な状況を物語っている。グループ人員はすでに昨年12月までに約5900人を削減したが、一段の削減を実施する。
 プラズマテレビ事業は16年にNECから買収して本格参入した。当初こそ市場をリードする存在感をみせたが、パナソニックなど大手の攻勢の前に失速。昨年には中核部品のパネルの生産をやめるなど対策を講じてきたが、「経営環境は想定を超えて悪化して採算改善が見込めない」(小谷社長)と判断した。
薄型テレビをめぐっては、高い技術力で国内初のテレビを開発した日本ビクターも昨年、国内市場から事実上撤退。今年は欧米でも事業を大幅縮小する。「世界初」の新製品で市場を切り開いてきたパイオニアとビクターのテレビ事業からの撤退は、技術だけでは生き残れない競争の厳しさを物語る。
 軸足を移すカーナビゲーションシステムなどのカーエレ部門は、自動車メーカー向けの納入激減を受けて、21年3月期には125億円の赤字に転落する見通しとなった。このため、黒字化は今回打ち出した構造改革の効果が表れる23年3月期まで持ちこしとなる。
 5期連続の最終赤字で財務面も極めて厳し状況に追い込まれるなか、パイオニアの経営再建の行方は今後、買収を含めた業界再編ぶくみの展開が予想される。
パイオニアが薄型テレビ撤退、1万人削減へ
•国内外で1600人削減へ 大日本スクリーン製造
•日産、最終赤字2650億円に 来年度中に2万人削減
•アルプス電気が1万3000人削減 部品販売低迷
•パナソニック国内外で1万5000人削減へ 今期3800億円赤字
•神戸製鋼、3月に一時帰休 人員削減は行わず
•トヨタ系各社「非正規」さらに削減 
•住友化学、2500人削減 3月期の赤字150億円に

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2、パイオニア:「薄型」撤退、消耗戦に見切り 構造転換へ
毎日新聞 2009年2月12日
 パイオニアが、事業の「柱」だったプラズマテレビ事業から完全撤退し、車載機器中心に事業構造を転換すると打ち出した。薄型テレビメーカーは、世界的な価格の値崩れや販売競争の激化による消耗戦を繰り広げ、多くは赤字続きに苦しんでいる。今後、家電メーカーの生き残りをかけた事業の縮小・撤退や再編などに広がる可能性もある。【秋本裕子】
 パイオニアは今年3月にパネル生産から撤退し、パナソニックからパネルを調達してコスト削減を進め、生き残りを目指す計画だった。しかし、昨秋以降の金融危機の深刻化で販売不振が強まり、価格下落や市況悪化が急速に進んだ。テレビなどのデジタル家電は、販売力や大規模生産による低コスト化が市場での勝敗のカギを握るが、収益改善のめどが立たず、ついに薄型テレビに見切りをつけた形だ。
 パイオニアは今後、国内首位のカーナビゲーションなど強みを持つ車載機器に経営資源を集中し、経営のスリム化を目指す。しかし新車販売不振で、車載機器事業の収益も悪化。「11年3月期には回復基調に入る」(小谷進社長)と見るが、抜本的な収益改善策が求められる。
 薄型テレビ各社は昨年以降、テレビ事業の見直しを加速。日本ビクターは国内家庭用液晶テレビ販売を大幅縮小し、日立製作所もプラズマテレビのガラス部材生産をやめる方針だ。ソニーは国内に二つあるテレビ工場を1カ所に集約、パナソニックもパネル工場の稼働延期などを打ち出している。しかし、「今後の景気動向次第では、パイオニアに続いて撤退に踏み切る動きも出るかもしれない」(業界関係者)との見方も強まる。
 【ことば】パイオニアとプラズマテレビ
 パイオニアは97年に50インチの大画面プラズマテレビを世界で初めて発売した文字通りの「開拓者」。しかし、規模で勝るパナソニックや韓国勢の攻勢に苦戦し、08年のプラズマテレビの出荷額シェアは約4%(世界5位)。現在、「KURO」ブランドで販売しているテレビも技術力の高さに定評があるが、機種によっては同クラスの他社製品の2倍近い高価格がネックとなっていた。
 ■電機メーカーの主な薄型テレビ事業リストラ策■
日立製作所 プラズマパネル部材生産撤退、国内外7000人を配置転換
パナソニック パネル生産拠点の集約、国内外1万5000人削減
ソニー    テレビ生産拠点集約、国内外1万6000人削減
シャープ   液晶工場再編、派遣社員1500人削減
パイオニア  プラズマテレビ撤退、国内外1万人削減
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シャープ:初の最終赤字1千億円 非正規1500人削減へ
シャープ:初の営業赤字…3月期見通し
シャープ:上場初の最終赤字に…3月期見通し
パイオニア:全正社員の賃金、最大10%超削減 創業来初

毎日新聞 2009年2月12日 21時09分(最終更新 2月12日 23時13分)

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3、パイオニア株式会社の概要

商号
パイオニア株式会社
PIONEER CORPORATION

本社 東京都目黒区目黒1-4-1

創業 昭和13年(1938)1月1日

設立 昭和22年(1947)5月8日

代表取締役社長 小谷 進

資本金 69,823百万円(2008年3月末現在)

従業員数 42,775名 (連結ベース:2008年3月末現在)



2009年02月12日(木) 麻生太郎首相の迷走発言の顛末

報道
1、小泉元首相:「笑っちゃうくらいあきれた」…首相発言に
                        2009年2月12日 毎日
2、小泉元首相の発言要旨
2009/02/12-時事通信

 ここで特定の人を批判する記述はしたくないが、麻生太郎首相の迷走発言はもはやどうにもならないと思う。自民党の小泉純一郎元首相が公式の場で「「怒るというより、笑っちゃうくらい、ただただあきれている。首相の発言に信頼がなければ、選挙は戦えない」と厳しく批判している。

 小泉氏の発言は報道1の通り「自民党内の反麻生の動きに『お墨付き』を与えかねず、党内には『今回の発言が中堅・若手の倒閣運動に結びつくと、大変なことになる』」という見方は妥当なのだろう。政治は「1寸先は闇」という世界である以上、予想外の動きが出てくるように思う。自民党は麻生首相の下で選挙を行ったら歴史的な大敗北になると思う。

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小泉元首相:「笑っちゃうくらいあきれた」…首相発言に
                        2009年2月12日 毎日
 自民党の小泉純一郎元首相は12日、党本部で開かれた郵政民営化推進派議員の会合であいさつし、民営化を巡る麻生太郎首相の発言について「怒るというより、笑っちゃうくらい、ただただあきれている。首相の発言に信頼がなければ、選挙は戦えない」と厳しく批判した。郵政民営化見直しの動きに対し、小泉氏が公の席で反論するのは初めて。
 会合には政権批判を強める中川秀直元幹事長や塩崎恭久元官房長官ら20人が出席。中川氏らは「政治の信頼」を掲げ、新たな議連創設も検討している。小泉氏の発言は自民党内の反麻生の動きに「お墨付き」を与えかねず、党内には「今回の発言が中堅・若手の倒閣運動に結びつくと、大変なことになる」(町村派幹部)との懸念が強まっている。
 小泉氏はあいさつで、総額2兆円規模の定額給付金についても批判した。給付金を盛り込んだ08年度2次補正予算関連法案について「本当に成立させなければならない法案だとは思っていない」と述べ、制度導入に疑問を表明。その上で「参院の意見と調整して、妥当な結論を出してほしい」と述べ、給付金に反対する野党との政策協議を訴えた。
 小泉氏は05年秋、郵政民営化の是非を問う衆院選を断行し、与党は衆院で3分の2の超える圧倒的多数の勢力を得た。ねじれ国会に苦しむ政府・与党にとって、衆院の議席が政権維持の生命線となっており、首相は自らの見直し発言について、今月10日に小泉氏に電話し釈明するなど、沈静化を急いでいた。
 ただ、小泉氏は首相の釈明にも納得していない様子で、「(衆院選を)戦おうという人に首相が前から鉄砲を撃っている。発言には気を付けてと言っておいた」と語った。また民営化法案を参院で否決された後衆院を解散した小泉氏を「奇人変人」と首相が呼んだことに「自分では常識をわきまえた普通の人だと思っている」と不快感を示した。
 首相発言について、自民党の古賀誠選対委員長は12日の古賀派総会で「マスコミや野党につけ込まれるような発言は注意すべきだ」と批判。町村派総会では複数の出席者から、首相発言について「地元支援者から『首相はぶれずにしっかりやれ』と言われた」などの苦情が続出した。これを受けて、町村信孝前官房長官は総会後、国会内で河村建夫官房長官と会い、「最大派閥として、(政権を)きちんと支える。ただ、寝た子を起こさないよう、首相も発言には注意してほしい」と要請した。【高山祐、近藤大介】
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河村官房長官:首相の郵政担当発言に誤り
毎日新聞 2009年2月12日 21時28分(最終更新 2月12日 21時32分)

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2、小泉元首相の発言要旨
2009/02/12-時事通信
 12日に開かれた「郵政民営化を堅持し推進する集い」での小泉純一郎元首相の発言要旨は次の通り。
 わたしは最近の麻生太郎首相の発言について、怒るというよりも笑っちゃうくらい、ただただあきれているところだ。一昨日も、首相から話がしたいと電話でお話ししたが、その時に、たまたま小野次郎衆院議員のブログと言うんですか、「総理それはないでしょ」というのを読んでいた。もう一つね、世耕弘成参院議員の「それを言っちゃあおしめえよ」。だからね、首相にこういう意見が耳に入ってないと思うから、官邸に、「この小野次郎さんの文章と、世耕さんの文章をファクスで送るからよく読んでおいてくれ」と言っておきました。
 だいたい、首相の方針とか、執行部の方針に批判的な意見を若手が出すと、執行部から「後ろから鉄砲撃つな」と押さえ込みにかかるが、最近の状況は、首相が前から、これから戦おうという人に鉄砲を撃っているんじゃないかと。発言は気を付けてとよく言っておいた。
 わたしについても、(首相が)常識の通じない男だとかね、奇人変人とか言っているようだが、わたしは自分では常識をわきまえている普通の人だと思っている。これから、選挙を戦わなければならない。自民党がどうなるか、みんな心配している。わたしも、たまには非常識なこともするかもしれないが、だいたい政治においては常識的な、「あ、そういうもんか」というところに持っていくために、よく各政党と話し合うことが必要だと思う。
 現在、ねじれ国会と言っているが、これは決してそんなに悪いことじゃない。これからも衆院の多数意見と、参院の多数意見が違う場合があるかもしれない。そういうことを考えると、今、政局より政策優先だという国民の声が強いから、衆院の意見、参院の意見が違ったら、どういう政策ならば、対策ならば、国民が満足(するのか)。納得できるような案をよく協議してもいいのじゃないかとわたしは思っている。
 定額給付金についても、首相が「さもしい」と、また「自分はもらわない」と、「いやそんなことは言ってない」とか、いろいろ言っているが、この問題についても、わたしは本当に、3分の2を使ってでも成立させなきゃならない法案だとは思ってないんです。
 もうわたしは引退表明してますけどね、あんまり多くのことは言いませんけども、「あの時賛成したが、実はそうではなかったんだ」とは言いたくないから、定額給付金についてはもっと参院の意見を聞いて調整して、妥当な結論を出してほしいなと思っている。
 これから皆さんは選挙を戦わなきゃならないし、国民に理解を求めなきゃならない大事な時期だ。ぜひとも、9月までには国民の信を問わないとならないんですから、特に首相の発言が、信頼がなきゃ選挙は戦えないんだから、信頼が大事だということを肝に銘じていただいて、何とかこの難局を乗り越えるよう、皆さんとともにいい知恵を出していきたいと思う。(了)(2009/02/12-21:28)


2009年02月11日(水) 赤字企業、東証1部で240社:しかし、飛躍の企業も

報道・社説
1、赤字企業、東証1部で240社=主要企業に巨額計上相次ぐ−時事通信社集計
                    2月9日19時1分配信 時事通信
2、社説:電機産業―未来見すえ危機克服を
                    2009年2月9日 朝日
3、社説1 企業は危機後も見据えて逆境に対処を
                       2008年2月8日 日経


 東証1部の企業数は1728社である。報道1の時事通信社集計社の集計によるとこのうち240社(14%)が赤字であるという。赤字の割合が意外に少ない印象である。しかし、世界的な景気後退と円高が輸出産業を直撃しており、日本を代表する主要企業で巨額赤字の計上が相次いでいる。

 電機産業の赤字が一番大きく大手9社のうち7社の純損益が赤字で、その総額は2兆円あまりに達する。この不況の中でも太陽電池関連の設備投資が続いている。電気自動車の鍵を握っているのは、電気産業である。 現在の閉塞(へいそく)を打開する担い手となるのは、電機産業ではないかと思う。

 今回の金融危機で最も被害を受けていないのは、日本の金融機関と産業である。世界の企業買収に出るチャンスではないかと思う。すでに、この動きがあり報道3の一部を引用したい。ここで言い得ることは、今回の金融危機を好機と捉え大発展する企業が登場すると思う。

「逆風は自らの強みを見極め、経営資源を投じる選択と集中の機会でもある。グローバル競争を戦うためにも、海外企業を買収する好機は逃すべきではない。日本企業は買い手として有利な立場にいる。円建ての買収価格が円高で下がったからだ。世界的な株安で買収価格も安くなっている。旺盛な投資意欲で価格をつり上げていた買収ファンドの力も衰えた。昨年10月、サントリーはニュージーランドの栄養飲料大手の買収を決めたが、買い手候補に残った3社はすべて日本企業だった。」(日経社説から)

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1、今期赤字企業、東証1部で240社=主要企業に巨額計上相次ぐ−時事通信社集計
                       2月9日19時1分配信 時事通信

 東証1部上場で2009年3月期(今期)に純損益で赤字に落ち込む見通しの企業が240社に上ることが9日、時事通信社の集計で分かった。全体の3割近くが赤字となる公算だ。世界的な景気後退と円高が輸出産業を直撃しており、日本を代表する主要企業で巨額赤字の計上が相次いでいる。
 調査対象は9日までに4〜12月期(第三・四半期)連結決算を開示した857社(金融を除く)で、3月期決算企業の70%強に相当。再編・合併などで前期と比較できない企業は除外した。
 1000億円以上の赤字を計上しているのは10社でこのうち電機が6社、自動車が2社と輸出企業の不振が目立つ。赤字幅が最も大きいのは日立製作所の7000億円。本業の不振のほかに、リストラ費用や半導体子会社の投資損失、株式評価損などを計上する。自動車業界では、トヨタ自動車と日産自動車がともに世界的な販売不振で生産調整などを強化、大幅赤字に落ち込む見通しだ。 

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2、社説:電機産業―未来見すえ危機克服を
                      2009年2月9日 朝日
 電機産業が世界不況の奈落に沈んでいる。今期の見通しでは、大手9社のうち7社の純損益が赤字だ。その総額は2兆円に迫る勢いで、IT(情報技術)バブルが崩壊した02年3月期以来の厳しさである。
 日立製作所の赤字は金融機関を除く会社として史上2番目の7千億円、東芝も同社としては過去最悪、パナソニックとNECも7年前に次ぐ巨額損失……。収支トントンは三洋電機、黒字は三菱電機のみというありさまだ。
 デジタル化の流れのなかで、家電製品の市況商品化が進んでいる。半導体を詰め込んだ基本部品、液晶やプラズマのパネルなどを調達すれば、世界中どこで組み立てても性能に差がつきにくい。勢い供給過剰になりやすく、市況商品のように値崩れが起こる。
 今回はそれに加えて不況で需要が急減し、稼ぎ頭だった「お茶の間家電の王様」の薄型テレビが直撃を受けた。デジタルカメラ、パソコンなど多くの製品でも同じ構図で採算が悪化し、この影響は製品の心臓部にある半導体の市況崩壊にも波及した。
 さらに誤算は自動車関連だ。自動車の電子制御化が進むうえ、カーナビなど電子機器の装備が増え続けている。家電産業だった電機業界はいまや「車電産業」にもなりつつある。その自動車が、日米市場で新車販売の3〜4割減という土砂降りの状況となり、家電と車電の両翼が失速した。
 日本の鉱工業生産は昨年10〜12月期に11.9%減り、この1〜3月期も大幅な減少が予想される。自動車と電機の極度の販売不振が生産全体の急減を呼んでいる。電機9社で正社員を含む6万6千人以上を削減・配置転換するリストラ策も打ち出された。
 激震の急襲に身を縮めるのはわかるが、工場閉鎖や雇用削減の影響は地域社会にとってきわめて大きい。中長期的に雇用を守るよう、最大限の努力をしてほしい。衝撃の大きさに驚いてリストラが行き過ぎ、次の回復期に積極策へ出るための要員が枯渇しないよう配慮するのは当然だろう。
 思えば電機産業は、新技術を形にして夢のある新製品を生み出すことにより、暮らしを変え、新たな市場を創造してきた。その底力が試される。
 オバマ米大統領が言うグリーン・ニューディールを引き合いに出すまでもなく、環境や省エネをテーマに生活様式や社会基盤を見直し、よりよい技術体系に置き換える必要がますます強まるだろう。太陽電池も電気自動車でもカギを握るのは、技術の革新なのだ。現代社会の頭脳や神経となったITの重要性はさらに増す。
 現在の閉塞(へいそく)感を打開する担い手として、電機産業への期待は高まるに違いない。苦境を脱し、未来を開く種が次々と芽吹くのを一日も早く見たい。
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3、社説1 企業は危機後も見据えて逆境に対処を(2/8)
                       2008年2月8日 日経
 日本企業の業績が急速に悪化している。上場企業の2009年3月期の連結経常利益は前期比6割減り、製造業に限れば連結中心の決算になった00年3月期以降、初めて最終損益が赤字となる見通しになった。上場企業は前期まで6期連続で増益を続けてきた。追い風から逆風への急変ぶりが鮮明になっている。

 収益の悲観的な見通しは、企業の08年4―12月期決算の発表が峠を越えたことで明らかになった。資源価格の下落で原材料費を圧縮できるような一部の企業を除き、業績の悪化は幅広い業種に及ぶ。

 揺らいだ収益の前提

 人口の頭打ちに直面する内需型企業の不振に加え、電機や自動車をはじめとする輸出産業にも業績悪化が及んだのが特徴だ。世界的な景気後退の余波が、想像を上回る早さで日本企業を襲ったことを物語る。

 企業は、これまで収益拡大を支えてきた2つの前提が大きく揺らいだことを認識すべきだ。米国市場の成長と円安である。

 企業が製品の販売先として頼りにしていた米国市場は、個人消費の不調で萎縮のさなかにある。日本企業を直撃する構図が表れたのは自動車業界だ。米国全体の新車販売は昨年、07年より18%も落ち込んだ。日本メーカーは米国勢の不振を尻目に4割までシェアを伸ばしており、市場縮小の影響は大きくなった。

 米個人消費の不振は長期化すると見るべきだ。家計には出費を控える要素があふれている。保有する住宅の価格下落には歯止めがかからず、住宅を担保に膨らませてきた借入金は返済を迫られている。企業収益の低迷は雇用の減少に飛び火し、1月の米失業率は7.6%と16年4カ月ぶりの高水準になった。

 輸出企業の収益を底上げしてきた円安も、過去のものとなりつつある。円相場は対ドルで07年度平均の1ドル=114円から同90円前後まで上昇した。日本と米欧の金利差が縮小したことなどで、マネーが円に向かった。米欧は危機対策として金融緩和を続ける見通しで、金利差が再び拡大する展開は考えにくい。

 日本企業が打つべき手はまず、逆風を乗り切る防御策である。

 経営の合理化は待ったなしだ。09年3月期、最終損益が7000億円の赤字となる見通しになった日立製作所は、拠点の統廃合や不採算製品からの撤退を進め、10年3月期に固定費を2000億円削減する。

 業績の拡大期に、日本企業はバブル崩壊時の危機感が薄れ、無駄なコストが膨らんだという不満も株式市場では出ていた。高いコストは景気の悪化に弱い収益体質に直結する。改革に終わりはないことを再確認して実行に移してもらいたい。

 米国に収益源を依存する企業は販売先を成長力のある地域に移す戦略も検討に値する。景気の悪化は世界に広がっているが、成長率が相対的に高い地域はある。景気対策を打ち出した中国では、1月に入って銀行融資が急増するなどの兆しも出始めた。三菱マテリアルは米国向けのセメント輸出を凍結し、中国向けに振り替えた。

 信用収縮は長引いており、財務戦略にも工夫が求められる。例えば、社債や株式の市場では一度に大量の資金調達するのではなく、市場環境に応じてきめ細かく発行する。そのためにも投資家への情報提供を普段から徹底するといった施策だ。

 守り以上に重要なのは、危機後を見据えた攻めだ。

 強みを見極める好機

 逆風は自らの強みを見極め、経営資源を投じる選択と集中の機会でもある。グローバル競争を戦うためにも、海外企業を買収する好機は逃すべきではない。日本企業は買い手として有利な立場にいる。円建ての買収価格が円高で下がったからだ。

 世界的な株安で買収価格も安くなっている。旺盛な投資意欲で価格をつり上げていた買収ファンドの力も衰えた。昨年10月、サントリーはニュージーランドの栄養飲料大手の買収を決めたが、買い手候補に残った3社はすべて日本企業だった。

 研究開発への意欲も課題だ。歴史的に景気後退期には、企業が研究開発投資を絞る傾向がある。業績が悪化するなかでの投資は簡単なことではないが、イノベーション(変革)は勝ち残りのカギを握る。繊維に革命を起こしたナイロンは、米デュポンが大恐慌のさなかに巨額の開発費を投じて商品化にこぎ着け、その後同社の長期的な成長を支えた。

 政策面の支援も欠かせない。潜在力のある企業が目先の資金繰りに窮して破綻しないよう、当局は目配りしてほしい。雇用対策の実施も急務だ。生き残りを迫られる企業にとって、人員削減はやむを得ない面もある。収益が伸びれば雇用吸収力は増す。人員削減が景気全体に与える影響を抑え、業績の回復を早めることを目指して政策を進めるべきだ。



2009年02月10日(火) インフルエンザに罹らないようにするには

今回、集団感染が問題になった町田市の病院は、450人近くが入院しており、高齢者の多い病院や福祉施設は、インフルエンザに注意が必要だ。患者や職員の多くはワクチン接種をしていたというが、マスク着用や手洗いなどの予防策が徹底していたかどうか、疑問が残る。薬剤耐性ウイルスの出現は、予防ワクチン接種に頼ることができないことを立証している。

「新型鳥インフルエンザ情報」189に収録した「インフル感染防ぐには顔を触らない」は、今までに全くイメージにない情報であった。ポイントは「「以前は風邪を引いたり、インフルエンザに感染したりしていたが、物や人に触れるたびに手を洗い、顔を触らないように意識したら、感染しなくなった」というものだ。

専門家のアドバイスを引用しよう。
「外出している時は、無意識のうちにいろいろな物を触っている。手すりや電車のつり革などを触り、ウイルスが手に付くことも多い。そして、多くの人は無意識のうちに、その手で顔を触っている」と指摘。その上で、「外で何かを触ったら、その手は汚れていると認識し、小まめに手洗いをする。手洗いをした後、何かを触った場合は、その手で顔を触らないようにすること」とのアドバイスだ。
 
米国のある調査によると、10人の被験者を3時間観察したところ、平均で目を7.4回、唇を24回、鼻を16回触っていた。最も多かった人は目を12回、唇を72回、鼻を20回も触ったという。この調査結果を踏まえ、高山さんは「インフルのウイルスは目と口と鼻からしか入って来ない。できるだけ顔を触らないようにして」と呼び掛けている。

189、 インフル感染防ぐには「顔を触らない」
http://ameblo.jp/syougai3/entry-10205753305.html



2009年02月09日(月) 小千谷のパナソニック子会社撤退

報 道               
1、パナソニック子会社、本州2拠点を福岡本社などに統合
                  2009年2月6日 読売新聞
2、小千谷のパナソニック子会社撤退で対策会議
                  2009年2月7日 読売新聞
3、「安定雇用」は幻想、就業能力高める道をめざせ(2009/2/5)
                   森 一夫 特別編集委員
         http://www.nikkei.co.jp/neteye5/mori/index.html

 田村智行新潟労働局長は「過去に例のない早さで雇用調整が進んでいる。今後も正社員の雇用調整が続く可能性がある」と、現在の雇用情勢に危機感を示した。家電大手パナソニックの子会社「パナソニックコミュニケーションズ」が新潟事業場(小千谷市)の撤収を決めた。ここに勤める270人は九州に転勤するか退職するかの決断をしなければならない。

「子どもは小さいし、住宅ローンもある。妻子と離れ、九州に異動するしかありません」――。6月末までに閉鎖されることが決まった「パナソニックコミュニケーションズ」(本社・福岡市)の新潟事業場(小千谷市)に勤める30歳代の男性は、ふる里長岡市を離れ、九州へ異動することを決意したという。サラリーマン残酷物語である。

自分の意思と大きくかけ離れた条件を出す会社は、自分から辞めるだけの「就業能力」を常に磨く必要がある。生涯青春の会で「自己鍛錬の場」(社会の情報を題材とするスピーチの会)を提供しているが、この価値観を深く理解する人が少ないので、若者中心の会は休止の方向である。

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1、パナソニック子会社、本州2拠点を福岡本社などに統合
2009年2月6日 読売新聞
 パナソニック子会社のパナソニックコミュニケーションズ(PCC、福岡市)は5日、複合機やファクスの開発拠点である宇都宮事業場(宇都宮市)と生産拠点の新潟事業場(新潟県小千谷市)を6月末までに閉鎖し、本社と佐賀事業場(佐賀県鳥栖市)に統合すると発表した。
 パナソニックは、グループ国内外で27か所の製造拠点閉鎖と1万5000人の人員削減を発表しており、PCCの事業場統合はその一環。宇都宮には612人、新潟には245人の従業員がいるが、同社は「統合先への異動を基本に雇用確保を図る」としている。
 景気後退に伴う企業の経費削減を受け、複合機などの市場は縮小しており、PCCは事業場再編で生産性向上を目指す。
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2、小千谷のパナソニック子会社撤退で対策会議
2009年2月7日 読売新聞
 家電大手パナソニックの子会社「パナソニックコミュニケーションズ」が新潟事業場(小千谷市)の撤収を決めたのを受け、県、新潟労働局などによる「緊急雇用対策新潟本部」が6日、県庁で会合を開いた。
 冒頭、泉田知事は「社員全員が配置転換に応じられるとは限らない。痛みが軽減出来る対策をしたい」と述べ、田村智行新潟労働局長は「過去に例のない早さで雇用調整が進んでいる。今後も正社員の雇用調整が続く可能性がある」と、現在の雇用情勢に危機感を示した。
 会合は非公開。同労働局によると、国の2次補正予算などをもとに対策を拡充する方針で一致したという。終了後、泉田知事は、「小千谷市は被災地でもあり、県も(復興)基金などを使いながら支援している。それ以外にも必要あれば対応したい」と述べた。
         ◇
  「子どもは小さいし、住宅ローンもある。妻子と離れ、九州に異動するしかありません」――。6月末までに閉鎖されることが決まった「パナソニックコミュニケーションズ」(本社・福岡市)の新潟事業場(小千谷市)に勤める30歳代の男性は、ふる里長岡市を離れ、九州へ異動することを決意した。
 会社側から事業場閉鎖の話が正式にあったのは5日午後。海外への製造拠点移管など、国内の事業拠点は縮小傾向にあったことから、「本社から遠く離れた新潟事業場はいずれ閉鎖されるだろう」と内心覚悟はしていた。
 同社は、正社員245人について、本社がある九州への転勤を条件に雇用は維持する方針。異動を断った場合の退職金の説明など、来週から事業場閉鎖に向けた動きが本格化するが、女性、年配の社員を中心に、既に退職を決意した人も多いという。
 新築したばかりの自宅のローン約2000万円が重くのしかかる。妻と小学生、保育園児の子ども2人と離れるのが何よりもつらいが、妻とは「このご時世に働く場所があるだけまし」と話し合った。新天地での生活に慣れたころ、妻子を九州に呼び寄せるつもりだ。
(2009年2月7日 読売新聞)
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3、「安定雇用」は幻想、就業能力高める道をめざせ(2009/2/5)
森 一夫 特別編集委員
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/mori/index.html

 2008年12月の完全失業率が前月比で0.5ポイントも上がって一気に4.4%になったため、雇用情勢の悪化に一段と危機感が高まっている。今や「雇用の安定」が社会的な課題に浮上しているが、中身をよく考えないと幻想を追うことになりかねない。
「正社員=安定雇用」は一面的な見方
 年末年始に東京の日比谷公園に設けられた「派遣村」が連日、マスコミによって報じられた影響は大きい。派遣契約を解除されて、住居を失った人たちが派遣村に救いを求める姿は、見る人に強烈な印象を残した。
 失業して路頭に迷う人たちの救済が重要であることは、あらためて言うまでもない。しかし、その結果、派遣社員に代表される非正規社員という雇用形態が、雇用不安の原因という受け止め方が広がった。
 製造業への派遣禁止など、派遣労働を規制すべきだという声が高まり、国会で検討されている。非正規社員=不安定雇用だから、非正規労働を規制して減らせば不安定雇用は減るという短絡的な考え方である。
 この背景にあるのは、非正規とは逆に、正社員=安定雇用という一面的なとらえ方である。非正規を制限すれば、正社員が増えて、雇用は安定する。こういう流れを思い描いているわけだが、果たして、実際にそうなるのか。
景気回復で忘れられた「拓銀・山一の教訓」
 疑問が二つある。第一に、非正社員を減らせば、その分が正社員にそっくり移るのか。第二に、正社員=安定雇用というのは、本当にそうなのかという点である。
 例えば、もし製造業への派遣労働を禁止した場合、どうなるのだろうか。直接雇用に変わったとしても、予想されるのは期間契約社員への移行である。あるいはメーカーが製造請負会社をつくって、そこで雇用する方法もある。実際には、いわゆる終身雇用型の正社員に移れる人は限られるのではないか。
 たとえ正社員になっても、これからは安心できない。正社員=安定雇用という見方は、たぶんに思い込みではないのか。「正社員」には良い待遇というイメージがあるが、これも一概には言えない。現在、非正規社員の削減が先行しているが、正社員は決して聖域ではない。NECグループやJVC・ケンウッド・ホールディングスなど、正社員の削減に動いている企業も少なくない。
 1997年に北海道拓殖銀行や山一証券などが経営破たんした時、大企業の不倒神話は崩れ、終身雇用も当てにならないことを多くの人が知ったはずである。ところが2002年からの景気回復により企業の新卒採用が持ち直すと、再び正社員=安定雇用という観念が支持されるようになった。
 しかし今回の世界的な不況による景気の落ち込みは激しく、すぐには回復しない。正社員の雇用調整も増加するだろう。非正規=不安定、正規=安定という雇用形態の違いによって、「安定雇用」を考えるのは現実的ではないことが、いずれはっきりするだろう。
「就業能力で職を確保する時代」へ発想転換を
 正社員、非正社員という言葉自体、職種、職業よりも、どこの会社の社員かを重視する古い観念に基づいている。グローバル競争と情報化により変化は速まっており、「会社」に一生を預ける危険性は以前とは比べものにならないくらい高まっている。
 これからは個人が能力開発や職業経験を通じて、就業能力を高めることによって、職を確保する時代である。企業も、賃金制度を含めて人事制度を、外部の労働市場とリンクしたものに改めていく必要がある。個人は会社を代わったり、職種を代わったりしながら、全体として雇用が継続できる社会を目指すべきだろう。どこかに「安定雇用」というものがあると思うのは錯覚である。





2009年02月08日(日) 発芽玄米ごはんの炊き方講習と健康セミナー

初参加の人5名で内容のある講習会、セミナー、交流会を開くことができた。初参加の2名が発芽玄米ご飯に切り替えることになる。ここではセミナーに配布した資料A-4・9枚の目次を案内させていただきます。
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NPO法人生涯青春の会主催
       第1回健康セミナー資料      (第6回)     
(発芽玄米ごはんの炊き方講習と健康セミナー)

目  次
1、健康セミナーのテーマ
(1)健康のために発芽玄米ごはんを食べよう
(2)認知症になるな!〈ボケ老人になるな!〉
(3)がんになるな!(がん回避法を学ぼう)

2、1回〜12回のセミナーの参考資料
(1)日々の映像 12年間4380回の記録から
(2)エッセイ「癒しの森」1000回の記録から
(3)会報 「生涯青春の会」会報 1号から41号の記録から
(4)ヘルシーライフの会報 
(5)参考文献
・「抗ガン剤で殺される」 船瀬俊介著 共栄書房
・「『薬をやめる』と病気は治る」 安保徹著 マキノ出版
・「ガンは自分で治せる」 安保徹著 マキノ出版
・「免疫革命」         安保徹著 講談社
・「 ジェイソン・ウィンターズ・ストーリー」ジェイソン・ウィンターズ著 
・「発毛・ミネラル検査のすすめ」 大森隆史著 株コスモトゥーワン
・「NPO法人ガンの患者学研究所」  http://www.naotta.net/index.html

(2)認知症になるな!〈ボケ老人になるな!〉の参考
1、年の初めに目標(夢)があるか  1997年1月1日 日々の映像から
2、心の健康            1997年1月3日    同上
3、目標(悩み)のない人生?    1997年1月5日  同上
4、老いぼれない方程式        2003年11月18日癒しの森から

(3)がんになるな!(がん回避法を学ぼう) 参考文献の紹介
 ・ガンには自然治癒もある・・・・驚異の食薬「霊芝健康法」東洋医学舎  
・三重大学研究グループの発表       同   上
以上の内容はアメブロ 「NPO法人生涯青春の会」に配信されています。
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10195796323.html
 配信されている資料はA−4で9ぺージです。    

2009年02月07日(土) 孫にメタボと攻められるが

報道
<長生き>禁煙・節酒に「太め」 メタボ健診に疑問…厚労省
                     1月30日12時10分配信 毎日新聞

 小学校4年生の孫に「おじいちゃんはメタボ」と攻められる。しかし、報道によると長生きは禁煙・節酒で太めがいいらしい。がんや心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患を起こさないで今後の10年間を生きる可能性が最も高いのは、「禁煙、月1〜3回の飲酒、BMI(体格指数)25〜27」の人であることが、厚生労働省研究班による約9万6000人の調査結果に基づく推計で判明したという。
ポイントは
1、禁煙や節酒の取り組みは生存率を向上させる
2、BMIだけ下げても変化はなかった。
というのだ。
 
 調査は、全国8県に住む40〜69歳の約9万6000人が対象。生活習慣に関するアンケートをし、約10年追跡した内容であるので信頼できるデータだろう。がんか循環器疾患を起こすか、死亡する可能性が最も高いのは、
1、男性が「1日40本以上喫煙、週に日本酒2合相当以上の飲酒、BMI30上」、
2、女性が「喫煙、同1合相当以上の飲酒、BMI30以上」だった。
 少々のメタボよりタバコ・酒を避けることが長寿の基本のようだ。

 国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長は「がん、循環器疾患を減らすには、肥満対策より、まず禁煙、節酒を推進することが重要。国民全体の健康対策として取り組む場合、肥満中心の手法は適切ではない可能性がある」と、肥満改善を重視する現在の特定健診(メタボ健診)に疑問を投げかけている。

詳しく読みたい方はエンピツへ

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<長生き>禁煙・節酒に「太め」 メタボ健診に疑問…厚労省
1月30日12時10分配信 毎日新聞

 がんや心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患を起こさないで今後の10年間を生きる可能性が最も高いのは、「禁煙、月1〜3回の飲酒、BMI(体格指数)25〜27」の人であることが、厚生労働省研究班による約9万6000人の調査結果に基づく推計で判明した。禁煙や節酒の取り組みは生存率を向上させるが、BMIだけ下げても変化はなかった。

 主任研究者の津金昌一郎・国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長は「がん、循環器疾患を減らすには、肥満対策より、まず禁煙、節酒を推進することが重要。国民全体の健康対策として取り組む場合、肥満中心の手法は適切ではない可能性がある」と、肥満改善を重視する現在の特定健診(メタボ健診)に疑問を投げかけた。米医学誌電子版に発表した。

 調査は、全国8県に住む40〜69歳の約9万6000人が対象。生活習慣に関するアンケートをし、約10年追跡した。

 調査対象年齢の人が、10年間にがんか循環器疾患を起こすか、死亡する可能性が最も高いのは、男性が「1日40本以上喫煙、週に日本酒2合相当以上の飲酒、BMI30以上」、女性が「喫煙、同1合相当以上の飲酒、BMI30以上」だった。

 たとえば50〜54歳の男性で、最も不健康な条件の人が10年間にがんを発症する割合は、健康な条件の人の2.8倍、循環器疾患は4.8倍に達した。がん、循環器疾患にならないで生存している割合は81%にとどまった。

 一方、BMI30以上の人が同25〜27に下げても、平均的な生活習慣の男性の生存率とほとんど変わらなかった。ところが、禁煙や節酒の取り組みを組み合わせると、大幅に向上した。【永山悦子】

 【ことば】BMI

 国際的に肥満度を示す指標として使われており、体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗で算出する。日本肥満学会は「18.5未満」をやせ、「22」を標準、「25以上」を肥満とする。政府が推進する「健康日本21」やメタボ健診では、25以上の人にやせることを推奨している。

 ◇「肥満=不健康」の考え方に再考を迫る(解説)

 厚生労働省研究班の大規模調査は、従来の「肥満=不健康」との考え方に再考を迫る結果となった。

 昨年4月に始まった特定健診(メタボ健診)は、腹部肥満が循環器疾患の元凶と位置づけた。だが、国内では肥満でなくても糖尿病や循環器疾患を発症する人が多いうえ、国民の死因の第1位はがん。肥満と循環器疾患だけにターゲットを絞った健診への批判は根強い。世界保健機関(WHO)は、やせていても生活習慣病の多いアジアの住民に配慮し、BMIに代わる細めの腹囲を使った基準導入を検討している。

 今回の研究では、従来の肥満の基準を多少超える「小太り」が最も健康な条件に入った。さらに、メタボ健診で重視されない喫煙や飲酒習慣の改善が、生存率向上に関与していることが判明した。

 大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)は、「メタボ健診では、やせている喫煙者には何の指導もない。メタボ健診のあり方に大きな問題提起をしているのではないか」と話している。【永山悦子、大場あい】

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最終更新:1月30日

穂y同

2009年02月06日(金)  介護疲れを癒す会のご案内

 介護疲れを癒す会のご案内
 3月14日〈土〉より毎週「介護疲れを癒す会」を開くことにしましたので
ご案内いたします。
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NPO法人生涯青春の会主催
          
        介護疲れを癒す会のご案内

1、趣旨
2006年3月からミクシイコミュニテイで「高齢者情報」(登録者1680人)を記述してきました。介護家族の疲れに関することは実に深刻で、例を少しだけ挙げれば次の通りです。
1、家族介護4人に1人がうつ 65歳以上の3割が「死にたい」
2、在宅で介護を担う人の4人に1人が、うつ病
3、高齢者の家庭内の虐待
http://ameblo.jp/syogai1/theme-10010694965.html

 行政的に介護家族のホローはないに等しいのです。一部の地方で(佐賀県)介護家族ケアを行う動きがあります。介護疲れの家族らによる認知症の高齢者への虐待を防ごうと、佐賀県は新年度から「介護する側」をケアし、精神的に支える地域ボランティア(認知症サポーター)とそのリーダーの育成を始めると報道されています。

 高齢者の虐待が起こる背景は〈1〉家族の介護疲れによる心身のストレス〈2〉相談相手がいない孤独感などがあることは言うまでもありません。このような背景から、当会の中に「介護疲れを癒す会」を発足させて会の趣旨に関連する活動をすることに致しました。会合は参加者の介護疲れによる心身のストレスを伺うことが中心の会合です。介護にお疲れの方は「介護疲れを癒す会」に参加されて、少しでも疲れが癒されれば幸いです。

2、日時 2009年3月14日 13:00〜16:00 自由な時間にご参加下さい。

3、会場  新潟市市民活動支援センター〔西堀6番館ビル3階〕
新潟市西堀前通り6番町894番1 TEL 025-224-5075
4、協賛金500円〜 (資料代・茶菓代・スタッフの交通費等に充当させていただきます)  

5、参加申し込み  090-3343-3157   介護疲れを癒す会
                   幹事 三宅栄治

                       2008年2月5日
                 新潟市堀之内南3丁目1番21号北陽ビル2F
                 特定非営利活動法人 生涯青春の会
                     理事長 石田双三



2009年02月05日(木) 給料カット:だんだん激しくなってきた

報道
1、アルプス電気、過去最大の赤字へ 全社員給与カット
                     2009年2月4日 朝日
2、アルプス電気、1万3000人を削減 リストラ策発表
                     2009年2月4日  日経

 社会の動きを書き留めて置こう。それにしてもだんだん激しくなってきた。
アルプス電気の国内社員約6200人の給与カットは次の通りだ。
・社員 5%カット
・管理職の年俸は現行の5〜10%から10〜15%に削減幅を拡大する。
・役員報酬現行の10〜15%から20〜35%
いずれも2011年3月まで2年間実施するという。

人員削減の内容は以下である。
・1万3000人の人員削減のリストラ策を発表。
・3月末までに中国など海外で正社員3000人を含む1万2000人を削減し
・国内でも非正規社員1000人を減らす。製造・販売拠点も2010年までに海外で約5拠点、国内で数拠点を統廃合する

「閉鎖する拠点の正社員は原則として配置転換する方針」としているが、家庭状況で配置転換に対応できない人は辞めるしかない。「配置転換」言葉は良いが残酷物語が展開されるのである。大企業に勤務の人は自由になれるまで〈退職するまで〉自宅を建てないほうか賢明である。

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アルプス電気、過去最大の赤字へ 全社員給与カット
                     2009年2月4日21時37分 朝日

 電子部品大手のアルプス電気は4日、09年3月期の連結業績見通しで、純損益が40億円の黒字から530億円の赤字になると発表した。赤字幅は過去最大。携帯電話や自動車向け部品の需要が急減したためだ。正社員の給与カットに乗り出すほか、国内外で生産拠点の統廃合を進める。
 4月から国内の社員約6200人の給与を5%カットする。また、役員報酬カットは現行の10〜15%から20〜35%に、管理職の年俸は現行の5〜10%から10〜15%に削減幅を拡大する。いずれも11年3月まで実施する。
 拠点の統廃合は、海外5カ所と国内数カ所を検討。既に昨年夏から国内外で非正社員約1万人を削減しているが、数百人を追加で削減する。正社員も昨年夏から海外を中心に削減しているが、今年3月までで約3千人になる見通し。
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2、アルプス電気、1万3000人を削減 リストラ策発表
                         2009年2月4日  日経
 アルプス電気は4日、1万3000人の人員削減を柱とするリストラ策を発表した。3月末までに中国など海外で正社員3000人を含む1万2000人を削減し、国内でも非正規社員1000人を減らす。製造・販売拠点も2010年までに海外で約5拠点、国内で数拠点を統廃合する。一般社員の賃金も2年間、5%カット。固定費削減を急ぎ、収益回復を目指す。
 08年8月に4万1000人(非正規含む)いた電子部品部門の社員を今年3月末までに約3割少ない2万8000人にする。統廃合の対象となる拠点は3月中に決定し、10年までに順次実施する。閉鎖する拠点の正社員は原則として配置転換する方針だが、環境がさらに悪化すれば削減に踏み切る可能性もあるという。

2009年02月04日(水)  2008年12月の失業者306000人


 報 道
1、失業率、約3年ぶりの4.4%=例のない急速な悪化−昨年12月
                 2009/01/30-12:26時事通信
2、12月失業率4.4%、雇用・生産が一段と低迷 41年ぶり悪化幅
                   2009年2月1日 日経
3、12月完全失業率4.4% 前月より0.5ポイント悪化
                  2009年1月30日 朝日

 総務省が30日発表した労働力調査によると、2008年12月の完全失業率(季節調整値)は4.4%で前月比0.5ポイント悪化した。1ヵ月での0.5ポイントは「今までに例のない急速な悪化」に該当するのだ。
12月の完全失業者数は270万人で失業率0.1%当たりの失業者は以下の通り61364人である。

失業率0.1%の人員   2700000÷4.4〈44〉=61364人
12月の失業者       61364×5=306820人

 上記3紙を読んだが、12月で306000人の失業かあったという説明がないのは可笑しい。情報のポイントをずらして報道している感じである。

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1、失業率、約3年ぶりの4.4%=例のない急速な悪化−昨年12月
2009/01/30-12:26時事通信
総務省が30日発表した労働力調査によると、2008年12月の完全失業率(季節調整値)は4.4%で前月比0.5ポイント悪化した。4.4%は06年1月以来、約3年(2年11カ月)ぶりの水準。また、悪化幅は1967年3月以来の大きさで、同省は雇用情勢判断を、「今までに例のない急速な悪化」に下方修正した。
 景気悪化が深刻が増す中、失業率にも雇用情勢の悪化が反映され始めた。いわゆる「派遣切り」など非正規労働者の失業者が膨らんだことも、失業率を押し上げる一因となった。
 同省は67年3月について、人手不足で新卒社員を大量採用した一方でパートを抑制した特殊な例と説明。政府内からは「4.4%はまだ始まりにすぎない。実体経済がさらに悪くなれば、過去最悪の5.5%を超えることも想定される」(厚生労働省職業安定局長)との見方も出ている。
 12月の完全失業者数は前年同月比39万人増の270万人。離職理由では、解雇など「非自発的離職」が大幅に増加した。就業者数は同65万人減の6331万人。
 また、2008年平均の完全失業率は4.0%で、前年を0.1ポイント上回った。年間の失業率が上昇したのは6年ぶり。
 一方、厚労省が同日発表した12月の有効求人倍率(同)は前月を0.04ポイント下回る0.72倍で、03年11月以来5年1カ月ぶりの低水準となった。過去3カ月間では合計0.12ポイント低下し、バブル崩壊直後並みのペースで水準を切り下げている。
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 2、12月失業率4.4%、雇用・生産が一段と低迷 41年ぶり悪化幅
                        2009年2月1日 日経
 世界的な景気後退で、国内の生産活動や雇用情勢の悪化が加速している。総務省が30日発表した2008年12月の完全失業率は4.4%と前月に比べて0.5ポイント悪化、41年ぶりの大幅な悪化幅となった。企業の減産や工場閉鎖などが相次ぎ、非正規労働者を中心に職を失う人が増えている。物価の上昇には歯止めがかかってきたが、デフレ懸念も生じている。日本経済の情勢は一段と厳しい局面に入ってきた。
 総務省が30日発表した12月の完全失業率(季節調整値)は、1967年3月と並ぶ過去最大の悪化幅となった。厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(同)は0.72倍と前月を0.04ポイント下回った。企業のリストラによる失業が急増。雇用削減の動きが非正規社員から正社員へと波及してきている。
 完全失業率は15歳以上の働く意思のある人のうち、職に就いていない人の割合を示す指標。自己都合による求職が5万人増だったのに対し、企業の倒産などによる「勤め先都合の求職」が25万人増えた。完全失業者は前年同月に比べて39万人増え、270万人となった。(11:26)
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3、12月完全失業率4.4% 前月より0.5ポイント悪化
2009年1月30日 朝日

 総務省が30日発表した労働力調査によると、12月の完全失業率(季節調整値)は前月を0.5ポイント上回る4.4%で、06年1月以来の水準に悪化した。悪化幅は過去最大となった。また、厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(同)は、前月を0.04ポイント下回る0.72倍で03年11月以来の水準となった。厚労省は雇用情勢の判断を「厳しさを増している」と2カ月連続で下方修正した。
 完全失業率が前月比0.5ポイント悪化したのは、統計上、比較可能な53年以来、最大で、総務省は「過去に例のない急速な落ち込み幅」という。
 男女別では、男性が4.6%、女性は4.3%で、いずれも前月より0.5ポイント高かった。完全失業者数は前年同月より39万人多い270万人で、2カ月連続で増えた。うちリストラなど会社都合による失業者は前年同月比25万人増の77万人、自発的な離職者は5万人増の98万人だった。
 08年平均の失業率は前年より0.1ポイント高い4.0%で、6年ぶりに悪化に転じた。
 一方、有効求人倍率は11カ月連続で低下した。都道府県別では、北海道と青森をのぞく45都府県で前月を下回った。最高は愛知の1.10。ほかに1倍に達しているのは東京と香川だけだった。最低は沖縄の0.31。
 新規求人数は前年同月比12.0%減で、24カ月連続の減少となった。産業別では製造業が前年同月比43.7%減となる一方、医療・福祉は3.3%増、飲食店・宿泊業は2.0%増と、ばらつきが目立つ。
 有効求人倍率の08年平均は前年を0.16ポイント下回る0.88倍で、3年ぶりに1倍を下回った。






2009年02月03日(火) 採用増の企業・分野がある

 
3 採用増の企業・分野がある
 報道
1、ドコモ、10年春の新卒採用2割増 契約社員の正社員化拡大
                      2009年1月30日日経
2、農業も接客業も「人手不足」 「職がない」は本当なのか?
2008/12/19 J-CAST ニュース

NTTドコモは2010年春の新卒採用人数について、グループ全体で360人と09年春に比べ2割増やす計画を明らかにした。契約社員の正社員化も積極的に進めるという。景気悪化で人員削減に踏み切る企業が相次ぐなか、業績が好調なドコモは優秀な人材の囲い込みと、新サービス開発などを加速させるようだ。


企業の業績悪化の影響で、派遣労働者の契約を途中で打ち切る「派遣切り」が相次ぐ中で、新規採用している企業は注目に値する。農業や介護などでも人手不足の傾向が続いている。どうやら「どこもかしこも全く仕事がない」ということではないようだ。居酒屋「白木屋」「魚民」などを展開するモンテローザは2008年12月19日、雇用調整で失業した派遣社員や正社員を対象に、全国で最大500人を同社の正社員としてあらたに雇用すると発表している。資料2のJ-CAST ニュースはよく読む必要がある。

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1、ドコモ、10年春の新卒採用2割増 契約社員の正社員化拡大
                      2009年1月30日日経
 NTTドコモは30日、2010年春の新卒採用人数について、グループ全体で360人と09年春に比べ2割増やす計画を明らかにした。契約社員の正社員化も積極的に進める。景気悪化で人員削減に踏み切る企業が相次ぐなか、業績が好調なドコモは優秀な人材を囲い込み、新サービス開発などを加速させる。
 山田隆持社長が2008年4―12月期決算会見で明らかにした。09年春はグループ28社合計で300人の新卒を採用したが、「技術やノウハウを継承する人材が特にグループ会社で不足している」(山田社長)として採用人数を増やす。
 契約社員の正社員への登用も拡大。コールセンターなどで働く契約社員約5000人が対象で、勤続年数や技術などで選抜する。09年3月期は80人を正社員化したが、10年3月期は160人に倍増する。 (30日 20:27)

NTTドコモ:契約社員160人を正社員化 業績好調で来年度
 NTTドコモは30日、09年度に契約社員160人を正社員化すると発表した。08年度予定数(80人)に比べ倍増する。10年春の新卒採用数も、今春より60人増の360人に増やす。産業界は人員削減の動きが広がっているが、業績好調なドコモは非正社員の登用や新卒採用数を増加し、将来の成長につなげる。
 ドコモの契約社員は現在、約5000人。コールセンターのオペレーターや販売員などから、能力の高い契約社員を登用する。
 通信業界は、景気の影響を受けにくく、ドコモは09年3月期に前年同期比2・7%増の8300億円の連結営業利益を見込んでいる。【前川雅俊】
毎日新聞 2009年1月31日 東京朝刊

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2、農業も接客業も「人手不足」 「職がない」は本当なのか?
2008/12/19 J-CAST ニュース
企業の業績悪化の影響で、派遣労働者の契約を途中で打ち切る「派遣切り」が相次ぐ中、居酒屋チェーンやタクシー会社などに人材を募集するところがたくさん出てきた。農業や介護などでも人手不足の傾向が続いている。厚労省では「肉体労働がきつくて、給料が安い仕事が敬遠され、人手不足になっている」といい、どうやら「どこもかしこも全く仕事がない」ということでもないようだ。
モンテローザやMKタクシーなど人材確保に動く
居酒屋「白木屋」「魚民」などを展開するモンテローザは2008年12月19日、雇用調整で失業した派遣社員や正社員を対象に、全国で最大500人を同社の正社員としてあらたに雇用する、と発表した。採用職種は居酒屋でホールやキッチン業務を行う店長候補で、年齢や経験は問わない。同社は「年間100店舗をあらたに出店する予定で、店長候補として人材を確保するため」と説明しており、「派遣切り」などが多い地域で有能な人材を確保する構えだ。
08年12月に入ってからは、MKタクシーが、従業員を1年間で1万人増員する計画を発表している。九州のタクシー会社も大量採用の方針を明らかにしている。ほかにも名乗りをあげた会社があり、企業がリストラをすすめる一方で、「有能な人材を獲得するチャンス」と見て、あえて採用を増やす企業が一部で出てきているようだ。
厚生労働省が発表した2008年10月の一般職業紹介状況によると、10月の有効求人(8〜10月に有効の求人)は前月に比べ2.1%減っている。求職者1人あたりの求人数を示す有効求人倍率は0.80倍で、前月を0.04ポイント下回った。正社員の有効求人倍率はさらに低くて0.52倍となり、前年同月を0.10ポイント下回っている。
これだけ見ると「仕事がない」という雇用情勢の悪化が見て取れるかたちだが、一部では、「人材不足」を意味する、有効求人倍率が1倍を超えている職業もある。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師(6.05倍)、保健師、助産師、看護師(2.4倍)、医療技術者(2.04倍)で、主に医療関係で人手が足りていない。ホームヘルパーなどの介護関係職は2.36倍だった。また、「接客、給仕」が3.08倍、保安の職種4.16倍、ドライバー1.27倍と、人手不足は深刻だ。
大分の農業現場では「全般的に人手が足りない状況が長年続いていた」
厚生労働省職業安定局雇用政策課はJ-CASTニュースに対し、
「求人数は増えていないが、肉体労働がきつく、給与が安い仕事は敬遠され、結果的に人手不足になっているようだ」
と指摘する。
大分市は、JAおおいたと連携して、農業生産現場で失業者50〜60人のパート従業員を確保する失業対策を打ち出した。大分キヤノンや東芝大分工場で働く非正規社員が大量に解雇されていることから、市がおおいたJAに働きかけて実現した。
おおいたJA大分市地域本部は、「全般的に人手が足りない状況が長年続いていた」としており、市園芸畜産課によれば、キヤノンの工場などに「もっといい仕事がある」ということで、長続きせずに辞めていくケースも多かったという。市では今回の失業対策は、人手不足の解消の機会になるとも考えているようだ。
市園芸畜産課の担当者は、
「これまでは、農家が求人情報を掲載してもなかなか人が来ないという現実があった。探せば、人手不足のところがある。全く仕事に携われない人に、農業の仕事をして頂き、人手不足を少しでも補えれば」
と話している。



2009年02月02日(月) NECがグループで2万人超削減 09年度中に

報 道
NECがグループで2万人超削減 09年度中に
2009年1月30日  日経
上場企業の希望退職募集13.3%増、商工リサーチ
2009年1月22日  日経BP者

 NECは、ソフトウエアの開発などで業務を委託している企業(社員9000人)を含め、グループで2009年度中に2万人超を削減すると発表した。業務を委託している企業とは、NECの下請け企業群である。この委託先の9000人分の仕事を自社に切り替える形で人員を減らすのだ。何社で9000人の従業員が所属しているのかは、新聞の報道ではわからない。

 仮に100社〈1社平均90人〉だとすると、ここ100社は例外を除いて企業の解散となるだろう。現実は厳しく、悪い言葉を使えば「下請け切り」である。
それも9000人のところに仕事が一切いかなくなるのだから残酷だ。コンピューター関係に勤める次男がいる。彼が15年前に就職活動をする時、「大手メーカーの下請けの企業には就職するな!」とアドバイスしたことを鮮明に思い出した。上記の通りある日突然解散〈倒産〉に追い込まれるのだ。

 派遣社員・下請け切りに加えて、社員の希望退職の募集も始まっている。資料2から主な内容を引用しよう。
・NECエレクトロニクスの募集人数       685人
・奥村組の募集人数              622人
・日立プラントテクノロジー募集人数      550人
・前田建設工業の募集人数           525人
・希望退職の募集/応募人数が100人以上の企業は35社
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NECがグループで2万人超削減 09年度中に
                   2009年1月30日 日経

 NECは30日、ソフトウエアの開発などで業務を委託している企業を含め、グループで2009年度中に2万人超を削減すると発表した。世界的な景気後退の影響で、2009年3月期の連結最終損益(米国会計基準)は2900億円の赤字(前期は227億円の黒字)になる見通し。業績悪化に対応して、経営体質の改善を加速する。
 2万人のうち国内で8000人、海外で1万2000人を削減する。正社員は、すでに国内外で9450人の削減を発表している電子部品子会社のNECトーキンを含め、グループ全体で1万人減らす。
 派遣と業務委託先の社員など正社員以外は1万人を削減する計画。このうち、半導体子会社のNECエレクトロニクスはすでに1200人の派遣社員削減を打ち出しており、このほかソフト開発などで業務委託していた約9000人分の仕事を自社に切り替える形で、人員を減らす。 (21:46)

ホンダ、逆風下で黒字確保 09年3月期 (22:08)
日立、最終赤字7000億円 製造業で過去最大、7000人を配転・削減 (21:57)
住宅着工6カ月ぶり減、雇用悪化など影響 08年12月 (20:11)
景気悪化でも採用2割増 ドコモが10年春に (20:27)

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上場企業の希望退職募集13.3%増、2年連続で増加、商工リサーチ
2009年1月22日   日経BP者
 東京商工リサーチがの調査によると、2008年に正社員の希望退職を募った上場企業は公表ベースで68社と、前年比13.3%増加し、2年連続で前年を上回った。
 希望退職の募集/応募人数の規模が最も大きかった企業は、NECエレクトロニクス(グループ会社を含む)の応募人数685人。以下、奥村組の応募人数622人、日立プラントテクノロジー(グループ会社を含む)の募集人数550人、前田建設工業の応募人数525人と続いた。希望退職の募集/応募人数が100人以上の企業は35社で、前年の26社を上回った。
 希望退職を募った企業を産業別にみると、建設が14社で最も多く、次いで不動産が8社。これらの業種は米国のサブプライムローン問題をきっかけとした金融危機の影響を特に受けたと、東京商工リサーチはみている。以下は小売が7社、電気機器が6社と続いた。
 製造業を中心に非正規従業員を削減する動きが目立つが、減産規模が拡大すれば正社員の希望/早期退職者募集に踏み出す企業が増加すると、同社は分析している。
■関連情報
・東京商工リサーチのWebサイト http://www.tsr-net.co.jp/

2009年02月01日(日) 日立、純損失7000億円=7000人の人員適正化実施へ

報道
日立、純損失7000億円=7000人の人員適正化実施へ−09年3月期
          2009/01/30-時事通信
 世界同時不況に直撃され、自動車業界のみならず、電機業界が総崩れになって来た。2009年3月期の連結業績は、ソニーや東芝、日立製作所などがそろって赤字に転落する。これに伴い各社は、リストラの動きを加速、人員削減は正社員にも及び始めており、日本経済は底が見えない状況に陥っている。
 中でも日立の純損失7000億円は、経済危機が如何に深刻かを表す指標である。
日立製作所の内部留保は確か2兆円余りである。1年でほぼ1/3が消えることになる。この赤字基調を転換することは容易ではなく、来期も赤字の積み上げになると思う。

 今日燕市で「社会の情報を題材とするスピーチの会」を開いて来たが、週3日出勤の企業も現れてきている。このような職場では勤労者の収入が30%〜40%減少することになる。金融危機の影響がひたひたと庶民の足元に押し寄せてきている。

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日立、純損失7000億円=7000人の人員適正化実施へ−09年3月期
          2009/01/30-時事通信
日立製作所は30日、2009年3月期の連結業績予想について、純損益を7000億円の赤字(従来予想150億円の黒字)に下方修正すると発表した。営業利益は400億円(同4100億円)を確保するが、持ち分法適用の半導体関連会社の業績悪化や急激な円高による為替差損発生に伴い、営業外損失が4200億円に膨らむことなどが主因。7000億円規模の純損失は国内最大規模となる。
 これに伴い、日立は事業構造改革を策定した。主な内容は、09年度内に自動車機器関連事業で4000人、薄型テレビ・デジタル事業で3000人を対象に、他部門への配置転換を含めた適正化策を実施。さらに不採算事業からの撤退、国内外拠点の統廃合を進め、09年度に約2000億円の固定費削減を進めるとしている。



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石田ふたみ